不動産売却のノウハウ

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不動産の相続トラブルでよくある事例を紹介。分割方法や対策とは?

亡くなった方の財産を引き継ぐ遺産相続に関するトラブルは、多額の財産を持つ裕福な家庭だけに起こるもの、そう考えている方もいるのではないでしょうか。

被相続人の自宅など不動産を巡る相続トラブルは、実はごく平凡な一般家庭でもよくあることです。

今回は、不動産の相続でよくあるトラブルの事例を元に、分割方法や対策などを解説します。

2022年4月5日

目次

  • 相続人の間で起こるトラブル事例
    • 不動産の分割方法でもめる
    • 現物分割で起こりやすいトラブル
    • 代償分割で起こりやすいトラブル
    • 換価分割で起こりやすいトラブル
    • 共有分割で起こりやすいトラブル
  • その他の相続トラブル事例
    • 被相続人が名義変更をしていなかった
    • 高額な譲渡所得税が課税される
  • 相続トラブルを回避する方法
    • 事前に話し合いをしておく
    • 共有分割を避ける
    • 不動産の取得費に関する資料を確認しておく
    • まずは不動産会社に相談してみよう

相続人の間で起こるトラブル事例

相続が発生すると、相続人同士で遺産分割協議によって遺産の分割を行います。

現金や株式などの金融資産は比較的スムーズに分割できますが、自宅などの不動産は公平に分けることが難しいため、たびたびトラブルに発展します。

今回は、不動産相続において相続人の間で起こりやすいトラブルの事例をご紹介します。

不動産の分割方法でもめる

不動産の分割方法には、以下の4種類あります。

  • 現物分割
    不動産をそのままの状態で分割して相続する方法
  • 代償分割
    相続人の中のひとりが不動産を相続する代わりに、ほかの相続人に代償金を支払う方法
  • 換価分割
    不動産を売却し、現金化してから公平に分割する方法
  • 共有分割
    現物分割の一種で、不動産を相続人全員の共有にする方法

相続人全員で、遺産をどのように分割するかを話し合う遺産分割協議を行います。

遺産分割協議において、複数の相続人が「現金で分けたい」「住み続けたい」「自分は住むことはできないが思い入れがあるため手放したくない」などと意見が分かれてしまい、なかなか話がまとまらないということはよくあります。

現物分割で起こりやすいトラブル

土地の場合は分筆してから相続できますが、土地の上に建物が建っている場合や、マンションの場合はそもそも物理的に分割できません。

そのため現物分割では、被相続人の遺産が自宅の不動産のみであったという場合、だれが相続するかでもめるおそれがあります。

また、土地を分割した場合も、どの区画をだれが相続するかという点でトラブルになることがあります。

代償分割で起こりやすいトラブル

代償分割は、事業や農業などの家業に活用していた不動産を相続するときや、被相続人と同居していた家族が自宅を相続するケースなどに有効な方法です。

しかし、家業を引き継ぐ相続人がほかの相続人に代償金を支払えないというケースがあります。

被相続人の財産が家業に利用していた自宅兼事務所のみであった場合、ほかの相続人が相続できる財産が著しく少なくなってしまうため、トラブルに発展しやすいです。

換価分割で起こりやすいトラブル

換価分割は、公平に分割しやすいというメリットがある反面、以下のようなデメリットがあります。

  • 相続人全員の合意形成が必要
  • 仲介手数料などの諸費用が発生する

また、売却金額で意見がまとまらないケースや、そもそも立地条件が悪くなかなか売れないケースもあります。

共有分割で起こりやすいトラブル

共有分割では、建物付きの土地やマンションも相続割合に応じて公平に分割できるため、遺産分割協議自体はスムーズに進みます。

しかし、その後売却したいときや修繕のタイミングに全員の合意が必要になるため、相続人間でトラブルに発展しやすいです。

また、相続を繰り返すたびに共有者が増え続けるため、権利関係が複雑化してしまい、将来的に管理が行き届きにくくなるというリスクがあります。

相続を繰り返すことで、共有者が膨大な人数になってしまった不動産は「メガ共有」と呼ばれ、社会問題になっています。

登記簿謄本には昭和初期に亡くなった所有者が記載された状態で、その間に相続を繰り返していたり、複数の相続人に連絡が取れなくなっているケースもあります。

こうした不動産は、売却が困難なだけでなく、区画整理や公共事業のために国や自治体が収用しようとしてもなかなか先に進みません。

共有物分割請求訴訟とは

不動産を共有状態にしておくと、建物の修繕や管理の問題で共有者間でのトラブルが発生しやすいです。そのため、適切に管理することが難しくなります。

国としては、不動産の共有はできる限り解消しておくべきという立場をとっています。そのため、共有物分割請求といって、共有者のひとりが共有状態の解消を申し込むことができます。

