不動産売却のノウハウ

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実家を売却したら確定申告は必要?
申告の時期から方法、譲渡所得の求め方まで紹介

相続した実家を売却した際の確定申告は、必要になるケースとならないケースがあります。実家を売却する場合に確定申告が必要なケース・不要なケースや、利用できる可能性のある特例、確定申告の方法をまとめて紹介します。

不動産売却 費用・税金

2024年12月11日

目次

実家の売却時に確定申告が必要なケースとは?

相続した実家の売却で、確定申告が必要になるのは「譲渡益が発生した場合」「特例を使用した場合」です。また条件を満たせば特例によって控除を受けられ、納税額を抑えられる可能性があります。併せて以下で詳しく紹介します。

譲渡益が発生したケース

譲渡益とは相続した実家を売却した価格から、取得費や譲渡費用などを差し引いた譲渡所得がプラスになった場合を指します。いわば売却によって得られた利益分、と理解しておくとよいでしょう。譲渡所得は以下の計算式で算出できます。

譲渡所得(譲渡益)=売却価格-(取得費+譲渡費用)

土地の場合はこの計算式をそのまま当てはめればよいですが、建物の場合は所有期間の減価償却額を取得費から差し引いて計算する必要があります。その場合の計算式は以下のとおりです。

譲渡所得=売却価格-(取得費-減価償却額+譲渡費用)

なお、取得費とは土地や建物の購入などにかかった費用のことです。もし購入当時の資料がなく取得費が分からない場合、または取得費が売却価格の5%を下回る場合は、取得費を売却価格の5%として計算します。

※参考:国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」

特例を利用するケース

相続した実家を売却した場合、条件を満たせば特例を利用できます。特例を利用すれば譲渡収益から一定額を減額できるため、確定申告による所得税や住民税の納税額を抑えられるかもしれません。しかし、利用時には確定申告が必要です。以下で利用できる可能性のある特例を4つ紹介します。

例1.相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例は、相続してから一定期間以内に譲渡した場合に利用できる可能性のある特例です。適用を受けるための条件は以下のとおりです。

    特例の適用を受けるための要件

  1. 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

※出典:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

条件を満たしている場合「取得費に加算する相続税額」を算出し、譲渡所得から差し引けます。上述の出典を参考にした計算式は以下のとおりです。

取得費に加算する相続税額=相続税額×売却する不動産の相続税評価額÷総相続財産の課税価格

算出された価格を取得費に加算すると、譲渡所得は以下のように計算できます。

譲渡所得=売却価格-(取得費+取得費に加算する相続税額+譲渡費用)

例2.居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

相続した実家を住居として利用していた場合、最大3,000万円の特別控除が受けられる可能性があります。この場合、居住期間は関係ありませんが、この特例の適用を受ける目的で住んでいたと思われる場合や、新居を建てる間、一時的に住んでいた場合、別荘のように利用していた場合などは適用されません。

適用を受けるためには「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」や、「売った年の前年および前々年にこの特例を受けていないこと」「マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと」など、いくつかの条件をクリアする必要があります。

※出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

例3.マイホームを売ったときの軽減税率の特例

相続した実家をマイホームとして利用し、売却する年の1月1日に所有期間が10年を超えている場合など、一定の条件を満たしていれば軽減税率の特例を適用できる可能性があります。

譲渡所得は長期譲渡所得、短期譲渡所得で以下のように課税率が定められています。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

なお、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合を「長期譲渡所得」、5年以下の場合を「短期譲渡所得」とします。

※出典:国税庁「土地や建物を売ったとき」

一方、軽減税率の特例が適用される場合の税率は以下のとおりです。

課税長期譲渡所得金額(=A) 税額(所得税)
6,000万円以下 10%
6,000万円超 (A-6,000万円)×15%+600万円

なお、課税長期譲渡所得金額は以下の計算式で算出できます。

課税長期譲渡所得金額=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除

※出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

10年以上住んでいる実家を売却した場合の所得は、長期譲渡所得に分類されますが、特例を適用すると、課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下の部分については所得税が5%下がります。3,000万円の特別控除の特例と併用できるため、両方適用できれば納税額をかなり圧縮できるでしょう。

なおいずれの税率が適用される場合も、令和19年までは各年の基準所得税額の2.1%を復興特別所得税として併せて納付する必要があります。

例4.被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

相続した実家に被相続人以外誰も住んでいなかった場合、つまり空き家になった場合は、一定条件を満たせば最大3,000万円の特別控除が受けられる可能性があります。特別控除を受けるためには、まず以下の3つの要件を満たしていなければいけません。

イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

※出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

その他「相続開始日から3年を経過する日の年の12月31日までに売却する」など、さらにいくつか満たすべき要件があります。

実家の売却時に確定申告が不要なケースとは?

相続した実家を売却しても確定申告が不要なケースは「譲渡益がマイナスになった」「譲渡所得に関連する特例を利用しない」場合です。譲渡益がマイナス、つまり譲渡しても最終的に損失が大きい場合は、原則として確定申告は必要ありません。

実家の売却に伴う確定申告の時期

確定申告は毎年1月1日から12月31日までに生じた所得を申告するもので、翌年の2月16日から3月15日までの期間に行わなければいけません(開始・終了日が土日と重なる場合は前後する)。期間を過ぎてから申告をすると、無申告加算税が追加される場合もあるため注意しましょう。

※出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

実家の売却による確定申告で必要な書類

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実家売却による確定申告で必要になる書類は、以下のとおりです。

  • 譲渡所得の内訳書
  • 確定申告書の第一表、第二表
  • 確定申告書第三表(分離課税用の申告書)
  • 売買契約書の写し
  • 取得費用および譲渡に関連する諸費用の領収書などの写し
  • 譲渡した土地の全部事項証明書
  • 本人確認書類の写し(マイナンバーカードなど)
  • 源泉徴収票(給与など)

確定申告書の第一表、第二表は、実家の売却で得た譲渡所得以外の所得(給与、事業所得など)を記載するための書類です。不動産を売買したときに得られる所得は分離課税されるため、第三表に必要事項を記入して併せて提出する必要があります。

特例を利用する場合に追加で必要な書類

特例が適用され控除を受ける場合は、追加で書類が必要です。例えば被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例を利用する場合は、「被相続人居住用家屋等確認書」や「耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書」の写しなどが必要です。適用された特例に応じて、以下を参考に必要書類をそろえて提出しましょう。

※参考:国税庁「資産税関係添付書類等一覧表(令和5年分用)」

実家の売却による確定申告の流れ

実家を売却して譲渡益があった場合、または特例を利用した場合の確定申告の流れは以下のとおりです。

  1. 譲渡所得の内訳書に必要事項を記入する
  2. 確定申告書の第一表から第三表まで記入する
  3. 必要書類をそろえて期間内に税務署へ提出する
  4. 納税するまたは還付を受ける

確定申告期間中に税務署を訪れて申告するか、自身のパソコンで国税庁ホームページヘアクセスし、「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxを利用して申告しましょう。

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