不動産売却のノウハウ
不動産の売却をおこなう場合、不動産仲介会社を通して買主を探し、不動産売買契約を締結するという流れが一般的ですが、買主との不動産売買契約が成立した際には、不動産仲介会社へ成功報酬として「仲介手数料」を支払う必要があります。今回は、仲介手数料がどのように決まるのか、その仕組みや計算方法、上限額について解説いたします。
2019年7月24日
不動産売買における仲介手数料とは、不動産仲介会社を利用して不動産の売買契約を締結した際に、不動産仲介会社に支払う報酬のことを指します。
この仲介手数料は、「宅地建物取引業法」において、売買価格(取引価格)に応じた上限額が定められており、同法に定める上限額を超えた仲介手数料を請求してはならないとされています。
仲介手数料は、売買仲介(媒介)を依頼した売主側・買主側双方に支払い義務が発生します。
たとえば、売主が売却を依頼した不動産仲介会社A社には、売主が仲介手数料を支払い、買主が購入を依頼した不動産仲介会社B社には、買主が仲介手数料を支払います。
また、売主の売却依頼、買主の購入依頼を不動産仲介会社1社が担当する場合には、売主・買主の両者がそれぞれ仲介手数料を同一の不動産仲介会社に支払うこととなります。
さらに、一般的な売買取引においては稀ですが、売主・買主側に複数の不動産仲介会社が取引に入る場合もあります。複数の不動産仲介会社が関わる場合には、仲介手数料が多額になるのでは?と感じられるかと思いますが、売主・買主の支払う仲介手数料は、宅地建物取引業法に定める仲介手数料の上限額を超えることはありません。
このような場合には、売主・買主は直接売買仲介を依頼した不動産仲介会社へ仲介手数料を支払い、その上で、その取引に関わった不動産仲介会社間で受領した仲介手数料を分配することが一般的となります。
仲介手数料は、不動産仲介会社を利用して不動産売買契約が成立した時点ではじめて支払いが必要となる「成功報酬制」となります。
そのため、売主が複数の不動産仲介会社へ売却の依頼ができる一般媒介契約の場合でも、不動産売買契約を成立させた不動産仲介会社1社にのみ、仲介手数料を支払うことで問題ありません。
また、購入の場合でも購入検討者が複数の不動産仲介会社へ購入物件の相談や物件の探索を依頼していたとしても、最終的に不動産売買契約を成立させることができた不動産仲介会社1社にのみ、仲介手数料を支払うことで当然に問題ありません。
仲介手数料は、不動産仲介会社の販売・営業活動、広告、現地案内などにかかる経費や利益など、不動産仲介会社が通常の仲介業務でかかる費用のすべてが含まれています。
冒頭でも解説いたしましたが、仲介手数料には売買価格(取引価格)に応じた上限額が定められており、宅地建物取引業法に規定されています。
その売買価格(取引価格)に応じた仲介手数料の上限額を取り纏めた表が次のとおりとなります。
売買価格(取引価格) | 仲介手数料(報酬)上限 |
---|---|
200万円以下の部分 | 売買価格の5%+消費税 |
200万円を超え、 400万円以下の部分 |
売買価格の4%+消費税 |
400万円を超える部分 | 売買価格の3%+消費税 |
したがって、その売買取引にあたって不動産仲介会社の経費が膨大にかかった場合でも通常の仲介業務の範囲内の依頼内容であれば、宅地建物取引業法に定める仲介手数料の上限を超えて請求されることはありません。
仲介手数料の上限額について解説いたしましたが、実際、仲介手数料はいくらかかるのか、知っておきたいですよね。ここでは具体的な仲介手数料の計算方法についてご紹介いたします。
仲介手数料の計算方法としては、「売買価格(取引価格)×3%+6万円+消費税」という計算方法を耳にしたことがあるのではないでしょうか?その計算方法でも決して誤りではありませんが、まずは、正式な計算方法を確認しておきましょう。
仲介手数料の計算方法は、売買価格(取引価格)を「200万円以下の部分」と「200万円を超え、400万円以下の部分」、そして、「400万円を超える部分」の3つに分け、それぞれ宅地建物取引業法に規定された仲介手数料率を掛け合わせることで算定が可能となります。
