不動産売却のノウハウ

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不動産の査定方法を解説。事前準備や査定の計算方法を紹介

不動産の売却を検討し始めたとき、何から手をつけたらよいかわからず「どのように売却査定依頼をしたらいいの?」「売却査定価格はいくらになるの?」といった不安を感じる方も、いらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、不動産売却時の具体的な査定方法、また、売却査定を依頼するときの事前準備や注意したいポイントについても解説いたします。

2019年12月24日

2022年4月14日

目次

不動産の売却査定とは?不動産鑑定との違い

不動産の価格を決める場合、不動産査定と不動産鑑定の2種類が挙げられます。
それぞれどのようなときに必要なのかといった点について紹介します。

不動産査定とは売却時に設定する価格

不動産査定とは、不動産の売却を検討中の所有者に対して、売買市場に出したときに売却できる価格を査定するものです。

価格の査定は、依頼を受けた不動産会社が行います。
不動産会社は、市場で売却できるであろう価格を提示します。査定にかかる費用は基本的に無料です。

売却業務を任せてもらい、購入者を見つけて売買が決まったときに成功報酬として仲介手数料が発生します。

不動産鑑定は、厳格なルールのもと定められた価格

不動産鑑定は、不動産査定とは異なり誰もができるものではありません。国家資格を持った不動産鑑定士のみがおこなえる業務です。

不動産査定の価格設定は、比較的自由に値付けすることができます。
しかし、不動産鑑定における評価方法は、国が定めた鑑定評価基準のもと値付けされますので、より厳格な価格設定といえるでしょう。

不動産査定は無料で査定されますが不動産鑑定は、国家資格を持った鑑定士が鑑定を行いますので、何十万円といったコストがかかります。

同じ不動産の価格を決めるのでも、不動産査定と不動産鑑定では大きな違いがあるのです。

査定は売買市場に出し、鑑定は第3者に明示する目的

不動産査定と不動産鑑定では、全く価格が異なるかといえばそうでもありません。

不動産の売却を検討している場合、査定ではなく鑑定評価書を用いて価格を決めるケースもあります。

不動産査定は売買市場に出した場合の売却価格で、不動産鑑定は売買市場に出した価格も兼ねることができますが、基本的には第3者に明示できる価格設定といった違いがあります。

不動産鑑定における第3者への明示というと、金融機関が鑑定する担保価値の評価や、複雑な相続問題における適切な評価額などが必要な場合に利用されます。

また、一般的な不動産だけではなく、ゴルフ場や温泉旅館、沼地といった、特殊な不動産の場合にも不動産鑑定を用いて評価するケースも見受けられます。

国家資格を有する不動産鑑定士が鑑定するので根拠も明確化されていますが、前述したように何十万円といった費用がかかりますので、状況に応じた使い分けが必要です。

不動産売却の一般的な流れ

不動産の売却査定方法を具体的に解説する前に、不動産売却の一般的な流れを確認し、不動産売却査定の重要性を確認しておきましょう。

不動産売却の一般的な流れは次のとおりとなります。

  1. 不動産仲介会社に不動産の売却査定依頼や売却相談をおこなう
  2. 不動産仲介会社が算出した売却査定価格や売却提案内容をじっくり確認し、不動産売却の検討をおこなう
  3. 提示のあった売却査定価格をベースに不動産の売出し価格を決定し、不動産仲介会社に不動産の売却活動の依頼(不動産仲介会社と媒介契約を締結)をおこなう
  4. 不動産仲介会社は、広告宣伝をおこない買主を探索するための販売活動をおこなう
  5. 購入検討者と契約条件の折衝をおこなう
  6. 不動産売買契約を締結する
  7. 不動産を引き渡し、残金を受領する
  1. 不動産仲介会社に不動産の売却査定依頼や売却相談をおこなう

    インターネット経由や不動産仲介会社の店舗を直接訪問することで、売却査定依頼や売却相談をおこないます。

    不動産仲介会社は、売却予定の不動産情報を所有者様へのヒアリングや公的書類などから精査確認をおこないます。また、売却価格に影響する売却ご事情(住み替え、売却期限など)についても確認し、売却査定価格に反映させていきます。

