不動産売却のノウハウ
土地や建物などの不動産を相続する際、自らがその不動産の所有者であることを第三者に証明するには、不動産登記簿へ、その旨を登記しなければなりません。
不動産登記簿とは、不動産の情報や権利関係を明らかにするために作られた帳簿のことです。その不動産のある法務局が管理しています。
今年の法改正で、相続で不動産を取得した人に対して、所有権の移転登記が義務付けられることとなりました。施行は2024年以降の予定ですが、移転登記を怠ると、不動産の持ち主が誰か分からなくなるという事態に陥ります。そのため、登記は必ず行うことをおすすめします。
そこで今回は、土地の相続登記の事前準備や必要な書類について、詳しく説明します。
2021年12月13日
土地を相続することになったら、不動産登記の手続きを行う前に確認しなければいけないことがいくつかあります。
相続では、亡くなった人のことを被相続人、財産を相続する親族等のことを相続人と言います。
被相続人が亡くなった後、まずは、以下の全容を確認することが必要です。
相続人を確認するためには、被相続人の生前中の戸籍謄本や除籍謄本を集める必要があります。取得方法は後述しますが、前妻との間に子どもがいないか、認知している婚外子がいないかなど、相続人の可能性がある人を確認しましょう。
相続財産を確認するためには、被相続人の元に届いた書類などから、以下の遺産がないかを確認していきます。念のため、各銀行や保険会社に問い合わせも並行して行いましょう。
相続人と相続財産が分かれば、あとはどう遺産を分けるかを決めるだけです。
被相続人の遺言書がある場合、原則その内容に従って遺産分割が行われます。まずは遺言書があるか、その遺言書が法律的に効力を持っているかを確認しましょう。
以下のような場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、その内容を「遺産分割協議書」にまとめます。
相続では「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3種類の分割方法があります。
現物分割とは、実家は長男、現金は次男、車と預貯金は三男というように、実際の物を各相続人で分割する方法です。
代償分割は、相続する遺産が分割困難な場合に行われる、長男がその不動産を相続し、次男と三男には相続分に見合った相応の金銭を長男から支払うという分割方法です。たとえば遺産が不動産しかない場合などがあてはまります。
現物分割や代償分割の場合、不動産を相続するのはひとりなため、所有権移転登記もそのひとりが単独で行います。
換価分割とは、不動産を売却し現金に換えた後、相続人で現金を分割する方法です。売却までには時間を要するため、不動産は共有名義で相続し、その共有持ち分に応じて現金を受け取ります。
この場合、所有権移転登記は共有者全員で行います。
実際に土地を相続する場合の、所有権移転登記の流れは以下のとおりです。
自分で手続きすることも可能ですが、平日の日中に役所や法務局に行かなければならないなど手間がかかります。また、特殊な知識が必要なため、初心者では正しく登記手続きできない可能性もあります。
司法書士に依頼すれば、必要書類をそろえるだけで手続きが済むためおすすめです。
土地の相続登記に必要な書類は、以下のとおりです。
順番に確認していきましょう。
相続の対象となる不動産についての書類である「登記事項証明書」と「固定資産評価証明書」が必要です。
登記事項証明書には、相続する家や土地の情報のすべてが記載されています。
不動産が存在する住所を管轄する法務局へ申請することで、取得できます。遠方の場合は郵送でも取り寄せることができます。
固定資産評価証明書には、不動産の評価額が記載されています。
不動産が存在する市区町村の役所へ申請することで、取得できます。こちらも郵送でも取り寄せることができます。
誰がその不動産を相続するかを証明する書類として、遺言書もしくは遺産分割協議書が必要です。
遺産分割協議書はインターネット上にひな形があります。それを参考に作成し、相続人全員に署名と捺印を行ってもらいましょう。
遺産分割協議書は、相続人それぞれの保管分や関係各所への提出分、予備分など相続人の数より少し多めに作成しておくと安心です。
相続する権利のある人を確認するため、被相続人の戸籍謄本と住民票が必要です。
戸籍謄本は、本籍を置いたことのある市区町村ごとに作成されています。被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本を集めなければなりません。
被相続人が本籍を置いたことのある市区町村の役所に届け出ることで、取得できます。郵送でも対応可能ですが、転籍が多いほど取得する数が多く手間がかかります。
住民票は、被相続人が最後に居住していた市区町村の役所で取得できます。被相続人はすでに亡くなっているため、「住民票・除票」を請求します。
被相続人との関係を示す資料として、相続人全員の戸籍謄本と、不動産を取得する人については住民票が必要です。
なお、戸籍謄本や住民票などの書類は、預貯金を相続するために金融機関に提出する際にも求められます。銀行によっては確認した後、返却してもらえます。費用を削減するために、返却の可否は確認しておきましょう。
戸籍謄本は、財産を相続する権利がある人全員を把握するために、不動産を相続しない人も含め、全員分が必要です。
それぞれの相続人が本籍を置く市区町村役場から取り寄せます。
不動産を取得する相続人については、住民票も必要です。
住民票は、現住所の市区町村役場から取り寄せます。その際、「本籍、続柄等の全ての記載あり」、「世帯全員分」のチェックを入れるようにしましょう。
ここからは、不動産を相続する際に注意すべきポイントを2点解説します。
相続税には、各種控除の制度があり、土地を相続したら必ず相続税を納めるわけではありません。
しかし、相続税が発生する場合は相続発生時から10カ月以内に収める必要があります。そのため、あらかじめ必要となる現金を用意しておきましょう。
代表的な控除は以下のものがあります。
不動産を含めた遺産の合計が、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に収まる場合、相続税は免除されます。
被相続人の配偶者は、相続財産のうち、1億6,000万円と配偶者の法定相続分のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。
被相続人が住んでいた土地などについて、一定の要件を満たす人が相続した場合には、土地の相続税評価額を80%または50%減額できます。
なお、不動産の評価額は土地と建物それぞれについて、以下を使って計算します。
しかし、正確性を期すためには、税理士や税務署の窓口などに相談することをおすすめします。
不動産を相続するということは、良いことばかりではありません。住む予定のない空き家を相続すると、固定資産税や修理費用などでなにかとお金がかかります。
自ら活用する予定がないのであれば、相続とともに売却し、現金に換えることをおすすめします。
不動産を売却する方法は、2つあります。
どちらの場合でも、まずは不動産会社に価格査定してもらうところから始まります。必ず、信頼できる専門業者に依頼するようにしましょう。
不動産売却の流れについてはこちらでご紹介していますので、ぜひご覧ください。