不動産売却のノウハウ

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不動産売却後の確定申告を自分でする方法|
手順・必要書類・注意点まとめ

不動産を売却して利益が出たときは、原則として確定申告をしなければなりません。

確定申告は年間の所得にかかる納税額を計算し、税務署へ申告して納付する手続きです。会社に勤務されている方の場合、給与にかかる所得税は会社が計算や納税などをしてくれるため、確定申告にはなじみのない方も多いでしょう。

確定申告は税理士などの専門家に依頼できますが、費用を節約したいときは自分で申告できます。不動産を売却後に確定申告をするときの手順や必要書類、注意点などを解説します。

不動産お役立ちコラム 不動産売却

2025年12月3日

目次

不動産を売却しても確定申告が不要なケース

不動産を売却しても、すべてのケースで確定申告が必要とは限りません。確定申告が必要となるのは、不動産を売却して譲渡所得が発生したときです。

不動産を売却したときに確定申告が必要なケースと不要なケースをそれぞれ確認していきましょう。

確定申告が必要になる場合

確定申告が必要になるのは、以下のケースです。

  • 不動産を売却したときの譲渡所得がプラスになるとき
  • 特例制度を利用して納付額を軽減するとき

不動産を売却したときの譲渡所得は、以下の式で計算します。

譲渡所得=不動産の売却価格-不動産の取得費用-不動産の譲渡費用

不動産の取得費用は、不動産を購入したときの代金などです。不動産の譲渡費用は、不動産を売却したときにかかった仲介手数料や登記費用、印紙税などが含まれます。

不動産の売却価格から、取得や譲渡にかかった費用を控除した残高がプラスになったときは確定申告をしなくてはなりません。

不動産売却については税負担を軽減できる特例制度が複数あり、利用するときも確定申告が必要です。特例制度の内容は、次章以降で詳しく解説します。

確定申告が不要な場合

不動産を売却しても譲渡所得が発生しないときは、確定申告は必要ありません。たとえば、もともとの取得価格と比べて売却価格が低くなり、損失が発生してしまった場合などです。

不動産所得が複数あり、損失を他の不動産所得で相殺するときは確定申告が必要です。特例制度の利用によって譲渡所得がゼロになったときも、確定申告が必要なので注意しましょう。

不動産売却後に自分で確定申告するときの手順

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確定申告を自分で行うときの手順は、主に以下のとおりです。

  • 必要書類を用意する
  • 不動産売却で適用できる特例制度を確認する
  • 確定申告に記載する納税額を計算する
  • 確定申告書の必要事項を記入する
  • 期間中に確定申告書を提出する

それぞれの内容やポイントとなるコツを確認していきましょう。

必要書類を用意する

確定申告で必要となる書類は以下のとおりです。

  • 売買契約書(不動産購入時と不動産売却時のもの)
  • 確定申告書の第一表、第二表、第三表
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 不動産の取得費用がわかる書類
  • 不動産の譲渡費用がわかる書類
  • 不動産の登記事項証明書
  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)

確定申告に関する書式は、税務署の窓口や国税庁のホームページでダウンロードできます。不動産の登記事項証明書は、所有権移転登記が完了して名義人が買主になったものを法務局で入手しましょう。

不動産売却で適用できる特例制度を確認する

不動産を売却したとき、要件を満たすと以下のような特例制度を利用できます。

特例制度とその内容

特例制度 内容
居住用財産の3,000万円特別控除 居住用財産を売却したとき、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる
所有期間10年超の居住用財産を譲渡したときの軽減税率の特例 所有期間が10年超の居住用財産を譲渡したとき、税率を大幅に軽減できる
特定の居住用財産の買換え特例 居住用の不動産を買い替えたとき、課税の繰り延べができる
居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 譲渡損失が発生したとき、源泉徴収税額を還付できる
居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 売却した不動産の住宅ローン残高が売却価格より大きいとき、課税の繰り延べができる

