不動産売却のノウハウ

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認知症の親が所有する不動産を売却する方法

認知症の親が所有する不動産を売却する方法

お金を捻出する方法として考えられるのが、親が所有する不動産の売却です。不動産は高額な財産になるため、売却することで必要な資金を準備できる可能性があります。

ただし、不動産の所有者が認知症になった場合、簡単に売ることができません。売却は不可能ではないですが、通常よりも手間や時間がかかるため早めの準備が必要です。

認知症になった親が所有する不動産を売却する方法について解説します。

不動産お役立ちコラム 不動産売却

2024年3月8日

目次

親が認知症になると不動産の売却が難しくなる

不動産の所有者が認知症になったとしても、売却に同意したことが証明できれば売買契約は成立します。認知症になると不動産が売れなくなる、ということはありません。

ただし認知症は、症状が進行すると理解力や記憶力が低下する傾向があります。親が認知症になり、売買契約の内容を理解できない状態であれば、売却に同意するのは難しいでしょう。

また、売却の意思を示したとしても、「意思能力」がないと判断されると売買契約が無効になる場合があります。意思能力とは、意味や結果を理解し、自分の意思に基づいてその行為ができる能力です。

意思能力がない人は、悪質な勧誘や誘導によって不当な契約を結ばされやすくなります。そのようなリスクを回避するために、意思能力のない人が結んだ契約は、無効になることが民法で定められているのです。

このほかにも、認知症の親が所有する不動産は売却が難しいと言われる理由がいくつかあります。

代理人を立てて売ることができない

不動産の売買契約は、売主、買主、不動産の仲介会社が立ち会って進めるのが一般的です。

住んでいる場所や身体的な問題などで、所有者が立ち会うことができない場合は、代理人に契約の実務を依頼できることが認められています。代理人を立てれば、所有者が立ち会わなくても不動産の売却が可能です。

しかし、所有者が認知症になると、代理人を立てることが難しくなります。代理人を立てるには委任状が必要になり、所有者が同意していることが条件になるためです。

委任状は代筆ができるので、本人でなくとも作成はできてしまいます。ただし、委任状をもとに代理人が契約を進める場合、買主や不動産の仲介会社から所有者本人の意思を確認されることがあります。

確認の結果、所有者に意思能力があると判断されれば売却は可能です。反対に意思能力がない場合、所有者の同意がないと判断されるため、不動産を売ることができません。

不動産の生前贈与が難しい

生前贈与とは、所有する財産を生きているうちに、ほかの人に贈与することです。贈与契約書などを作成する義務がなく、口頭でのやり取りだけで成立が可能です。不動産を生前贈与すれば、所有権が新しい所有者に移るため、元の所有者の同意がなくても売却ができます。

しかし、不動産の所有者が認知症になると、生前贈与が難しくなります。生前贈与の成立には、不動産を贈与する側と受ける側の双方の同意が必要になるためです。

たとえば、親が認知症と診断されており、子どもに自宅を贈与した時点で意思能力がなければ、同意がなかったと判断されます。他の親族から意思能力が無かったことを主張されると、贈与が無効になる可能性が高くなります。

家族信託も利用できなくなる

家族信託とは、所有する財産の管理・運用・処分を家族に任せる制度です。財産の所有者が意思能力をなくしても、家族の判断で財産を処分して医療費や介護費などを捻出できます。

財産の所有者は財産を託す「委託者」、財産を託された家族は「受託者」となって管理・運用・処分を行います。

また、家族信託では、託された財産からの利益を受ける「受益者」を決定します。受益者には誰でもなれますが、一般的には受託者になる場合が多いです。

家族信託をするときは、委託者・受託者・受益者で話し合いをして条件を決定し、信託契約書に記載しておきます。信託契約の効力が発揮されるのは、契約が結ばれた時点または、信託契約書内で指定された期日です。

家族信託の条件は、自由に設定できます。委託者が不動産を処分する権限を信託者に与えておけば、信託者は委託者の同意がなくても売却が可能となるのです。

ただし、家族信託を行うには委任者と信託者の双方が、意思能力を有している必要があります。そのため、委託人が認知症になっており、意思能力がないと判断されると家族信託が無効になるおそれがあります。

