ビル購入で利用できるローンとは?住宅ローンとの違いや審査のポイントを解説

目次

ビル購入は、どれだけの購入資金を確保できるかが成否を分ける大切なポイントです。

現金一括での購入が難しい場合、多くの方が投資用ローンを検討しますが、「どのようなローンが利用できるのか」「審査に通るのか」という不安や疑問がつきものです。

本記事では、ビル購入をスムーズに進めるために、利用可能なローンの種類、住宅ローンとの違い、そして審査の重要なポイントについて詳しく解説します。

 

不動産投資ローンと住宅ローンの違い

不動産投資ローンと住宅ローンの違いをまとめると、下表のようになります。

不動産投資ローンと住宅ローンの違い

 

不動産投資ローン 住宅ローン
資金使途 投資用住宅 居住用住宅
借入可能額の目安 年収の10~30倍ほど 年収の5~8倍ほど
保証人 原則として必要 不要な場合もあり
金利 年利1.5~4.5%ほど 年利0.5~2.0%ほど
担保設定 購入予定の物件が担保となる

詳しく見ていきましょう。

 

借入可能額

不動産投資ローンの借入可能額は、一般的に年収の10〜30倍が目安です。

ただし、ビルの利回りや経営実績なども審査に影響するため、年収が高ければ高額な融資が可能とは限りません。

住宅ローンは、年収の5〜8倍が上限になるケースが多いです。

不動産投資ローンは返済の原資が家賃収入であるため、住宅ローンと比べ借入可能額が高くなります。

 

支払者・保証人

個人が不動産投資ローンを利用する場合、原則として連帯保証人が必要です。

連帯保証人は、本人より先に請求されても断れないなど通常の保証人より重い責任を負います。

法人の場合、オーナー自身が連帯保証人となるケースが多いですが、経営状況によっては連帯保証人が不要となる場合もあるようです。

住宅ローンは、名義人の年収などによりますが、必ずしも保証人が必要とはなりません。

 

金利と返済期間

不動産投資ローンの金利は、住宅ローンより高くなる傾向にあります。

住宅ローンの年利が0.5~2.0%ほどに対し、不動産投資ローンは年利1.5~4.5%ほどです。

通常、不動産投資ローンは住宅ローンより高額となり、貸し倒れのリスクがより高い、と評価されるためです。

 

担保設定

不動産投資ローンは、購入予定の投資用物件(ビル)を担保として融資を受けるのが一般的です。

住宅ローンも同様に、購入する居住用物件を担保に融資を受けます。

担保設定は融資の可否や借入可能額に影響する重要な項目であり、通常は担保評価が高いほど有利な条件で融資が受けられます。

 

ビル購入のためのローンの種類

笑顔で相談を受ける男性の画像

不動産投資ローンはアパートローンと同義で使用されることが多いですが、プロパーローンを利用してのビル投資、ビル購入も可能です。

それぞれの違いを確認していきましょう。

 

アパートローン

アパートローンはパッケージ型の融資といわれ、商品ごとに審査基準や融資条件がある程度定型化されています。

保証会社を用意する必要があり、別途、保証料の支払いが必要です。

 

プロパーローン

プロパーローンは、金融機関が調達した資金を融資します。保証会社を介さず、リスクは融資をする金融機関が負います。

融資条件も定型化されておらず、融資先の物件や名義人にあわせたオーダーメイド型の融資が可能です。

審査で物件や名義人が高い評価を受けた場合、融資金額、金利などで通常より良い条件の融資が受けられる可能性があるのがメリットです。

 

アパートローンとプロパーローンの違い

アパートローンとプロパーローンの特徴や、メリットとデメリットは下の表のとおりです。

アパートローンとプロパーローンの違い(特徴やメリットとデメリット)

 

アパートローン プロパーローン
資金使途 投資用住宅 融資時に金融機関が指定
借入可能額の目安 年収の10~30倍ほど 個別に設定
保証人 原則として必要
金利 年利1.5~4.5%ほど
担保設定 購入予定の物件が担保となる
保証会社の要否 原則として必要

(保証料が必要)

