不動産売却のノウハウ

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借地権にはどのようなトラブルが発生する?
事例や解決方法を解説

土地の貸し借りには、借地権を持つ借地権者と土地を保有している地主が存在します。貸す側と借りる側の2つの立場の人間がいるため、必然的にトラブルが起きやすく、場合によっては土地からの立ち退きを要求されることもあります。

しかし、借地権に関わる法律は複雑であり、両者ともに正しく法律を理解できていなかった結果、不要なトラブルに発展することも少なくありません。

そこで今回は借地権を巡るトラブルの種類や内容に加え、解決方法について解説していきましょう。

2022年1月6日

目次

借地権におけるトラブルにはどのようなものがある?

借地権を巡って地主と借地権者の間でトラブルに発展することは珍しいことではありません。借地権はその性質上、複数のトラブルの種を抱えており、ひとたび、もめると複雑化することもあります。

そこで最初に、借地権におけるトラブルの種類について紹介します。

借地権の賃料(地代)に関するトラブル

借地権者は、地主に対して賃料(地代)を支払う義務を負います。しかし、何らかの事情で地代を支払えなくなって、地代の滞納をしてしまった場合は地主とのトラブルに発展する可能性が高いです。

地代の滞納は借地権者の債務不履行になるため、地主の承諾なしに滞納を続けてしまうと立ち退きを迫られるケースもあります。もし地代の滞納によって、立ち退きを迫られた場合は、借地権者は立ち退くか、地主と滞納分の支払いについて話し合うしかありません。

地代の滞納は特に大きなトラブルに発展しやすいので、地代を滞納してしまった場合は素直に地主に事情を説明して、早期に話し合いをするようにしましょう。

借地の更新・更新料に関するトラブル

通常、借地権は契約満了のタイミングで更新料を支払って、契約の更新を行います。しかし、地主に何らかの事情があった場合は、契約更新を拒否されることがあります。普通借家権で契約している場合は、借地借家法では地主に更新を拒否されても、従前の契約と同一の条件で契約を更新することができるとされているので、強制的な立ち退きなどはされません。

一方、定期借地権の場合は、元々期間を定めて契約しているため、契約更新をすることができないので注意が必要です。

更新拒否以外にも、更新時に理由なく地代を値上げされた、更新料が不当に高いなどでトラブルに発展するケースもあります。更新に関わる疑問については、事前に地主側と話し合っておくといいでしょう。

立ち退きに関するトラブル

借地に住み続けていると、地主から立ち退き要求されることもあるかもしれません。立ち退きが要求されたとしても、どのような理由で立ち退きを要求されているかによって、借地権者の対応が変わります。

立ち退き要求は、「地主側の都合」と「借地権者の都合」の2つのケースに分けられますので、下記の表を参照にしてみてください。

当てはまるケース
地主側の都合
  • ・地主が借地を他のことに使いたい
  • ・借地を合筆して大きくしたい
  • ・借地の再開発を行いたい
借地権者の都合
  • ・地代を滞納している
  • ・契約とは異なる使い方をしている
  • ・建物を建てずに駐車場などに利用している

地主側の都合による立ち退きの場合は、立ち退きを拒否することができます。仮に、立ち退きを承諾する場合でも、地主との話し合いで引っ越し料金などに関わる立ち退き料が支払われることがほとんどです。

借地権者の都合による立ち退き要求の場合は、基本的に立ち退きを拒否することはできず、引っ越しなどが必要になった場合でも立ち退き料が支払われません。

立ち退きトラブルで考えられるのは、「地主側の都合で立ち退きを要求されるも、強引に立ち退きを迫られている」「地代を滞納してしまって立ち退きを迫られている」などがあります。もし立ち退きでトラブルになった時は、地主と話し合いを続けてお互いの落としどころを見つける必要があるでしょう。

建て替えに関するトラブル

借地の上にある建物を建て替えるためには、地主の承諾を得なければならないこともあります。これは増改築金特約と呼ばれ、借地権者が勝手に建物を増改築することによって土地に不利益が生じることを避ける目的で結ばれます。

この特約がある場合は、地主の承諾なしに建物の建て替えや大規模リフォームなどをすることができません。そのため建物の老朽化やバリアフリー住宅にしたいと思っていても、地主が首を縦に振らない限りは増改築ができなくなります。

また、建て替えの承諾を得る場合には建替承諾料を支払うことが通例となっており、増改築料金以外の金銭が発生する可能性があることを留意しておきましょう。

もし、地主が建替えに承諾せず、なおかつ建物の老朽化によって早急に建替えの必要がある場合などは、裁判所に対して地主に変わって承諾を求めることが可能です。裁判所の許可を得ることができれば、地主の承諾なしに建替えが可能なので、建替えに関して地主とトラブルが起きたときは裁判所の許可を得るといいでしょう。

借地権の売買に関するトラブル

借地権者が借地権を他者に譲渡するときは、地主に事前承諾を得なければいけません。その場合、建替えと同じように譲渡承諾料を求められますが、譲渡承諾料が高額であるときや、特に理由もないのに承諾を得られないなどの理由からトラブルが生じることもあります。