次の事例を見ながら、正式な計算方法を実践してみましょう。
【Aさんは自宅マンションを売買価格(取引価格)5,000万円で売却したケース】
この不動産売買の取引において、Aさんの仲介手数料の負担額はいくらになるのかを計算してみます。
まず、200万円以下の部分は、200万円×5%+消費税=108,000円
次に、200万円を超え400万円以下の部分は、200万円×4%+消費税=86,400円
最後に、400万円を超える部分は、4,600万円×3%+消費税=1,490,400円
となります。
それぞれ算定できた仲介手数料を足し合せた仲介手数料の合計額は1,684,800円となります。
売買価格(取引価格)5,000万円で売却した場合の仲介手数料の計算方法を次のとおり取りまとめていますので、ご参照ください。
売買価格(取引価格) | 仲介手数料計算式 | 仲介手数料金額 |
---|---|---|
200万円以下の部分 | 200万円×5%+消費税 | 108,000円 |
200万円を超え、400万円以下の部分 | 200万円×4%+消費税 | 86,400円 |
400万円を超える部分 | 4,600万円×3%+消費税 | 1,490,400円 |
仲介手数料合計額 | 1,684,800円 |
※2019年7月時点の消費税率(8%)で計算しています。
仲介手数料の正式な計算方法を確認してきましたが、冒頭でもご紹介したように「売買価格(取引価格)3%+6万円+消費税」という計算式でも同じ結果となります。
売買価格(取引価格):5,000万円×3%+6万円+消費税=仲介手数料1,684,800円
この計算方法は、仲介手数料を簡単に計算できることから「速算法」としてよく用いられています。
ここで出てくる「6万円」は、売買価格(取引価格):200万円以下の部分の5%と3%の差額の4万円と、売買価格(取引価格):200万円を超え、400万円以下の部分の4%と3%の差額の2万円の合計額を表しています。
ただし、この速算法は売買価格(取引価格)が400万円を超える場合の仲介手数料の計算にしか用いることができないため注意が必要です。
ここまで、仲介手数料の仕組みや計算方法などを解説いたしました。では実際に不動産売買契約が決まった場合、仲介手数料はいつ、どのタイミングで不動産仲介会社に支払えばよいのでしょうか。
一般的な不動産売買取引の場合には、不動産売買契約時に仲介手数料の半金分を、残金決済・引渡し時に残り半金分を支払い時期とすることが通常です。
仲介手数料は、不動産売買契約が成就したことに対する成功報酬となりますので、不動産売買契約が成立した時点で不動産仲介会社に仲介手数料の請求権が発生すると解釈されています。
しかし、不動産売買の取引の特性上、不動産売買契約を締結した時点においては取引が完結していないことが多いことから、不動産売買契約の締結時点で仲介手数料全額を支払うことは稀なケースといえます。
これまでご紹介してきたとおり不動産売買における仲介手数料とは、不動産仲介会社を利用して不動産売買契約が成立した際に、不動産仲介会社に支払う報酬のことであるとご理解いただけたかと思います。
近年、仲介手数料の減額を前面に打ち出した広告宣伝を見聞きすることもあるかと思いますが、仲介手数料は、不動産仲介会社の販売・営業活動、広告、現地案内などにかかる原資となりますので、仲介手数料の安さだけで安易に不動産仲介会社を選ぶのは何らかのリスクを伴ってしまう可能性も考えられます。
不動産仲介会社は、売主・買主双方の利益を守ってくれる重要なパートナーであり、不動産売却を安心・安全に成功させるためには欠かせない存在となります。
そのためにも、信頼できるパートナーとなる不動産仲介会社選びは重要です。
不動産売却を検討しているのであれば、安心・安全に取引を進めるためにもまずは、信頼できる不動産仲介会社へ相談をすることからはじめてみましょう。
小田急不動産では、不動産の売却に関するご相談や訪問査定・簡易査定ともに無料で承っています。
お客さまの売却のご事情に応じた最適なご提案をさせていただきます。