不動産売却のノウハウ

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媒介契約とは?不動産売却を依頼する際の注意点も紹介

不動産の売却を正式に依頼する際には、不動産仲介会社と媒介契約を締結しなければならないことをご存知でしょうか。
媒介契約には3種類あり、それぞれ特徴が異なります。

本記事では、媒介契約の内容や契約を結ぶ際の注意点を解説します。また、そもそも、なぜ媒介契約が必要なのかも確認してみましょう。

2017年8月8日

2022年4月14日

目次

  • そもそも媒介契約とは?
  • 媒介契約の種類と特徴
    1. 「専属専任媒介契約」について
    2. 「専任媒介契約」について
    3. 「一般媒介契約」について
    媒介契約の有効期間は最大3ヵ月
  • 媒介契約を結ぶ時の注意点
    • 複数の不動産仲介会社と一般媒介契約を締結する場合は、多くても3~4社程度がおすすめ
    • 専属専任媒介契約、専任媒介契約の場合は、「売却プラン」や「取引実績」をしっかり確認する
    • 媒介契約書面をきちんと確認しておく
      • 標準約款に基づくか
      • 不動産仲介会社の業務
      • 仲介手数料(報酬)
    • 不動産仲介会社の闇「囲い込み」に合わないための対処法
      • 囲い込みとは
      • 囲い込みの対処法
    • 専任を迫るような営業事例
  • なぜ媒介契約が必要なのか
    • 媒介契約締結が必要となった経緯
    • 媒介契約はなぜ3種類ある?
    • 指定流通機構(レインズ)への登録により幅広い告知が可能に
  • ご自身の売却ご事情にあった媒介契約を結びましょう!

そもそも媒介契約とは?

不動産の売却を正式に依頼する際には、不動産仲介会社と媒介契約を締結することが必要です。

不動産売却の際の媒介契約とは、宅地建物取引業者(不動産仲介会社)が不動産を売却しようとする者または売買の当事者の双方との間で締結する契約です。

宅地建物取引業者(不動産仲介会社)が不動産売買契約の当事者の間に立って、売買契約の成立に向けてあっせんすることを内容としています。

売買仲介の依頼を受ける不動産仲介会社は、宅地建物取引業法によって依頼者と媒介契約を締結することが義務付けられています。
依頼者が不動産仲介会社からどのようなサービスを受けるのかといった業務の仕様や、仲介手数料などを明記することで、
仲介業務でのトラブルを未然に防ぐ目的があります。

媒介契約の種類と特徴

媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。媒介契約は、不動産の売却活動の最初のステップですので、それぞれの内容を正しく知っておきましょう。

以下の表に違いをまとめました。

専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
自己発見取引
(ご自身で見つけた買主と直接取引をすること)
×
他の仲介業者への
依頼
(他の不動産仲介会社に重ねて依頼すること)
× ×
依頼主への
報告義務
(業務処理報告の義務)
1週間に
1回以上
2週間に
1回以上
義務
なし
指定流通機構
への登録
(不動産仲介会社がレインズに物件を登録すること)
5営業日
以内
7営業日
以内
義務
なし

売却を検討する物件の特徴とあわせて不動産仲介会社に相談の上、ご自身にあった媒介契約を結びましょう。

「専属専任媒介契約」について

ひとつの不動産仲介会社に売却を依頼し、他の不動産仲介会社に重ねて依頼することができないとした媒介契約です。

また、売主が自分で見つけた購入希望者の場合も、依頼した不動産仲介会社を通して取引することが義務付けられています。

不動産仲介会社は専属専任媒介契約締結後5営業日以内に不動産流通機構(レインズ)に物件を登録し、1週間に1回以上文書などで売主に対し売却活動などの報告をする義務があります。

「専任媒介契約」について

「専属専任媒介契約」と同様にひとつの不動産仲介会社に売却を依頼し、他社に重ねて依頼することができないとした媒介契約です。

しかし、「専属専任媒介契約」と違い、売主が自分で見つけた購入希望者と直接取引をすることが可能です。

不動産仲介会社は専任媒介契約締結後7営業日以内に不動産流通機構(レインズ)に物件を登録し、2週間に1回以上文書などで売主に対し、売却活動などの報告をする義務があります。

「一般媒介契約」について

複数の不動産仲介会社に重ねて売却を依頼することができ、自分で見つけた購入希望者と直接取引をすることも可能な媒介契約です。

不動産仲介会社は不動産流通機構(レインズ)への物件の登録、また、売主に対し売却活動などの報告を行う義務はありません。

一般媒介契約は、複数の不動産仲介会社に売却を依頼できることがメリットといえます。その一方で、複数の不動産仲介会社とやり取りをしなければならない分、手間も増えてしまいます。

一般媒介契約における明示型・非明示型とは?

