廃業したホテルの解体にはいくらかかる?活用方法や売却についても紹介

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ホテル経営には需要の変化や競争の激化など、様々なリスクが存在します。そのため廃業を検討せざるを得ない状況に陥ることもあるでしょう。しかし、不動産は買主がいなければ基本的に手放せません。

とくにホテルのような大きな建物は売却が難しいため、解体して更地にしてから売るという方法を選択するケースもあります。では、ホテルのような大きな不動産はどのようにして解体するのか、費用はいくらかかるのでしょうか。

建物を有効活用する方法や売却についても併せて解説します。

 

ホテルの解体方法と費用

ホテルを解体する際にかかる費用は構造によって大きく異なり、費用の目安は以下のようになります。

 

ホテルの構造 坪単価
鉄骨造 3万~5万円/坪
鉄筋コンクリート造 5万~7万円/坪
鉄骨鉄筋コンクリート造 7万~9万円/坪

上記のようにホテルで使用されている建材によって解体費用が変わることから、解体を検討する前にホテルの構造は調べておくべきです。

また、ホテルの解体方法はいくつかあり、組み合わせて工事をすることが一般的です。

 

解体方法①:圧砕工法とブレーカー工法

代表的な解体工法として重機に圧砕機を装着する圧殺工法と、ブレーカーと呼ばれる打撃破砕機で解体する工法があります。

どちらもホテルのような鉄骨造を解体する際に使われ、費用も他の工法に比べて安い上に工期も短いという特徴があります。

その一方で騒音が大きいため夜間や市街地での作業には向いていないという点があり、立地によっては別の工法が選択されることもあります。

 

解体方法②:タワークレーン

タワークレーンは、屋上に設置し屋上階から順番に解体していく工法です。高層のホテルは階でも安全に解体することができ、さらに各階を手作業で解体していくため騒音が少ないという特徴があります。

そのため市街地での高層ビル解体はタワークレーンを使用するケースが多いです。

ただし人件費が高く作業スピードも圧砕工法等よりも遅いため、費用と工期については注意が必要です。

 

解体方法③:テレコップシステム

この方法は大成建設が開発した工法で、解体する階層を仮設工事によって閉鎖し作業を行い、解体が終われば下の階まで閉鎖空間をジャッキで下げるという内容です。

この工法が持つ特徴として粉塵や騒音の発生が少なくなり、作業員の安全性も担保できるという点になります。

また作業スピードも一般的な解体工法と遜色ないことから注目を浴びている工法となっており、ホテルの解体でも使える技術です。

 

ホテルの解体工事の流れと工程

重機を使ってホテルを取り壊している画像

ホテルの解体が問題なく進んでいるのかどうかを知るためにも、解体工事の手順を理解しておくことが大切です。

この章ではホテルの解体工事に関する流れと工程について、解説します。

  1. 事前準備・調査
  2. 内装解体
  3. 設備・配管の撤去
  4. 外装解体
  5. 構造物の解体
  6. 基礎の解体
  7. 廃棄物処理・整地

 

1. 事前準備・調査

解体工事をスタートする前には解体するホテルについて調査し、計画を立てる必要があります。全部事項証明書や建物図面、立面図から解体するホテルのボリュームと構造を把握し、工期や解体プランを立てることでスムーズに解体することが可能です。

また、建物にアスベストなどの有害物質が含まれていないのかを調査することもポイントです。これ以外にも近隣住民の挨拶など、円滑に工事ができるよう配慮することも大切です。

 

2. 内装解体

解体はまず内装からスタートし、その後設備や配管の撤去、外装解体、構造物の解体、基礎の解体となります。内装の家具や家電など残置物を撤去し、さらに壁紙や断熱材を剥がしていきます。

建物の解体工事では、廃棄物を分別する必要があります。しかし、内装と外装を一緒に解体してしまうと、分別に時間がかかります。先に内装から解体することで法令に基づいた分別がしやすくなるため、解体工事を効率よく進められるのです。

 

3. 設備・配管の撤去

内装解体が終われば設備と配管を撤去していきますが、外装解体よりも早くに設備と配管を撤去することがポイントです。なぜなら外壁と設備・配管では素材が異なり、設備や配管はリサイクル可能だからです。

