不動産売却のノウハウ
実家のマンションが不要になり、売却を検討している方もいるでしょう。
中古マンションの買主を探すには平均して80日程度かかるため、売却する場合は余裕を持ってスケジュールを立てることが大切です。
また、マンションが空き家になる場合は、売却することで固定資産税や管理費・修繕積立金などの費用を抑えられます。
実家のマンションを売却する手続きの流れやポイント、売却時に発生する費用について解説します。
不動産売却 費用・税金2024年12月11日
実家のマンションを売却するときのポイントは3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
マンションの売却は、登記簿に権利者として記載された名義人しか行えません。
そのため両親が亡くなり、実家のマンションを相続したケースでは、相続登記によって不動産の名義を変更する必要があります。
築年数が経過したマンションなど、以前の相続時に名義変更が行われておらず、先代の所有者のままになっているケースも少なくありません。
まずは不動産の登記事項証明書を請求し、マンションの名義が誰になっているかを確認しましょう。
登記事項証明書の発行は、法務局の窓口や郵送での手続きのほか、「登記・供託オンライン申請システム」によるオンライン手続きが可能です。
オンライン手続きであれば、家や会社などから登記事項証明書を請求できるだけでなく、発行手数料も安く済みます。
中古マンションの売却では、査定から始まり、不動産会社との契約や売却価格の決定など、売買契約の成立まで数カ月単位の時間がかかります。
東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると、首都圏の中古マンションの物件登録から成約までにかかった日数の平均は80.1日です※1。
実家のマンションを売却するときは、買主がなかなか見つからないケースも想定し、できるだけ早く不動産会社に相談することが大切です。
特に住み替えを行う場合、新居の購入と実家のマンションの売却を同時並行で進めていく必要があります。
マンションの売却が遅れると、想定以上に費用がかかる可能性もあるため、余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
なお、不動産の売却にかけられる期間が短い場合は、不動産会社による「買取」を選択するのも一案です。
※出典1:公益社団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」
親世代が住んでいたマンションは、築年数が経過しており、建物や設備が老朽化しているケースも珍しくありません。
マンションは木造住宅に比べ耐用年数が長く、経年劣化の影響を受けにくいものの、築年数が経過している物件は買主を探すのに時間がかかる傾向にあります。
また、実家のマンションを売却するときは見積もり額や査定額の高さではなく、マンションの売却実績が豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。
豊富な販売経験を活かし、築年数が経過した物件でも早期売却が期待できるでしょう。
実家のマンションの売却は、大きく5つの流れに分けられます。
まずは周辺地域の取引情報などから、中古マンションの売却相場を調べましょう。
大まかな相場を把握しておくことで、不動産会社から提示された査定価格が妥当かどうかを判断しやすくなります。
周辺地域の取引情報は、国土交通大臣指定の流通機構が管理する「不動産取引情報提供サイト(REINS Market Information)」や、国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」を利用して検索すると便利です。
実家のマンションの名義人(親など)が存命の場合、原則として本人が売却手続きを行う必要があります。
ただし、以下のケースに当てはまる場合は、第三者(子など)が委任状を作成し、売買契約の代理人になることが可能です。
なお、名義人がすでに亡くなっている状態で実家のマンションを相続した場合は、不動産の相続登記が必要です。
不動産の名義を被相続人から相続人へ変更することで、相続人の意思によってマンションを売却できます。
不動産の相続登記は2024年4月1日から義務化されており、正当な理由なく登記を行わなかった場合は10万円以下の罰金が科されることがあるため、すみやかに手続きを行いましょう。
※参考:法務省「不動産を相続したらかならず相続登記!」
委任状を作成したら、マンションの売却を依頼する不動産会社に提出しましょう。
委任状の内容に問題がなければ、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約とは、“不動産を売り買いする際、その売主や買主が、取引の仲介を依頼する不動産会社(宅地建物取引業者)との間で締結する契約”です※。
媒介契約を締結すると、マンションの買主探しから、売買契約に必要な手続きの代行まで、さまざまなサポートを受けられます。
※出典:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」
無事に買主が見つかったら、相手方と売買契約を締結します。
売買契約の締結にあたって、売買契約書(不動産売買契約書)を取り交わすのが一般的です。
なお、2022年5月に宅地建物取引業法が改正され、不動産取引における電子契約が全面的に解禁されました。
マンションの売買契約を結ぶ際も、電子メールで契約にかかわる重要事項説明書や媒介契約締結時書面の提供し、契約手続きを進めることが可能です。
売買契約の締結後は所有権の移転登記を行い、マンションの名義を元の持ち主(売主)から新しい持ち主(買主)へ変更する必要があります。
所有権の移転登記は、最寄りの法務局の窓口や郵送による手続きのほか、「登記・供託オンライン申請システム」でオンライン手続きが可能です。
実家のマンションを売却する際は、以下のような税金や費用がかかります。
税金や費用についてそれぞれ詳しく解説します。
仲介手数料は、媒介契約を結んだ不動産会社の仲介によって売買が成立した場合のみ、物件価格に応じて一定の料率を乗じた価格を支払う手数料です。
売買取引における仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づく告示により、下記の通り上限価格が定められています。
取引額 | 手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 5% |
200万円超 400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
※上記に加えて消費税が加算されます
関連記事:不動産売却の仲介手数料はいくら?基本からわかりやすく解説
印紙税は、“日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金”です※3。
マンションを売却する場合は、不動産売買契約書を作成する際に、記載された契約金額に応じた印紙税が課されます。
不動産売買契約書は通常、売主用・買主用に2部作成するため、双方が印紙税を負担するのが一般的です。
なお、マンションの売却にあたって電子契約を締結する場合、印紙税はかかりません。
登録免許税は、不動産や会社の登記を行う際に課される税金です。
計算式は
登録免許税=課税標準×税率
となります。
実家のマンション売買取引に伴い、所有権の移転登記を行う場合、課税標準は毎年市役所から通知される固定資産税課税標準額を当てはめてください。
税率は不動産の売買の場合1,000分の20(2026年3月31日まで、土地の売買は1,000分の15に軽減)となり、その金額に軽減税率をかけて割り出します。