不動産売却のノウハウ
住み替えの成功を左右する大切な要素のひとつが「資金計画」。住み替えには、物件の購入費用のほかに、さまざまな諸費用もかかります。また、住み替えの際、先に新居を購入するのか、その前に現在の住まいを売却するかによっても資金計画の立て方が異なってきます。そこで、今回は資金計画の立て方や注意したいポイントを具体的にご紹介いたします。
2019年3月27日
住み替えには、新しい住まいの購入資金のほか、現在の住まいの売却にかかる諸費用、
また、場合によっては仮住まいにかかる費用などを準備する必要があります。
まずは、資金計画を立てる上で必要となる住み替えの際に発生する諸費用についてご紹介いたします。
不動産を売却する際には、次のような諸費用がかかってきます。
不動産仲介会社に売却を依頼し、不動産売買契約が成立した際にかかる費用です。
仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限が定められており、
売買価格が、200万円以下の場合には、売買価格×5%+消費税、
200万円を超え400万円以下の部分は売買価格×4%+消費税、
400万円を超える部分は、売買価格×3%+消費税、の計算式により仲介手数料の上限額の算出が可能となります。
なお、売買価格が400万円を超える場合には、
売買価格×3%+6万円+消費税の速算式でも同様の結果を算出することができます。
売却をおこなう不動産に住宅ローンなどの抵当権が設定されている場合には、抵当権抹消登記費用がかかってきます。
また、不動産の登記上の住所と現住所が異なっている場合には、住所変更登記をおこなって両者を一致させることが必要となりますので、
抵当権抹消登記手続きと同様に費用がかかることとなります。
登記手続は、通常、司法書士などの専門家に依頼をおこないますので、専門家への報酬と登録免許税が登記費用の内訳となります。
不動産売買契約書には収入印紙の貼付が必要となります。
必要な印紙税額は不動産売買契約書の売買価格により異なってきます。
例えば、売買価格が1,000万円超~5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超~1億円以下の場合は、3万円となります(2022年3月31日までの軽減措置)。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの |
400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの |
1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの |
2千円 | 1千円 |
500万円を超え 1千万円以下のもの |
1万円 | 5千円 |
1千万円を超え 5千万円以下のもの |
2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億万円以下のもの |
6万円 | 3万円 |
1億万円を超え 5億万円以下のもの |
10万円 | 6万円 |
5億万円を超え 10億万円以下のもの |
20万円 | 16万円 |
10億万円を超え 50億万円以下のもの |
40万円 | 32万円 |
50億万円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
不動産を売却して利益が出た場合の所得を譲渡所得といいます。
譲渡所得については、他の所得と分離して所得税と住民税が課税されますが、譲渡所得がマイナスの場合には課税されることはありません。
売却時に住宅ローンが残っている場合には、住宅ローンの残額を返済する費用を準備しておく必要があります。
また、住宅ローンの契約条件によっては、繰り上げ返済のために事務手数料などの費用が発生することもあります。
不動産の登記がなされた時期が古く土地境界位置が現況と相違している場合や、
当時の測量技術との差異で、地積(土地の広さ)が不動産登記簿(登記事項証明書)と現況が異なっている場合などには、土地部分の測量費用などが発生します。
また、古家(建物)を取り壊し、更地での売却を取引条件とする場合には、建物の取り壊しのための費用もかかります。
新居の購入代金は、住宅ローンを新規に借り入れることを想定し資金計画を立てることが多くありますが、
現金での支払いが必要な諸費用もありますので、次のとおりご紹介いたします。
不動産を購入する場合にも、不動産仲介会社に手数料の支払いが必要となります。
売却時と同じく、売買価格が400万円を超える場合の仲介手数料の上限額は、売買価格×3%+6万円+消費税となります。
土地・中古の建物については、所有権移転登記費用、新築の土地・建物については、所有権保存登記費用や表示登記費用などが必要となります。
また、住宅ローンを利用する場合には、抵当権設定登記費用が必要となります。
また、売却の場合と同じく登記手続は、通常、司法書士などの専門家に依頼をおこないますので、専門家への報酬と登録免許税が登記費用の内訳となります。
