不動産売却のノウハウ

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生産緑地の指定を解除する手続きの方法!
解除要件は?いつまでにするべきか?

生産緑地に指定されていると、建築や利用に制限がかかり、土地を十分に活用できません。

そのため、特に農業をしない人は生産緑地の指定を解除して、売ってしまいたいと考える方も多いでしょう。しかし、生産緑地に一度指定されると解除は容易ではなく、市町村に申出が必要です。

本記事では、生産緑地の指定を解除できる要件と具体的な手続きの方法を紹介します。また、解除後に売却する方法も紹介します。

2022年9月9日

目次

  • 生産緑地の指定は解除できる?
    • 生産緑地の指定を受けてから30年が経過した
    • 主たる従事者が農業できないほどの障害や疾病を患った
    • 主たる従事者が死亡
    • 生産緑地の指定を解除するとどうなる?
      • 農地としての営農義務がなくなる
      • 固定資産税の軽減がなくなる
      • 相続税の納税猶予が受けられなくなる
  • 生産緑地の指定を解除する手続きの流れ
    • 解除の要件を満たしているか確認
    • 市町村に買取の申出をする
    • 市町村からの通知が来る
  • 解除後の売却手続きについて
    • 市町村が買い取らない場合の解除までの流れ
    • 解除後の不動産売却の流れ
      • ①不動産会社に査定を依頼する
      • ②売る戦略を練り、不動産会社が売却活動を開始する
      • ③売買契約を結び、決済と引き渡しを行う
    • 実績が豊富な不動産会社に依頼しよう

生産緑地の指定は解除できる?

生産緑地の指定を解除するには、管轄する市町村へ買取の申出をする必要があります。買取の申出ができるのは、以下3つの要件のうちいずれかを満たしたときです。

  • 生産緑地の指定を受けてから30年が経過した
  • 主たる従事者が農業できないほどの障害や疾病を患った
  • 主たる従事が死亡
参考:e-Gov「生産緑地法

しかし、市区町村の財政状況によって買取が難しいケースも多いです。そのため、市町村または市町村があっせんする農業従事者による買取がされない場合に、生産緑地の指定が解除されます。

ここでは、生産緑地の指定を解除できる可能性がある、3つの要件についてそれぞれ詳しく説明します。

生産緑地の指定を受けてから30年が経過した

生産緑地の指定期間は30年です。申出基準日から30年経過すると、市町村へ買取の申出が可能になります。

申出基準日は生産緑地として指定された日で、管轄の市役所で確認できます。ただし自動で解除されるわけではなく、市区町村に買取の申出をする必要があるため注意しましょう。

主たる従事者が農業できないほどの障害や疾病を患った

主たる従事者とは、その生産緑地で主力として、農業に取り組んでいる方を指します。また、従事者と同じ程度、農業に取り組んでいる方も含みます。

そのほかに、以下の条件を満たす方も従事者とみなされます。

  • 65歳未満の場合は、主たる従事者が1年間農業に携わった日数の8割以上従事している方
  • 65歳以上の場合は、主たる従事者が1年間農業に携わった日数の7割以上従事している方
  • 特定農地貸付法等の特例に関する法律にのっとった、特定農地貸付利用されている生産緑地の場合は、主たる従事者が1年間農業に携わった日数の1割以上従事している方

農業ができないほどの障害や疾病とは、1年以上の入院を要する病気や両目の失明などを指します。証明書の申請後、農業委員会が障害や疾病に患った方が主たる従事者なのか、現地調査を行います。

主たる従事者が死亡

主たる事業者が死亡してしまった場合は、生産緑地の指定から30年経過していなくても買取の申出が可能です。

あるいは主たる従事者が2人以上の場合、残された方だけで農業を続けることが難しい場合も可能です。

生産緑地の指定を解除するとどうなる?

生産緑地の指定が解除されると、主に3つの影響があります。

農地としての営農義務がなくなる

土地の所有者は、指定期間の30年間にわたり生産緑地の維持と管理の義務があります。指定が解除されると、その義務はなくなります。

そのため、以下のように土地を利活用できます。

  • 自宅を建設する
  • アパートやマンションなどを建設して収入を得る
  • 土地を売却する

農業以外の選択肢が広がるため、農業をしない方にとってメリットがあるといえます。

固定資産税の軽減がなくなる

生産緑地の指定によって、固定資産税の評価方法が農地課税になり、納税金額が抑えられていました。解除すると軽減措置がなくなるため、宅地課税が適用され、約200倍にまで上昇するケースがあります。

固定資産税は毎年土地の所有者に支払う義務があるため、かなり負担が大きくなるといえます。

相続税の納税猶予が受けられなくなる

相続税も、生産緑地に指定されていると、納税猶予が受けられます。しかし、指定を解除すると、農地を営んでいても、宅地並みの相続税と猶予期間に対する利子税の支払いが求められます。

