不動産売却のノウハウ

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相続登記の義務化はいつから?対象者や過去の相続への遡及はどうなる?

相続登記とは不動産の所有者がなくなった際に、新しい所有者の名義に変更する手続きのことです。
これまで長い間、この名義変更が義務ではありませんでした。そのため、相続が発生した不動産の所有者がわからない、所有者不明の土地が増えてきました。
現状の制度のままでは、今後も所有者不明の土地が増えることが予想されるため、2024年4月1日から、相続登記を義務化する流れとなりました。
本記事では、この相続登記の義務化について詳細に解説します。また、過去に相続した不動産の扱いも併せて確認してみましょう。

2022年3月31日

目次

相続登記はいつから義務化される?

相続登記はなぜ義務化されることになったのでしょうか。相続登記の役割から背景を考えてみましょう。

相続登記とは?

相続登記とは、所有者が亡くなった不動産に対し、登記簿に記載されている名義を変更することです。

不動産は、法務局が登記記録によって管理しています。登記記録には、不動産に関する以下のような情報が記録されています。

  • 所在地
  • 面積
  • 所有者の氏名と住所

不動産の所有者が亡くなれば、その不動産を持つ権利である所有権は相続した人に移転します。その移転した記録を残し、登記記録を公示することを相続登記といいます。

相続登記の義務化とは?

今までは、相続登記は義務ではありませんでした。そのために、所有者が亡くなっても登記記録が変更されないままになっている土地がありました。

現在は人口減少や高齢化が進んだことで、土地活用の機会が減少しています。登記記録は土地を売ったり、貸したりする時にその権利を証明する役割を果たしますが、そもそも活用機会がないのであれば証明する必要もないため、相続登記もしない人が増えてしまいました。

こういった背景で、所有者不明の土地が増加し、管理されない土地が災害につながったり、公的な土地利用の邪魔になったりすることが社会的に認知されるようになりました。

相続登記が義務化された背景にはこうした事情があるのです。

所有者不明の土地とは以下のような土地のことです

  • 不動産登記簿に所有者が記載していない土地
  • 所有者と連絡がつかず、所在不明となっている土地

公共事業を進める場合、工事が必要な土地があれば、その所有者に許可を得なければいけません。所有者不明の土地があると、許可を得ることができないため、工事が進められません。そのため、公共工事を円滑に進めるためには、土地の所有者を明確にしておくことが必要です。

今後さらに、高齢化によって所有者不明の土地が増えることが予想されるため、相続登記が義務化されることになりました。

2024年4月1日から開始

相続登記は2024年4月1日から義務化されます。

義務化自体は2021年に決まっていましたが、実際に施行される日は決まっていませんでした。2021年12月14日の閣議において、2024年4月1日からの施行が決定しました。

相続登記の義務化を解説

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登記には期限が設定されており、期限を超えた場合は罰則もあるため、条件を理解しておくことが大切です。

また義務化とともに、提供する情報や手続き方法も変更されています。ここでは、相続登記義務化の概要や、義務化による問題点について解説します。

対象者

相続登記義務化は相続された不動産を所有する全員が対象者です。

法改正前に相続を開始した場合は、義務化の対象にならないと思っている方もいるかもしれませんが、そうではありません。

相続登記の義務化は、所有者不明の土地をなくすという背景から始まりました。そのためにも、相続開始時期がいつであろうと相続登記をする必要があります。

また、住所を変更した場合にも不動産登記が必要なので、注意しましょう。

登記の期限

相続登記は、相続開始または所有権があることを知った日から3年以内に行う必要があります。遺言により所有権を得た場合も同様です。

法改正前に不動産を相続されていた場合でも、法改正後に不動産の所有者になっていた事実を知った日から数えて3年以内が期限です。

住所変更があった場合は、住所変更した日から2年が登記期限です。

相続人申告登記

遺産分割協議でもめた場合、相続人申告登記ができるようになりました。

遺産相続では、分け方でもめてしまい、期限である3年を超えてしまうケースも珍しくありません。遺産分割協議が終わらない場合のために、相続人が相続の開始を申請することで、仮の相続登記をしたとみなす「相続人申告登記制度」が設けられます。

ただし、あくまでも仮の相続登記になるため、相続人決定後は正式な登記手続きが必要です。

登記をしないとどうなる?

