不動産売却のノウハウ

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マンションは10年住んで売るのが正解?
失敗しないための注意点も解説

マンションに住んで10年。そろそろ売却を考え始めたものの、「今売って損しない?」「築10年って資産価値はどうなの?」と、不安や疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。

実は“10年目”は、住宅ローンの残債や税制面、マンションの市場価値など、さまざまな観点から売却を検討するのに適したタイミングとも考えられています。

マンションに10年住んでから売ることのメリット・デメリットを整理しながら、売却で失敗しないための重要な注意点もわかりやすく解説します。

不動産お役立ちコラム 不動産売却

2025年7月22日

目次

  • マンションは10年住んだら売ったほうがよい理由
    • 経年劣化の影響が出にくく、高値売却が期待できる
    • 築年数が新しいほうが成約しやすい
    • 大規模修繕の費用負担を避けられる
    • 住宅ローンの減税を最大限に利用できる
  • 約築10年のマンションを売るときの注意点
    • 所有してから5年以内に売却すると税金が高くなる
    • 売却価格は相場を調べて設定する
      • レインズマーケットインフォメーション
      • 不動産情報ライブラリ
    • 売却期間は余裕をもって対応する
    • 火災保険の解約返戻金について確認する
    • マンション売却に強い不動産会社を選ぶ
      • 査定額は妥当か
      • 中古マンションの取引実績はあるか

マンションは10年住んだら売ったほうがよい理由

マンションを購入する際、長期間住み続けることを前提に考える方も少なくありません。

しかし、購入から10年ほど経過したタイミングで、築年数が比較的浅いうちに売却するというのも、合理的な選択肢です。

10年住んだマンションを売却することによるメリットについて解説します。

経年劣化の影響が出にくく、高値売却が期待できる

マンションは経年劣化により資産価値が落ちます。以下のグラフは、中古マンションの成約価格を築年数別にまとめたものです。

築年数ごとの中古マンションの成約価格

築年数ごとの中古マンションの成約価格

出典:東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)

成約価格は築年数が経過するほど、下がる傾向にあることがわかります。特に築25年を超えると急激に下がり、新築時の半額以下となることも少なくありません。

しかし、10年以内であれば新築に近い価格での売却も可能です。

築年数が新しいほうが成約しやすい

マンションは新しいほど売却しやすい傾向にあります。この傾向を示すデータとして、対新規登録成約率(成約件数/新規登録件数)を築年数別にまとめたものを見てみましょう。

築年数ごとの成約率

築年数ごとの成約率

出典:東日本レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年

上記のグラフからわかる通り、築0~15年の比較的新しい物件は成約率が30~36%程度と高い傾向にあります。

一方、築16年を過ぎると成約率は激減し、築31年以降になると10%程度に下がります。しかし、マンションは買主がいなければ売却できません。

築年数が浅いうちに売却することで買主が見つかりやすく、好条件で売却しやすくなります。

大規模修繕の費用負担を避けられる

マンションは経年とともに劣化し、修繕や設備の交換が必要です。特に多額の費用がかかるのが「大規模修繕」です。

大規模修繕とは、マンションの外壁やエントランス、エレベーターといった共有部分の修繕工事のことです。大規模修繕のために毎月積立金を支払っているとはいえ、修繕費がかさむと一時金の支払いを求められることがあります。

また、積立金は築年数とともに増額されるケースもあります。積立金が高くなると毎月の支出が増えるだけではなく、買主を見つけにくくなります。

キャッシュフローの改善やスムーズな売却活動のためには、劣化の影響が少ない築10年をめどに売却するのもひとつの選択肢です。

住宅ローンの減税を最大限に利用できる

住宅ローン減税とは、住宅ローン利用時に受けられる減税措置です。住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、一定の条件を満たすことで残高の0.7%を所得税から直接差し引けます。

対象となる物件には、「省エネ基準適合住宅であること」などの条件があります。年収制限もあり、原則は2,000万円以下(中古は3,000万円以下)です。

また、床面積要件は原則50㎡以上ですが、中古や一定の省エネ住宅では40㎡以上も対象になります。

住宅ローン減税の適用期間は新築で13年、中古で10年です。住宅ローン減税利用の期限が終了する前に物件を売却することで、減税の恩恵を最大限に受けられます。

約築10年のマンションを売るときの注意点

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築10年程度のマンションを売却する際、注意すべきポイントは以下の4つです。

  • 所有してから5年以内に売却すると税金が高くなる
  • 売却価格の相場を自分で調べる
  • 売却期間は余裕をもって対応する
  • 火災保険の解約返戻金について確認する
  • マンション売却に強い不動産会社を選ぶ

それぞれのポイントについて、以下に詳しく紹介します。

所有してから5年以内に売却すると税金が高くなる

マンションは築年数が浅いほど、売却価格は高くなる傾向にありますが所有後すぐに売却すると、最終的な利益が減ってしまう可能性があります。

その理由は「譲渡所得税」にあります。不動産の売却益にかけられる譲渡所得税は、所有期間5年を境に大きく税率が変わります。以下の表をご覧ください。

所有期間別の譲渡所得譲渡所得税

譲渡所得税の別 所有期間※1 税率
所得税 住民税 復興特別所得税※2
短期譲渡所得税 5年以下 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得税 5年超 15% 5% 0.315% 20.315%

