不動産売却のノウハウ

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借地権のデメリットを解説。
トラブルの対処方法やポイントとは

一般的な土地よりも割安のため、借地権付きの住まいや不動産を購入するケースがありますが、借地権にはデメリットはないのでしょうか。

今回は、借地権付きの不動産の購入を検討されている方や既に借地権を所有している方に対して、借地権のデメリットを解説するとともに、その対処法についても紹介します。

2022年1月6日

目次

  • 借地権の種類
    • 旧借地法
    • 借地借家法
  • 借地権のデメリット
    • 借地権は銀行の融資が受けづらくなる
    • 借地権は地代の支払いが必要
    • 借地権は地主の許可が必要
    • 借地権は土地が値上がりしても恩恵がない
  • よくある借地権に関するトラブルと対処法
    • 地主が更新の承諾をしない
    • 地主に地代の値上げを要求された
    • 更新料の支払いを求められた
    • 地主が譲渡の許可をしてくれない
    • 借地権を売却するという選択肢

借地権の種類

借地権は、1992年に内容が変更されました。1992年8月より前に成立した借地権に関わる法律を「旧借地法」と呼び、その後に制定された法律を「借地借家法」と呼んでいます。

「旧借地法」は借主の権利が強く、地主は土地を返してもらうことが難しいといった傾向がありました。そこから発生するトラブルを回避するために、借地借家法が制定されました。

ただし「旧借地法」で締結した契約は「借地借家法」には切り替わらないため、現在でも「旧借地法」による借地契約は残っています。「借地借家法」を適用するには、新しい契約を締結しなければなりません。

ここでは、2種類の借地権について詳しく解説していきます。

旧借地法

1992年7月以前に契約した借地権は旧借地法が適用されます。旧借地法では、土地に建っている建物の構造によって借地権の最低存続期間は以下のように異なります。

  • 木造:20年
  • 鉄骨造や鉄筋コンクリート造:30年

契約時に存続期間を定めなければ存続期間は以下です。

  • 木造:30年
  • 鉄骨造や鉄筋コンクリート造:60年

借地権は、借主が拒絶しない限り更新することが可能です。そのため、借地契約を更新し続ければ、半永久的に土地を借りられます。そのため「土地は貸したら返ってこない」と言われていました。

このことから借主側のメリットが大きい権利といわれています。

借地借家法

1992年8月以降に土地を借りた場合に適用される借地借家法は、普通借地権と定期借地権の2つに分類されます。

普通借地権は、旧借地法の内容をもとに制定された借地権です。最も大きな変更点は存続期間です。構造にかかわらず最低30年です。

また、更新後の期間は1回目で20年以上、2回目以降は10年以上です。貸主が解約を希望する場合は正当な理由がない限り、更新は拒否できません。契約終了時には、借主が土地上に建てた建物の買い取りを請求できます。

正当な理由がなければ、土地所有者からの一方的な契約解除はできません。

ただし、災害や朽廃などの理由で建物自体がなくなってしまった場合や、借主が所有者の承諾を得ずに、契約期間を超えて存続する建物を再建してしまった場合は契約解除が可能になります。

旧借地権では借主の権利が大きく、土地が返却されないといった問題が発生していましたが、現行法の普通借地権では貸主側の権利も考慮されました。

定期借地権は更新がない借地権で、さらに以下の3つの借地権に分類されます。

  • 一般定期借地権
  • 事業用定期借地権
  • 建物譲渡特約付借地権

一般定期借地権は存続期間が50年以上と存続期間が長いことが特徴です。ただし、建物を取り壊して返却することが定められています。また、契約は書面のみ認められています。

事業用定期借地権は、事業用の建物を所有する場合に適用される定期借地権です。そのため、居住用は対象外です。存続期間は基本的には10年以上50年未満となっていますが、契約によって異なります。

10年以上30年未満の契約では、以下の3つの要求ができません。

  • 契約の更新
  • 建物再築による期間延長
  • 満了後の建物の買い取り請求

30年以上50年未満の契約では、上記の要求を特約として契約書に盛り込めます。なお、50年以上の契約を交わしたい場合は、事業用定期借地権ではなく一般定期借地権が適用です。

建物譲渡特約付借地権は、その名の通り契約期間の満了時に建物を貸主が買い取る特約を付ける借地権です。契約期間は30年以上とされています。

契約方式については口頭での契約が認められています。借地の返却後も、借主は賃貸契約をして建物に引き続き住むことが可能です。

借地権のデメリット

借地権には、土地を購入する場合と比べてコストが削減できるという大きなメリットがありますが、メリットだけではありません。デメリットを知ることで、将来、起こりうるトラブルに備えましょう。