  2. 不動産仲介会社が算出した売却査定価格や売却提案内容をじっくり確認し、不動産売却の検討をおこなう

    不動産仲介会社が算出した売却査定価格の提示と売却提案内容について説明があります。

    この時、その売却査定価格に至った根拠や売却予定の不動産に適した売却提案内容であるかなど、内容をよく精査した上で、最終的に売却をおこなうかどうか判断しましょう。

  3. 提示のあった売却査定価格をベースに不動産の売出し価格を決定し、不動産仲介会社に不動産の売却活動の依頼(不動産仲介会社と媒介契約を締結)をおこなう

    不動産仲介会社から提案のあった売却査定価格や売却提案内容を確認した上で、売却をおこなうと判断した場合には、不動産の売出し価格を決定していきます。

    売出し価格は、売主様にて自由に設定することができますが、市場相場からあまりにもかけ離れた価格設定となると買主様が現れる可能性が低くなるので注意が必要です。

    不動産仲介会社から提案のあった売却査定価格をベースに、不動産仲介会社スタッフとよく相談しながら売出し価格を決定していくとよいでしょう。

    売出し価格が決まれば、その後、不動産仲介会社に不動産の売却活動を依頼するための「媒介契約」という契約を締結します。

    媒介契約については、下記記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

    媒介契約とは?不動産売却を依頼する際に知っておきたい契約内容について

  4. 不動産仲介会社は、広告宣伝をおこない買主を探索するための販売活動をおこなう

    媒介契約を締結すると不動産仲介会社は、物件の広告宣伝をおこない買主様を探すための販売活動を開始します。

    不動産仲介会社は、ご来店されたお客様や、既存のお客様に新着物件として物件をご紹介する他に、インターネットへの広告掲載や、店頭への物件情報の掲載など、さまざまな方法で販売活動をおこないます。

    興味を持たれたお客様については、現地へご案内し、実際に不動産を見学していただきます。

  5. 購入検討者と契約条件の折衝をおこなう

    不動産仲介会社は、購入を検討されるお客様へ様々な観点から購入のご提案をおこないます。

    最終的に購入を希望されるお客様には、売買希望価格、手付金額、契約希望日、残金決済時期などの購入希望条件を記した、「購入申込書(買付証明書)」を記載いただきます。

    この購入申込書をもって売主様に対する正式な購入の意思表示として受付けた上で、不動産仲介会社は、売主様と購入検討者の間に入り契約条件の折衝をおこなっていきます。

  6. 不動産売買契約を締結する

    売主様、買主様双方において契約条件に合意できれば、両者が一同に会して不動産の売買契約を締結します。

  7. 不動産を引き渡し、残金を受領する

    残金決済日当日は、買主様は不動産売買契約の残代金の支払いを、売主様は不動産の引き渡し(所有権移転も含む)をそれぞれおこない、一連の売却手続きは完了です。

不動産売却の査定方法は、2種類

不動産売却の一般的な流れを解説してきましたが、ご紹介したとおり不動産仲介会社がおこなう不動産の売却査定は、最終的に不動産売却をおこなうか否かを判断するための重要な段階であることがご理解いただけたかと思います。

次からご紹介する不動産売却査定の詳細内容についても理解を深めていきましょう。

不動産仲介会社がおこなう売却査定方法としては、次の2種類があります。

  1. 簡易査定(机上査定)
  2. 訪問査定(詳細査定)

簡易査定(机上査定)は、おおよその売却査定価格を知りたい場合に利用します。訪問査定(詳細査定)は、精度の高い売却査定価格を把握したい場合に利用します。

それぞれどのような特徴があるのか詳しく確認していきましょう。

簡易査定(机上査定)

簡易査定(机上査定)は、不動産の立地、土地面積、築年数、建物面積、方角などの不動産の個別的情報を元に周辺の売り出し事例や取引事例、公示価格などの各種データを踏まえて、概算の売却査定価格を算出する方法です。

不動産仲介会社のスタッフが、売却予定の不動産に赴くことなく机上で売却査定価格を算出する方法となります。

インターネット経由や電話などで物件種別、物件所在地、築年数、土地面積・建物面積などの不動産情報を伝えるだけで、売却査定を依頼することが可能となります。

不動産の売却を検討しはじめた段階やおおよその売却想定価格を知りたい場合におすすめの査定方法といえます。

訪問査定(詳細査定)

訪問査定(詳細査定)とは、不動産仲介会社のスタッフが売却予定の不動産を実際に訪問し、様々な現地確認や調査をおこないます。

具体的には、不動産の個別的情報や不動産の市況データなどを分析する簡易査定と同様のアプローチに加え、建物の経年劣化状況、設備の状況、接道状況、日当たり、周辺環境などを現地で詳細に確認、調査をおこないます。

