不動産売却のノウハウ

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相続した土地はすぐに売却するとよい理由は?
税金の特別控除や確定申告のポイント

両親から土地を相続したものの、特に活用する予定がない場合、どのようにすればよいのでしょうか。

不動産は保有するだけでも固定資産税がかかるため、活用する予定がないのであれば売却するのもひとつの選択肢です。一定期間内の売却であれば、税金の特別控除が受けられるため、売却するのであればその期間内にしましょう。

そこで今回は、相続した土地をすぐに売却すると受けることができる特例を2つ紹介します。実際の売却方法や確定申告の方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

2022年2月10日

目次

相続した土地をすぐに売却すると特例が受けられる

「取得費加算の特例」と「空き家の3,000万円特別控除」の2つを紹介します。

取得費加算の特例

取得費加算の特例は、相続財産を譲渡した場合の取得費に関する特例です。

不動産(土地・建物)や株式などの財産を第三者に譲渡した場合、その譲渡所得に対して所得税が発生します。この譲渡所得は、土地や建物を売った金額から取得や譲渡にかかった費用を差し引いて計算します。

相続で取得した不動産や株式などの財産を一定期間以内に譲渡した場合、相続税額のうち一定金額を取得費に加算できます。

取得費が増えると譲渡所得は下がるため、不動産譲渡にかかる譲渡所得税を節税できます。

この特例の適用要件は以下のとおりです。

  • 相続や遺贈により財産を取得した者であること
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  • その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

つまり、相続した土地を3年以内に売却することで受けられる特例のため、手続きなどにかかる期間を想定して早めに行動することが大切です。

詳しくは国税庁のページ「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」をご確認ください。

空き家の3,000万円特別控除

土地を相続した際、親が住んでいた家が建っているケースもあるでしょう。

空き家の3,000万円特別控除は、被相続人の居住用財産(空き家)を売った時に受けられる特例です。

被相続人が居住していた家屋や土地を売却する場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できます。

この特例を利用すれば、不動産の譲渡で利益が出たとしても、実質3,000万円はなかったことにできるため、節税効果は大きいといえます。

ただし、この特例には各種要件が必要になります。

たとえば家屋を譲渡した場合、特例の対象となるためには相続の開始直前において被相続人が居住しており、かつ次の3つの要件すべてに当てはまる必要があります。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

また、売却の期間も以下のように制限があります。

  • 平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間の売却であること
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

そのほかにも細かい要件があるため、国税庁のページ「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご確認ください。

特例以外にも、相続した土地の早期売却をおすすめする理由

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不動産譲渡所得の特例以外にも、相続した土地をすぐに売却することをおすすめする理由があります。

相続トラブルを避けられる

現金と違い、現物である不動産は分割が困難です。

もちろん兄50%・弟50%というように共有名義で相続することも可能です。しかし、共有名義の相続は後々トラブルとなる可能性が高くおすすめできません。

土地を共有名義で相続した場合、発生するランニングコストの負担者や、実際に空き家に居住するのはどちらかなどを決める必要があります。その結果、不動産保有のメリットを享受するのは片方だけになる場合もあります。

また、相続が重なるごとに共有する人が増えるため、将来的には会ったこともない親戚と土地を共有しているということにもなりかねません。

そのため、相続する遺産が現物である不動産しかない場合は、すぐに売却してその金額を相続人で分け合うことをおすすめします。

維持費がかからない

不動産は株式などとは異なり、保有しているだけでさまざまなコストが発生します。

代表的なものとして、固定資産税、建物にかかる火災保険料があります。マンションの場合はこれに維持管理費や修繕積立金が発生します。戸建ての場合は何年かに一度、外壁や屋根の塗り替えなどで修繕費が発生します。

不動産の活用方法は自分で住むか、人に貸すか、売却するかの3択です。

相続したにも関わらず使う予定がない場合、上記のようなランニングコストは自身の資金を減らし続ける要因となるでしょう。

そのため、使う予定がない不動産は早々に売却することをおすすめします。

相続した土地をすぐに売却する方法

それでは、ここからは相続した土地をすぐに売却する方法について順を追って解説していきます。

遺産分割協議

相続が発生すると、まずは、被相続人の残した遺産をどう分け合うかを決定しなければなりません。

被相続人が残した遺書がある場合は原則それに則って遺産を分けます。そうでない場合は、相続人同士の話し合いである「遺産分割協議」で分割方法を決定します。

遺産分割協議に法律上の期限は設けられていませんが、一般的には相続税の申告期限である「相続開始後10カ月以内」に成立させる必要があります。

遺産には、現金や預貯金、株式、国債、不動産などのプラスの資産と、借金などのマイナスの負債と両方あります。相続税は現金で一括納付と決められており、資金を用意するのに苦労する場合があります。

そのため、早めに遺産分割を行い、土地を売却して現金化しておくとよいでしょう。

遺産分割協議で決定した内容については、遺産分割協議書という書類にまとめ、相続人全員が保管しておきます。この遺産分割協議書は、不動産の名義変更に必要です。

売却の手続き

不動産の売却方法については、一般へ広く売りに出す方法と、不動産会社に直接買い取りしてもらう方法の2種類あります。

一般へ広く売りに出す方法は、高い価格で売却できる可能性があるものの、買い手が現れない限りいつまでも売却できない可能性があります。

一方、不動産会社の直接買い取りは一般より低い価格になるものの、査定した金額で即座に買い取ってもらえます。そのため、現金を早く入手したい場合はこちらがおすすめです。

相続税の納付期限が迫っているにも関わらず、十分な現金がないという場合には、すぐに売却できる不動産の直接買い取りがよいでしょう。

確定申告について

土地などの不動産を売却して利益を得た場合、その所得に対して所得税が発生します。

不動産の譲渡所得は、次のように計算します。

不動産譲渡所得=不動産売却による収入-(取得費+譲渡費用)

たとえば、不動産が5,000万円で売れたとしても、その不動産を被相続人が購入した際の代金や費用(取得費)が4,500万円、さらに相続人が売却する際の費用(譲渡費用)が500万円かかっていた場合の譲渡所得は以下のようになります。

不動産譲渡所得=5,000万円-(4,500万円+500万円)=0円

そのため、この場合譲渡所得は発生しません。

また、ご紹介した特例を用いることでも、譲渡所得を減らし、所得税の発生を避けることも可能です。不動産譲渡を行った年の確定申告で、所轄税務署に必要書類を添えて提出することで利用できます。

専門家に相談しよう

現物である土地は分割するのが困難なため、活用する見込みがないのであれば売却することがおすすめです。

売却で利益が出た場合は譲渡所得税が発生しますが、各種特例を活用することができれば、所得税を発生させることなく譲渡することも可能です。

しかし、不動産の売却でも特に相続に関するものは、手続きが複雑です。

また、そもそも相続した土地が売却できるものなのか、売却する場合はいくらで売れるのかを知ることが重要です。

土地などの不動産を相続した場合はまず、自身の状況に合わせた提案を行ってくれる、信頼できる不動産会社に相談してみましょう。

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