不動産購入のノウハウ
リフォームを前提に中古住宅を購入する際には、購入とリフォームを同時に進める方法がおすすめです。住宅を購入してからリフォームとなると入居までに時間がかかりますし、予算の工面が難しくなるおそれがあるためです。
中古住宅の購入からリフォームまでの流れや利用できる制度・補助金を理解して後悔のない住み替えをしましょう。
不動産購入 リフォーム・リノベーション2023年7月7日
住宅購入とリフォームを同時進行する場合の流れは以下のとおりです。
段階 | 住宅購入関連 | リフォーム関連 |
---|---|---|
1 | 物件選定 | リフォーム会社選定 |
リフォームプラン作成、見積もり | ||
2 | 融資審査 | |
3 | 売買契約 | リフォームの打ち合わせ |
物件購入・引渡し | ||
4 | リフォーム工事 | |
入居 |
それぞれの段階ですべきことや注意点などを紹介します。
まずは物件を選びます。インターネットや折り込みチラシなどで探す方法もありますが、やはり信頼できる不動産会社を探し、物件選びを依頼するのがよいでしょう。豊富な物件情報から、希望や予算に合った物件を探してくれます。
また、物件探しと並行して、リフォーム会社の選定も進めましょう。まずは複数のリフォーム会社にコンタクトを取り、リフォームプランや見積もりを比較しながら、自身に合った会社を選ぶことが重要です。
融資審査は、物件だけではなくリフォームプランや予算などがある程度固まってから行いましょう。なぜなら、物件購入と同時にリフォームを行う場合は、住宅ローンでリフォーム費用も借りることができるためです。
中古住宅購入とリフォームの融資審査が別々になってしまうと、新たにリフォームローンを組まなくてはならなくなります。リフォームローンは住宅ローンより金利が高く、支払い総額が増えてしまうため注意が必要です。なお、この時点での融資審査はあくまで仮審査です。本審査は売買契約締結後に行います。
仮審査が通ったら、物件の売買契約を締結し、本審査に移ります。なお、基本的にリフォームは引き渡し後の着手となりますが、売主の許可があれば、引き渡し前でも内覧程度であれば可能な場合があります。
早い段階でリフォーム会社に実際に家を見てもらい、具体的なリフォーム案が組み立てられれば、着工までの期間を短縮できます。本審査が通れば物件の購入(決済)と引き渡しが行われ、住宅購入は完了です。物件の引き渡しが完了したら、リフォーム会社と工事請負契約を結び、リフォームを行うという流れになります。
これまで紹介してきたとおり、中古物件の購入とリフォームを同時に行う場合は、いくつもの過程を同時進行していく必要があります。その際、不動産会社とリフォーム会社が別々だと、以下のような問題が生じるおそれがあります。
上記のような問題を避けるためには、中古住宅購入とリフォームをワンストップで請け負う会社に依頼するとよいでしょう。ワンストップ詳細やメリットについては、後ほど詳しく解説します。
住宅購入やリフォームには多額の費用がかかります。できるだけお得に済ませたい、という場合は、国や自治体の補助金の利用を検討しましょう(※情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式サイトなどをご確認ください)。
2023年現在、中古住宅の購入のみで受けられる国の補助金はありません。しかし、リフォームを行うことで受けられる補助金はあるため、補助金額や条件を押さえておきましょう。
指定された工事施工会社と契約し、省エネに関するリフォーム工事を行うことを条件に補助金が支給されます。対象となるリフォーム工事と補助の上限は以下のとおりです。
対象となるリフォーム工事 | 補助の上限 |
---|---|
|
1戸当たり30万円
ただし、以下の条件に当てはまる場合は上限を引き上げ
|
参考:「こどもエコすまい支援事業【公式】」
窓の断熱改修を行う際、工事の内容に応じて補助を受けられる制度です。対象となるリフォーム工事と補助の上限は以下のとおりです。
対象となるリフォーム工事 | 補助の上限 |
---|---|
高性能な断熱窓へのリフォーム
|
1戸当たり200万円 |
参考:「先進的窓リノベ事業【公式】」
CO2削減効果の高い高効率給湯器の設置に対して補助金が出る制度です。対象となるリフォーム工事と補助額、補助の上限は以下のとおりです。
