
倉庫売却の流れを紹介。売却のポイントや費用なども解説

目次
倉庫を売却する際、どのような流れで進めるべきでしょうか。
倉庫売却に係る費用や税金、更地にして売却した方がよいのかといったポイントについても解説します。
倉庫売却の流れ・手順
倉庫の売却は以下の手順で進めます。
- 不動産会社に査定依頼
- 必要書類の準備
- 不動産会社との媒介契約
- 売却活動
- 売買契約
- 決済・引き渡し
それぞれについて詳しく解説します。
不動産会社に査定依頼
はじめに不動産会社に売却価格の査定を依頼します。所有している倉庫の場所や情報を伝えれば、担当者が実際に物件を確認したのち、相場価格や過去の取引事例から査定額を算出します。
なお、工場の状況や概要が分かる書類などを所有している方であれば、査定も早く進みます。
必要書類の準備
倉庫をスムーズに売却するために、事前に以下の書類などを用意しておきましょう。
- 身分証明書
- 住民票
- 印鑑証明書・実印
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 登記識別情報
- 土地の測量図
- 建物の図面
- 固定資産税通知書
- 固定資産税評価証明書
上記の他にも書類が必要となるケースがあります。詳しくは不動産会社へ確認しましょう。
不動産会社との媒介契約
査定が完了した後は、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約とは、不動産の売却を依頼するという契約書です。
媒介契約は以下の3つの種類に分かれます。
一般媒介契約 | 1社だけでなく複数の不動産会社へ依頼する方法です。
売主自らで買主を探すことも可能です。 |
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専任媒介契約 | 1社の不動産会社へ依頼する方法です。
売主自らで買主を探すことも可能です。 専任媒介契約を締結した不動産会社は、締結から7日以内に「レインズ」と呼ばれる不動産事業者間で物件情報をやりとりするサイトに登録する義務があります。 また、2週間に1回以上の頻度で売主に状況の報告が義務づけられています。 |
専属専任媒介契約 | 1社の不動産会社へ依頼する上に、買主も同じ不動産会社を見つけてくる方法です。
不動産会社は契約締結から5日以内に「レインズ」に登録することと、7日に1回以上の状況報告が義務づけられています。 |
3つの中で最も早く買主を見つけてくれる可能性が高いのは一般媒介契約といわれています。しかし、窓口の不動産会社が多いがゆえに、どのような買主が現れるかわかりません。
一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、不動産会社によっては仲介手数料を安くしてくれるケースもあるため、不動産会社と相談して決めましょう。
売却活動
媒介契約が完了した後は、不動産会社が売却活動を行います。インターネットに掲載したり、取引のある顧客へ提案したりなど、さまざまな方法で買主を探してくれるため、見つかるまで待ちましょう。
買付証明書と売渡承諾書の取得
買主が見つかった後は、買主から買付証明書をもらいます。買付証明書とは売主に対し、購入意思があることを伝える書類です。書類を提出しないと売主への購入意思を示すことができず、他の人が買う可能性もあります。
買付証明書には、「購入者の氏名・住所」「購入価格」「手付金」「契約時期」などの条件が記載されているため、売主は条件に納得した後は、売渡承諾書を買主へ提出します。
売渡承諾書とは、「買付証明書の内容に納得してあなたに売却します」という売主の意思表示です。
買付証明書と売渡承諾書は不動産会社で用意してくれるため、署名と捺印するだけとなります。
売買契約
買主と売主、不動産会社の3社で、スケジュールを合わせて売買契約を締結します。売買契約書に印紙を添付し、署名捺印を行います。
また、契約時には契約印紙代と仲介手数料が発生します。契約印紙は数万円程度となりますが、売買価格によって金額は異なります。
仲介手数料は「決済時に満額支払うもの」と「契約時に半金、決済時に残金」と2種類あり、不動産会社によって異なるため注意しましょう。
さらに、売買契約では売主から売却代金をもらうことができません。手付金はもらえるケースは多いですが、仲介手数料などは自費で支払うことにもなりかねないため、不動産会社へ確認しておくようにしましょう。
決済・引き渡し
売買契約が完了した後は、決済を行います。決済では残金の受取りと引き渡し、所有権移転登記の手続きを行い完了です。
