不動産売却のノウハウ
不動産の売却を検討しはじめてから、実際に売却手続きが完了するまでには手順があります。
では具体的にはどんな手順をふんでいけば、よいのでしょうか。
不動産の売却計画の参考となるように、売却時の必要書類や売却の一般的な流れをご紹介します。
2017年7月10日
2022年4月14日
売却の流れを紹介する前に必要書類について紹介します。
不動産売却には運転免許証などの本人確認書類の他に、いくつか必要書類があります。
必要な時に慌てないよう、余裕をもって確認しておきましょう。
売買契約書や重要事項説明書などに捺印するための印鑑が必要です。
また、不動産の登記申請には実印の捺印と印鑑証明書の提出が必要です。
印鑑証明書の有効期限は3カ月以内ですので、期限が過ぎないように決済日などを確認して取得しておきましょう。
登記済権利書は、該当の不動産を所有していることを証明する書類です。物件取得時に法務局から交付されています。
不動産の売却時には登記済権利書を買主に渡して、移転登記を行うことにより所有権を移転します。
売却する不動産が2005年以降に取得したものであれば、登記済権利書の代わりに登記識別情報が発行されていますのでそれを準備します。
固定資産税や都市計画税は、土地や建物を所有している人にかかる税金で、1月1日時点の所有者に1年分が課税されます。
不動産を売買すると、引き渡し日に売主と買主で清算するのが通例となっているため、納税通知書や課税証明書が必要です。
地積測量図とは、その土地の面積や隣接する土地の所有者との境界線を明らかにした公的な書類です。
地積測量図は最寄りの法務局やオンライン申請で入手できます。
また、地積測量図はない場合もあります。その際は土地家屋調査士に依頼して、隣接する土地の所有者と境界線に合意したことを、示す境界確認書と測量図の2つを提出する場合もあります。
建築確認済証とは、建物を建てる前に、その建築物が建築基準法を遵守して設計されていることを証明する書類です。
検査済証は、建築後に建物が計画どおりに建てられているのかを確認して、問題がなければ発行されます。
買主にとって、安全性や法律的制限の対象かどうかを確認するために重要な書類です。自宅に保管されている場合がほとんどですが、紛失してしまった場合は再発行できません。
紛失してしまった場合は、地方自治体に依頼して、台帳記載事項証明書を取得することで代用することが可能です。
売買する不動産がマンションであれば、買主にマンション管理規約を引き渡す必要があります。
自宅に保管されていないか確認してない場合は、マンションの管理組合等から取り寄せることができます。
不動産売却の第一ステップとして、まずは不動産の査定を不動産仲介会社に依頼することからはじまります。
売却査定の方法には大きくわけて机上査定(簡易査定)と訪問査定の2種類があります。
お客様が所有する不動産の立地、物件種別などの不動産情報を元に周辺の売り出し事例や取引事例、公示価格などのデータを踏まえて概算の査定価格を算出いたします。
直接物件を調査するわけではないので、あくまでも売却査定額は目安となります。
机上査定は、ご所有の不動産に担当者が訪問することなく、短時間で結果がわかるため売却の検討をはじめた段階で、ある程度の相場を把握するために利用することが多くなっています。
不動産仲介会社の担当者が売却予定の不動産を直接訪問し、各種現地確認や調査を行います。
具体的には、不動産の周辺環境の確認、部屋の使用状況・設備状況の確認、道路との接道状況や高低差などの土地の地形の確認、また、登記記録の権利関係や売却予定物件にかかる法規制などの調査を行いいます。
様々な調査を行うことで、より精度の高い売却査定価格を算出することができます。
机上査定は、ご所有不動産の相場を把握することで、その後の売却を検討するための一助となります。しかし、あくまで概算の売却査定価格となります。実際に不動産を売却される場合には、訪問査定による精度の高い売却査定価格の算出が必要となります。
不動産の売却を正式に依頼する際には、不動産仲介会社と媒介契約を締結することが必要となります。
媒介契約には宅地建物取引業法に定められた「専属専任媒介契約」・「専任媒介契約」・「一般媒介契約」の3種類があります。
ひとつの不動産仲介会社に売却を依頼し、他の不動産仲介会社に重ねて依頼することができない媒介契約です。
また、売主が購入希望者を自力で見つけたとしても、依頼した不動産仲介会社を通して取引することが義務づけられています。
不動産仲介会社は専属専任媒介契約締結後5営業日以内に不動産流通機構(レインズ)に物件を登録し、1週間に1回以上文書などで売主に対し売却活動の報告をする義務があります。
「専属専任媒介契約」と同様にひとつの不動産会社に売却を依頼し、他社に重ねて依頼することができない媒介契約です。
しかし、「専属専任媒介契約」と違い、売主が自分で見つけた購入希望者と直接取引をすることが可能となります。
不動産仲介会社は専任媒介契約締結後7営業日以内に不動産流通機構(レインズ)に物件を登録し、2週間に1回以上文書などで売主に対し、売却活動の報告をする義務があります。
複数の不動産仲介会社に重ねて売却を依頼することができ、自分で見つけた購入希望者と直接取引をすることも可能となります。
不動産仲介会社は不動産流通機構(レインズ)への物件の登録、また、売主に対し売却活動の報告を行う義務はありません。
一般媒介契約は、複数の不動産仲介会社に売却を依頼できることがメリットといえますが、
