不動産売却のノウハウ
マンションを売却しない場合でも、査定だけを依頼することは可能です。
マンションを売却したほうがいいケースや、査定から売却までの流れ・注意点などを解説します。
不動産売却 基礎知識2025年4月18日
マンションの査定だけを依頼することは可能です。仮にマンションの査定をした後に売却に至らなくても、無料で受けられます。マンションを査定するきっかけは売却の検討だけでなく、賃貸との比較やリフォームの可否、周辺のマンションの相場を把握するなど人それぞれです。
またマンションの査定は、不動産会社にとってもマンション売却の意向がある顧客から仲介依頼をもらえるチャンスと捉えています。そのため、マンションの査定は気軽に行えると考えて良いでしょう。
マンションの売却を検討したほうがいいケースとしては、下記のような場合が挙げられます。
マンションを査定した結果、当初購入時よりも相場が上昇している場合は、売却により利益が得られる可能性が高いため、売却したほうがいいといえるでしょう。周辺の不動産相場は日々変動するため、査定から売却せずに時間が経過すると価格が下がる場合もあります。
また、マンションは建築から10年程度経過すると大規模修繕が入ります。大修繕直後は建物の状態が良くなるため、売却しやすくなりますが、その後は老朽化などで価格が下がりやすいです。
そして、周辺に大学などがある環境では不動産相場が高いですが、移転などで近隣からなくなってしまうと相場が下落する可能性があります。その場合は査定から売却を検討してみても良いでしょう。
賃貸に出すのと比較して、売却は固定資産税や修繕費などの諸費用がかかりません。売却価格によっては利益が得られることもあります。
ここまでマンションの査定は無料で受けられ、必ずしも売却しなければならないわけではないため気軽に受けられることや、マンションを売却したほうがいいケースを解説しました。
では、マンションの査定から売却までの流れや注意点について詳しくみていきましょう。
マンション査定には、AI査定・匿名査定・訪問査定の3つの査定方法があります。
比較項目/査定の種類 | AI(匿名)査定 | 簡易査定 | 訪問査定 |
---|---|---|---|
メリット |
・その場ですぐに査定額が表示される ・入力項目が少ないため、気軽に査定依頼ができる |
・AI査定よりも精度の高い査定額が分かる ・路線価などの公的資料も参考に査定される |
・担当者が物件を直に見て査定するため、売買価格により近い査定額が分かる ・担当者と直接コミュニケーションがとれる |
査定額が分かるまでの時間 | 即日 | 1〜3日 | 約1週間 |
査定を行う人 | AI | 不動産会社の担当者 | 不動産会社の担当者 |
不動産会社からの連絡 | なし | なし | なし |
AI(匿名)査定は、過去に売買実績のある不動産データから類似のケースをAIが検索し、査定額を算出する方法です。築年数や所在地など大まかな情報の入力だけで査定ができるため、気軽に依頼できるのがメリットです。
営業電話がかかってくることもないため、初めて査定を行う人でも安心して利用できるでしょう。簡易査定は、築年数・間取りなどの物件情報や公示価格・路線価などから査定額を算出する方法で、AI査定よりもより詳しく物件の情報を入力します。新築物件やリフォーム物件などのAI査定では価格が算出しにくい物件でも対応可能です。
そして訪問査定は不動産会社の担当者が物件を訪問し、実際に物件を見て査定額を算出する方法です。日当たりや物件の状態など実際に見なければ分からない査定ポイントを含めて査定されるため、売却価格により近い査定額が分かります。
訪問査定は担当者が訪問し、査定額が分かるまで1週間程度かかるため、すぐに査定額を知りたい場合は、AI査定や匿名査定からスタートすると良いでしょう。
より精度の高い査定額を知りたい場合や、売却の意思が固まっている場合は訪問査定がおすすめです。
マンションの査定額が分かったうえで売却を進めていく場合、不動産会社との媒介契約を結び、販売活動を行います。媒介契約とは、不動産の売却・購入・賃貸借の際に不動産会社に取引が成立するように活動してもらう契約です。
媒介契約には、複数の不動産会社と契約できる一般媒介契約・1社とのみ契約を結ぶ専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約はどちらも1社のみと契約する点では同じですが、自己発見取引の可否や活動報告義務の期間などに違いがあります。媒介契約により不動産会社を通じて物件を売却情報に掲載してもらったり、購入希望者に引き合わせてもらったりします。
マンションの購入希望者が見つかり、売買契約が無事に締結された後はマンションの引き渡しを行います。引き渡しの際には、売買契約で定めた状態で物件を引き渡し、買主から先に受け取った手付金を差し引いた残金を受領します。