成年後見人制度なら親の不動産を売却できる

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不動産の所有者が認知症になり、意思能力がないと判断された場合は「成年後見人制度」の利用を検討しましょう。

成年後見人制度は、認知症などで意思能力がなくなった人の保護と支援をするための制度です。意思能力がなくなった人の保護と支援をする人を「成年後見人」、される人を「被後見人」と言います。成年後見人は被後見人の財産に対して代理権があります。

被後見人の同意がなくても財産の処分ができるため、成年後見人制度を利用すれば、親が所有する不動産を売却できます。

成年後見人制度を利用する流れ

成年後見人制度は下記の流れで進めていきます。

  1. 必要書類の取得
  2. 家庭裁判所への申立て
  3. 審判(成年後見人の選任)
  4. 成年後見登記の完了
  5. 職務説明

家庭裁判所に申立てができるのは、本人の配偶者、四親等内の親族などに限られます。それ以外の人の申立ては認められません。

また、成年後見人に選定されると、被後見人が意思能力を取り戻すか死亡するまで仕事が継続します。正当な理由がある場合は、解任されることがあるため注意が必要です。

なお、成年後見人は家庭裁判所が選任するため、希望どおりになるわけではありません。

不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要

成年後見人が不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可が必要です。成年後見人だけの判断で売却することはできません。家庭裁判所の許可を得るには、居住用不動産処分許可の申請をして、売却の必要性や所有者の住まいの確保などを説明します。

説明の結果、許可がもらえれば売却できるようになります。

ただし、申請しても必ず通るわけではないため、事前にしっかりと準備をしておく必要があります。

成年後見人制度を利用するときの注意点

成年後見人制度を利用する場合、下記の点に注意が必要です。

  • 財産を自由に使えなくなる
  • 成年後見人への報酬が発生する
  • 不動産の現金化までに時間がかかる

それぞれについて確認しておきましょう。

財産を自由に使えなくなる

成年後見人制度では、財産を被後見人のために使うことが定められています。勝手に売却したり使い込んだりするのは横領行為となり、業務上横領罪に問われるおそれがあります。

また、成年後見人は原則として1年に1回、家庭裁判所に被後見人の財産状況を下記の書類にまとめて提出しなければいけません。

  • 後見等事務報告書
  • 財産目録
  • 預貯金通帳のコピー
  • 本人収支表

報告忘れや適切でなかった場合は、成年後見人を解任されることもあるため注意が必要です。

成年後見人への報酬が発生する

成年後見人制度を利用した場合、成年後見人に対して報酬が発生します。報酬の目安は月額1~2万円程度です。財産が多い場合は、報酬がさらに増える場合があります。

また、成年後見人が不動産の売却や訴訟といった複雑な仕事をした場合は、別途で報酬が発生することがあります。成年後見人は、弁護士や司法書士に依頼することもできますが、報酬の支払いが発生すると被後見人に使える財産が少なくなるため注意しましょう。

なお、成年後見人の報酬は家庭裁判所が決定します。成年後見人が勝手に決めることはできません。

不動産の現金化までに時間がかかる

成年後見人制度を利用するには、申立てに必要な書類の取得、申立て書類の作成、成年後見人になる場合は面接や調査などが必要です。そのため、家庭裁判所への申立てから成年後見人の決定までに必要な期間は約2~3カ月です。

さらに不動産の売却に約3~6カ月かかるため、現金化するまでに長い時間が必要です。そのため、成年後見人制度を利用して不動産を売却する場合、早めに行動することが大切です。

不動産の早期売却は会社選びが大切

成年後見人制度を利用すれば、認知症の親が所有する不動産を売ることができます。ただし、売却に時間がかかってしまうと、いつまで経っても資金の捻出ができません。

1日でも早く現金化するには、不動産会社選びが重要です。不動産会社と一言でいっても得意とする物件の種類が異なります。売却を依頼するなら、下記のポイントを確認しておきましょう。

  • 該当する物件種の売却実績が多い
  • 担当者の知識や経験が豊富
  • エリアに詳しい
  • 対応が迅速

上記のポイントを確認して不動産会社を選べば、早期売却を実現できるでしょう。

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