不動産購入のノウハウ
新築マンションの価格高騰の影響を受け、リノベーションを前提とした中古マンションの購入者が増えています。
では、実際に中古マンションのリノベーションにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。施工箇所の見極め方とあわせて解説します。
不動産購入 リフォーム・リノベーション2023年7月7日
中古マンションの購入とリノベーションを同時に行う場合、費用はどの程度かかるのでしょうか。マンションや施工内容によっても異なりますが、ある程度の目安を押さえておきましょう。
中古マンションを購入したら、やはり部屋のすみずみまで手を入れるフルリノベーションをしたいものです。フルリノベーションにかかる費用を築年数別で紹介します。間取りは一般的な2LDK〜3LDK(50〜80㎡程度)と仮定します。
築年数 | 費用相場 |
---|---|
築20年 | 約500万円 |
築30年 | 約1,000万円 |
築40年以上 | 約1,500万円 |
フルリノベーションの相場は、築年数によって大きく異なります。1,000万円以上の費用がかかるケースもあるため、綿密な資金計画が必要です。
フルリノベーションには1,000万円以上という多額の費用がかかることがあります。予算の面でフルリノベーションが難しい場合は、優先順位をつけて部分的にリノベーションを行うことも検討しましょう。
部位ごとのリノベーションの費用相場は以下のとおりです。
部位 | 費用相場 |
---|---|
キッチン本体交換 | 80~300万円 |
トイレ交換 | 15~40万円 |
ユニットバス交換 | 80~200万円 |
洗面台交換 | 20~40万円 |
和室を洋室に変更 | 50~100万円 |
押入れをクローゼットに変更 | 20~25万円 |
壁紙を張替え | 約50万円 |
フローリングの張替え | 約100万円 |
間仕切りの撤去 | 7~20万円/箇所 |
ドアの新設 | 15~20万円/箇所 |
それでは、首都圏で中古マンションを購入し、リノベーションをした場合にかかる費用をシミュレーションしましょう。
東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)によると首都圏における築26〜30年の中古マンションの価格相場は2,832万円です(63.54㎡)。
今回は、わかりやすいように築30年程度の中古マンションを3,000万円で購入すると仮定します。マンション購入+リノベーションにかかる費用を試算してみましょう。
項目 | 費用 |
---|---|
マンション購入価格 | 3,000万円 |
購入にかかる諸費用 (※仲介手数料、保険料、登記手数料、各種税金、引っ越し費用など) |
300万円(購入価格の10%が相場) |
水回り (キッチン、ユニットバス、トイレ、洗面台)の交換 |
450万円 |
壁紙の張替え | 50万円 |
フローリングの張替え | 100万円 |
合計 | 3,900万円 |
リノベーションの箇所は、水回りの交換、壁紙の張替え、フローリングの張替えを行うと想定し、費用は約600万円程度です。
マンション購入及びリノベーションにかかる費用の合計は3,900万円になります。首都圏であれば1億円を超える新築マンションも多いことから、中古マンション購入+リノベーションは大きく費用が抑えられることがわかります。
どうせリノベーションをするならば、部屋全体を一新できるフルリノベーションをしたいところです。しかし、フルリノベーションは1,000万円以上の費用がかかり、予算オーバーになってしまうこともあります。
その場合は優先順位をつけ、可能な範囲でリノベーションをしなければなりません。優先順位の決め方や、おすすめの施工箇所を紹介します。
優先順位を決める際、まず始めに行うことはリノベーションにかけられる予算を明確にすることです。
特に中古マンションを購入してリノベーションを行う場合、全予算内のうちどの程度リノベーション費用に割けるかを考えなくてはなりません。物件を探す前に自身の与信枠(借りられる金額)を把握しておくことも重要です。
予算決めと平行して、どのような住居に住みたいかの要望をすべてまとめておきましょう。
この時点では「リノベーションしたいけど予算オーバーかな」と諦める必要はありません。また、リノベーションはリフォームとは違います。リフォームは故障や汚損箇所を修繕することを指しますが、リノベーションは生活をより豊かに、より快適にするための施工を指します。壊れているから、汚れているからという視点ではなく、自分が理想とするライフスタイルをイメージし、それに近づくためにはどのような施工が必要か考えることが重要です。
まずは以下のような観点の元、新しい住居に求めることをすべて洗い出してみましょう。
上記の点に関して、住居全体における理想像を明確にするとともに、水回りやクロス、床といった箇所一つひとつについての希望項目を挙げていきます。家族がいる場合は家族全員で話し合うことで、全員が納得のいく家づくりができるでしょう。
予算と要望が明確になったら、予算の範囲内でできることを把握し、優先順位をつけていきます。
優先順位をつける際には、単に「安くできるから」、「家族みんなが望んでいるから」という理由で決めるのではなく、「なぜその設備が必要なのか」、「その設備でどのような生活をしたいか」という点を深堀していくことが重要です。そうすることで、本当に必要な施工であるかどうかが見えてきます。
後悔のないリノベーションにするためには、理想像を明らかにするとともに、現実的な面も見ていく必要があります。本当に希望するリノベーションが実現するのか、機能面、予算面についてもしっかり考慮しましょう。
リノベーションができないケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
購入後にリノベーションができないことが判明しても、もう契約解除はできません。購入前にマンションの管理規約に目を通すとともに、管理会社に相談して、思い通りのリノベーションができるマンションであるかどうかを確認することが重要です。
中古マンションのリフォーム・リノベーションには補助金を利用できるケースもあります。たとえば、以下のようなリフォームを行った際には国から補助が受けられる場合があります。
リフォームの条件や支援額については国土交通省の支援制度紹介ページにて確認ができます。
参考:国土交通省 「住宅リフォームの支援制度」
また、独自の支援制度を設けている自治体もあります。省エネ化・防災対策に加え、同居対応リフォームでも減税などの支援を受けられる場合があります。事前に必ず各地方公共団体に確認してください。
リノベーションを前提とした中古マンションを選ぶ際には、信頼できる不動産仲介会社を選ぶことが重要です。
リノベーションまでワンストップで依頼できる、もしくはリノベーション会社と提携している不動産仲介会社であれば、中古マンションの選定とリノベーションを同時進行できるため、スムーズに住み替えができます。
また、マンション購入に費用をかけすぎてリノベーションの施工費用が足りなくなったというようなリスクも軽減できます。さらに、実績豊かな不動産会社であれば、金融審査や税金、補助金などの相談もできるため、より安心です。
不動産売却に必要な基礎的な知識をご紹介します。