基本的には地主と根気よく話し合いを続けて承諾を得ることが重要ですが、特に理由もなく譲渡に反対されている場合は裁判所に許可を求めることができます。

これは借地借家法第19条に規定されており、地主の不利にならない譲渡内容の場合に限り、裁判所が地主の代わりに譲渡許可を出します。

借地権の相続時に発生するトラブル

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借地権を巡るトラブルは、借地権者本人だけに関する訳ではありません。借地権者が亡くなった場合、その借地権を相続する相続人がトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

そこで、借地権の相続に関するトラブルについて紹介していきましょう。

借地権の相続税が高いケース

借地権は不動産として財産の1つに数えられているため、相続した場合は相続税を支払う必要があります。相続税には基礎控除額があるため、基本的に相続税が高額になるケースは少ないです。

基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

借地権を相続した場合の相続税評価額は借地権割合によって変動します。借地権割合は地域によって30~90%と大きく異なるため、事前に路線価図などで調べておくといいでしょう。さらに住宅の規模によっては、「小規模宅地等の特例」を利用して相続税を最大80%節税することができます。

このように、基礎控除や特例によって相続税が高額になることはあまりありませんが、高級住宅街の土地で土地代そのものが高額の場合や、特例の適用外などの場合は相続税が高くなることがあります。

相続税が高額で支払うのが難しいときは借地権の売却などを考える必要がありますが、地主の承諾を得る必要があるのと、希望売却額で売却できるかどうかは分かりません。そのため事前に相続税について調べておき、相続税が高額になりそうなら相続前に地主に売却の意思を伝えるなどの行動を起こす必要があるでしょう。

借地権の名義変更に名義変更料が発生するケース

借地を相続した時に、地主から借地権の名義変更のための名義変更料を求められることがあります。譲渡承諾料など同じように、名義変更を承諾するために地主側が相続人に承諾料という名目で請求するケースが少なからずあるのです。

しかし、相続は譲渡とは異なるため地主の承諾は必要ありません。そのため名義変更料を求められても支払う必要は無いのですが、名義変更料を支払わないことで地主との関係が悪化するかもしれません。相続した後も地主との良好な関係を続けていくことを考えるのなら、たとえ法律上の必要は無くても、支払ったほうがいいケースもあります。

名義変更料を支払わなかったことで、譲渡や売却の際に地主の承諾を得られないなどのデメリットが生じることもあるので、将来のことを考えて支払うかどうかを決めるようにしましょう。

借地権の返却を求められるケース

借地権を相続すると決まった時に、地主から借地権を返してほしいと求められるケースがあります。しかし相続を理由に借地権を返却する必要はありません。譲渡であれば譲渡に承諾しないことで地主は借地を守ることができますが、相続は譲渡とは異なり地主の承諾は必要ありません。

そのため、地主から相続を理由に返却を求められても拒否することができます。

借地権相続が共有名義になることでのトラブル

相続人が複数人いる場合は、借地権を共有名義にするケースが多々あります。前述したように相続に関しては地主の承諾が必要ないので、相続自体に問題はありませんが、将来借地権を売却することになった時に共有名義者と揉めるケースは後を絶ちません。

共有名義の不動産を売却するときは、相続人全員の同意が必要であり、1人でも売却拒否してしまうと売却することはできません。これは売却開始時のみならず、買主が見つかったとしても売却金額に1人でも納得できないと意思表示してしまうと売買契約を結ぶことができないのです。

自分の共有持ち分のみを売却することは可能ではありますが、共有持ち分だけを売買する不動産会社は非常に少なく、売却価格も低くなってしまいます。そのため、共有名義で相続する場合は将来的に借地権を売却することも考えて、事前に相続人同士で話し合って決めておくことが重要です。

借地権のトラブルにはどのような対応方法がある?

借地権のトラブルは地主との関係が良好であるかどうかによって、対応方法が大きく異なっていきます。仮に、地主との関係が悪化している場合は、両者の話し合いだけで解決することは難しいため、第三者である弁護士に依頼して仲介をしてもらう形になります。借地権は土地の性質上、法律によって詳細に定められている部分が多いので法律に詳しい弁護士に依頼するといいでしょう。

借地権者と地主の両方が弁護士に依頼した場合は、法廷での争いに発展する可能性もあるので、短期間で問題解決することは困難であり、手間と弁護士費用、そして時間を浪費してしまいます。

手間暇を掛けても裁判になった場合は勝てるか分からないため、裁判をするよりは不動産会社に借地権を売却するのも1つの手です。

小田急不動産は借地権の買取を専門に扱っている不動産会社です。借地に関するトラブルのご相談もお待ちしています。

まとめ

借地権は借地権者と地主という2つの立場の人間が存在するため、トラブルが起きやすくなっています。基本的に土地を貸し出している地主の方が強いですが、借地権者にも土地を借りて住み続ける権利はあるので、トラブルが起きても必ず対処法はあります。

相続や更新、売買に関わることなど、借地権を巡るトラブルの種類は多いですが、地主と良好な関係を築くことで未然に防ぐことができることも多くあります。

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