そして、マンションを売却した年について翌年に確定申告の手続きが必要です。売却により利益が発生した場合はもちろん、損失がある場合も税法上の特例を受けるためには確定申告を行います。
マンションの査定を依頼する際は下記の点に注意が必要です。
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
マンションの査定は基本的に無料で行うことができます。不動産会社は査定のみで支払いを求めることはありません。不動産会社は売買契約が成立することによって仲介手数料を請求できます。査定はあくまで営業活動の一環であるため、無料です。
しかし、不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に則って査定した場合は有料の査定になります。不動産鑑定評価基準では手順や方法が決められており、査定額を算出するまで時間がかかります。
また、公的にも証拠書類として提出できる書類となることから有料査定になります。無料で査定を受けたい場合は、あらかじめ確認するようにしましょう。
マンションの査定だけ受けたいという意思を不動産会社に示さないようにしましょう。不動産会社は売買契約につながる案件を見つける営業活動として、無料で査定を行っています。
査定のみの顧客に対しては優先度が低くなりやすいため、査定額が出るまで時間がかかる可能性が高いです。「売却も視野に検討するうえで査定額を知りたい」などのように売買も考えている旨を伝えると早めに対応してもらえるでしょう。
マンションの査定結果に対して根拠を明示してくれる不動産会社を選びましょう。特に訪問査定では不動産会社の担当者が直接訪れて査定しているので、なぜその査定額なのかを詳しく説明してもらえます。
その際に具体的な根拠を示してくれると、信ぴょう性が高い査定といえるでしょう。根拠なく高額な査定額を算出された場合になかなか売却されず、値下がりしたうえ相場よりも安く売買されることもあります。そのため、査定を受けた際にはなぜその査定額になったのかを尋ねるようにしましょう。
オーナーチェンジ物件は、通常の売買契約よりも査定額が安くなる可能性があります。オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で不動産の所有権を移転する売買方法です。すでに入居者がいる状態なので、すぐに家賃収入が得られるため、1から入居者を募る必要がないメリットがあります。
しかし、賃料が安い状態の場合は家賃の値上げ交渉が難しいうえ、室内の状況を把握することが困難なことから査定額が安くなる傾向が見られます。オーナーチェンジ物件はメリットやデメリットを把握したうえで、売買契約を行うようにしましょう。
マンションの査定を依頼する場合、どのような会社に依頼するべきでしょうか。ここでは不動産会社・不動産鑑定士それぞれに依頼した場合のメリット・デメリットや不動産会社でおすすめのポイントなどを解説します。
不動産会社に査定依頼する場合、AI査定から訪問査定までニーズに合った査定方法を無料で受けられます。すぐに査定額を知りたい場合は必要項目を入力するとすぐに査定額が表示されるAI査定がおすすめです。
また、より売買価格に近い査定額を算出してほしい場合は訪問査定で不動産会社の担当者に物件を直接見てもらうと良いでしょう。
ただし、不動産会社の査定額はあくまで参考程度のものであり、売買するにあたっては査定額と乖離(かいり)する可能性があります。また、売買を検討する場合にAI査定や簡易査定からスタートすると改めて詳細な査定を再度必要とすることもあります。
売買契約など具体的にどのようにするか決まったうえで査定を依頼する場合はその旨を不動産会社に伝え、最初から訪問査定してもらうなどの対応を行うとスムーズに進められるでしょう。
不動産鑑定士に査定依頼する場合は、不動産鑑定評価基準に則って進められます。不動産鑑定士による査定では不動産鑑定評価書や不動産査定書といった鑑定書が作成され、公的書類として裁判所や税務署などで証拠書類として使用できます。
相続の費用が知りたいケースや賃料などでトラブルが発生しているケースなどでは不動産鑑定士による査定額がおすすめです。ただし、不動産鑑定評価書や不動産査定書は査定額を算出するまでに時間がかかるうえ、費用が発生する点に注意が必要です。
マンションの査定を依頼するなら、買取・売買両方を扱う不動産会社が良いでしょう。査定額をもとにマンションの売買を進めていくにあたって、すぐに売却できるケースでは問題ありません。
しかし、なかなか買い手がつかない場合は不動産会社に買取してもらい、マンションを売却するのも方法の一つです。ゆえに、買取・売買両方とも取り扱いがある不動産会社であれば柔軟に対応が可能といえるでしょう。