借地権は銀行の融資が受けづらくなる

銀行をはじめとした金融機関からの融資が受けづらくなることが、1つ目のデメリットです。不動産を購入する場合、多くの方が土地や建物を担保として金融機関からの融資を受けています。

しかし、借地の場合はその土地の所有権を持っているわけではありません。そのため、担保としての価値は低く評価され、金融機関からの審査が厳しくなります。

これは、現在所有している借地権を売却する際にも、同様の理由で取引が難航する可能性が高いため注意が必要です。

ただし、借主の権利が強かった旧借地権の場合は担保として評価されます。

借地権は地代の支払いが必要

借地権がある土地を利用する場合、当然賃料が発生します。たとえマイホームであっても土地代を払う必要があるため、不満を感じる人は少なくありません。

ただし、土地を購入した場合と比べると固定資産税の負担が不要なため、一概にデメリットとも言えません。どちらが自分たちにとってメリットとなっているかは冷静に見極めましょう。

また、地代は常に変化しないわけではありません。土地周辺の価値が上がった場合や、地主の都合によっては、値上げを要求されることがありますので、注意しましょう。

借地権は地主の許可が必要

借地権には「増改築禁止特約」が契約書に記載されていることが多いです。その場合、建物のリフォームや増改築をするには地主の許可が必要です。建物自体は自分の物でも、建物の増改築によっては、床面積も変わります。そのため、地主が払う固定資産税に影響します。増改築の規模によっては、承諾料が必要となる場合もあるので注意してください。

特に、売却や譲渡に関しては、トラブルのもとにもなります。工事内容によっては許可が要らないケースもありますが、地主との関係を良好に保つためにも、その都度許可を取りましょう。

借地権は土地が値上がりしても恩恵がない

自身が所有している土地ではないため、土地が値上がりしたとしても恩恵を受けることはありません。それどころか前述の通り、土地の値上がりにより、地代が上がる可能性もあります。

あくまでも借りている土地という認識を忘れないようにしましょう。

よくある借地権に関するトラブルと対処法

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借地権は複雑なため、地主と借主のどちらも完璧に理解することは難しい法律です。そのため、お互いの勘違いからトラブルにつながるケースがあります。

ここからは、借地権に関するトラブルと、その対処法を紹介していきます。よくあるトラブルと、その対処法を知ることで、トラブル回避に繋げましょう。

地主が更新の承諾をしない

相続による地主の変更時に、突然借地権の返却を求められ、トラブルになるケースがあります。地主が変わっても借主の立場は変更されないため、借主は借地権を主張することが可能です。

地主が更新を拒絶する場合は、正当な理由が必要です。ただし、何が正当な理由に該当するかは明確になっていないため、個々の事情から判断するしかありません。地主が変わった場合は双方の事情をしっかり確認しあうことがトラブル回避につながります。

地主に地代の値上げを要求された

地主から突然地代の値上げを要求されるケースがあります。地代を値上げするには正当な理由が必要です。例えば、土地周辺の利用価値や地主自身の経済状況、固定資産税の増加といった理由ならば、地代値上げの正当な理由と判断されます。

それ以外の理由で地代を増額された場合、正当なものかどうかの判断が難しければ、弁護士や不動産会社に相談してみましょう。

更新料の支払いを求められた

地主に更新料の支払いを求められてトラブルに発展するケースもあります。更新料の有無は契約書に記載されていない限り、支払う必要はありません。

それでもトラブルに発展してしまう理由は、昔は更新料の支払いが暗黙の了解となっていたためです。

金額も法律などでは定められていませんが、慣習としては更地価格の5%前後とされています。月々の支払いより高くなることもあり、トラブルとなる要因です。

契約書に記載がなければ払う必要がないとはいえ、契約時に更新料の有無を確認しておくことで、トラブルによる関係悪化を回避できます。

地主が譲渡の許可をしてくれない

借地上にある建物を売却する場合、借地権も建物の買い手に売却することになりますが、地主が借地権の譲渡を許可してくれないケースがあります。

更地価格の10%前後の金額を「譲渡承諾料」として地主に支払うことで解決できるケースがほとんどです。地主の許可なしで借地権を売却してしまった場合、借地契約を解除される場合があります。さらなるトラブルに発展する場合があるので、かならず許可をもらいましょう。

どうしても解決しない場合は、裁判所に賃借権譲渡許可の申立てを行い、裁判所から許可をもらいましょう。ひとりで対応しようとせず、弁護士や不動産会社に相談してください。

借地権を売却するという選択肢

借地権を売却するケースとして、地主に買い取ってもらうか、不動産会社などの第三者へ売却する2つの方法があります。

第三者への売却は地主の許可が必要です。
地主に買い取ってもらう場合では金額に折り合いがつかないケースがあります。

地主に許可がもらえなかったり、金額が折り合わない場合は弁護士や不動産会社へ相談するといいでしょう。

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