一方で、複数の不動産仲介会社とやり取りをしなければならない分、手間も増えてしまいます。
媒介契約の形態ごとにそれぞれの特色がありますので、売却を検討する物件の特徴とあわせて不動産仲介会社に相談の上、ご自身にあった媒介契約を結びましょう。
媒介契約を締結後、不動産の売却活動がスタートします。販売活動は媒介契約を締結した不動産仲介会社が行います。
不動産仲介会社は、既に登録されている購入希望のお客様や来店のお客様への物件のご紹介とあわせて、不動産ポータルサイトや不動産流通機構(レインズ)などのインターネット媒体への掲載、また、新聞折込みチラシの配布などの各種広告媒体を通じて、幅広く販売活動を行います。
国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構のネットワークシステムであるレインズに物件情報を登録します。
レインズに登録すると、ネットワークで結ばれている不動産仲介会社間で物件情報が公開されるため、他の不動産仲介会社の購入希望者にも物件をご紹介できます。
購入希望者がみつかると、売買契約へと進みます。購入希望者と価格や引き渡し日の調整を行っていきます。
購入希望者が差し入れた購入申込書という書面を不動産仲介会社が売主に提示の上、具体的な売却価格や支払い方法、引渡し時期や付帯設備の引渡し条件など、売買契約に関連した様々な条件の交渉、調整を行います。
すべての条件がまとまれば、いよいよ不動産売買契約へと進みます。
売買契約の条件が概ねまとまれば、売主と買主が直接対面する場所や日程の調整を、不動産仲介会社が行います。
無事に、双方の同意が得られたら、不動産売買契約の手続きへと進みます。
不動産売買契約は、不動産売買契約書に売主・買主が署名捺印し、手付金を授受することで締結となります。
不動産売買契約書には権利や義務が記されていて、契約後にその約束に反することがあると、違約金が発生するケースも考えられますので、疑問点や不明点などは不動産仲介会社にしっかりと確認しておきましょう。
不動産売買契約が済んだあとは、物件の引渡しに向けて準備を進めます。
残代金の受領と物件の引渡しは原則的に同時に行なうため、引越しやガス・水道会社への連絡、隣地との境界確認などは事前に済ませておく必要があります。
不動産売買契約を締結した後、契約条件に沿って、物件を引渡せる状態に準備します。
売却代金の残代金を受領するまでに、引っ越しを行います。
残代金の決済前に、売主・買主双方による物件への立ち合いのもと、契約書に定めたとおりの設備や境界であるかなどの最終的な確認を行います。
売主・買主間で、固定資産税や管理費などを清算し、残代金を受領します。
同時に物件の鍵やマンション管理規約書・付帯設備の説明書などの物件に関する関係書類の引き渡しを行います。
また、司法書士に必要書類を提出し、「所有権移転登記(不動産の所有権が変更されたということを示す登記手続き)」申請の代行を依頼します。
物件の引渡しが完了したことを証明する「引渡し確認証」を売主・買主間で取り交わし、一連の不動産売買契約の手続きが完了となります。
不動産売却を行う場合、不動産仲介会社と結ぶ媒介契約と買主と結ぶ売買契約の2つを結びます。
それぞれの契約時には注意点があります。あらかじめ確認し、起こり得るトラブルなどに備えましょう。
媒介契約を結ぶ不動産仲介会社を選ぶひとつの要因として、査定額が挙げられます。他の不動産仲介会社より査定額が高いからといって、そのまま媒介契約を結ぶのは危険です。
査定額はあくまで査定額で、その価格で売れると決まったわけではありません。購入希望者がなかなか現れなければ、値下げの検討も必要です。
不動産仲介会社は媒介契約を取りたいと考えます。もちろん、査定額に根拠があれば問題ありませんが、少しでも不審に思う場合は、他の不動産仲介会社を選択した方がよいでしょう。
マンション売却の際は問題ありませんが、戸建てや土地を売却する場合、境界について隣人とトラブルになる可能性があります。
不動産売買は、境界が確定してから売るのが原則です。隣地の人が境界を承諾せず、境界が確定できない場合、大きな足止めとなります。
また、隣地の所有者が既に亡くなっているケースもあります。その場合は相続人に立会いを依頼する必要があります。
境界問題などで隣人トラブルに発展すると、売買契約を結ぶまでに多くの時間を要する可能性があるので注意が必要です。
売買契約時には売買契約書の内容をしっかり確認することが大切です。
売買契約書には、手付金や最終金の金額、引き渡し日などが記載されています。
その他にも、トラブルが起きた場合の責任範囲や違約金が発生した場合の金額が記載されています。
買主と口約束しただけでは、裁判などの争いになった際に立証することができません。
また、売買契約書に印鑑を押してしまうと、その後の契約内容を変更するのは両者の合意がないと難しく、契約内容に違反した場合は違約金が発生する可能性もあります。
契約書に印鑑を押す前に、しっかりと内容を確認するようにしましょう。
不動産を売却するには、必要書類や売却する流れ、時にはトラブルなど、さまざまなことをクリアしていかなければなりません。
不動産の売買は金額も大きく、安全・安心に取引を完結させるためには専門的な知識やノウハウを有する不動産仲介会社が欠かせないのです。
まだ、売却を決めていなくてもまずは、不動産仲介会社に売却の相談をすることからはじめてみましょう。
小田急不動産では、訪問査定・簡易査定ともに無料で承っています。
お客さまの売却のご事情に応じ、最適なご提案をさせていただきます。