不動産売却のノウハウ
税金はいろいろなものにかかります。もちろん、戸建て住宅を売却したときにも税金はかかります。しかし、控除を受けられる特例などがあり、工夫すれば大きな節税が可能です。戸建ての売却でかかる税金の種類や計算方法、税金を節約する方法などを紹介します。
不動産お役立ちコラム 費用・税金2023年7月10日
戸建て住宅を売却したときにかかる税金には、次の4つがあります。
税金 | 支払うケース | 発生するタイミング |
---|---|---|
譲渡所得税 | 場合によって | 売却益が出たとき |
登録免許税 | 場合によって | 手続きのとき |
印紙税 | 必須 | 手続きのとき |
消費税 | 必須 | 手続きのとき |
不動産売却で税金が発生するタイミングは、「売却益が生じたとき」と「手続きのとき」のふたつに分けられます。また、印紙税と消費税は手続きのときに必ずかかります。
戸建て住宅を売却したときの税額の算出方法を解説します。物件の所有期間や売却益の有無、住宅ローンの利用可否などにより税額が異なるため、税金の種類ごとに自分の状況と照らし合わせながら読み進めてください。
譲渡所得税とは、不動産売却で利益が出たときに、その利益(譲渡所得)に対してかかる税金のことです。売りに出す戸建ての購入価格より売却価格が下回る場合、納める必要はありません。
また、譲渡所得税は、物件を所有していた期間によって税率が異なります。所有期間が5年を超えていると20.315%、5年未満なら39.63%と倍ほど違います。
ただし、相続した物件の場合、故人である被相続人が所有していた期間が対象です。被相続人が5年を超えて物件を所有していたら、相続人は長期譲渡所得の税率で計算できます。
種類 | 物件所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別税 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超過 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
短期譲渡所得 | 5年未満 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
登録免許税とは、不動産の登記にかかる税金のことです。また、不動産売却における登録免許税には「所有権移転登記」と「抵当権抹消登記」のふたつの登記が関係します。
登記の種類 | 税額 |
---|---|
所有権移転登記 | 不動産の固定資産税評価額×2% |
抵当権抹消登記 | ひとつの不動産につき1,000円 |
不動産売買などで不動産の所有者が変わる場合、名義変更による所有者移転登記の手続きをしなければなりません。
また、所有移転登記のための登録免許税の支払いは、明確なルールはないものの新しく不動産を取得する買主が支払うことが多いです。ただし、必ず買主が払うとは限らないため、手続きのときに不動産会社の担当者に尋ねておきましょう。
住宅ローンを組んで戸建てを購入した場合、抵当権抹消のための登録免許税の支払いが必要になります。住宅ローンを借りていないのなら、支払い義務はありません。
抵当権抹消登記でポイントとなるのは、ひとつの不動産につき1,000円の費用がかかることです。土地と建物の両方の所有権を持つ一戸建てを売却する場合、それぞれに費用がかかるため2,000円を支払うことになります。
印紙税とは、不動産売買契約書のような課税文書を作成するときにかかる税金のことです。不動産売却では、売買契約書に定められた税額の印紙を貼り消印することで納税したとみなされます。
印紙税の税額は、不動産の売却価格によって異なります。売却価格100万円超~1億円以下の印紙税額は次のとおりです。
売却額 | 印紙税額 |
---|---|
100万円超~500万円以下 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 3万円 |
なお、平成26年4月1日から令和6年3月31日までのあいだに作成された売買契約書は軽減措置を受けられます。上記の税額は軽減措置を適用した金額です。
消費税は事業者が事業として取引するときに発生する税金です。個人のマイホームを売却するときには、消費税が発生しません。
しかし、不動産会社に支払う仲介手数料や、抵当権抹消登記を司法書士に頼んだときの依頼料には消費税がかかります。また、仲介手数料の上限額は売却価格によって異なり、次のようになります。
売却価格 | 上限額 |
---|---|
200万円以下 | 売却価格×5% |
200万円超~400万円以下 | 売却価格×4%+2万円 |
400万円超 | 売却価格×3%+6万円 |
たとえば、5,000万円で戸建て住宅を売却したら、「5,000万円×3%+6万円」となり、156万円と算出できます。そこに消費税10%の15万6,000円が上乗せされ、「156万円+156万円×10%」の171万6,000円の仲介手数料を不動産会社に支払うことになります。
次の条件の物件を売却したと仮定して、納税額を算出してみましょう。
上記の物件では売却益が出ていないため、譲渡所得税は発生しません。登録免許税と印紙税、消費税といった3種類の税金の納税義務が生じます。
それぞれの税金の金額は次のとおりです。
先述した条件の物件を売却する場合、15万3,000円の税金を支払うことになります。また、抵当権抹消登記を司法書士へ依頼したら依頼料にも消費税がかかることから、シミュレーション結果より税金は数千円ほど高くなるでしょう。
戸建てを売却するときにできる節税や役立つ控除、特例を紹介します。それぞれ利用要件や内容が異なるため、自分の状況と照らし合わせてから、利用を検討しましょう。
3,000万円の特別控除の特例は、物件の所有期間を問わず最大3,000万円まで控除が受けられるものです。譲渡所得(不動産売却による利益)が3,000万円を下回っているなら、納税額は0になります。
ただし、売却の前年もしくは前々年に3,000万円の特別控除の特例を利用していると、同じ特例を利用することはできません。そのほかにも、売却した相手が親子や夫婦など特別な関係にある場合も適用されないなど、さまざまな適用要件があります。
さらに、3,000万円の特別控除の特例は、マイホームを買い換えたときの特例や損益通算の特例とは併用できません。所有期間が10年を超える物件に適用される、軽減税率の特例のみ併用できます。
取得費がわからないときは、売却価格の5%相当を取得費として算出できます。戸建てを買ってからかなり時間が経っていたり、親から相続していたり購入価格が不明確な物件でも取得費が0になることはありません。
売却した代金の5%を取得費として計算します。
たとえば、戸建て住宅を土地建物あわせて5,000万円で売却した場合「5,000万円×5%=250万円」と算出でき、250万円を取得費として計算できます。
軽減税率の特例とは、所有期間10年を超える物件が対象の特例のことです。利用要件をすべて満たした場合に限り、長期譲渡所得の税額を通常よりも低い税率で計算できます。
軽減税率の特例が利用できると、譲渡所得6,000万円以下の物件の税率が15%のところを10%で算出できます。また、6,000万円を超えた金額は、通常どおり15%で計算します。
損益通算の特例とは、不動産を売却して損失が出てしたときに、給与所得や事業所得などほかの課税所得から損失分を差し引ける特例です。
また、住宅ローンの残債がある物件を売却して売却価格が残債を下回った場合も、損失分に対してほかの課税所得から控除できる特例があります。控除できなかった分は、売却した年の翌年以降3年間にわたって繰り越し控除が可能です。大きな節税効果を期待できるため、要件に当てはまる場合は積極的に利用しましょう。
特定の居住用財産の買い換え特例とは、マイホームを売って代わりの住まいに買い換えた場合に、譲渡所得にかかる税金を将来へ繰り延べられる特例のことです。
ただし、買い換え特例は、利用できたとしても課税分が非課税に変わるわけではありません。売却後に購入したマイホームを売りに出すときに、前回繰り延べた分もあわせて課税されることになります。