工場跡地を売却する際の注意点。土壌汚染や税金なども解説

目次

工場跡地を売却する際に直面する可能性のある主要な課題と注意点を詳しく解説します。

環境リスクの評価から税務上の考慮事項まで、売主が知っておくべき重要な情報を紹介します。

 

工場跡地売却を検討する際の注意点

工場跡地を売却する際は、通常の土地と比べて注意しなければならない点も多々あります。

ただ売却するだけと思って売り出してしまうと、後々買主から損害賠償請求される恐れもあるため注意しなければいけません。

 

工場跡地の売却前に行うべき準備

工場跡地を売却する前に、行わなければいけない準備があります。

 

土壌調査の必要性と方法

有害物質を取り扱う工場であった場合、工場の稼働中に土壌を汚染していた可能性があるため、土壌調査が義務付けられています。
土壌汚染が認められた場合、土の入れ替えや中和などを行って浄化しなければいけません。

万が一、土壌汚染の浄化を行わず、売却後に土壌汚染を発見した場合、売主は買主から損害賠償が求められる可能性もあります。

 

土壌汚染が見つかった場合の対処法

調査によって土壌汚染が見つかった場合、その箇所の土を掘削し、砂利などを敷き詰め、汚染されていない土で埋め戻しします(清浄土壌埋戻し)。

もしくは、土壌汚染されている箇所とその箇所の下層で汚染されていない土壌の入れ替えを行います(天地返し)。

また、中和するための液体などを土壌に流し込んで浄化する方法もありますが、浄化までの期間は半年や1年と長期間かかるケースもあります。つまり、土壌汚染が見つかった工場跡地は、浄化作業に手間がかかるため、すぐに売却することはできません。

 

地中埋設物の撤去

工場跡地などの場合、地中埋設物が埋まっている場合があります。主に、コンクリートのガラや排水管、建物の基礎などです。

これらの地中埋設物が埋まっている可能性がある場合、売主は買主に対して土地の状態を適切に説明しなければならない説明責任義務があります。

買主に地中埋設物が埋まっている可能性がある旨を伝えてから契約しないと、契約の解除や損害賠償請求される恐れがあるということです。

 

境界確定と必要書類の準備

工場跡地の売却を行う際、境界確定を行い、隣地との境界を明確にしておかなければいけません。

境界確定とは、未確定な境界について、土地の所有者と隣地の所有者、土地家屋調査士などが立ち会って境界の箇所について話し合うことです。

境界が未確定なままだと、正確な土地の広さがわからず、金融機関の融資に影響が出たり、建物を建築する際に関連する建ぺい率や容積率などの建築基準法などの条例を満たしているか判断できなくなります。

もちろん、公募売買といって、法務局が管理している公図の大きさのまま境界確定せずに売却する方法もあります。

しかし、買主にとっては土地の境界は確定していたほうが安心できるため、売却前に行っておきましょう。

境界確定に必要な書類はほとんど土地家屋調査士が用意してくれますが、登記時に権利書や印鑑証明書が必要となるため、事前に確認しておき用意しましょう。

 

工場跡地の売却方法や流れ

埋まっているものを掘り起こしているイメージ画像

ここでは工場跡地の売却の流れについて紹介します。

 

事前調査・査定依頼

工場跡地は、はじめに不動産会社の現地調査が行われ、近隣相場と照らし合わせて売却価格の査定を行います。

不動産会社によって、立地や土地の大きさ、土地形状や高低差など、土地の価格に影響する要素はさまざまです。

そのため業者によって査定価格が異なるため、2社3社ほど査定してもらうことをおすすめします。

 

不動産業者との媒介契約

売却査定が完了した後は、不動産の売却を依頼する不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約とは、「この不動産の売却をお願いします」という契約で、以下の3種類に分かれます。

 

一般媒介契約 1社だけでなく複数の不動産会社へ依頼する方法です。
専任媒介契約 1社の不動産会社へ依頼する方法です。
専属専任媒介契約 1社の不動産会社へ依頼する上に、買主も同じ不動産会社を見つけてくる方法です。

一般媒介契約は、複数の不動産会社が早い者勝ちで買主を見つけてくるため、早期に売却できます。

一方で、窓口の不動産会社が多いがゆえに、どのような買主が現れるかわからないというリスクがあります。

専任媒介契約や専属専任媒介契約は、信頼できる不動産会社1社だけに依頼することになります。そのため買主も厳選してくれるため、安全な取引ができる契約です。

 

売却活動~条件交渉

媒介契約が完了した後は、不動産会社が売却活動を行い、買主を探します。購入希望者が現れたあとは、売却価格や手付金、契約時期などの条件を打合せします。

 

売買契約締結

条件がまとまった後は、買主と売買契約書を締結します。売買契約では、不動産会社が重要事項説明として、売却する不動産の概要や要件などを確認しあいます。

問題なければ、買主から手付金をもらい、2通用意した契約書に署名捺印を行い、それぞれ保有します。

契約時には、不動産会社へ仲介手数料を支払う場合があります。仲介手数料の支払いタイミングは、決済時に一括で支払う場合と、売買契約時と決済時に分けて支払う場合があります。

契約時では売買代金はまだ受け取れないため、自己資金から仲介手数料を支払うことになる可能性もあります。そのため、契約前に仲介手数料の支払いタイミングを確認しておきましょう。

 

決済・引渡し

売買契約書の締結後、決済を行います。一般的に不動産を購入される方の多くは、金融機関の融資を利用します。

融資審査は、締結した売買契約書がなければ行えません。つまり、売買契約書の締結から決済までの期間は、融資の審査機関でもあります。審査は、おおよそ1ヶ月〜2ケ月ほどの期間を要するため、決済まで長くても2ケ月近くかかると想定しておきましょう。

決済が終われば、売買代金を受け取ることができ、買主へ所有権を引き渡すこととなります。

 

工場跡地売却にかかる税金

ここでは工場跡地の売却に関わる税金について紹介します。

 

工場跡地売却時の税金

不動産を売却し、売却利益が発生した時は、譲渡所得税が課せられます。

譲渡所得税は、売却価格に対して課せられるのではなく、不動産を取得した時にかかった費用(取得費)や売却に関わった費用(仲介手数料など)、特別控除などを売却価格から差し引いた金額に対して税率がかけられる税金です。

そのため必ず課せられる税金というわけではありません。しかし不動産は大きな価格なため、利益が生じれば納税額も高額です。さらに不動産を所有していた期間によって税率が異なります。

 

長期譲渡所得金額(所有期間5年以上) 20.315%
短期譲渡所得金額(所有期間5年未満) 39.63%

 

譲渡所得税の計算は非常に複雑です。売却する前に納税額を計算しておかないと、利益より税金や残債などの方が大きくなるという失敗事例にも繋がりかねません。
そのため、税理士や不動産会社などの専門家に相談してから売却を検討していきましょう。

 

工場跡地の売却に関する疑問は、信頼できる不動産会社や税理士に相談

工場跡地の売却に関する疑問は、信頼できる不動産会社や税理士に相談することが大切です。

通常の不動産と比較して、土壌汚染などの専門的な知識が求められるため、専門家によるアドバイスやサポートは必須です。

さらに工場跡地は土地が大きく、高額の売却価格になることが想定されます。その分利影木も大きくなると、譲渡所得税が課せられる場合もあるため、税理士などの専門家に納税額の計算などを行ってもらいましょう。

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