不動産売却のノウハウ

海外在住者であっても、所有している国内の不動産を売却することは可能です。海外在住者が不動産を売却する方法や流れについて解説します。
あわせて、税金の取り扱いや注意点も紹介します。
不動産お役立ちコラム 不動産売却2025年10月23日
国内にある不動産は、海外在住者でも国内在住者と同様に売却が可能です。ただし、必要な書類や手続きが異なるため、あらかじめ理解しておくことが重要です。
海外在住者が不動産を売却するのに必要な書類や流れなどについて詳しくみていきましょう。
そもそも居住者とは、所得税法では国内に住所を有している、または現在まで引き続き1年以上居住する場所がある者です。
よって海外在住者とは、日本法人の海外支社に1年以上勤務する予定など、国外に1年以上居住する者をさし、非居住者といいます。
非居住者は日本国内で発生した所得については、日本の所得税が課税されるため、日本国内の不動産売却に伴う所得についても、日本で所得税が課税されます。
海外在住者が不動産を売却するのに必要な書類は、在留証明書・サイン証明書・代理権限委任状の3点です。
在留証明書とは、海外に住んでいる場合にどこに居住しているのかを証明する書類です。海外に3カ月以上滞在する見込みがあり、日本に住民登録されておらず、在留証明書を取得したい当人が公館に直接申請に行けることが条件になります。
サイン証明書とは、日本に住民登録がない海外在住者が日本の手続きで印鑑証明書が必要な際に、印鑑証明書の代わりとして発行される証明書です。日本国籍があって、申請者本人が公館に直接申請に行けることが条件です。
代理権限委任状は代理人を立てるために必要です。日本の不動産を売却する場合、代理人を立てなければなりません。
代理人は誰でも可能ですが本人と同等の権限を持つため、弁護士や司法書士のような専門家になってもらうのがベターでしょう。
海外在住者による不動産売却の流れは、下記の通りです。
おもな流れは通常の不動産売却と変わりありませんが、海外在住者の場合に必要な手続きがある1〜3と6について詳しくみていきましょう。
不動産を売却する際にはまず、依頼する不動産会社を探すところから始めます。不動産会社といっても、新築物件を専門に取り扱っていたり、マンション物件が得意であったりとそれぞれ専門分野があるため、売却したい不動産の売買実績が豊富なところが良いでしょう。
また、海外在住者の不動産売却実績のある不動産会社は数少ないので、あらかじめ対応実績があるかどうか確認しておきましょう。
海外在住者の不動産売却の場合、代理人を立てて売却することになるので代行してくれる司法書士を探します。海外在住者の不動産売却代行に慣れている、もしくは対応可能な司法書士に頼むと、やり取りがスムーズです。
司法書士と提携している不動産会社もあるので、そのような会社に売却を依頼するのもよいでしょう。
海外在住者の不動産売却に必要な書類を準備しましょう。売却に際しては下記の書類が必要になります。
不動産を売却した際に売却に対して利益が発生した場合、海外に在住していても確定申告を行う必要があります。
日本国内にある資産を売却して所得を得た場合は確定申告の対象に該当します。確定申告は、不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に行いましょう。

海外勤務などで海外在住者の不動産売却による税金・確定申告は、通常の確定申告と異なり、あらかじめ納税管理人の届出が必要です。納税管理人は納税義務者に代わって税務署などと書類をやり取りしたり、確定申告の手続きを行ったります。
また、海外在住者でも3,000万円控除が利用できます。ここでは、確定申告の方法や活用できる控除について詳しくみていきましょう。
海外在住者が不動産売却を行った際、原則として買主に源泉徴収をする義務があります。源泉徴収されるケースと源泉徴収されないケースは下記の通りです。
| 源泉徴収されるケース | 源泉徴収されないケース |
|---|---|
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源泉徴収される場合は、源泉を差し引いた金額(売却価格× 89.79%)を売主に支払い、源泉徴収した所得税を買主が税務署へ納付します。売主である海外在住者は確定申告を行うことで不足分を納付する、または還付を受けられます。
海外在住者が不動産を売却した場合の住民税は、出国前に不動産を売却し翌年の1月1日時点で日本国内に居住している場合は住民税が課税されます。
ただし海外在住中に不動産売却を行った場合は住民税の支払い義務がないため、所得税のみの支払いになります。
海外在住者が不動産売却して譲渡所得が発生した場合、確定申告が必要です。出国の時までに納税管理人を指定した場合、納税管理人が出国した年の所得の総額を確定申告・納税が可能です。
出国前に確定申告・納税した場合でも、出国日以降に課税対象となる所得が生じることがあります。その場合、納税管理人を通して翌年の2月16日から3月15日までに確定申告しなければなりません。
確定申告をすれば税務署から市区町村へデータが転送されますので、住民税のための申告は不要です。
不動産売却の際に条件に合致すると、海外在住者でも3,000万円控除を利用できます。3,000万円控除とは、自宅を売却した際に得た利益から3,000万円を控除できる特例です。
現在住んでいるまたは住まなくなってから3年経った年の年末までに売却した居住用財産が対象で、親子や夫婦といった親族への売却ではないことなどが条件となります。
海外在住者が不動産売却を成功させるためには、下記の2つのポイントをおさえると良いでしょう。
それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。
不動産売却するにあたっては、物件の適切な売却相場を把握しておくことが重要です。不動産の売り出し価格は売主が決めますが、周辺の売却相場が分からない状態で決めてしまうと相場よりも高額の場合、なかなか買い手がつかないでしょう。
反対に、相場よりも安価に設定してしまうと利益が出ない可能性があります。そのため、売り出し価格を決める前に不動産会社での査定がおすすめです。
不動産会社では該当物件の立地や状況などから、同条件の物件の売却価格を比較して査定額を算出します。加えて、複数の不動産会社から査定してもらい、比較することで相場がある程度把握できるでしょう。
不動産売却を成功させるためには、不動産会社選びが重要なポイントに挙げられます。
根拠のある査定と親身な対応がみられる不動産会社であれば、適切な売り出し価格が決定でき、かつ買い手が見つかり不動産が引き渡されるまで親身に対応してもらえると、海外在住している状況でも安心して売却活動ができるでしょう。
海外在住者が不動産売却するにあたり重要な不動産会社選びで、不動産会社の選び方・比較方法としてはどのようなポイントがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
海外在住者が依頼するのにおすすめの不動産会社としては、買取と仲介両方とも相談できるところが良いでしょう。不動産における仲介とは、売り出している物件に対し買い手を見つけて売主と結びつけることをさします。
不動産を売却するといった際には、まず仲介からスタートするケースが多いです。しかし、長期間買い手が見つからない場合は不動産会社から買取してもらうのも1つの方法です。
不動産の買取とは、不動産会社が売主から買い取ってリフォームなどを行って再販売します。買取・仲介どちらも取り扱っている不動産会社であれば売れ残ってしまう心配はないでしょう。
海外在住者が不動産売却をするにあたって、これまでに海外在住者(非居住者)の対応実績がある不動産会社であれば手続きがスムーズに進められ、不安なく売却活動できるのでおすすめです。
海外在住者が不動産売却するケースでは通常と異なり、あらかじめとっておく手続きや準備が必要な書類もさまざまあります。
そのため、海外在住者の不動産売却実績があると、滞りなく売却活動ができるでしょう。なお、海外からの不動産売却に慣れている司法書士と提携している不動産会社であれば、納税管理人の依頼もスムーズにできるので安心して売却活動が進められます。