一般媒介契約には明示型と非明示型があります。
明示型は、複数の不動産仲介会社と媒介契約を締結した場合、
仲介を依頼した不動産仲介会社各社に対して、他にどこの不動産仲介会社に売却の依頼をしているかを通知する義務があります。
一方、非明示型は、他に依頼している不動産仲介会社の存在を通知する必要がありません。

媒介契約の有効期間は最大3ヵ月

「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」においては、宅地建物取引業法上、媒介契約の有効期間は最大3ヵ月までと規定されています。
一方、「一般媒介契約」においては、契約期間の制限はありません。

しかし、行政の指導により、「一般媒介契約」の場合も契約期間を最大3カ月としています。
媒介契約期間満了後の媒介契約の更新手続きにおいては、依頼者からの申し出が必要となり、書面により更新手続きをおこないます。
なお、媒介契約期間は、自動更新されるものではありませんので、ご注意ください。

媒介契約を結ぶ時の注意点

不動産仲介会社との媒介契約を締結する際の注意点を紹介します。

複数の不動産仲介会社と一般媒介契約を締結する場合は、多くても3~4社程度がおすすめ

「一般媒介契約」を複数の不動産仲介会社と締結することで、物件情報が広く拡散され、購入検討者の目に留まりやすくなる可能性があります。

一方で、依頼する不動仲介会社が多岐にわたると、やり取りをする手間が増えてしまいます。さらに、複数の不動産仲介会社から物件情報が流通していることにより、購入検討者にとっては、売れ残っているようなイメージを与えてしまう場合もあるようです。

そのため、同時に複数の不動産仲介会社と「一般媒介契約」を締結する場合には、多くても3〜4社程度に絞りましょう。

専属専任媒介契約、専任媒介契約の場合は、「売却プラン」や「取引実績」をしっかり確認する

「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を締結する場合、売買仲介を依頼する不動産仲介会社は、1社に限定されます。

そのため売却査定価格が高いのみで、不動産仲介会社を選択するのではなく、その売却査定価格の算定に至った根拠をしっかり確認しましょう。

また、周辺での取引実績やご自身の売却事情にあったプランであるかどうかなどもじっくり確認し、信頼できる不動産仲介会社に依頼しましょう。

媒介契約書面をきちんと確認しておく

媒介契約の書面について、締結前に以下のポイントをしっかりと確認しておくことが重要です。

標準約款に基づくか

国土交通省は、消費者保護を目的としてひな型である「標準媒介契約約款」を告示し、不動産仲介会社に対して標準約款による契約締結を指導しています。

媒介契約書には、この標準約款に基づく契約か否かが表示されているため、必ず確認しましょう。もし、こうした約款に基づかない契約を示された場合は、その理由を聞いてみるのもよいでしょう。

不動産仲介会社の業務

不動産仲介会社の業務内容について、以下の点を確認しておきましょう。

  • どのような販売活動を行うのか
  • 報告の頻度や内容
  • その他に不動産仲介会社側で用意しているサービス

一般媒介の場合は、任意となるレインズへの登録をしてくれるかどうかも確認が必要です。希望する場合は事前に伝えておきましょう。

仲介手数料(報酬)

不動産仲介会社に支払う仲介手数料の額や支払時期を確認しましょう。宅地建物取引業法により、仲介手数料には上限額が定められています。上限を超えていないか必ず確認しましょう。

なお、上限額は、不動産の売買価格によって以下の簡易計算式でそれぞれ求めることができます。

  • 200万円以下
    • 売買価格 × 5%+消費税
  • 200万円超え400万円以下
    • 売買価格 × 4%+2万円+消費税
  • 400万円超え
    • 売買価格 × 3%+6万円+消費税

不動産仲介会社の闇「囲い込み」に合わないための対処法

不動産仲介を依頼する上で最も注意しなければならないことは、悪徳な不動産仲介会社による「囲い込み」です。

囲い込みとは

囲い込みとは、売主買主双方から仲介手数料をもらうことを目的として、他社が見つけた買主を断り、自社だけで買主を見つけようとする行為です。

たとえば、5,000万円の物件の売却を依頼された不動産仲介会社の立場で考えてみましょう。

この仲介会社が買主も自社で見つけることができた場合、受け取れる手数料は売主側の156万円と買主側の156万円で最大合計312万円です。

しかし、他社が買主を見つけた場合はどうでしょうか。買主側の手数料は他社が受け取るため、5,000万円で売却できたとしても自社には売主側の156万円しか入りません。

