
古いビルの売却は難しい?理由と売るための3つのポイントを解説

目次
築年数の古いビルは、所有しているだけで修繕や税金に高額な費用がかかります。
本来であれば家賃収入などで費用をまかない、差し引いた分が利益として残るのですが、古いビルはそう簡単にいきません。古いビルは設備の古さや耐震性への懸念から入居者を見つけるのが難しく、十分な家賃収入が得られないケースが多いためです。
赤字が増える前に手放せれば良いのですが、古いビルには売却を困難にするデメリットが多々あり、簡単に売却できないのが実情です。そのため、古いビルの売却には、ポイントを押さえておくことが重要です。
古いビルを売却する方法と売却を成功させる3つのポイントを確認しておきましょう。
古いビルを売却する3つの方法
古いビルを所有しているものの収益化の目途が立たず売却を検討するオーナーも多いですが、古いビルはそもそも売却が難しい物件のひとつです。
そのためスムーズに売却するためには不動産売却の方法を正しく理解し、自分に合っている選択肢を見つけることが大切です。
古いビルを売却する3つの方法について詳しく解説します。
ただしどの方法で売却した場合であっても現在入居している住民やテナントに対して通知し、敷金の精算も必要です。
また、以下の税金が発生することも重要なポイントとなることを知っておくべきといえます。
- 印紙税:売買契約書に貼付する印紙の代金。契約書記載の売買代金によって変わる
- 登録免許税:所有権移転や抵当権抹消にかかる税金
- 譲渡所得税:古いビルを売却し利益を得た場合に発生する税金
仲介での売却
古いビルの売却を試みる場合は、まず仲介を選択するオーナーが多いです。
不動産会社にビルの購入者を探してもらって売却する方法です。買主は、SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトに情報公開することで募集するという点が特徴です。
仲介では、購入を検討している人が物件を見に来ることになるため、テナントや入居者には不特定多数の人が敷地内に立ち入ることを通達しておく必要があります。
仲介のメリットはオーナーの希望する売却価格で販売活動ができる点です。交渉次第では、不動産売却において一番手残り額が高くなる可能性があります。
その一方で成約になる時期が分からず販売が長期化するリスクもあります。その場合はビルの経年劣化によって資産価値が低下してしまうというデメリットも知っておくべきです。
このことからも、仲介を選ぶ際には「いつ、いくらで売りたいのか」というポイントを十分に考えておくことが大切だといえます。
仲介で古いビルを売却する際には次のような流れになります。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社の訪問査定を受ける
- 査定額と売却プランの提示を受ける
- 不動産会社と媒介契約を結び販売価格を決定する
- 不動産会社が物件を公開し、販売活動を始める
- 買い手から購入申込書の提示を受け、条件を確認する
- 条件に合意すれば売買契約の日時を設定し、印紙や身分証明書などを準備する
- 売買契約を締結し、契約内容に沿ってビルの引き渡し準備を行う
- ビルの引き渡しと代金の支払いを受け、翌年確定申告を実施する
なお、査定結果や売却活動の方法は不動産会社によって異なります。有利な条件で売却をすすめるためにも、複数社に査定を依頼して選定することが重要です。
買取による売却
仲介は不動産会社に販売を委託し広く買い手を募集するのに対し、買取は不動産会社が買主となり直接買取する方法です。
そのため不動産会社から提示される金額は「査定額」ではなく「買取額」となり、買取額と条件に合意すればその時点で売買契約に進むことになります。
買取は、仲介をしないため仲介手数料がかからないという点が大きなメリットです。また、買い手を探す必要がないため、現金化までの期間が仲介に比べて短くなっています。ビルを早いタイミングで現金化したい場合は買取が有利です。
ただし買取は、不動産会社が物件を整備し、利益を上乗せした上で再販売することを目的としています。販売価格を相場価格に合わせる必要があるため、仲介よりも売却価格が安くなるのが一般的です。
買取の流れは次のようになります。