不要
メリット
  • プロパーローンと比べて審査は通りやすい
  • 自己資金不要の場合もある
  • 審査の評価が高い場合、好条件で融資を受けられる
  • 各金融機関が自由度の高い商品を用意できる
デメリット
  • 定型化された融資条件の範囲でしか融資を受けられないおそれがある
  • 保証会社との契約も必要となる
  • 審査がより厳しくなる
  • 返済期間が短く設定される傾向にある
  • 保証人や連帯保証人を求められるケースがある

 

ビル購入のローン審査で見られるポイント

ビル購入のローン審査は、主に次の2つの観点から総合的に判断されます。

  • 購入予定のビルの収益性
  • 名義人の返済能力

それぞれ確認していきましょう。

 

購入予定のビルの収益性

ビルの収益性は、主に空室リスクと利回りから評価されます。

 

空室リスク

アパートローンは家賃収入からの返済が前提となっているため、空室リスクがどの程度あるのかは重要な審査ポイントです。

入居希望者が多い人気のエリアや、駅近のマンション、築年数が浅い物件などは空室リスクが低いと評価されます。

 

利回り

利回りとは、投資に対する収益のリターンを示す指標です。計算方法のうち、最も簡易な表面利回りは、次のように計算します。

表面利回り=年間家賃収入÷物件価格

表面利回りに細かな経費などを加えてより実態に近い収益を表すのが実質利回りで、計算方法は次のとおりです。

実質利回り=(年間家賃収入-年間諸経費)÷初期投資コスト

諸経費は、固定資産税や火災保険料、ビル管理費用、修繕積立金など賃貸経営に必要な経費すべてを含みます。

なお、実質利回りはあくまで物件自体の収益力を表すため、借入の返済額は含みません。

 

名義人の返済能力

物件のほか、名義人の返済能力が審査に大きく影響します。

 

年収

月々の返済負担が多すぎると無理のある計画となるため、年収によって返済能力が評価されます。

 

保有資産の額

預貯金の額など、保有資産が大きい場合は審査にプラスの影響を与えます。

 

勤務先の安定性

年収の額だけでなく、雇用の安定性も評価に影響を与えます。

たとえば公務員や上場企業であれば一般的に安定性の評価は高く、逆に自営業者は不安定と評価されるケースもあります。

 

賃貸物件の経営実績

すでに賃貸物件を経営しており、安定した実績がある場合は評価されます。

 

信用情報の履歴

ローンの支払いを過去に滞納した場合、5〜10年ほどは信用情報機関に事故情報が登録され、原則として新たなローンが組めなくなります。

 

名義人が法人の場合

名義人が法人の場合でも、個人と同様に収支状況や保有資産などが評価されます。

収支が悪化している会社や、設立して間もない会社は審査で不利になるおそれがあるでしょう。

 

オーナーチェンジ物件は審査に通りやすい

オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売買される物件のことです。

オーナーチェンジ物件は、賃貸経営としての実績があるため審査が通りやすい傾向にあります。

ただし、入居者に家賃滞納などの問題がある、物件の立地が悪いなどネガティブな要素があると、マイナスに働くリスクもあるでしょう。

 

ローンをうまく活用してビル投資を成功させるには

ビル投資を成功させるには、物件や立地などの綿密な事前調査が欠かせません。

自身の年収や保有資産など、賃貸経営を継続するために無理のないプランを立てるのも重要です。

 

ローンの審査に通過するために不動産会社を活用する

不動産会社はビル投資や賃貸経営のプロであり、活用すると次のようなメリットがあります。

  • 物件の評価について客観的な視点からアドバイスを受けられる
  • 物件の収益性や自身の属性から、最適なローンや収益シミュレーションの提案を受けられる
  • ローンの審査を通るためのポイントを教えてもらえる

未経験の方がいきなり金融機関へローンの審査を申し込んでも、うまくいく可能性は低いかもしれません。

ビル投資を始めるのであれば、まずはプロである不動産会社に相談するのがベストです。

不動産会社へ相談し、事前に十分な準備をしたうえでビル投資にチャレンジしましょう。

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