万が一、売却価格を3,000万円まで下げたとしても、自社で買主を見つけたならば売主側の96万円と買主側の96万円で合計192万円を受け取ることができます。

つまり、この不動産仲介会社からすると、他社が連れてきた買主と契約するより、売却価格を下げてでも自社で買主を見つけた方が多くの手数料を得られるということです。

結果として、他の会社が買主を見つけてきても、「別の買主と商談中」などという理由をつけて断る囲い込みを行います。

囲い込みの対処法

囲い込みを防ぐ対策のひとつとして、不動産流通標準情報システム(レインズ)で取引情報を確認する手があります。現在販売されている不動産情報を一般の人が閲覧することはできないので、不動産会社に頼んで見せてもらいましょう。

専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合、不動産仲介会社は物件をレインズに登録する義務があります。その際売主に対して交付される「登録を証する書面」に記載されているIDとパスワードを使い、物件の取引情報が、以下3つのうちどれになっているかを確認します。

  • 公開中
  • 書面による購入申し込みあり
  • 売主都合で一時紹介停止中

不動産仲介会社から何の連絡もないのに、公開中以外のステータスになっている場合、囲い込みされている可能性があります。

その他にも、電話やメールでこまめに物件の販売状況を確認することも重要です。囲い込みが懸念される場合は、他の不動産仲介会社に変更するなどの対応をとりましょう。

専任を迫るような営業事例

売主と買主の両方から手数料をもらうことは、どの不動産仲介会社にとっても魅力的です。そのため、特に専任媒介や専属専任媒介契約の締結を迫ってくる会社には注意が必要です。

もちろん、これらの媒介契約が悪いというわけではありません。不動産仲介会社はこれらの契約であれば必ず報酬をもらえるため、一般媒介契約で受けた物件より売却活動に力を入れることができるためです。

しかし、専任媒介・専属専任媒介契約では他の不動産仲介会社が買主を見つけたとしても、売主側の不動産仲介会社を通してでないと売主の意向を伝えることができません。そのため、囲い込みを完全に見破るのは難しいのが実態です。

都心など人気のある物件であれば、一般媒介契約で複数社に依頼したほうが各社の競争により、より高い価格で売却できる可能性があります。

自らの物件や、複数社との連絡に対応できる余力があるかなどよく検討し、最適な契約形態を選びましょう。

なぜ媒介契約が必要なのか

そもそも、なぜ媒介契約を締結する必要があるのか、その背景を理解しておきましょう。

媒介契約締結が必要となった経緯

第二次大戦後、住宅需要の拡大とともに、住宅に関する紛争やトラブルが増加しました。そのため、プロである不動産仲介会社に対し、さまざまな法的な制限をかける宅地建物取引業法が成立しました。

不動産仲介会社が行う売買や賃貸の仲介についても、当初は口約束で契約が締結されることが多かったそうです。事前に報酬額などを定めておかなかったことで、トラブルになるケースも多く発生しました。

そのことから、昭和55年に宅地建物取引業法が改正され、不動産仲介会社が仲介を行う際は、媒介契約を書面で締結することが必要と定められました。

媒介契約はなぜ3種類ある?

一般媒介契約は複数社へ依頼でき、売主自らが相手を見つけることができるというメリットがあります。一方、不動産仲介会社からすると、営業努力したとしてもその努力が報われるとは限らないというデメリットがあります。

自社だけが仲介できるという専任媒介契約であれば、不動産仲介会社は営業努力しやすいと考えられます。一方、売主からするとその業者が物件を囲い込んでしまう不安があるというデメリットがあります。

どちらの契約形態でも、売主と不動産仲介会社の双方にメリットやデメリットがあります。そのことから、昭和63年の法改正により専属専任媒介契約が生まれ、媒介の契約形態は現在の3種類になりました。

指定流通機構(レインズ)への登録により幅広い告知が可能に

一社に専任して依頼する専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合でも、市場へ幅広く物件を告知することが可能です。それが、指定流通機構(レインズ)への登録義務です。

レインズは不動産仲介会社だけが見ることができる不動産の流通システムで、売買や賃貸に出されている物件情報が掲載されています。

地域の不動産仲介会社はレインズを見て、自らのエリアの物件を自社でも紹介します。このシステムへの登録があるため、一社に専任した場合でも市場へ幅広く物件を告知することが可能です。

ご自身の売却ご事情にあった媒介契約を結びましょう!

媒介契約の形態ごとにそれぞれの特色があり、どの媒介契約がよいかというのは一概にはいえません。

しかし、媒介契約を締結することで、安心して物件の仲介を依頼することが可能です。ご自身の売却ご事情や売却予定の不動産の特徴とあわせて、不動産仲介会社によく相談の上、ご自身にあった媒介契約を結びましょう。

そのためにもまだ売却を決めていなくても、早め早めの段階から不動産仲介会社に確認・相談することがおすすめです。

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