不動産購入のノウハウ
新築マンションの価格高騰に伴い、中古マンションの需要が高まっています。
基本的には築年数が経過しているほど、マンション価格は下がります。築古物件は価格面でのメリットがありますが、一方で気になるのが「いつまで住めるのか」です。
ここでは、築40年のマンションがいつまで住めるのか、そして改修の可否や購入時の注意点について解説します。
不動産購入 中古住宅2024年2月16日
築40年のマンションは住める期間が限られている、と考える人が多いのではないでしょうか。
しかし、築40年のマンションでも適切な選び方をすることで長期間住むことが可能です。
まず鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数を確認してみましょう。耐用年数とは、国が決めた「資産価値はこれくらいの期間でなくなる」という年数のことです。
たとえば、70㎡の広さがある室内を1LDKにしたり、ウォークインクローゼットやロフトを作ったり、キッチンをアイランド型にできたりします。
この耐用年数が建物の寿命だと考える人もいますが、耐用年数は減価償却の計算のために税法上設定された年数であるため、実際に住めなくなる年数ではありません。つまり、新築後47年で住めなくなるのではなく、税法上建物の価値がなくなるという意味なのです。
築年数が古いマンションは、「建て替えに莫大な費用がかかってしまうのでは」と不安になりますが、マンションの建て替えには高いハードルがあるので、実現しないことがほとんどです。
2023年3月現在、建て替えが行われたマンションの累計数は282件、約2.3万戸です。
国土交通省「マンション建替え等の実施状況」より
一方、2022年末時点でのマンションストック総数は約694.3万戸ですので、建て替えにより影響が出ているのは約0.3%のみです。
国土交通省「分譲マンションストック数の推移」より
このように、建て替えられたマンションの比率は非常に少ないのですが、この理由は、建て替えには区分所有者および議決権の各5分の4以上の議決が必要だからです。
これはハードルが高く、古いマンションでは高齢者の居住者が多いため、ここで一生を終えたい、という意見が多数あることで建て替え決議が頓挫するケースが多いです。
その他にも、マンション建て替えは、部屋数を増やし、それを分譲販売することで建て替え費用を捻出するケースが一般的ですが、郊外や過疎地域などではマンション需要が低いため販売の見込みが立たないため取りやめになってしまうケースもあります。
このような理由で、築年数が古いマンションだとはいえ、ただちに建て替えられるという事態は起こりにくいと考えられます。
では実際にマンションはどれくらいの期間住めるのでしょうか。
国土交通省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」によると、メンテンナンスやリフォームを適切に行うことで、マンションは100年以上住宅として利用できるといわれています。
この調査で、鉄骨鉄筋コンクリート造および鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数は120年、外壁塗装仕上げなどのメンテナンスを行った場合は150年となっています。
実際に築50年以上のマンションがあり、それらが売り出されていることから、メンテナンスが適切に行われているマンションは長持ちするのです。
築年数が古いマンションでも、メンテナンス次第で長持ちしますが、築年数40年のマンションにはリフォーム・リノベが必要なのでしょうか。ここからは、築40年のマンションのリフォーム・リノベについて詳しく解説します。
築40年のマンションにはリフォーム・リノベは必要だといえます。
築年数が古いマンションでも、リフォーム・リノベをすれば、資産価値が上がります。その結果、将来もし売却したり、賃貸として貸し出したりするときに高い金額で活用できるのです。
また、購入と同時にリフォーム・リノベを計画することで金融機関の担保評価が上がり、住宅ローンに通りやすくなるというメリットもあります。
また、築年数が古いマンションは断熱性が低いので、リフォーム・リノベをすることで快適な生活が送れるようになります。さらに、断熱性能を上げると結露が発生しにくくなるため、カビやダニが原因の健康被害のリスクも低くなります。
加えて、リフォーム・リノベで老朽化した部分をチェックできるのも重要なポイントです。とくに給排水管は劣化が早いといわれており、リフォーム・リノベをする機会でないとチェックすることができません。よって、老朽化を含めた不具合をチェックするためにも、リフォーム・リノベは重要なのです。
築40年のマンションをリフォーム・リノベするときに、気をつけなければならない点がいくつかあります。
築年数が古いマンションは断熱性が低いので、リフォーム・リノベで断熱性を上げるようにしましょう。具体的には、壁の中に断熱材を入れる断熱リフォームが主流です。断熱性を上げることにより、エアコン効率がよくなり、より快適に過ごせます。
マンションは共同住宅のため、上下左右への音漏れが気になるところです。そこで、リフォーム・リノベで防音対策をすることで、階下への音漏れを防ぐ対策を講じることができます。
有効な対策は、遮音性能が高いフローリングに張り替えることです。クッション材が入ったフローリングは、子どもが走り回っても音漏れしにくい特徴があります。音による近隣トラブルを防ぐためにもリフォーム・リノベは重要だといえます。
築年数が古いマンションのリフォーム・リノベはメリットが多いですが、計画をしっかり立てなければ資金ショートを起こしてしまいます。よって、費用の相場を把握して、自分に合ったリフォーム・リノベを選びましょう。
3LDKの間取りの場合、間取り変更や水回りを一部交換するには、500万円程度がかかることが一般的です。LDKに特化したリフォーム・リノベやキッチンのみの交換であれば、この範囲で収まるでしょう。
また、既存の建具や壁の下地、壁の一部をそのまま利用した大規模なリフォーム・リノベは700〜1,000万円程度かかることが一般的です。この場合、水回りは一通り交換できます。
最後に、既存のものをすべて取り払ったスケルトン状態からのリフォーム・リノベは、1,000〜1,500万円ほどかかります。この工事をすれば室内は新築同然になり、快適に生活ができます。
ただし、上記はあくまで例のひとつですので、自分に合ったリフォーム・リノベプランを選ぶことが何より重要です。
築年数が古いマンションのリフォームやリノベに関する解説をしましたが、その前に築40年のマンションを購入するときに気を付けなければいけないことがあります。
築40年のマンションは、住宅ローンの審査に通らないことがあります。
住宅ローンを組む際は物件を担保に借り入れをするのですが、築40年を超えていると金融機関の審査基準により融資が受けられないことがあるのです。つまり、築40年のマンションに担保価値がないと判断されるということです。
リフォーム・リノベをする前提でマンションを購入するのであれば、比較的高額の住宅ローンを組むことになるので、事前に金融機関を調べることが重要です。そのときは、不動産仲介会社や売主の不動産会社が金融機関の情報を持っていることが多いので、遠慮なくアドバイスをもらうようにしましょう。
マンションがリフォーム・リノベをできる構造かどうかの確認も重要です。
築40年を超えるマンションの場合、排水管がコンクリートに埋め込まれているケースがあるため、取替工事ができるかどうかを事前に調べなければいけません。
また、フローリングの張り替えには遮音性能の基準が定められているマンションが多いので、予算や性能が自分に合うかどうかも検討する必要があります。
購入したあとに、リフォーム・リノベができない、という事態を避けるためにも、できるだけ事前に調査をするようにしましょう。
築40年を超えるマンションの中には、長期修繕計画を作成していないところもあります。
長期修繕計画がなければ、将来にわたるマンションの適切な修繕が行われず、結果的に管理がずさんになるという負のスパイラルに陥る可能性があります。
したがって、築40年を超えるマンションを購入する際は、かならず管理組合や不動産会社に依頼して、長期修繕計画があるかどうかを確認するようにしましょう。
不動産売却に必要な基礎的な知識をご紹介します。