さらに法務局や行政庁などで各種法規制やインフラ状況を調査し、様々な視点から不動産売却に与える影響を複合的に確認した上で、売却査定価格を算出していきます。

訪問査定(詳細査定)は、多くの調査項目があるため売却査定価格の算出までに、数日を要することがありますが、不動産を売却する予定が決まっている場合には、最初の段階から精度の高い売却査定価格が算出できる訪問査定を依頼しましょう。

不動産の売却査定価格はどのように決まる?売却査定に欠かせない3つの評価手法

不動産の売却査定方法として、簡易査定・訪問査定をご紹介してきましたが、不動産の売却査定価格を算出するための評価手法として、次の3つがありますのであわせてご紹介いたします。

土地、一戸建て、マンション、投資・事業用不動産など売却予定の不動産の種別によって、採用する評価手法が異なりますので、各評価手法の特徴を確認しておきましょう。

原価法

原価法とは、対象不動産の建物を現時点で同条件にて新たに建築した際にかかる価格(再調達原価)から築年数の経過による価値の低下分を差し引き、その上で売却査定価格を算出する費用性に着目した評価手法となります。

主に一戸建ての場合の売却査定時に用いられます。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、対象不動産と同一エリア内で、条件に類似した不動産の取引事例とを比較することで標準的な価格を導き出し、その上で売却査定価格を算出する市場性に着目した評価手法となります。

マンション、一戸建て、土地など居住を目的とする不動産の売却査定時に用いられます。

収益還元法

収益還元法とは、対象不動産の将来の収益性から売却査定価格を算出する評価手法となります。投資・事業用不動産の売却査定時に用いられ、直接還元法とDCF法の2種類があります。

直接還元法

直接還元法とは、対象不動産が生み出す単年度の純収益を一定の還元利回りで還元して売却査定価格を算出する評価手法となります。

アパート一棟、マンション一棟などの投資・事業用不動産の場合には、直接還元法により不動産の価値を評価することが一般的です。

DCF法

DCF法とは、ディスカウントキャッシュフローの略語で、対象不動産が生み出す多年度の純収益を一定の収益率で割引き、売却査定価格を算出する評価手法となります。

不動産の売却査定依頼時にやっておきたい事前準備

ここまで、不動産売却の流れをはじめ、実際の不動産の売却査定方法や評価手法について解説してきました。

売却査定依頼時に必要となる代表的な書類について、次のとおりご紹介いたします。

売却査定時に必要となる代表的な書類

  • 本人確認書類
  • 土地・建物登記済証(権利証)または登記識別情報
  • 固定資産税、都市計画税納税通知書
  • 建築確認通知書・検査済証(一戸建ての売却の場合)
  • 測量図、建物図面、建築協定書(土地・一戸建ての売却の場合)
  • 新築時のパンフレット・管理規約集、管理組合総会議事録(マンションの売却の場合)
  • 耐震診断報告書(実施していれば)
  • アスベスト使用状況調査報告書(実施していれば)

このように、不動産の売却査定依頼時には、さまざまな書類が必要となります。
また、不動産仲介会社から必要に応じて追加書類の提出を依頼されることがあります。
売却査定を依頼する不動産に関する書類は、ファイルなどに一式取り纏めておくとよいでしょう。

建物の不具合や修繕履歴の確認

  • 建物に付帯する設備の不具合や修繕履歴の確認
  • リノベーションやリフォーム実施の有無

建物に付帯する設備の不具合や修繕状況によっては、対象不動産の売却査定価格の算出に影響を与える可能性があります。

建物に付帯する設備などに不具合がある場合や過去、付帯設備などに不具合があり、修繕・交換した履歴がある場合には、できるだけ正確に不動産仲介会社のスタッフに伝えしましょう。

また、建物をリノベーションやリフォームを実施したことがある場合には、工事請負契約書、見積書、仕様書、設計図などの書類があるとより正確に売却査定価格に反映することが可能となります。

不動産の売却査定を依頼する際に注意したいポイント

不動産仲介会社に不動産の売却査定を依頼する際に注意したいポイントを、次のとおりご紹介します。

  • 不動産仲介会社によって売却査定価格が異なるのは当然
  • 極端に高い売却査定価格には要注意

不動産仲介会社によって売却査定価格が異なるのは当然

不動産仲介会社が算出する売却査定価格は、不動産仲介会社によって異なります。
それは、売却査定価格の算出にあたっては、公的な市場データの加味とは別に不動産仲介会社独自のデータが加味されることや不動産仲介会社が対象不動産を販売開始した際にその物件をご紹介できるお客様リストがどの程度蓄積されているかなど、不動産仲介会社の強み弱みが売却査定価格に反映されてくるからです。

