不動産売却のノウハウ
マンションは築年数やエリアなどによって売却価格が大きく変わります。マンションの売却相場の調べ方や、価格に影響する要因、売り出し価格の決め方まで詳しく解説します。
不動産売却 費用・税金2025年7月22日
マンションを売却する際、まず気になるのが「いくらで売れるのか」という相場です。売却価格は築年数や立地などによって大きく変わるため、まずは全体の傾向を知っておくことが大切です。
ここでは、築年数やエリア別の価格、自分で相場を調べる方法について簡潔に解説します。
マンションは築年数が経つごとに資産価値が下がる傾向があります。例えば築5年以内の成約価格は7,077万円、築6〜10年で6,655万円、築11年以上になると5,932万円まで下がるというデータもあります。
※出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た不動産流通市場(2023年)」
なかでも「築6〜10年」は状態が良く、買い手の人気も高いため、売却には適したタイミングといえます。
マンションの価格は、築年数だけでなく「立地」によっても大きく変わります。
例えば首都圏の場合、2023年3月の東京都の中古マンション成約価格はm²単価91万円と、高値で取引されています。
同様に、人口の多い神奈川県(54万円)や大阪(44万円)など大都市の中心部では相場が安定しており、駅に近い物件や再開発エリアでは高値売却が期待できます。一方、地方都市や交通の便が悪い地域では価格が伸びにくい傾向も。
マンションは、購入価格よりも売却価格のほうが低くなるのが一般的です。国土交通省の調査によると、買値より売値のほうが平均で約790万円も下回っていたというデータがあります(2017〜2021年)。
売却価格を想定する際は、購入時との価格差を念頭に置いたうえで、現実的な査定を心がけることが大切です。
マンションの売却価格は、立地条件によって大きく左右されます。特に「駅から徒歩10分以内」「複数路線が使える」「スーパーや学校、病院が近い」といった利便性の高いエリアは、需要が安定しており価格が下がりにくいのが特徴です。再開発エリアや人気の学区も、将来的な資産価値が期待されるポイントとして評価されやすく、高値で売れる可能性があります。
一方で、交通の便が悪く人口が減少している地域では、築浅であっても希望通りの価格で売れないことがあります。売却を検討する際は、築年数に加えてエリアの特性や将来性を客観的に把握することが重要です。
新築マンションは「一度でも入居した時点で中古」と見なされるため、購入直後から価値が2割程度下落するといわれています。これは「新築プレミア」が価格に上乗せされているためで、売却時にはその分の値下がりが避けられません。
一方で、中古マンションを購入していた場合は、すでに価格がある程度落ち着いており、売却時の差額も比較的少なく済むことが多いです。つまり、購入時点で中古だったかどうかで、将来の売却価格の見通しも大きく変わるということです。
住宅ローンの金利は、マンション購入希望者の動向に直結する重要な要素です。金利が低いと借入負担が軽くなるため、物件を購入しやすくなり、市場全体の需要が高まって価格が上がりやすくなります。
一方で、金利が上昇局面にあると、住宅ローンの月々の支払い負担が増えるため、買い手が慎重になり、売却価格が伸び悩むケースもあります。売却を考える際は、金利のトレンドを事前に確認しておくと、有利なタイミングを逃さずに済むでしょう。
マンションの相場は、不動産会社に査定を依頼しなくても、ある程度自分で調べることができます。まずは「レインズマーケットインフォメーション」や「国土交通省の取引価格情報検索」を活用し、過去に取引された類似物件の価格をチェックしてみましょう。
とはいえ、最終的な売却価格は個別事情によって変動します。相場を確認したうえで、地元の不動産会社2〜3社に査定を依頼し、比較検討するのが理想的です。
売却相場を踏まえたうえで、実際に市場に出す際の「売り出し価格」をどう設定するかも重要です。価格が高すぎると売れ残るリスクがあり、逆に安すぎると本来得られる利益を逃すことになります。
売り出し価格は、査定価格をベースに「売主の希望価格」と「買い手の反応」のバランスを取って設定するのが基本です。特に大切なのが、不動産会社の選び方。不動産会社がエリアの相場に詳しく、過去の販売実績が豊富であれば、根拠ある査定と適切な価格提案が期待できます。
また、売却活動のスタート時にはやや強気な価格で始め、反響の状況を見ながら価格調整する方法も一般的です。早く売りたい場合は、最初から相場に近い価格で売り出すほうがスムーズに成約しやすいでしょう。
「時間をかけてでも高く売りたい」場合は仲介が一般的ですが、「すぐに現金化したい」「内見対応が面倒」といった事情があるなら、不動産会社による「買取」も選択肢のひとつです。
ここでは、買取価格の目安や決まり方、地域別の相場、買取を依頼する際のポイントについて解説します。
マンションの買取価格は、通常の売却(仲介)に比べて安くなるのが一般的です。相場としては、市場価格の7〜8割程度が目安とされており、物件によっては6割前後まで下がることもあります。
不動産会社が買い取った後にリフォームやリノベーションを行い、再販売や賃貸に出すための費用や手間がかかるためです。また、売れるまでの期間に発生する運営コストも価格に反映されます。
不動産会社は営利目的で買取を行います。買い取った不動産を再販することで利益を得るのです。例えば市場価格5,000万円の不動産を5,000万円で買い取って、同じ価格で再販した場合の利益は0円です。7割の価格で買い取って、再販した場合の利益は1,500万円となります。
高くは売れにくいものの、手間なくスピーディーに現金化できる点は、買取ならではのメリットです。
マンションの買取価格は、築年数や広さ、立地、建物の状態などをもとに、不動産会社が独自に査定して決定します。特に重視されるのは「再販のしやすさ」です。駅近で需要のあるエリアや、室内の状態が良い物件は評価が高くなりやすい傾向があります。
反対に旧耐震基準の建物は、価格が大きく下がる可能性も。
不動産会社によって査定の基準や買取意欲が異なるため、複数社に相談し、相場を比較することが大切です。
マンションの買取相場は地域によって大きく異なります。例えば東京都や神奈川県は、買取価格も比較的高水準です。
売却か買取かを迷っている場合は、両方に対応している不動産会社に相談するのが安心です。最初に仲介による売却活動を試みて、一定期間内に売れなければあらかじめ提示された価格で買い取ってもらう「買取保証付き仲介」などのプランもあります。
この方法なら、市場価格に近い価格での売却を目指しつつ、売れなかった場合のリスクも抑えることができます。特に転勤や相続などで早めに売却時期を確定させたい人にとっては、有効な選択肢です。
複数の会社に相談して、対応プランや実績を比較し、自分に合った売却方法を見つけましょう。