不動産売却のノウハウ

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生産緑地は区画整理することで資産価値が上がる?
方法や注意点も紹介

生産緑地は区画整理で資産価値を上げることができます。

しかし、区画整理というと、地方公共団体が何十年もかけて行う事業というイメージがあります。生産緑地の場合はどのような手続きや流れになるのでしょうか。

ここでは、区画整理を行うケースや理由、具体的な手順について紹介します。

2022年9月9日

目次

生産緑地は利用価値がない?

生産緑地の指定解除後に売却を検討される方も多いですが、土地の価値が低く売却できないというケースがあります。

どのような生産緑地が利用価値がないと判断されるのでしょうか。具体的に紹介します。

農地と道路が接していない

所有する生産緑地が、道路に接していなかったり、舗装がされていなかったりする場合は、利用価値が大変低いと判断されがちです。

生産緑地の解除後に宅地として売却をしたり、収益化のできるアパートやマンションの建築を検討していたりする場合は、対策を講じる必要があります。

このように道路に接していない土地は、建物が建てられない土地とみなされ、建築基準法第43条では次のように定められています。

建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない

道路が接しているだけでなく2m以上の間口がないと、建築物が建てられないという規制があります。生産緑地の解除後は地方公共団体へ買取申請を出せますが、そのような土地は利用価値がなく、買い取っても負債となるのが目に見えているため、残念ながら断られるはずです。

土地の形状が悪く、宅地としての利用価値が低い

生産緑地の指定解除後は農地を宅地に変更することで売却しやすくなります。しかし、形状が悪いことは、売却時に不利に働きます。

一般的に土地の形状は下記の通り2つに分かれます。

  • 整形地
  • 不整形地

整形地は正方形や長方形の土地など、いずれも建築する際に間取りや設計の自由度があるため利用価値の高い土地です。

一方、不整形地は三角形や台形、傾斜地、旗竿地、うなぎの寝床など整形地以外の土地をいいます。不整形地でも工夫次第ではデメリットをメリットに変えることもできますが、一般的には建物を計画しづらい、余分なスペースができやすいなど、扱いづらい土地になります。

また、扱いづらいだけではなく、不動産価値が下がり、売却できずに固定資産税の支払いだけが負担として残るという状況に陥る場合もあります。

売却できず、後継者もいない

資産価値が低く、売却できなければ、生産緑地の指定を延長することを検討します。これを特定生産緑地の指定といい、10年間生産緑地制度が延長されます。

しかし、営農の継続が条件です。高齢のために営農継続が難しい場合は後継者へ相続すれば問題ありません。しかし後継者がおらず、売却もできない場合は、延命措置として特定生産緑地の指定を受けざるを得ない状況になります。

生産緑地を区画整理することで資産価値が上がる

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さまざまな問題点を抱える生産緑地ですが、その解決策のひとつに区画整理があります。一般的な区画整理は地方公共団体で行う大規模なものをイメージされるでしょう。しかし、個人や数名の共同体でも小規模な区画整理を行うことは可能です。

小規模な区画整理とは

はじめに、一般的な大規模に行われる区画整理の概要をみてみましょう。
国土交通省の土地区画整理事業の説明によると、下記のように定義されています。

土地区画整理事業は、道路、公園、河川等の公共施設を整備・改善し、土地の区画を整え宅地の利用の増進を図る事業

簡単にいえば、区画整理地に該当する土地の所有者から土地を預かり、宅地や公共施設・商業施設をつくるために土地を整備し、新しい街をつくるということです。

小規模な区画整理は、個人や数名の共同体で行う小さな街づくりといえます。
生産緑地だけでなく、山林や宅地も一体となって整備することが可能となり、事業期間も一般的な区画整理のような長期間の事業ではなく比較的短期間で完了します。

区画整理するメリット

生産緑地を区画整理するメリットとして下記の点があります。

  • 換地することで、形状が悪い土地や点々としていた農地を集約し、整形することができるので資産価値が上がる
  • 未接道の土地に道路を新設することができるので、接道要件を満たした活用できる土地になる
  • 生産緑地は市街化区域内の人口密集地に存在する土地なので、宅地としての資産価値が上がる
  • 分割がしやすく、資産価値も高いので相続税対策になる

※換地:区画整理された後の土地のこと

なお、区画整理は生産緑地の解除後でなく、指定を受けていても利用が可能です。

区画整理するデメリット

区画整理をする前にデメリットについても理解しておきましょう。

  • 資産価値の向上により、固定資産税や相続税評価が上がる可能性がある
  • 現在の位置に換地されるわけではない
  • インフラや公園整備による土地の減歩(土地の減少率)のため、土地の面積が小さくなる
  • 事業期間中の権利が制限される

上記のようなデメリットはありますが、区画整理をすることで資産価値が上がり、将来的な相続や納税対策になるのでメリットの方が大きい場合が多いです。

区画整理の方法や注意点

区画整理のメリットやデメリットについて紹介しましたが、最後に区画整理の手続き方法や注意点についてご紹介します。

区画整理の方法

個人や数名の共同体で区画整理をする方法はおおまかに下記の流れになります。各地方公共団体によって多少異なるケースもあるので、最終的にはお住まいの地方公共団体にて確認してみてください。

  1. 地方公共団体に対し、技術援助の申請をし、個人や数名の共同体だけでは困難な技術援助を求める
  2. まちづくりの基本構想を練るための現況調査をした後に企画
  3. 事業計画の素案のための換地設計/事業計画の事前協議
  4. 許可申請をするための関係権利者の同意/宅地以外の土地の管理者の承認
  5. 関係権利者の同意を取得後に施行許可申請。認可の取得後に公告
  6. 将来換地される土地の位置や地積などを指定する仮換地指定
  7. 仮換地指定のもと、既存の建物の移転や除却。新たな道路や公園整備
  8. 換地処分の基礎となる土地の位置や地積、精算金の額の決定
  9. 換地処分をし、従前の土地の権利や義務を処分の翌日から施行後の土地に譲渡
  10. 換地処分後の土地・建物の登記
  11. 地相互間に生じた不均衡を金銭により清算
  12. 終了許可申請

※仮換地:区画整理後に、土地所有者に対して仮に割り当てられる土地のこと

※換地処分:区画整理事業を終了させるための手続き

このような流れに沿って事業を行い、事業完了まで約2〜3年の期間を要します。

区画整理する際の注意点

また、区画整理を進めるにあたり下記の点に注意が必要です。

  • 経済状況の悪化による事業計画の破綻
  • 換地後の地権者同士の減歩率(土地の減少率)の調整が難航し、事業が長期化する
  • 区画整理による造成や上下水道、ガスなどのインフラ整備に事業費が必要
  • 大規模な区画整理に比べれば短いが、それでも事業完了まで2〜3年ほどかかる

特に期間が数年単位であることから、自分で調べてひとつずつ行っていくには根気が必要です。早い段階で不動産会社や地方公共団体へ相談することをおすすめします。

迷ったらプロに相談

繰り返しになりますが、区画整理とは農地に接道がない、土地の形状が悪い土地が利用価値を高めるために行う工事です。

メリットだけを見るのではなく、デメリットについても十分理解した上で進めていくことが重要です。さまざまな法規制や権利者同士の意見調整などスムーズに進めるためにも、区画整理の経験や実績の豊富なプロに相談することをおすすめします。

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