不動産売却のノウハウ
不動産の売却を検討し始めたとき、何から手をつけたらよいかわからず「どのように売却査定依頼をしたらいいの?」「売却査定価格はいくらになるの?」といった不安を感じる方も、いらっしゃるのではないでしょうか?今回は、不動産売却の流れや具体的な査定方法、また、売却査定を依頼するときの事前準備や注意したいポイントについても解説いたします。
不動産の売却査定とは、売却を予定する土地や建物などの不動産の価値を現在の市場価値に照らし合わせ、売却想定価格として金額算定することを言います。不動産仲介会社は、その不動産の持つ個別性に加え、独自のデータや近隣の売り出し事例・取引事例などの客観的データを踏まえ売却査定価格として算出していきます。
不動産の売却査定方法を具体的に解説する前に、不動産売却の一般的な流れを確認し、不動産売却査定の重要性を確認しておきましょう。
不動産売却の一般的な流れは次のとおりとなります。
それでは詳しく解説いたします。
インターネット経由や不動産仲介会社の店舗を直接訪問することで、売却査定依頼や売却相談をおこないます。不動産仲介会社は、売却予定の不動産情報を所有者様へのヒアリングや公的書類などから精査確認をおこないます。また、売却価格に影響する売却ご事情(住み替え、売却期限など)についても確認し、売却査定価格に反映させていきます。
不動産仲介会社が算出した売却査定価格の提示と売却提案内容について説明があります。この時、その売却査定価格に至った根拠や売却予定の不動産に適した売却提案内容であるかなど、内容をよく精査した上で、最終的に売却をおこなうかどうか判断しましょう。
不動産仲介会社から提案のあった売却査定価格や売却提案内容を確認した上で、売却をおこなうと判断した場合には、不動産の売出し価格を決定していきます。
売出し価格は、売主様にて自由に設定することができますが、市場相場からあまりにもかけ離れた価格設定となると買主様が現れる可能性が低くなりますので注意が必要です。不動産仲介会社から提案のあった売却査定価格をベースに、不動産仲介会社スタッフとよく相談しながら売出し価格を決定していくとよいでしょう。
売出し価格が決まれば、その後、不動産仲介会社に不動産の売却活動を依頼するための「媒介契約」という契約を締結します。
媒介契約については、下記記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
媒介契約とは?不動産売却を依頼する際に知っておきたい契約内容について
媒介契約を締結すると不動産仲介会社は、物件の広告宣伝をおこない買主様を探すための販売活動を開始します。不動産仲介会社は、ご来店されたお客様や、既存のお客様に新着物件として物件をご紹介する他に、インターネットへの広告掲載や、店頭への物件情報の掲載など、さまざまな方法で販売活動をおこないます。興味を持たれたお客様については、現地へご案内し、実際に不動産を見学していただきます。
不動産仲介会社は、購入を検討されるお客様へ様々な観点から購入のご提案をおこないます。最終的に購入を希望されるお客様には、売買希望価格、手付金額、契約希望日、残金決済時期などの購入希望条件を記した、「購入申込書(買付証明書)」を記載いただきます。この購入申込書をもって売主様に対する正式な購入の意思表示として受付けた上で、不動産仲介会社は、売主様と購入検討者の間に入り契約条件の折衝をおこなっていきます。
売主様、買主様双方において契約条件に合意できれば、両者が一同に会して不動産の売買契約を締結します。
残金決済日当日は、買主様は不動産売買契約の残代金の支払いを、売主様は不動産の引き渡し(所有権移転も含む)をそれぞれおこない、一連の売却手続きは完了となります。
不動産売却の一般的な流れを解説してきましたが、ご紹介したとおり不動産仲介会社がおこなう不動産の売却査定は、最終的に不動産売却をおこなうか否かを判断するための重要な段階であることがご理解いただけたかと思います。
次からご紹介する不動産売却査定の詳細内容についても理解を深めていきましょう。
不動産仲介会社がおこなう売却査定方法としては、次の2種類があります。
簡易査定(机上査定)は、おおよその売却査定価格を知りたい場合に、また、訪問査定(詳細査定)は、精度の高い売却査定価格を把握したい場合に、不動産仲介会社に依頼する査定方法となります。それぞれどのような特徴があるのか詳しく確認していきましょう。
簡易査定(机上査定)は、不動産の立地、土地面積、築年数、建物面積、方角などの不動産の個別的情報を元に周辺の売り出し事例や取引事例、公示価格などの各種データを踏まえて、概算の売却査定価格を算出する方法となります。
不動産仲介会社のスタッフが、売却予定の不動産に赴くことなく机上で売却査定価格を算出する方法となりますので、インターネット経由や電話などで物件種別、物件所在地、築年数、土地面積・建物面積などの不動産情報を伝えるだけで、売却査定を依頼することが可能となります。
不動産の売却を検討しはじめた段階やおおよその売却想定価格を知りたい場合におすすめの査定方法といえます。
訪問査定(詳細査定)とは、不動産仲介会社のスタッフが売却予定の不動産を実際に訪問し、様々な現地確認や調査をおこないます。
具体的には、不動産の個別的情報や不動産の市況データなどを分析する簡易査定と同様のアプローチに加え、建物の経年劣化状況、設備の状況、接道状況、日当たり、周辺環境などを現地で詳細に確認、調査をおこないます。さらに法務局や行政庁などで各種法規制やインフラ状況を調査し、様々な視点から不動産売却に与える影響を複合的に確認した上で、売却査定価格を算出していきます。