共有者のいずれかが共有物分割請求をした場合、現物分割・代償分割・換価分割のいずれかの方法で共有状態を解消しなければなりません。

協議で解決できず訴訟になった場合、裁判所によって競売による換価分割の命令がくだされます。

競売の場合、市場価格よりも著しく安い価格で不動産を手放さざるを得なくなってしまいます。経済的にも大きな不利益を被ることになります。

その他の相続トラブル事例

相続に関するトラブルには、相続人同士のトラブル以外にも、名義変更などの手続きや相続税に関するものもあります。

被相続人が名義変更をしていなかった

不動産を相続する際には、相続人が法務局で相続登記を行うことで名義が変更されます。
しかし、被相続人がその手続きをしておらず、相続の手続きが進められないといったトラブルが近年増えています。

たとえば、父が亡くなり、だれも住んでいない実家を売却しようとしたら、名義が一代前の祖父のままになっていたというケースです。

これまでは相続登記をしなくてもペナルティがなかったため、放置されたのでしょう。

こうしたケースでは、祖父の相続人である父の兄弟に遺産分割協議の内容を確認する必要があります。昔は長子相続が一般的であったため、きちんとした書類が残っていないケースも多く、その内容を確認することは非常に困難です。

また、父の兄弟が亡くなっている場合は、さらにその相続人に連絡を取らなければなりません。

相続登記がなされないまま放置された不動産は、子孫が引き継いだ不動産を売却したり活用したい場合に多大な労力を要します。

こういった背景からも、令和6年10月から、相続登記が義務化されることになりました。

高額な譲渡所得税が課税される

不動産を現金化して分割する換価分割を選択した場合、不動産を売却した時点で譲渡所得税が発生する可能性があります。

譲渡所得とは、不動産の譲渡益(売却価格)から取得費を差し引いた価格のことです。取得費には、購入代金や仲介手数料、修繕費用なども含まれます。

自宅の場合には譲渡所得税の軽減措置などもありますが、先祖代々の土地などで購入価格や建築費など取得費が分からない場合は注意が必要です。

取得費を証明する書類を紛失してしまっている場合、概算取得費は売却価格の5%とすることになっています。そのため、高額な譲渡所得税が課税される可能性があります。

相続トラブルを回避する方法

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不動産に関する相続トラブルは、仲のよい親族間に亀裂を生みかねない問題です。できる限り回避するよう対策をしておくことが重要です。

事前に話し合いをしておく

最も基本的なことですが、被相続人となる方の生前に相続人となる家族と話し合い、遺産分割に関して遺言書を残しておくことが重要です。

特に、自宅で家業を営んでいるという場合、家業を引き継ぐ相続人と、その他の相続人で引き継ぐ財産に差が生じやすくなるため注意が必要です。

昔のように「家を出たのだから相続する権利はない」という言い分は通りません。

円滑な代償相続に備えて一定の金銭を用意しておいたり、事前に代償金について合意形成をしておくといったことも必要かもしれません。

共有分割を避ける

不動産の共有状態は時間がたつごとに問題が顕在化しやすくなり、「メガ共有」といった社会問題や、「共有物分割請求訴訟」といった大きなトラブルに発展しかねません。

将来的なトラブルを回避するためにも、安易に共有分割にすることは避けたほうが賢明です。

相続時は実家に思い入れがあり共有分割にしたとしても、住む人がいない場合は、三回忌や七回忌など節目となる供養が終了した時点で、共有状態を解消することをおすすめします。

不動産の取得費に関する資料を確認しておく

換価分割を行った際は、確定申告で譲渡所得税の申告を行わなければなりません。その際に、相続財産の購入価格や諸費用、修繕費用が分かるような、取得費に関する資料が必要です。

書類の所在を被相続人から知らされていない場合、概算取得費は売却価格の5%と著しく安い価格に設定されてしまいます。

しかし、バブル崩壊以降は地方の土地価格は下落傾向にあるため、実際には譲渡所得が発生しないようなケースもあります。

親が自宅を購入した際の資料は必ず確認しておくことをおすすめします。

まずは不動産会社に相談してみよう

大切な方を亡くした大きな悲しみの中で、相続に関するトラブルが発生してしまうことはとても不幸なことです。できる限り事前に、トラブルを回避するために以下のような対策を講じておくことが大切です。

  • ほかに相続人がいないか確認しておく
  • 家族間で話し合いをしておく
  • 自宅の売れる価格を知っておく

自宅がいくらくらいで売れるのかは、不動産会社に査定依頼をして無料で知ることができます。

また、相続不動産は複雑な手続きも多く、専門家でないと扱うことが難しいでしょう。

まずは専門家である不動産会社に、相続に関する対策について相談してみるとよいでしょう。

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