居住用財産とは現在自分が住んでいる自宅や、転居してから3年後の12月31日までに売却した自宅です。

特例制度は適用するための要件が定められており、他の特例制度や住宅ローン控除との併用ができない場合があるため、事前に専門家へ確認しましょう。

確定申告に記載する納税額を計算する

居住用の中古マンションを売却した場合について、譲渡所得税の計算例を確認していきましょう。前提条件は次のとおりです。

  • 売却価格:1,500万円
  • 取得費用:1,000万円
  • 譲渡費用:50万円
  • 仲介手数料:56.1万円
  • 所有期間:15年
  • 印紙税:1万円
  • 所有期間(譲渡年の1月1日時点):8年
  • 居住用財産:該当
  • 3,000万円特別控除の特例:適用あり

また、税制も忘れてはいけません。特例や控除まず、譲渡益(もうけ)を計算します。譲渡益は、売却価格から取得費と売却時にかかった諸費用を差し引いた金額です。

譲渡益=売却価格1,500万円-(取得費用1,000万円+仲介手数料56.1万円+譲渡費用50万円+印紙税1万円)=392.9万円

3,000万円特別控除の適用

この物件は居住用財産に該当するため、「3,000万円特別控除」を利用できます。これは、譲渡益から最大3,000万円まで控除できる制度です。

課税譲渡所得=譲渡益392.9万円−特別控除3,000万円=0円以下(課税なし)

このように、課税される譲渡所得が0円以下になるため、譲渡所得税は発生しません。ただし、特別控除を受けるためには確定申告が必要です。

非居住用財産の場合

一方、もし売却した物件が非居住用財産である場合は、3,000万円特別控除は使えず、譲渡所得税が発生します。

譲渡所得税 = 譲渡益 392.9万円 × 税率 20.315% = 798,176円

このように、居住用かどうかで課税額が大きく変わります。特別控除の有無を確認したうえで、適切に確定申告を行いましょう。

確定申告書の必要事項を記入する

国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すると、初めて確定申告をする方でもわかりやすい案内に沿って確定申告書を作成できます。

画面の案内にしたがって金額等を入力すると、必要な納付額が自動計算されます。初めての確定申告で不安があるときは、積極的に利用するとよいでしょう。

参考:国税庁「確定申告書等作成コーナー

期間中に確定申告書を提出する

確定申告書を提出する方法は、以下の3つがあります。

  • 税務署の窓口で提出する
  • 税務署へ郵送で送付する
  • e-Taxで電子申告する

電子申告を利用すると自宅から確定申告できますが、事前の登録や準備などが必要です。

初めて確定申告をするときは、税務署の窓口で提出すると書類の不備なども確認してもらえるためおすすめです。

不動産売却後に確定申告を行うときの注意点

確定申告を行うときは、以下の点に注意しましょう。

確定申告を忘れるとペナルティがある

不動産を売却したときに譲渡所得があるにもかかわらず確定申告をしないと、税務署から以下のペナルティを受けるおそれがあります。

ペナルティの種類とその内容

ペナルティの種類 内容
延滞税 期限の翌日から完納日までの日数に最高14.6%の税率を乗じた額が加算
無申告加算税 納付税額のうち50万円以下の部分は15%、50万円超~300万円の部分は20%、300万円超の部分は30%が加算
※税務署の指摘前に申告したときは5%に軽減
重加算税 納付税額に40%を乗じた額が加算

重加算税は税務署から指摘があるまで申告がなく、意図的に隠ぺいをしたとみなされたときに受けるペナルティです。

確定申告の期限後であっても、自ら申告をしたときはペナルティが軽減されるケースもあります。

確定申告を忘れてしまったときや不足額があるのに気付いたときは、できるだけ早く税務署に連絡して納付しましょう。

自分で対応するのが難しい場合はプロに相談する

自分で確定申告をするのが難しいときは、専門家へ依頼するのがおすすめです。専門家に依頼すると、必要書類や申告方法などを調べる必要がなく、負担を大幅に軽減できるでしょう。

会社員などの個人が税理士に確定申告を依頼するときは、手数料が5~10万円ほどかかります。

確定申告で困ったときは、不動産会社にも相談できます。不動産会社に相談すると、簡易な内容であれば無料で対応してもらえるケースもあります。

不動産の売却だけでなく、売却後の確定申告などもあわせて相談し、手続きを円滑に進めていきましょう。

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