住宅ローンを利用する場合には、新居の購入代金を頭金+住宅ローンの借り入れ金額で資金計画を立てることが一般的です。
頭金の金額は、住宅ローンの商品やその他諸条件によっても異なりますが、目安として購入価格の1~2割程度を想定しておくことをおすすめいたします。
不動産売買契約書や住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)に収入印紙を貼付する必要があります。
購入の場合の不動産売買契約書については、売却時と同様の取扱いとなりますが、
住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)にかかる印紙税額は、
借り入れ金額が1,000万円超~5,000万円以下の場合は2万円、5,000万円超~1億円以下の場合は6万円となります。
不動産を取得した場合には、不動産取得税の納税が必要となります。
購入後半年~1年半ほどのタイミングで各都道府県から納税通知書が届きます。
また、不動産の所有者に課税される固定資産税や都市計画税については、
毎年1月1日時点における所有者に固定資産税・都市計画税の納税義務があります。
そのため、引き渡し完了日の前日までの税額を売主が、引渡し完了日以降の税額については買主が負担し
、引渡し完了日において互いに清算をおこなうことが一般的です。
その上で、当年分の固定資産税・都市計画税については、売主が納税をおこないます。
住み替えの場合には、先程ご紹介した諸費用のほか、新居への引っ越し費用、
また、新居の購入前に現在の住まいを売却する場合には、
新しい住まいに入居するまでの仮住まいの家賃などについても想定しておく必要があります。
住み替えの資金計画を立てるためには、これまでご紹介してきたさまざまな諸費用を想定し、
まずトータルでどの程度の資金が必要かを把握することからはじまります。
新居の購入費用や諸費用、確保できる自己資金、また、売却にかかる諸費用と売却代金についても想定した上で資金計画を立てていきましょう。
なお、住宅ローンの返済期間や借り入れ金額については、今後のライフプランを見据え、返済に無理のない計画としましょう。
また、買い替えの場合には、先に新居を購入する購入先行型と、現在のお住まいを先に売却する売却先行型がございます。
資金計画を立てるためには、どちらを先行するかによっても注意点が異なりますので、次のとおり確認しておきましょう。
購入先行型の場合には、仮住まいが不要というメリットがありますが、スケジュールによっては、
現在のお住まいの売却代金を購入時の支払いに充てることができない可能性があります。
そのため、資金計画には十分な余裕が必要です。
また、売却代金が確定していない段階で新居を購入することになるため、
当初想定していた資金計画で納まらなくなってしまう恐れがありますので、
事前に信頼できる不動産仲介会社による売却査定価格の提案を受けておきましょう。
なお、住宅ローンが残っている場合には、売却が完了するまで二重ローンとなることも考えられますので、それらを踏まえた資金計画としましょう。
売却先行型の場合には、不動産の売却代金を新居の購入代金に充てることができますので、資金計画は立てやすくなります。
しかし、お住まいの売却と新居購入のタイミングがあわなかった場合には、一旦仮住まいへ引っ越しし、
新居購入後に再び引っ越しすることが必要となりますので、仮住まいの費用や引っ越し費用を踏まえた資金計画としましょう。
購入先行型と売却先行型のメリット・デメリットについては、次の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてください。
住み替えの資金計画を立てるにあたっては、次の4つのチェックポイントを必ず確認しておきましょう。
資金計画を誤ってしまうと、資金不足で希望の新居を購入できず住み替えに妥協せざるを得なくなることや、
スケジュールどおりに買い替えができなくなる可能性もあります。
そのようなことにならないためにも綿密な資金計画を立て動くことが重要です。
住まいの買い替えをスケジュールどおり進めるためには、資金計画がより重要であることをご理解いただけましたでしょうか。
売却を先行させるのか、または、購入を先行させるのかによっても資金計画は大きく異なってきますので、
適正な売却査定価格を提案できるパートナー(不動産仲介会社)が必要です。
まだ、住み替えを決めていなくてもまずは、住み替えを検討されているご事情を不動産仲介会社に相談し、資金計画を試算するところからはじめてみましょう。
信頼できる不動産仲介会社であれば、ご自身の売却ご事情を踏まえた買い替えのご提案をしていただけるでしょう。
小田急不動産では、訪問査定・簡易査定ともに無料で承っています。
お客様のご希望条件やご事情に応じて、最適なご提案をさせていただきます。
住み替えにともなう不動産の購入や売却をご検討なら、ぜひお気軽にご相談ください。