訪問査定(詳細査定)は、多くの調査項目があるため売却査定価格の算出までに、数日を要することがありますが、不動産を売却する予定が決まっている場合には、最初の段階から精度の高い売却査定価格が算出できる訪問査定を依頼しましょう。
不動産の売却査定方法として、簡易査定・訪問査定をご紹介してきましたが、不動産の売却査定価格を算出するための評価手法として、次の3つがありますのであわせてご紹介いたします。
土地、一戸建て、マンション、投資・事業用不動産など売却予定の不動産の種別によって、採用する評価手法が異なりますので、各評価手法の特徴を確認しておきましょう。
原価法とは、対象不動産の建物を現時点で同条件にて新たに建築した際にかかる価格(再調達原価)から築年数の経過による価値の低下分を差し引き、その上で売却査定価格を算出する費用性に着目した評価手法となります。主に一戸建ての場合の売却査定時に用いられます。
取引事例比較法とは、対象不動産と同一エリア内で、条件に類似した不動産の取引事例とを比較することで標準的な価格を導き出し、その上で売却査定価格を算出する市場性に着目した評価手法となります。マンション、一戸建て、土地など居住を目的とする不動産の売却査定時に用いられます。
収益還元法とは、対象不動産の将来の収益性から売却査定価格を算出する評価手法となります。投資・事業用不動産の売却査定時に用いられ、直接還元法とDCF法の2種類があります。
直接還元法とは、対象不動産が生み出す単年度の純収益を一定の還元利回りで還元して売却査定価格を算出する評価手法となります。アパート一棟、マンション一棟などの投資・事業用不動産の場合には、直接還元法により不動産の価値を評価することが一般的です。
DCF法とは、ディスカウントキャッシュフローの略語で、対象不動産が生み出す多年度の純収益を一定の収益率で割引き、売却査定価格を算出する評価手法となります。
ここまで、不動産売却の流れをはじめ、実際の不動産の売却査定方法や評価手法について解説してきました。
不動産仲介会社がおこなう実際の売却査定においては、行政や専門家が作成した公的書類や証明書をもとに対象不動産の個別的情報を不動産仲介会社がひとつひとつ紐解き、確認していくところからはじまります。
そのため売却査定価格の算出に影響を与えるような書類や確認事項はどういったものがあるのかを事前に把握することで、よりスムーズで精度の高い売却査定価格の算出が期待できるでしょう。
売却査定依頼時に必要となる代表的な書類について、次のとおりご紹介いたします。
このように、不動産の売却査定依頼時には、さまざまな書類が必要となります。また、不動産仲介会社から必要に応じて追加書類の提出を依頼されることがありますので、売却査定を依頼する不動産に関する書類は、ファイルなどに一式取り纏めておくとよいでしょう。
建物に付帯する設備の不具合や修繕状況によっては、対象不動産の売却査定価格の算出に影響を与える可能性があります。建物に付帯する設備などに不具合がある場合や過去、付帯設備などに不具合があり、修繕・交換した履歴がある場合には、できるだけ正確に不動産仲介会社のスタッフに伝えしましょう。
また、建物をリノベーションやリフォームを実施したことがある場合には、工事請負契約書、見積書、仕様書、設計図などの書類があるとより正確に売却査定価格に反映することが可能となります。
不動産仲介会社に不動産の売却査定を依頼する際に注意したいポイントを、次のとおりご紹介します。
不動産仲介会社が算出する売却査定価格は、不動産仲介会社によって異なってきます。
それは、売却査定価格の算出にあたっては、公的な市場データの加味とは別に不動産仲介会社独自のデータが加味されることや不動産仲介会社が対象不動産を販売開始した際にその物件をご紹介できるお客様リストがどの程度蓄積されているかなど、不動産仲介会社の強み弱みが売却査定価格に反映されてくるからです。
一見すると売却査定価格が高いほうが、高く売れるのではないかと感じてしまいがちですが、不動産仲介会社が提示する売却査定価格はあくまで売却想定価格であり、実際の取引価格(成約価格)ではありません。
先述したとおり、不動産仲介会社によって売却査定価格の提案はそれぞれ異なってきますが、市場相場より極端に高い売却査定価格の提示があった場合は注意しましょう。
市場相場からかけ離れた売出し価格の設定となってしまうと当然に購入検討者からの問合せがなく、その後価格変更を重ね、結果、不動産売買契約が成立するまで長期化してしまうといったことが考えられるからです。
このように不動産仲介会社が提示する売却査定価格は、売却査定を依頼した不動産仲介会社の特徴が売却査定価格に反映されてきますので、その売却査定価格に至った算出根拠や売却提案内容などを納得いくまで確認し、売却活動を任せられる会社であるかどうかをしっかりと見極めましょう。
不動産の売却を成功させるためには、まずしっかりとした売却査定をしてもらうことが重要です。
繰り返しとなりますが、売却査定価格はあくまで売却想定価格であり、実際の取引価格ではありません。売却査定価格が高いのみで、不動産仲介会社を選択するのではなく、その売却査定価格の算定に至ったその根拠をしっかりと確認の上、信頼できる不動産仲介会社を選択することが必要です。
不動産の売却を検討であれば、安心・安全に取引を進めるためにもまずは、信頼できる不動産仲介会社へ相談をすることからはじめてみましょう。
小田急不動産では、マンション、一戸建て、土地、投資・事業用不動産の売却査定のご依頼や不動産売却に関する様々なご相談を無料にて承っております。
ご紹介したような売却査定依頼時の書類が見当らない、また、対象不動産の情報(土地・建物面積や築年数など)がわからないなどの場合でも、まずは、小田急不動産までお気軽にご相談ください。
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