不動産売却のノウハウ

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貸し農園の始め方を解説。
ビジネスモデルや経営を成功させるためのポイントを紹介

市街地で行える土地活用として、注目されているのが貸し農園です。

今回はブームを巻き起こしつつある、貸し農園の始め方とビジネスモデル、そして経営を成功させるためのポイントについて説明します。

2022年9月9日

目次

  • 貸し農園が流行している理由
    • 貸し農園とは
    • 生産緑地との関係性
    • コロナ禍でも可能な野外活動
  • 貸し農園の始め方
    • 農園利用方式
    • 特定農地貸付法
      • 10アール未満の貸付
      • 複数人へ貸し付けること
      • 貸付期間は5年以内
      • 賃借者(利用者)の営利目的は禁止
    • 市民農園整備促進法
  • 貸し農園を成功させるために
    • 定期的な管理が必須
    • 利用者とのトラブル
    • 大きな収益は求めない
    • 貸し農園ブームによる不動産業者の知識も高まっている

貸し農園が流行している理由

以前より、メディアに取り上げられることが多かった貸し農園ですが、コロナ禍や生産緑地築の影響もあり人気が加速しています。

流行している理由について詳しく見ていきましょう。

貸し農園とは

貸し農園とは、レンタル農園や市民農園などとさまざまな呼ばれ方をしており、少しずつ性質が異なりますが、基本的には農地を貸し出すことを指します。

都心部で見かけることが多い小規模で短期間のものから、中〜大規模で長期間のものまであります。

生産緑地との関係性

貸し農園が急増している要因のひとつとして「生産緑地地区の2022年問題」があります。

生産緑地地区とは、30年間にわたり農業を続けるのであれば固定資産税の減額、相続税および贈与税の支払い猶予などが認められた農地のことです。

この制度は1992年に開始され、30年間という指定期間が終了するのが2022年となり、現在、多くの農地において活用が見直されています。

特に相続税や贈与税の猶予を受けている場合、生産緑地の途中解約を行うことにより猶予期間が打ち切られます。猶予期間が終了した場合、いままで猶予されていた税金全額の支払いが必要となるだけではなく、その猶予期間の利息さえも計算して支払う必要が発生します。

今まで通り農業を続けて猶予を継続するか、それとも農業を止めて猶予期間を打ち切るか、どちらの選択肢も苦しい場合に、貸し農園を営業するという選択肢があります。

2018年の法改正により、生産緑地の貸借が安心して行える仕組みが整えられました。貸し出した場合は、各税金について継続して猶予されることになり、現在の貸し農園ブームは、こうした要因も大きく影響しています。

コロナ禍でも可能な野外活動

ここ数年におけるコロナ禍によって、アミューズメント施設や観光地のような、人が密集する場所には、なかなか近寄りにくくなりました。

そうした状況下においても、「子どもを野外で遊ばせたい」、「自然の中で伸び伸びと育てたい」という希望を叶える手段として、貸し農園を利用する人が増えています。

貸し農園であれば、他の観光施設と異なり、人が密集することが少なく、ある程度の空間を確保しながら、野外で楽しむことができます。デジタル化に備えてプログラミングが必修となりつつありますが、昔ながらの文化も学ばせたいという親御さんも多いようです。

生産緑地の指定から30年目を迎えることから、土地の利用方法を見直し始めたタイミングとコロナ禍が重なったことから、需要が高まっています。

貸し農園の始め方

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貸し農園を始めるための手続きは、それほど難しいものではありません。ポイントを抑えておきましょう。

農園利用方式

農園利用方式とは農園を貸し付けるものではなく、あくまで土地の所有者が農業経営の一環として、スペースを用意し、指導や体験、またはレクリエーションなどを行うものです。

よくある幼稚園や保育園の体験農業教室、農業高校の実習などで使用されるものがこれにあたります。毎月一定の収益を継続的に得る目的でないので、農地法に伴う届け出なども必要ありません。

