不動産売却のノウハウ

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相続不動産を売却する際の流れ。手間のかかる名義変更や税金についても紹介

相続不動産の売却手続きは、一般的な不動産売却手続きに比べて手間が多くなりがちです。
その中でも、特に手間のかかる工程が名義変更といわれています。

では名義変更はどういった工程を踏む必要があるのでしょうか。

はじめて不動産を相続し、物件を売却する方でもわかりやすいように売却方法や名義変更について解説します。

2022年2月10日

目次

相続不動産を売却する流れ

相続不動産を売却する流れを詳しく説明します。

相続して最初にやること

不動産の相続があれば、しばらくは慌ただしい日々を過ごすことになりますが、それでも法律上、相続には期限が決められています。

被相続人が亡くなったと知った日から、10カ月以内に相続税の申告及び納税をする必要があります。

被相続人が遺言書を書いている可能性もありますので、まずはそれを確認します。

公正証書遺言の場合は公証人役場に保管されています。万が一、被相続人の自宅などで遺言書を発見しても開封してはいけません。

万が一、開封をしてしまうと過料を科される可能性があります。遺言書を見つけたら速やかに家庭裁判所に検認を依頼しましょう。検認とは裁判所に、遺言書の有無を確認させ、保存するための手続きです。

不動産会社に売却を依頼する

相続不動産を売却する予定であれば、まず不動産会社に相談しましょう。

不動産会社によっては、無料で売却金額査定をしてくれる会社があります。会社によっても査定額が違うので比較することが大切です。

最終的に見積もりを比較したときに、査定金額が一番高い会社を選ぶ人がいますが、安易な決定には注意が必要です。査定額をあえて相場より高くし、あたかも他の不動産会社よりも高く売れるような査定書を作る会社があります。

しかし、実際に売り出してみると全く反響がなく、売れるまでの時間が予定よりもかかり、徐々に価格を下げていき、最後には相場より安い金額で売却せざるを得なくなったというケースもよく聞く話です。

相続税路線価や固定資産税路線価、周辺の取引事例を明確に説明し、根拠ある査定金額を提示するところを選びましょう。

相続不動産を売却する時の注意点とは?

相続不動産を売却する際の注意点を2つ説明します。

売却するタイミングは相続税申告期限から3年以内

3年以内に売却すると「相続税の取得費加算の特例」というものが適用できます。

簡単にいうと、納めた相続税を、土地や建物の財産を売った際の経費(取得費)として認めるということです。

ただし、この特例を受けるには下記の要件を満たしていることが必要です。

  • 相続や遺贈で財産を取得したもの
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  • その財産を相続開始があった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

通常の譲渡所得税は、売却費から経費を引いた利益に対してかかります。この特例を使うと相続税は経費としてみなされるので譲渡所得税が安くなります。

亡くなった人の名義では売却できない

不動産売買契約締結の際に、相続人が決定していないなどの理由で「相続人代表」として契約を締結するケースがありますが、不動産を引き渡す際には新しく名義変更を行う必要があります。

名義変更をしないと、不動産を売却することができないので、不動産売買契約書の内容に「相続登記完了」を停止条件とすることがよくあります。

停止条件とは、将来発生することが不確実な事実を契約等の効力の発生要件とする場合の不確定な事実をいいます。
この場合では、「名義変更ができたら契約を締結する」といった内容で契約が結ばれ、名義変更が無事終えれば、契約の効力が生じることになります。

売却するには名義変更が必要?

不動産を売却するには、売主の売却する意思表示と買主の購入する意思表示が必要です。
先述しましたが、相続が発生した際、名義変更をしていないと不動産を売却することができません。

相続で一番大変なのは名義変更?