対象となるリフォーム工事 | 対象となる給湯器 | 補助額 | 補助の上限 |
---|---|---|---|
対象となる高効率給湯器の設置 ※機器ごとの性能要件を満たしたものに限る |
|
15万円/台 | 戸建住宅:いずれか2台まで 共同住宅等:いずれか1台まで |
|
5万円/台 |
上記3事業は併用でき、ワンストップでの申請も可能です。予算上限に達し次第受付終了となるため、これから中古住宅購入、リフォームを検討されている方は早めに動いておきましょう。
参考:「給湯省エネ事業【公式】」
地方自治体によっては、中古住宅購入やリフォームに対して、独自の補助金制度を設けている場合もあります。
たとえば、大阪府大阪市の「大阪市新婚・子育て世帯向け分譲住宅購入融資利子補給制度」。これは初めて住宅を取得する新婚・子育て世代に対し、住宅ローンの利子を年間最大10万円、最長5年間補助するというものです(新築・中古とも助成の対象になるが、中古住宅は耐震基準など一定の条件を満たす必要あり)。
また、東京都墨田区の「墨田区三世代同居・近居住宅取得支援制度」では、子育て世帯が親世帯と同居・近居するために住宅を購入した場合、その費用の一部(中古住宅の場合は30万円)が支給されます。
このように、地方自治体では、子育て世帯や3世帯同居・近居を支援するための補助金制度が設けられている所も少なくありません。お住まいの地方自治体に相談してみるとよいでしょう。
また、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」では、地方自治体の実施する住宅リフォーム支援制度を、支援分類や支援方法別に検索することが可能です。
中古住宅購入とリフォームを同時進行する場合は、ワンストップサービスを利用するのがおすすめです。ワンストップサービスとは、物件購入とリフォームを一つの窓口でできるようにしたサービスです。
ワンストップサービスにより窓口を一つにすることで、以下のようなメリットがあります。
不動産会社とリフォーム会社の窓口が別々だと、2つの会社とコンタクトを取り、自分がパイプ役になる必要があります。そのため齟齬が生じたり、話がなかなか進まなかったりということもありえます。ワンストップサービスであれば、窓口が一つになるため、一人に相談すれば全担当者に情報が共有されます。連絡や相談がスムーズになり、住宅購入・リフォームを並行して効率よく進められます。
物件購入とリフォームの窓口が別になっている場合、物件を選定していざリフォーム、という段階になって、予想外のトラブルに見舞われるおそれがあります。構造上の問題で間取りを変えられない、給配水管の位置を動かせず、希望の場所に水回りを作れないといった問題があると、また一からリフォームプランを練り直さなければなりません。最悪の場合、物件選定からやり直しになったり、理想と大きくかけ離れたリフォームをせざるをえなかったりという事態にもなりえます。
ワンストップサービスであれば、物件を選定の段階からリフォームのプロが同行し、アドバイスをしてくれます。間取りや設備に関して理想を伝えていれば、それが実現可能かどうかも判断してもらえるため、物件選定後のトラブルを回避できます。
中古物件購入とリフォームの見積もりを別々にすると、合算したときに予算がオーバーしてしまい、資金計画が崩れるということにもなりかねません。ワンストップサービスであれば、中古物件購入+リフォームの総額費用で見積もりを出してもらえるため、資金計画が立てやすいというメリットがあります。
リフォーム込みの中古物件購入は、予算を抑えながら自分の理想とする家作りが実現できる点が大きなメリットです。しかし、不動産会社とリフォーム会社、2社とやり取りをする必要があるため、資金計画や相談が思うように進まず、計画が大幅に狂ってしまうことにもなりかねません。
ワンストップサービスを利用すれば、窓口を一つにまとめられるため、中古住宅購入とリフォームの足並みをそろえられます。資金計画も立てやすく、資金不足や、思ったよりも借入額が高かった、というトラブルもありません。
リフォームを想定しての中古住宅購入を考えている方は、ワンストップサービスを行っている不動産会社に相談してみましょう。
不動産売却に必要な基礎的な知識をご紹介します。