特定農地貸付法

貸し農園で多く利用されるのが、農地を区画分けして貸し出す特定農地貸付法です。特定農地貸付法を適用するには以下の4要件が必要となります。

10アール未満の貸付

これは1人への貸付に対しての制限です。区画分けを行い5人の利用者に貸し出しする場合も、5人それぞれが10アール未満となれば問題ありません。
1アールが約30坪のため、10アールとなると戸建10戸分程度です。貸付農園で意識する必要はないでしょう。

複数人へ貸し付けること

農地を区分けする訳ですから2人以上に貸し出しするのは当然ですが、特定農地貸付法では単独への貸し出しは認められません。

貸付期間は5年以内

貸し農園の賃貸借期間は5年を超えてはいけません。

賃借者(利用者)の営利目的は禁止

あくまで利用者は自家栽培として、自身が食することを主としなければなりません。そのうえで豊作などにより、余剰が出た場合のみ販売が認められます。当初から営利目的で借りることは禁止されています。

それぞれの要件を満たしたうえで、農業委員会に申請して承諾が必要です。

市民農園整備促進法

最後に市民農園整備促進法を利用する場合です。これは市民農園区域に指定されている農地において、農機具庫や休憩所などの施設を設置する場合に使う方法です。

農地と併せて休憩所などの附帯施設の整備が必須となりますが、規模が大きく優良な市民農園の整備を進めることを目的としています。

貸し農園を成功させるために

貸し農園の成功の定義は、大きく分けて2つあります。

  • 余剰となる土地を貸し出すことで収益を確保し、黒字化すること
  • 生産緑地の相続および贈与税の猶予も含めた、税金対策としての資産運用を行うこと

もちろん両方の定義を満たすことが、もっとも最善とはなりますが、赤字にならず、トラブルなどストレスの原因を作らない運営をすることも重要です。

定期的な管理が必須

実際に貸し農園として他人に貸し出す場合は、定期的な管理が必須です。

実際に所有している土地を、1人の利用者に貸し出す場合は問題はありませんが、貸し農園の多くが区画を整理して、複数の利用者に貸し出ししています。

その場合、利用者の間で区画を超えた使用をしていないか、また境界線や農園内の水の流れを遮るものがないか、など区画の管理が必要となります。

また貸し出した農園が放置されていて、荒れたままになっている場合も、他の区画への悪影響であり、農園自体の劣化にもつながりますので、対応する必要があります。

利用者とのトラブル

貸し農園の大きな問題点は、やはり利用者とのトラブルです。貸主と利用者または利用者同士のトラブルについてはしっかりと対策しなくてはいけません。

特に定期的な管理ができない場合、利用者間のトラブルが発生しやすくなります。

ある程度は利用者のモラルであったりマナーに頼る部分はありますが、必要であれば契約内容を見直し、利用制限をきつくすることも必要かもしれません。

迷ったらプロに相談

繰り返しになりますが、区画整理とは農地に接道がない、土地の形状が悪い土地が利用価値を高めるために行う工事です。

メリットだけを見るのではなく、デメリットについても十分理解した上で進めていくことが重要です。さまざまな法規制や権利者同士の意見調整などスムーズに進めるためにも、区画整理の経験や実績の豊富なプロに相談することをおすすめします。

大きな収益は求めない

貸し農園はマンションやアパート経営のように、建物を建設する必要がないため、初期投資が少なく、すぐに始められます。

そのため、赤字になりながらズルズルと何年も続けるということはなく、貸主にとってデメリットが少ない土地活用といえます。しかし、そのぶん収益も少ないので、大きな収益を得るための土地活用としては向いていません。貸し農園で大きな利益を期待しすぎないようにしましょう。

それでもうまく利用すれば、土地は手放さずに税金対策を行いつつ運営ができます。

貸し農園ブームによる不動産業者の知識も高まっている

今まで貸し農園に対する知識は、一部の限られた人しか持ち得ないことが多かったです。しかし、貸し農園ブームに伴い、取引事例が急増したことによって、各担当者の知識も高まっています。

今までであれば参考にならないことも多く、専門家を頼れなかった貸し農園ですが、ここ数年は、不動産会社に相談すれば、ある程度の知識を持った回答が得られます。

知識が定着していないままに自身だけで進めても、遠回りしてしまう可能性は高いです。早い段階で不動産会社に相談しましょう。

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