不動産売却のノウハウ
不動産の売却を依頼する会社には全国展開している大手企業と地域密着の不動産会社があり、それぞれが異なる強みを持っています。
不動産会社を選ぶ際は、会社の規模を判断基準にするべきではありません。
自分に合った不動産会社を選ぶためのポイントを解説します。
不動産お役立ちコラム 不動産売却2025年7月22日
大手の不動産会社には豊富な実績と幅広いネットワークがあるいっぽうで、中小の不動産会社のほうが適しているケースもあります。選ぶ時の注意点を押さえておきましょう。
不動産会社を選び間違えると、次のようなリスクが発生します。
不動産会社選びに失敗すると、適切な査定が行われず、相場よりも安い価格で販売されてしまう可能性があります。
効果的な販売活動がされず、長期間売れ残る可能性があります。
契約内容に不明瞭な箇所があると、売却後のトラブルにつながることがあります。
このようなリスクを避けるためにも、不動産会社を安易に決めることは避けてください。
不動産会社の選び方については、大手か中小かという会社の規模を判断基準にするべきではありません。
なぜなら、不動産会社の良し悪しは規模の大小ではなく売却の実力によって決まるからです。
不動産業界では各社が共通のデータベースを利用しているため、基本的に提供される物件情報に大きな差はありません。
自分が納得できる会社・担当者を選ぶために、会社の規模にこだわらずに複数社に査定を依頼しましょう。
面倒に感じるかもしれませんが、複数の会社を比較することでそれぞれの違いが見えてきます。
不動産会社選びに迷った場合は、以下のポイントを判断の軸にしましょう。
1つずつ解説します。
自分の物件と似ている物件や同エリアの物件の取引実績は大きなチェックポイントです。
不動産会社には「タワーマンションの売却が得意」「戸建の売却に強みがある」など、各社それぞれの特徴があります。
そのため、自分の売却したい物件種類の取引が得意な会社に依頼したほうが好条件の成約を引き出しやすくなります。
また、売りたい物件と同エリアの実績が豊富かどうかもチェックしましょう。同エリア内で築年数、間取り、面積などが似ている物件の売却実績が多ければより安心です。
査定額の根拠がしっかりしている会社を選びましょう。
査定額は「売却額の目安」であり売却額の約束ではありません。売却依頼する契約(媒介契約)がほしいという理由で根拠なしに高い査定額を出してくる会社も存在します。
また、早く売りたいために相場より安い価格を提示されることもあり得ます。近隣の類似物件の売却相場を調べておき、査定額とのズレが大きい場合は理由を尋ねましょう。
信頼できる会社なら、質問に対して説得力のある理由を返してくれるはずです。
売却相場は、全国指定流通機構連絡協議会が運営・管理する不動産取引情報提供サイト(マンション・戸建住宅の売買価格・相場・取引事例の情報公開サイト)で簡単に調べられます。
インターネット広告を重視しているかどうかも重要ポイントです。
なぜなら物件購入を検討している人の多くが、まずインターネットで検索して見たい物件の目星をつけてから不動産会社に行くからです(※)。
(※)参考:国土交通省|令和4年度住宅市場動向調査 (181ページ)
そのためインターネット広告を重視している会社に依頼すれば、問い合わせ率が高くなり成約機会が増えるといえます。
インターネットへの注力度合いを確認するためには、その会社が『SUUMO』などのポータルサイトに掲載している写真をチェックすると良いでしょう。
インターネットを重視していれば、物件を魅力的に見せるよう写真の質にかなりこだわっています。
会社の比較だけではなく、担当者の人柄や相性も慎重にチェックしてください。
なぜなら不動産売却は担当者との長期間にわたるやり取りが必要になるため、担当者に違和感があると大きなストレスを抱えてしまいかねないからです。
媒介契約前に担当者を観察できるのは、査定依頼時の電話対応時・訪問査定時・正式な売却提案時の計3回です。
この3回のやり取りの中で、
といった点をしっかりチェックしましょう。
不動産売却を成功させるためには、避けるべき会社の特徴を知っておくことも大切です。
避けるべき会社の特徴は次の3つです。
順番に説明します。
前述しましたが相場から大きく外れた高い査定額を提示して、専任媒介契約で手数料を取ろうとする会社には注意が必要です。
万一このような会社に依頼してしまうと、買い手がつかないまま時間だけ経ってしまいます。
顧客の要望を聞かず契約を急がせようとする会社にも注意が必要です。
たとえば「売却と賃貸のどちらが良いか悩んでいる」と伝えた場合、良心的な会社なら話を良く聞いた上で顧客の状況に合ったほうを勧めてくれるでしょう。
一方的に売却を迫るような会社なら、顧客の都合より自社の利益だけを考えているといえます。
後々のトラブルにつながる可能性が高いため、避けたほうが良いでしょう。
契約内容や仲介手数料について詳しく説明しようとしない会社にも注意してください。
言った・言わないでトラブルになる可能性があります。
対応があいまいな会社は契約書の記載もあいまいになることが懸念されます。
その場合、買主との間で深刻なトラブルに発展しかねません。
不動産の売却を大手に依頼するメリット・デメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
順番に解説します。
大手に依頼するメリットは次の3つです。
大手不動産会社は知名度の高さから来る信頼性があります。
弁護士・税理士・司法書士・土地家屋調査士と提携していることが多く、それも安心感につながっています。
また買い手からも認知されているため、店舗に直接訪れる顧客層にもアプローチが可能です。
不動産会社の規模が大きいほど資金力があるため、広告にかける予算があります。
幅広い広告媒体を通じて多くの人に物件を見てもらえ、売却のチャンスが広がるでしょう。
大手の不動産会社は、物件の価値を高めるサービスを複数用意しています。
たとえば内覧時の印象を良くするためのハウスクリーニングサービスや、居住中で室内写真をホームページに公開できない場合のCGによるイメージ制作が挙げられます。
次に、大手不動産会社のデメリットを解説します。
デメリットは次の2つです。
大手の不動産会社は購入希望条件を登録している顧客を数多く持っており、その顧客リストの中から条件にマッチした購入希望者を紹介してもらえることが良くあります。
つまり、裏を返すと「自分の不動産会社(担当者)は買主側の不動産会社(担当者)でもある」ということです。
売主は少しでも高く売りたいのに対して買主は少しでも安く買いたいため、買主の意向を優先されてしまうと売却価格が下がる可能性があります。
このリスクを回避するには、他の不動産会社にも情報を開示してもらって幅広く買主を探すことが必要です。
他の不動産会社に情報を開示すると国土交通大臣指定流通機構(レインズ)に登録され、サイトにアクセスするためのIDとパスワードが発行されます。
自分の物件がレインズに記載されているか・記載状況に不明瞭な点はないかをチェックしましょう。
大手の不動産会社は、広いエリアで営業活動しています。
そのため、特定のエリアの詳しい実情の把握までは期待しないほうが良いでしょう。
また、不動産会社の住所が自分の物件から遠く離れている場合、内覧希望者を即案内することが困難です。
売却予定の物件が市街地から遠い場合や地域に大手不動産会社の店舗がない場合は、地元の不動産会社を検討しましょう。
不動産売却を成功させるためには「大手か中小か」だけで決めるのではなく、担当者の対応や売却戦略をしっかりと見極めることが必要です。
大手の不動産会社は多彩な広告活動や充実したサービスがあるのが魅力ですが、買主を優先されてしまうリスクや地域の実情を把握しきれていない恐れもあります。
会社の規模にとらわれず、複数の不動産会社を比較することをおすすめします。