極端に高い売却査定価格には要注意

一見すると売却査定価格が高いほうが、高く売れるのではないかと感じてしまいがちです。しかし、不動産仲介会社が提示する売却査定価格はあくまで売却想定価格であり、実際の取引価格(成約価格)ではありません。

先述したとおり、不動産仲介会社によって売却査定価格の提案はそれぞれ異なります。市場相場より極端に高い売却査定価格の提示があった場合は注意しましょう。

市場相場からかけ離れた売出し価格の設定となってしまうと当然に購入検討者からの問合せがなく、その後価格変更を重ね、結果、不動産売買契約が成立するまで長期化してしまうといったことが考えられるからです。

このように不動産仲介会社が提示する売却査定価格は、売却査定を依頼した不動産仲介会社の特徴が売却査定価格に反映されています。その売却査定価格に至った算出根拠や売却提案内容などを納得いくまで確認し、売却活動を任せられる会社であるかどうかをしっかりと見極めましょう。

査定のためのリフォームやリノベーションは必要?

不動産を少しでも高く売却しようと、リフォームやリノベーションで部屋をきれいにして売却しようと考えるかもしれません。

しかし、必ずしもリフォームやリノベーションがよい結果をもたらすとは限りません。

リフォームやリノベーションを行うメリットとは?

査定前にリフォームやリノベーションを行うことにより物件を見栄えよくした方が、査定価格に反映され、売却金額に期待がもてそうに思えます。

実際に募集する際にも、きれいな状態の内装や外装の方が印象もよく、魅力的に映るでしょう。さらに、リフォームやリノベーションによって部屋がすぐにでも使用できる状態に仕上がっています。購入後、すぐに居住したい人の需要も取り込むことが可能なことは間違いありません。

リフォームやリノベーションを行うデメリットとは?

リフォームやリノベーションを査定前に行うことは必ずしもメリットばかりではありません。デメリットもしっかりと掴んでおくことが必要です。

最も大きなデメリットとして考えられるのが、リフォームやリノベーションにかかった費用がそのまま売却査定に反映しない場合があるという点です。

不動産査定には物件の状態と同時に地域の相場というものがあります。
いくら物件をきれいにしてもその価格を査定に乗せてしまうと、その地域ではかなり高い相場となってしまうかもしれません。

リフォームやリノベーションを行ったことにより、結果的にコスト部分だけが余計にかかるケースが考えられます。

また、中古物件を購入しようとする層には、なるべく安く購入し、自分たちの思うようにリフォームやリノベーションをしたいと考える購入者も存在します。

このような層はリフォームやリノベーションされた物件を好みません。必ずしもメリットばかりではなくデメリットもあることを理解しておきましょう。

結局査定前にリフォームやリノベーションをすべき?

査定前にリフォームやリノベーションを行うメリットやデメリットを解説しました。
結論としては一概にはいえませんがリフォームやリノベーションにかかったコスト以上に査定金額の上乗せが期待できる場合は、リフォームやリノベーションを検討してもよいでしょう。

しかし、かかったコスト以上の上乗せができない場合は、そのままの状態で売却することをおすすめします。収支のバランスをしっかりと計算して判断しましょう。

信頼できる不動産仲介会社に査定を依頼しましょう

不動産の売却を成功させるためには、まずしっかりとした売却査定をしてもらうことが重要です。

繰り返しとなりますが、売却査定価格はあくまで売却想定価格であり、実際の取引価格ではありません。売却査定価格が高いのみで、不動産仲介会社を選択するのではなく、その売却査定価格の算定に至ったその根拠をしっかりと確認の上、信頼できる不動産仲介会社を選択することが必要です。

不動産の売却を検討であれば、安心・安全に取引を進めるためにもまずは、信頼できる不動産仲介会社へ相談をすることからはじめてみましょう。

小田急不動産では、マンション、一戸建て、土地、投資・事業用不動産の売却査定のご依頼や不動産売却に関する様々なご相談を無料にて承っております。

ご紹介したような売却査定依頼時の書類が見当らない、また、対象不動産の情報(土地・建物面積や築年数など)がわからないなどの場合でも、まずは、小田急不動産までお気軽にご相談ください。
経験豊富な小田急不動産のスタッフがお客様のご事情にあわせ調査・確認し、最適なご提案をさせていただきます。

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