日本トレンドリサーチの「家の相続に関する調査」によると相続で一番大変だったことは名義変更する時と答えた人が多くいます。

不動産の相続登記を行う際は、相続人全員で話し合いをする必要があります。相続人を単独名義にするのか、共同名義にするのかなど決めるべきことはたくさんあります。

この話し合いの際にもめることが多くなります。

相続人全員の話し合いの中で所有者を誰にするのかをあらかじめ決めていればよいのですが、今まで音信不通だった兄弟がいきなり相続人を主張してきたり、売却の際の金額に対して異議を申し立てたりしてきます。

このようなことを防ぐためにあらかじめ相続人全員で話し合いをしておく必要があります。

名義変更の手続き方法

不動産を相続した際の名義変更の手続き方法は以下のとおりです。

  1. 登記事項証明書の取得
    法務局に行けば登記事項証明書の取得が可能です。念のため名義変更の対象となる不動産の登記事項証明書の確認を行いましょう。
    その際、登記簿上の名義人が亡くなった人の親や祖父母になっている場合があります。
  2. 相続人調査 
    亡くなった人の戸籍謄本から相続人を調べます。相続権利は続柄によって決まります。そのため、亡くなった人に兄弟や隠し子がいれば相続人になる可能性もあります。
  3. 必要な書類の収集
    相続対象の不動産と相続人の確認を済ませたら法務局へ申請する提出書類を入手する必要があります。
    遺言書がある場合や、遺産分割をするかどうかで提出する書類は変わってきますので事前に確認しておくことをおすすめします。
  4. 提出書類の作成
    遺言書や法定相続によらない相続の場合、相続人全員から遺産分割協議書に実印を押してもらいます。
    このように名義変更の手続きは必要な書類を取得するなど相続の種類によってやり方が変わってきます。一般の人が行うには大変な作業です。

専門家に相談してみる

相続登記の専門家である司法書士に依頼する場合もあります。司法書士に依頼する場合は必要書類を集めたり他の相続人に印鑑をもらったりしてくれます。 もちろん専門家にお願いをするので費用がかかります。
司法書士によっても異なりますが、戸籍謄本と必要書類の取得から法務局への登記申請までの手続きをお願いした場合、約8万~15万円です。

相続登記を自分で申請した場合、書類の不備などがあれば再提出をする必要が何度もあります。時間と手間を考えればプロである司法書士にお願いすることをおすすめです。

相続不動産を売却する際に必要な税金とは

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相続不動産を売却する際に必要な税金がいくつかあります。不動産を売却したお金が全て入ってくるわけではありません。その中でも、相続税や不動産譲渡税について説明します。

不動産を相続したら相続税がかかる

亡くなった人の財産を家族などが引き継ぐことを遺産相続といいますが、遺産相続が一定額を超えた場合相続税が発生します。

法律により、基礎控除額というのが決められているので、遺産の総額から基礎控除額を差し引いた額に課税されます。

自分で税金を計算し、納付書を作成する必要があります。相続開始日から10カ月以内に相続人自身が金融機関などに納付します。

不動産を売却したら不動産譲渡税がかかる

不動産を売却した場合、不動産譲渡税がかかります。不動産の所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得といって所得税が30%かかります。

所有期間が5年超の場合、所得税の税率は15%です。これに住民税が、短期譲渡所得の場合9%、長期譲渡所得の場合5%上乗せされます。

所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

特別控除により税金がかからない可能性も

不動産を相続し、売却した場合に一定の要件を満たせば3,000万円の特別控除というものを使うことができます。

居住用財産を相続した場合と空き家を相続した場合で、適用条件が異なります。
詳細は国税庁の「マイホームを売ったときの特例」と「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を確認してみてください。

どちらも要件を満たせば3,000万円まで控除されます。不動産の売却益が3,000万円を超えることはそこまで多くありません。この3,000万円控除を適用できれば多くの場合に譲渡所得税を払わなくて済みます。

しかし、相続不動産の売却を自分で行おうとすると必要書類が複雑だったり手続きが難しかったりと大変なことが多いです。

不動産業者や司法書士、税理士などの専門家へ一度相談し、スムーズな相続不動産の売却を行いましょう。

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