※1 所有期間:売却した年の1月1日時点での経過年数
※2 復興特別所得税:復興のために必要な財源の確保を目的とした所得税。平成25年から令和19年まで申告・納付する。

このとおり、所有期間5年以下の場合にかかる「短期所得税」と、5年超の場合に適用される「長期所得税」では、税率が倍ほども異なります。マンションを売却する際には、所有期間が5年超になるまで待ったほうが良いでしょう。

なお、住宅を売却した場合は所有期間にかかわらず、「3,000万円の特別控除の特例」が適用され、譲渡所得税を計算する際に3,000万円までを非課税とすることが可能です。

さらに、売却年の1月1日現在で所有期間が10年を超えている場合は、この特別控除に加え、譲渡所得税に対する軽減税率の特例も適用されます。これにより、以下の通り税負担を軽減できます。

課税長期譲渡所得金額における所得税と住民税

課税長期譲渡所得金額 所得税 住民税
6,000万円までの部分 10% 4%
6,000万円を超える部分 15% 5%

売却価格は相場を調べて設定する

不動産会社に売却を依頼すれば、査定によって市場価格の目安を確認できます。ただし、その金額が適正かどうかを判断し、適切な売り出し価格を設定するには、自分でもあらかじめ相場を把握しておくことが重要です。

相場に対する理解ができていないと、提示された査定額を無条件で受け入れてしまい、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

売却価格によるリスク

売却価格 リスク
相場より安い
  • 売却益が少なくなる
相場より査定額が高い
  • 買主が現れない
  • 買主が現れない

このように、査定額は低過ぎるのはもちろん、高過ぎるのも望ましくありません。ある程度の相場をつかむことで、売却活動をスムーズに進められます。

なお、売却価格の相場は以下のような方法で調べられます。

レインズマーケットインフォメーション

レインズマーケットインフォメーションは、不動産流通機構が運営・管理している不動産取引情報を提供するサイトです。

エリアや駅からの距離、専有面積、間取り、築年数など条件によって細かく成約単価を調べられます。所有するマンションと似た条件の成約単価を調べることで、ある程度の相場をつかめます。

なお、不動産流通機構は「レインズ」という不動産情報データベースも運営していますが、こちらは宅建業者しか閲覧できません。

不動産情報ライブラリ

不動産情報ライブラリは、国土交通省が管理するWebサイトです。「土地総合情報システム」(令和6年3月末に廃止)に代わり、令和6年4月より運用が開始されました。

過去の成約物件について成約時期や面積、最寄り駅、駅からの距離などの条件を指定して取引総額を検索できます。

売却期間は余裕をもって対応する

売却期間は余裕を持って対応しましょう。

マンションを売りに出したからといって、すぐに買主が見つかるとは限りません。また、買主が見つかったあとも、融資審査や売買契約の締結、引き渡しなど、さまざまな手続きが必要になります。そのため、売却活動は3~6カ月程度を要するのが一般的です。

早く売却したいと焦るあまり、相場よりマンションを安く売却すると、売却益が十分に得られなくなります。

計画的かつ余裕のあるスケジュールで売却を進めることが、好条件での成約につながります。

火災保険の解約返戻金について確認する

火災保険を解約した際、未経過の保険料が返金されることがあります。この返金分を「解約払戻金」といいます。

ただし、すべてのケースで解約払戻金を受け取れるわけではありません。払戻の条件は保険会社やプランによって異なりますが、一般的には以下の2点を満たしている必要があります。

  • 長期一括払いで契約をしていること
  • 未経過期間が1カ月以上あること

解約払戻金の額は以下の式で計算できます。

解約払戻金=一括で支払った保険料×未経過料率(払戻率)
※未経過料率は保険会社によって異なる

火災保険は自動で解約されないため、手続きが必要です。売却活動を始める前に、保険会社に解約手続きや払戻金について確認しておきましょう。

なお、火災保険を買主に引き継ぐことはおすすめできません。名義変更には手間がかかり、売却手続きの妨げになることもあるためです。

そのため、マンションの引き渡しにあわせて火災保険を解約し、買主には新たに加入してもらうのが適切な対応といえるでしょう。

マンション売却に強い不動産会社を選ぶ

売却活動において、不動産会社は重要なパートナーです。マンションを少しでも高額で、スムーズに売却するには、不動産会社の協力が必要です。

複数の不動産会社に査定を依頼し、以下の点に注意して信頼できる不動産会社を選びましょう。

査定額は妥当か

査定額は低すぎるのはもちろんのこと、高過ぎる場合も警戒しなくてはなりません。あえて高い査定額を提示し、契約を結んだあとに、値下げを持ちかける不動産会社もあるためです。

不動産会社に査定額の根拠を尋ね、妥当性の高い回答を得られるかどうか確認することで、不動産会社の知識の程度がわかります。

中古マンションの取引実績はあるか

不動産会社を選ぶ際には、取引件数や成約率など、実績の内容を確認することが大切です。実績の多い不動産会社は、売却のノウハウを十分に備えていると考えられます。

ただし、単純な取引件数のみで判断するのは望ましくありません。不動産会社には、それぞれ得意分野があるためです。都心の中古マンションを売却する際、郊外の戸建て住宅の売却が得意な不動産会社に依頼しても、思うように成果が出ない場合があります。

不動産会社の得意分野や分野ごとの取引件数に関しては、営業担当者に直接確認するとよいでしょう。その返答によって得意分野に加え、知識の深さや誠実さの判断も可能です。

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