- 不動産会社に「買取」の査定依頼をする。
- 買取額と条件を複数の不動産会社から提示を受け、内容を十分に協議する。
- 一番条件が良い不動産会社と売買契約を締結し、引き渡し準備を行う。
- ビルの引き渡しと代金の支払いを受け、翌年確定申告を実施する。
買取額も不動産会社によって異なります。仲介とは違い査定額が売却価格に直結するため、複数の不動産会社に相談しましょう。
個人売買
ビルの売買は、個人売買も可能です。この場合は売買金額と条件に合意すればその時点で成約になります。買い手が知人や親族であれば、スピーディな売却が可能です。
また仲介手数料や司法書士へ支払う報酬も不要であることから、諸費用が少なくなるという点も魅力です。ただし契約書の作成や所有権移転登記を自分で実施することになり、非常に手間がかかるというデメリットもあります。
特に契約書の作成は双方の勘違いや盛り込むべき項目が盛り込まれていないなどのミスが発生しやすく、引き渡し後のトラブルに繋がることも少なくありません。
そのため契約書の作成と登記を結局プロに頼むケースも多いため、注意が必要です。
なお、個人売買は次のような流れで進むことになります。
- 知人や親族に古いビルの購入意志がないか打診する
- 買いたい人がいれば価格と条件を擦り合わせし、合意できれば成約となる
- 契約書を作成し登記の準備をする
- 引渡しを行い、翌年確定申告を実施して完了
古いビルの売却が難しい理由
古いビルの売却は難しく、販売が長期化するケースも少なくありません。
ただしなぜ売却が難しいのかという理由を知っておくことで、なるべく早く売却するための工夫や対策が可能となります。古いビルの売却が難しい理由について解説しますので、参考にしてください。
利用するには高額な修繕費がかかる
古いビルは耐震性や耐久性に問題があり、買い手は購入後に防水工事や外装塗装、耐震工事といったメンテナンス費用がかかることになります。
こうした費用を購入検討している人が想定することは難しく、その結果購入を躊躇してしまうのが大きな理由です。そのため、これらの費用について事前に見積を取得し、ある程度の金額を伝えられるよう準備しておくことが大切です。
黒字化が難しい
ビルやアパートを購入する目的の多くは「収益物件」としてであり、家賃収入で利益を得られることが前提条件です。
しかし古いビルの場合は設備が古く、間取りもいまどきではないことから、入居者がみつからず黒字化しにくいというリスクを抱えています。このことからも買い手が黒字化させられるイメージがつかないという点が売却が難しい理由です。
古いビルを売るための3つのポイント
古いビルの売却は一般的な不動産よりも売却が難しいため、古いビルをスムーズに売却するためにはコツを押さえておく必要があります。古いビルを売るためのポイントを3つ紹介します。
相場価格を把握しておく
築年数が古いビルを検討する際、買い手は修繕費やランニングコストが他の物件よりも高くなることを想定します。つまり、古いビルを売却するためには相場よりも安くする必要があり、そのためには相場を理解し適正価格で販売することが重要といえます。
また相場を理解することで価格交渉を受けた際の合意ラインをあらかじめ決めておくことができ、納得の上でビルを売却することが可能です。
このことからも古いビルの売却をスタートする前には周辺の販売事例などをチェックし、相場を理解することが大切です。
売却のタイミングを見極める
不動産売却はいつ売っても同じというわけではなく、様々な情報を網羅的に収集しタイミングを見極めることが肝心です。
たとえば近年の円安は海外投資家が購入するタイミングといえる一方、金利が上昇するのであれば投資用ローンを組む人が減少する可能性があります。
また物件周辺の再開発が決定しているのであれば資産価値が将来上昇する可能性が高いことから、売却を数年間見送ることも検討すべきです。
このように、市場動向や物件周辺の開発計画を定期的にチェックすることで売却タイミングを見極めることができます。
専門家の力を借りる
不動産会社のなかにはビルの売買を得意とするところがあり、こういった専門業者に依頼することで他の会社よりも仲介や買取が高くなる可能性があります。
古いビルの売却で悩んでいる人はなるべく早く専門家に相談し、進め方のアドバイスを受けましょう。