なお、利子税は以下の計算式で算出できます。ただし、0.1%未満の端数は切り捨てます。

利子税=3.6% × 特例基準割合 ÷ 7.3%

特例基準割合の詳しい数字は以下のとおりです。

  • 2000年から2013年
    • 各年の前年11月30日の日銀基準割引率に4%を加算した割合
  • 2014年以降
    • 各年の前々年10月から前年9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として、各年の前年12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合

利子税は非常に複雑な計算のため、生産緑地に詳しい税理士に相談しましょう。

生産緑地の指定を解除する手続きの流れ

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指定を解除するには、その市町村に買取の申出が必要です。申出から買取の通知まで約1ヵ月かかります。

ここでは、生産緑地の指定を解除するまでの手続きの流れを紹介します。

解除の要件を満たしているか確認

要件の「生産緑地の指定を受けてから30年経過」「主たる従事者が農業できないほどの障害や疾病を患った」「主たる従事者が死亡」の3つのうち、いずれかを満たしているかチェックしましょう。

市町村に買取の申出をする

市町村に申出をするときの必要書類は以下のとおりです。解除の要件によって、必要書類が異なるため注意しましょう。

必要書類 どの条件 どこで取得する 備考
生産緑地買取申出書 すべて 市役所 実印を押印
同意書 すべて 市役所 所有権者および申出地に所有権以外の権利を有する者全員の同意
印鑑証明書 すべて 市役所 3カ月以内に発行したもの
登記事項証明書・公図 すべて 法務局 インターネットから取得したものは、法的効力がないため不可
生産緑地買取申出地の位置図・区域図 すべて 形式は問わないため、市販されている地図などを参照
農業従事者証明 すべて 農業委員会
医師による診断書 障害の場合 病院
農業従事者の戸籍謄本(除籍謄本) 死亡の場合 市役所

また、市町村によって書式や必要書類が異なる場合もあるため、各ホームページで事前に確認しましょう。

市町村からの通知が来る

市町村が買い取る場合、申出から1ヵ月以内に、その旨を知らせる通知が郵送されます。その後、時価を基準に価格の協議が行われます。成立しない場合は、収用委員会への裁決申請が行われます。

買い取られた土地は公園や緑地として適切な管理が行われ、都市景観審議会によって生産緑地の解除が完了します。

しかし、市町村によっては、買取ができないケースもあります。なぜなら、財政状況が厳しい市町村が多いためです。

解除後の売却手続きについて

市町村が買い取らない場合の解除までの流れと、そのあと土地を売却する方法を紹介します。

市町村が買い取らない場合の解除までの流れ

買取の申出に対する答えとして、市町村から買い取らない旨の通知が届きます。その場合、農業委員会が、農林従事者に対して土地の買取をあっせんします。

成立した場合は生産緑地として、売却されます。しかし、現在農業希望者が減少しており、買取が成立することは難しい状況です。

買取の申出から3ヵ月たっても買取が成立しない場合、行為制限が解除されます。行為制限とは、住宅の新築や宅地の造成を指します。

その後都市計画審議会にて生産緑地の解除が行われ、土地の売買が可能になります。

解除後の不動産売却の流れ

生産緑地の解除後は、土地の売却を一般的な不動産売却と同様の流れで行えるようになります。

不動産売却の一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 売る戦略を練り、不動産会社が売却活動を開始する
  3. 売買契約を結び、決済と引き渡しを行う

それぞれの工程について詳しく説明します。

①不動産会社に査定を依頼する

不動産の相場を調べ、不動産会社に査定を依頼します。

不動産会社によっては得意な地域が異なったり、保有している顧客層が異なります。査定価格以外に、提案内容や担当者の対応なども含めて自分と相性のよい会社を選びましょう。

②売る戦略を練り、不動産会社が売却活動を開始する

売り出し価格や売却までの期間などを不動産会社と相談します。利益や期間などのどれを優先するのかをあらかじめ決定しておくと、スムーズに進められます。

戦略が決定次第、不動産会社が売却活動を開始します。基本的には、不動産会社から買主が見つかった連絡が来るまで、売主が行動する必要はありません。

③売買契約を結び、決済と引き渡しを行う

買主が見つかったら、売却価格や決済日などを不動産会社が仲介しながら決定します。まとまり次第売買契約書が作成され、契約を結びます。

そして決済と所有権を買主に変更する所有権移転登記が完了したら、売主から買主へ物件を引き渡します。

実績が豊富な不動産会社に依頼しよう

生産緑地は一般的な不動産に比べて、制限や複雑な手続きが多いです。生産緑地の指定解除や売却は専門性が高いといえます。

そのため、生産緑地の解除や売却を検討したら、まず実績が豊富な不動産会社に相談することから始めましょう。

実績が豊富な不動産会社は、さまざまな土地を取り扱った経験があるため、生産緑地についても親身になって的確なアドバイスをくれるでしょう。

生産緑地の指定が解除されてからでないと相談してはいけないわけではありません。できるだけ早い段階から、今後の使い道を検討するために不動産会社に相談するとよいでしょう。

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