相続登記を怠った場合、正当な理由がなければ10万円以下の科料が発生します。

もし、相続人がなかなか決まらず、期限以内に相続登記ができない場合、仮の登記である「相続人申告登記」をすれば科料は発生しません。

ただし、その後に相続人が決まれば、その日から3年以内に相続登記をしなければなりません。この申請を怠った場合も、10万円以下の科料が発生しますので、注意しましょう。

また、住所を変更した場合、登記期限の2年を超えると5万円以下の科料対象になります。

生年月日や連絡先の提供

相続登記の義務化とともに、生年月日や連絡先の提供も義務化されました。

これらの情報は、登記簿には記載されません。法務局により、住民基本台帳ネットワークに検索用データとして保管されます。

また、法務局は住民基本台帳ネットワークから登記簿の所有者が亡くなっていることを把握した場合、死亡情報を登記簿に記録します。

ただし、相続登記をしなくてよいわけではないので、注意が必要です。

相続手続きの簡略化

今までの相続登記では、複数の相続人がいる場合、全員の戸籍を集めなければ登記手続きができませんでした。

法改正により、相続人が複数いた場合でも、そのうちのひとりが申し出るだけで登記手続きができます。義務化によって負担が増える代わりに、手続きが簡単になったというわけです。

ただし、手続きが簡略化されることにより、正しく登記手続きができるのかといった懸念があることも事実です。

一定の条件を満たせば土地を手放せる

法改正により、一定の条件を満たした土地であれば、土地を国に手放せるようになります。

現在は、利用価値が低い土地の場合、買い手が見つからないことで固定資産税といった費用だけがかかるケースが発生していました。

しかし、国に10年分の管理費用を納入すれば、利用価値が低い土地であっても手放すことができます。

ただし、以下のような条件の土地は対象外になるため、しっかり確認しましょう。

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用、収益を目的とする権利が設定されている土地
  • 境界が明確ではない土地
  • 所有権について争いがある土地
  • 通常の管理に、過分の費用や労力を要する土地

義務化による問題点

相続登記の義務化による一番の問題点は、相続登記期限を超えた場合、10万円以下の科料が発生することです。

ただし、3年の期限設定自体が「所有者と知ってから」という少し曖昧な設定であるという指摘はあります。「知らなかった」という理由が認められるならば、実際に科料が発生するケースは少ないのかもしれません。

「過去に相続した不動産にも義務化が適用される」ことを周知できるかどうかが問題の鍵を握りそうです。

過去に相続した不動産はどうなる?

過去に相続した不動産への対応について解説します。

義務化前の相続も登記義務の対象

相続登記の義務化で重要とされているポイントは、過去に相続した不動産も相続義務の対象になることです。

相続登記が義務化された背景が「所有者不明の土地をなくす」ことであるため、法改正の前後問わず、相続された不動産すべてが相続登記の対象です。

不動産が相続されたことを知った日から3年という期限がありますが、数世代前までさかのぼって所有権を調査しなければならないケースもあります。その場合、相続登記完了までに時間がかかることを見越して、なるべく早めに着手しておきましょう。

法改正前でも売却時には相続登記が必要

法改正前であっても、不動産を売却するならば、必ず相続登記が必要です。

相続登記をしていない場合、後になって権利を主張する人が現れるリスクがあります。高額な取引となる不動産売買で、そのようなリスクのある取引は看過されません。

そのため、必然的に買主から相続登記を求められます。不動産売却時には、相続登記が必須になるわけです。

権利関係が複雑な場合は専門家に依頼しよう

相続登記は、何十年も未登記であった場合、関係する相続人の数が増えます。そのため、権利関係が複雑になることがしばしばあります。その場合、専門的な知識を持たない相続人たちだけで登記手続きを行うことは困難でしょう。

不動産会社や司法書士などの専門家に相談すれば、複雑で面倒な事例も経験しているため、柔軟な対応をしてもらえます。相続登記手続きを進めたいけど、複雑で難しいならば、一度専門家に相談してみましょう。

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