倉庫をスムーズに高く売却するポイント
倉庫を売却する際のポイントを3つ紹介します。
相場を把握しておく
倉庫を売却する際は、相場を調べておきましょう。インターネットなどで実際に売り物件として紹介されている倉庫や、過去に取引された事例などをもとに、相場観を調べておくと、売却査定を依頼する不動産会社が適切な金額を提示してくれているのかを把握できます。
とはいえ、倉庫の取引は通常の戸建てや土地と比較すると多くはありません。そのため、相場を調べても見つけられないというケースが多いです。そのため次の項で紹介する方法を検討してみても良いでしょう。
更地売却すると高値になりやすい
倉庫を解体して更地の状態にすれば、高値で売却できる可能性も高まるうえ、実際の取引事例も多いため、相場を調べやすくなります。
倉庫のままであるより、更地の状態の方が需要が高く、活用の幅が広がるため買い手が見つかりやすくなります。ただし、解体費用がかかってしまう問題点があります。できればお金を出さずに売却したいと考える方も多いでしょう。
そのような方は、倉庫の売却に強い不動産会社へ依頼することをおすすめします。
倉庫売却に強い不動産会社に依頼する
不動産会社の中には、倉庫売却に強い業者もいらっしゃいます。住宅用物件と異なり、倉庫のニーズは限られています。
買い手を見つけるためには、依頼する不動産会社のネットワークも肝心です。地場の不動産会社であれば、地場の買主が中心となりますが、倉庫に強い不動産会社であれば、全国の企業をターゲットにできるため、買主の間口が広がります。
また通常の不動産と異なり、倉庫の場合は建物の状況や、過去の用途なども選ぶ基準となることから、倉庫のノウハウを持ち合わせている不動産会社へ相談しましょう。
倉庫売却にかかる費用や税金
ここでは倉庫売却にかかる費用や税金を紹介します。
- 仲介手数料
- 契約印紙代
- 譲渡所得税
- 測量費用
仲介手数料
不動産会社に買主を見つけてもらい、契約の仲介をお願いした場合は仲介手数料が発生します。
仲介手数料は、売買価格によって計算式が異なりますが、一般的には以下の計算式で算出した金額です。
仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)×消費税 |
例えば売買価格が5,000万円であれば、171.6万円の仲介手数料が発生します。
印紙代
印紙代は売買価格によって以下の表の通り定められています。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率
(平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるもの) |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
契約印紙は、売主と買主が1分ずつ用意しますが、不動産会社が立替えで用意してくれる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
譲渡所得税
不動産を売却して利益が発生した場合は譲渡所得税が課せられます。
課税対象額=売却代金-(取得費+売却に係わる費用)-特別控除 譲渡所得税=課税対象額×税率 |
譲渡所得税は、売却価格に対して課せられるのではなく、不動産を取得した時にかかった費用(取得費)や売却に関わった費用(仲介手数料など)、特別控除などを売却価格から差し引いた金額に対して税率がかけらる税金です。
また、税率は、所有期間5年を境に以下のように定められています。
長期譲渡所得金額(所有期間5年以上) | 20% |
短期譲渡所得金額(所有期間5年未満) | 39% |
譲渡所得税は、取得費など、売却代金から差し引ける項目が多くなるほど、納税額は低くなります。
取得費とは、売却する不動産を購入した時にかかった費用ですが、建物がある場合は、年々資産価値が下落することから、購入時の代金から年数分に合わせた償却費を差し引いた金額となります。
譲渡所得税は非常に複雑な計算であるうえ、大きな納税額にもなりかねません。必ず専門家に算出してもらい、売却して利益が出るのかを確認してもらいましょう。
測量費用
大規模な倉庫の売却や、境界がわからないケース、測量後年月が経っている場合や買主からの要望があった場合は、測量を行わなければならないケースもあります。
大規模な倉庫や工場の測量には、100万円以上の費用が発生する可能性もあります。
測量会社や不動産会社に相談し、売主が測量費を負担するのか、その費用分を売買価格から差し引くのかなどの調整を行いましょう。