不動産売却のノウハウ
不動産の売却は、一生のうちに何度も経験するものではありません。「まず何から始めればいいの?」「どんな手順で進めるの?」と、不安になるのは当然です。
しかし、売却の流れを把握しておけば、トラブルや後悔を防げます。「できるだけスムーズに売りたい」「後悔したくない」と考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
不動産売却 基礎知識2025年7月22日
不動産の売却は、次のような流れで進みます。
売主と買主がそれぞれ仲介業者を利用した場合の不動産売却の流れは、下図のようになります。
売主と買主がそれぞれ仲介業者を利用した場合の不動産売却の流れ
画像引用:国土交通省「不動産取引の流れ(例)」
それぞれの内容について確認していきましょう。
不動産の売却を決めたら、まず不動産会社へ売却の相談と不動産の査定を依頼します。
査定をすると、不動産の価値や売却価格として見込める金額などがわかります。
査定の方法は、主に訪問査定と机上査定の2種類です。
査定方法の種類とその内容
査定方法 | 内容 |
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訪問査定 |
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机上査定 |
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査定には不動産の築年数、面積、所在地、管理状況、周辺環境などが影響します。机上査定は査定結果がわかるまでの所要期間が短いのがメリットですが、物件の劣化の状態や周辺環境などを詳しく調査できないかもしれません。
急いで売却しなければならないなどの事情がない限り、精度の高い査定ができる訪問査定を依頼しましょう。
不動産の査定が完了したら、次に売却相場を調べます。
売却相場は不動産会社に確認するほか、近隣の同条件の物件がいくらで販売されているか物件情報サイトで調べるなどの方法があります。
たとえば、以下の項目から同条件の物件の販売価格を調べるとよいでしょう。
媒介契約とは、不動産売却の媒介を不動産会社へ正式に依頼するための契約です。売却相場を調べ、売却に向けて手続きを進めたい場合、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約などのイメージ図
画像引用:国土交通省「不動産取引の流れ(例)」
売主だけでなく、買主も希望する物件を探すために不動産会社と媒介契約を締結しているケースが多いでしょう。
不動産会社は、媒介契約を締結した売主と買主の希望条件に合わせて成約をサポートします。
売主が媒介契約を結ぶとき、主に次の3種類があります。
媒介契約の種類とメリット・デメリット
種類 | メリット | デメリット |
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一般媒介 |
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専任媒介 |
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専属専任媒介 |
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一般媒介契約は、複数の不動産会社に依頼できるため幅広い購入希望者へ広告でき、売主が自ら買主を見つけることもできます。
専任媒介・専属専任媒介は一定の制約があるものの手厚いサポートを受けられるため、売却を不動産会社に任せたい方におすすめです。
媒介契約には不動産を売却する条件や成功報酬などが記載されており、媒介契約の成立後に不動産会社は売却活動を開始します。
不動産会社には過去の販売実績の蓄積があるため、不動産に応じて売却するための最適な方法を提案してくれるでしょう。
売却活動を開始する前に売主から物件の特徴や周辺環境などをヒアリングし、物件のアピールポイントやターゲットとなる購入層などを検討します。同時に、売主の売却理由や売却期限、販売価格などの方針を決定します。
方針が決定したら、ターゲットとなる購入層に広告するために、不動産情報サイトへの掲載やDM(ダイレクトメール)、ポスティングなどを行います。
希望者がいる場合は、物件の内覧が必要になるかもしれません。内覧の印象が成約に影響するケースも多いため、清掃や整理整頓など入念な準備をしておくとよいでしょう。
買主が見つかり売却の条件に納得できたら、買主と売買契約を締結します。
売買契約を締結するときは、不動産会社に売主と買主が集まり、宅地建物取引士が物件や取引条件など重要事項を説明します。
同時に、買主から売却価格の5~10%ほどの手付金が支払われるのが一般的です。売買契約書の条件を確認し、署名・捺印をしましょう。
売買契約の締結後、記載された条件にある引き渡し日に売主と買主が集まり、司法書士のもとで名義変更の手続きや資金決済を行います。
司法書士が本人確認や取引の意思確認を行い、双方が登記関連書類に署名捺印をして、残代金の支払いや名義変更の手続きが進められます。
なお、住宅ローンが残っている場合、買主との決済の前に金融機関から設定された抵当権を抹消しなければ手続きを進められません。抵当権を抹消するために、あらかじめ住宅ローンを利用した金融機関に連絡しておきましょう。
不動産売却で失敗しないためには、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
不動産売却で失敗しないためのコツについて紹介します。
不動産会社への依頼から買主が見つかって売却が完了するまでは、一般的に3~6カ月ほどかかるケースが多いです。
一方で、不動産の劣化状況や立地条件によっては買主が見つかるまでに、より時間がかかるケースもあるでしょう。
売却を急がなければならない事情がある場合、もともとの取得価格や売却相場より安い金額で妥協しなければ売却できないかもしれません。
有利な条件で売却したいときは、売却にかかる期間は余裕をもって設定しておきましょう。
不動産の瑕疵(不備)とは、建物の破損やひび割れ、土地の地盤沈下など、購入後に不利益を与える可能性のある不具合などです。
不動産を少しでも高く売却したいという気持ちから、売却時に不備を伝えたくないと考える方もいるかもしれません。
しかし、不動産の引き渡し後に瑕疵が発覚した場合、買主とトラブルになり、法的な契約不適合責任を問われるおそれがあるため瑕疵は漏れなく報告しましょう。
住宅ローンを利用している場合、担保として不動産に抵当権などを設定しているケースがほとんどです。
住宅の売却時には、住宅ローンを完済して抵当権を解除してもらわなければなりません。
不動産の売却価格が住宅ローンの残高を上回っている場合は「アンダ―ローン」といい、支障なく売却できます。
逆に不動産の売却価格が住宅ローンの残高を下回るときはオーバーローンとなり、自己資金や住み替えローンなど資金の確保が必要です。
住宅ローンを利用している場合は、売却前に返済予定表や残高証明書で残高を完済できるか確認しておきましょう。
各不動産会社は地域や物件の種類などに独自の強みを持っており、依頼する不動産会社によって売却価格は大幅に変わる可能性があります。
売却したい物件やエリアの情報に詳しく、実績豊富な不動産会社かどうか、担当者の対応などを見極め、慎重に検討しましょう。