不動産売却のノウハウ
マンション生活を維持するためには、管理費や修繕積立金、駐車場代といったランニングコストを支払い続ける必要があります。これらの費用は一定ではなく築年数が古くなるにつれ値上がりするケースもあり、その結果支払いが難しくなり売却を決断する売主も多いです。
売却をするタイミングでは既に管理費は支払われていることが多いですが、管理費はそのまま売主負担になるのでしょうか。それとも精算できるのでしょうか。
マンションを売却する際の管理費について解説します。
不動産売却 費用・税金2024年3月8日
結論からいうと、マンションを売却するタイミングで支払い済みの管理費は精算できます。
また、精算できるのは管理費だけではありません。管理費の精算方法や管理費以外で精算できるものについて解説します。
管理費の精算方法は、月末締めで日割り精算するのが一般的です。
たとえば、管理費が1万円で10日にマンションの引き渡しをした場合、9日までが売主、残りの日数分を買主が負担します。その月が30日ならば、売主が10日分の約3,300円、買主が20日分の約6,600円を負担します。
さらに、管理会社によっては管理費が前月払いになっていることもあり、その場合は引き渡しのタイミングで翌月分を精算するケースもあります。
マンションを売却する際には、管理費以外にも以下のような費用が精算されることが一般的です
上記の費用は精算されることが一般的ですが、精算に関する決まりが明確にあるわけではありません。精算金が少額ならお礼の意味を込めて、売主がすべて負担するケースもあります。最終的には売主と買主との間で決まります。
マンションを売却するタイミングで、マンション生活を維持するために必要となるさまざまな費用を精算できますが、精算ができない項目もあります。
たとえば、専有部や共有部の突発的な修繕にかかった費用や、古くなった設備の交換費用は精算することができません。これらの費用はあくまでもオーナーが居住している間に発生しており、これから住む買主にとっては直接関係がないからです。
マンション生活を維持するためにかかった費用を仕分けし、買主との間で金銭トラブルが発生しないように注意しましょう。
管理費などのランニングコストはなるべく抑えたいものですが、どのような方法が効果的でしょうか。管理費などの負担を少なくする方法について解説します。
空室の部屋にハウスクリーニングを行う場合の相場は、以下のとおりです。
管理費などの負担を減らす最も効果的な方法は、マンションを早期売却してしまうことです。
たとえば、マンションを相続取得したけれど、有効活用しにくいケースは早期売却がおすすめです。マンションを早期売却するためには「仲介」か「買取」を選択する必要があり、早期売却なら買取がおすすめです。
仲介は不動産会社を介しての売却となります。一方の買取は不動産会社が直接物件を買い取る方法です。仲介と買取には以下のようなメリットとデメリットがあります。
自身の状況に応じて最適な方法を選びましょう。
仲介 | メリット | デメリット |
---|---|---|
仲介 |
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買取 |
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マンションを売却するためには、まず不動産会社を選択する必要があります。
不動産会社を選ぶために、まず査定依頼をするのが一般的です。懇意にしている不動産会社があれば、その不動産会社に依頼しましょう。依頼する不動産会社に当てがない場合は一括査定サイトを利用すると便利です。一度の依頼で同時に複数社へ依頼ができます。
売却を依頼する不動産会社が決まると売却価格や販売条件を設定し、インターネットや新聞媒体を使って買主を募集します。買取の場合は売却活動が不要であるため、買取価格が決まり次第、決済・引き渡しへと進みます。
なお、仲介の場合は一般的に販売開始から3〜6カ月以内に売却が完了します。買取だと数週間から1カ月程度で売却が完了することが一般的です。
仲介で早期売却を目指す、または買取で手っ取り早く買い取ってもらう場合、あらかじめデメリットを理解しておく必要があります。
とくに多い失敗が、売却を急ぐあまりに相場よりも安い金額で売り出してしまうといったケースです。売却を急いでしまうと、相場の確認を怠ったり買主の価格交渉をそのままのんでしまったりと、相場より安く売ってしまい、損をしてしまうおそれがあります。
また、買取の場合はそもそも仲介で売却する価格より3割程度安くなるのが一般的です。これは買い取った不動産会社が再販売するために利益を確保するためです。
また、買取の場合はそもそも仲介で売却する価格より3割程度安くなるのが一般的です。これは買い取った不動産会社が再販売するために利益を確保するためです。
売却価格は安くてもいいから早期売却をしたいのか、売却価格は相場に近い価格でなるべく早く売却したいのか、など売却における優先順位を決めておくことが大切です。
マンションの管理費は生活費の大きな負担になってしまい、なかには滞納してしまう売主もいます。管理費を滞納してからマンションの売却を検討するケースもありますが、この方法はおすすめできません。
マンションを売却するうえで、管理費を滞納するリスクについて解説します。
区分所有法では「管理費などの債務は区分所有者に帰属する」と定義されています。
つまり、管理費を滞納したままマンションを売却しようとしても、買主は売主が滞納している管理費の債務まで継承することになります。また、管理費の滞納は告知事項であることから、買主に黙ったまま売却するのはNGです。
管理費を滞納すると買い手がつきにくくなってしまい、その結果販売期間が長期化してしまうといったリスクを抱えてしまいます。
管理費や修繕積立金はマンションを適切に運営する際に必要な費用であることから、特定の区分所有者だけが支払わないといった取り決めは原則設けることができません。
また、滞納費が増えることでマンションの維持管理に支障が出てしまう場合、区分所有法では「共同の利益」に反する行為をした人に使用禁止の請求や競売の請求ができるようになっています。
実際には、裁判所の手続きなどが必要となりますが、生活拠点を失うリスクを抱えることになるため、注意が必要です。
マンションの管理費などは必要な出費とはいえ、売主によっては住宅ローンと同じくらい生活費を圧迫することになります。
しかし、これらの費用を滞納してしまうと売却がしにくくなり、最悪のケースでは競売にかけられてしまいます。
このような事態にならないためにも、管理費の支払いが厳しいと感じた場合はなるべく早くに不動産会社へ相談し、適切な対策を協議することをおすすめします。