また電気やガス、水道などのライフラインが万が一接続されている状態で外壁工事した場合、漏電などの大事故に発展する可能性もあります。

このようなトラブルを避けるためにもライフラインは確実に撤去するよう、外装工事とは別で実施します。

 

4. 外装解体

外装とは外壁や屋根材のことで、外装解体はこれらの建材を撤去します。

外装工事は足場を組んで人力で撤去したり重機を使って破砕したりするなど、周辺に影響がでない最適な方法を選択することが大切です。そのため外装解体の方法はエリアやホテルの規模によって変わるといえます。

なお、外装にアスベストが含まれていることが判明した場合は解体費が高くなるため、注意が必要です。

 

5. 構造物の解体

内装と外装の撤去が終わればあとは基礎や躯体などの構造体だけとなり、構造体から解体を進めていきます。構造体は梁や柱、筋交いといった建物を支える重要な建造物となっており、強度が高いため重機で破砕するのが一般的です。

鉄骨造よりも鉄筋コンクリート造などが高くなる理由はこうした構造体の強度が関係しており、強度が高い構造体ほど時間がかかってしまいます。想定していない強度の場合は工期が長くなってしまい、重機のレンタル費用が高くなってしまうことで追加費用が発生することも考えられます。

このことからも、工事前にホテルの構造を正しく把握しておくことが重要といえます。

 

6. 基礎の解体

ホテル解体の最後は基礎の解体です。基礎は重機を使って破砕、撤去を進めていくことになりますが、従来よりも深い位置まで設置されている「深基礎」や浄化槽、貯留槽があると追加で撤去することになり、費用が増えてしまいます。

また解体後の整地に施主からの指示があれば工数がかかってしまうこともあるため、地中の状態や計画書の内容に変更がないかをチェックする必要があります。

 

7. 廃棄物処理・整地

施主の指示もしくは近隣住民に影響がでない形状に整地した後は、不要物を処理して終了です。処理したタイミングでマニフェスト(産業廃棄物管理票)が発行されますので、正しく産業廃棄物などが処理されたという証拠として保管します。

 

廃業したホテルの活用方法

ホテルを廃業した場合は解体し更地にする以外にも処理方法や活用方法があるため、解体と並行して検討すべきです。

この章では廃業したホテルの活用方法について解説しますので、参考にしてください。

 

イベント会場に利用する

廃校になった小学校を活用する地域活性イベントは全国各地で実施されていますが、ホテルについても同様です。

たとえば、使われなくなったホテルを活用して、サバイバルゲームやライブを開催した事例もあります。ただし、建物内には残置物なども多く、不特定多数が利用できる空間にするためには残置物や余計な家具を撤去する必要があります。

また、ホテルの築年数によっては耐震強度が不足しているケースも少なくありません。活用するには補強工事を行う必要があり、高額な費用がかかる場合もあります。

 

シェアオフィスなどに利用する

ホテルは同じような空間で仕切られた建造物のため、レンタルオフィスやシェアオフィスとして活用できます。

この場合も築年数が古ければ耐震工事が必要となりますが、これ以外にも自動販売機を設置するスペースや共有エントランス、会議室、Wi-Fiの設置も必須です。

そのため改装にかかる費用と収益性を考慮した上で検討することが大切です。

 

活用が難しいなら売却も検討する

ホテルの有効活用が成功するかどうかは立地や劣化具合が大きく影響するため、立地が悪く築年数が古いホテルは別用途で活用することは難しいとされています。

とはいえ、使わなくなったホテルを売却するのは容易ではありません。需要が限られている上に、建物の状態によっては買い手が見つからないこともあるからです。

そこで、専門の業者にホテルを解体することなく現況のまま買取してもらうことをおすすめします。このような買取業者はホテルを事業用地としてレンタルしたり建物を流用するノウハウを持っていることから、廃業したホテルをスピーディーに手放したい人に向いています。

業者によっては、解体して更地にするよりも高値で買取してくれるケースもあるため、解体する前に一度相談してみましょう。

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