不動産売却のノウハウ
不動産売却にかかる費用の目安は、物件価格の3〜10%といわれています。
費用の目安を把握することは、不動産売却をスムーズに進めることにつながります。どのような費用にいくらぐらいかかるのかを理解しておきましょう。
あわせて、費用を抑える方法について解説しているので参考にしてください。
不動産売却 費用・税金2023年8月25日
不動産売却にかかる費用として、一番負担の大きくなるものが仲介手数料です。その他の費用とあわせて紹介します。
不動産会社に売却を依頼し、無事成約できた際に支払う報酬を仲介手数料といいます。一般的に売買契約が成立したときに半額、物件の引渡しのときに残りの半額を支払います。
仲介手数料の上限の計算式は下記のとおりです。
売却価格 | 計算式 |
---|---|
200万円以下 | 売却価格×5% |
200万円を超えて400万円以下 | 売却価格×4%+2万円 |
400万円を超える | 売却価格×3%+6万円 |
不動産取引は400万円を超えることが多く、たとえば、1,000万円で売れた場合と5,000万円で売れた場合の仲介手数料は以下のとおりです。
売買契約書に貼付する印紙税がかかります。印紙税は契約書や領収書に課税される課税文書ですが、不動産の売買契約書にも適用されます。
売買契約書に貼付する印紙税額(一部抜粋)は以下のとおりです。なお、令和6年3月31日までの間に作成されたものは、軽減税率の対象となります。
売却価格 | 税率(円) | 軽減税率(円) |
---|---|---|
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万 | 5,000 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万 | 1万 |
5,000千万円を超え1億円以下のもの | 6万 | 3万 |
売却する不動産に抵当権がついている場合、抵当権を抹消して引き渡さなければいけません。この手続きに必要な費用を抵当権抹消費用といいます。
抵当権がついている不動産とは、つまり住宅ローンが残っている不動産です。抵当権抹消は司法書士に手続きをしてもらうことになり、報酬や交通費などで2〜3万円が相場です。
住宅ローン関連費用とは、売却の際に住宅ローンが残っている場合、一括返済のために銀行に支払う手数料のことです。
費用は銀行によって変わりますが、3万円ほどかかるケースが多いです。詳しくは、住宅ローンを組んでいる金融機関のホームページや資料を参照してください。
自宅の住み替えには引っ越し代がかかります。引っ越し代は荷物量や立地、マンションの場合はエレベーターの有無によって金額が変動します。
また、住み替えの場合、新居が未完成のときには仮住まいが必要になることがあります。その場合には2回分の引っ越し代がかかります。3~4人家族の場合、引っ越しには1回あたり20万~30万円ほどがかかると考えておきましょう。
売却する不動産の境界が確定していない場合は、測量による境界確定が必要になります。
境界関係にはトラブルが多く、プロである測量士に依頼することでトラブル防止につながります。費用は状況によりますが、約40〜50万円ほど必要です。なお、売却物件がマンションの場合、測量は必要ありません。
不動産を売却した際に出た利益を譲渡所得といいます。譲渡所得が発生した場合は、確定申告をして譲渡所得税を支払わなければいけません。
譲渡所得は以下のように求められます。
譲渡所得=売却価格–取得費用(不動産を入手したときの費用)–譲渡費用(売ったときの費用)
上記で求めた譲渡所得に税率をかけた金額が税額となります。税率は物件の所有期間によって以下のとおり異なります。
所有期間 | 税率(%) |
---|---|
5年以内 | 39.63 |
5年超 | 20.315 |
所有期間は、売却した年の1月1日時点で判断がされます。実際に5年を超えて所有していても5年以内と判断されることもあるため、注意してください。
たとえば、2000年8月に購入した物件を2005年9月に売却した場合、売却した年の1月1日時点で判断すると所有期間は5年以内となります。
不動産売却にはさまざまな費用がかかるということがわかりました。ではこれらの費用をできるだけ安く抑えるためにはどうしたらよいのでしょうか。
不動産会社の中には、紹介や再利用制度による仲介手数料の割引を行っているところがあります。
たとえば、過去の成約者から紹介してもらって成約すると仲介手数料が1割引になる制度や、2度目の成約で10万円プレゼントなどがあります。
仲介手数料は基本的に上限額をそのまま請求されます。値引き交渉をしても応じてくれる不動産会社はほとんどないため、こういった特典をうまく利用して、少しでも費用を抑えましょう。
引っ越し代を抑えることも重要なポイントです。引っ越し会社の見積もりは3〜4社に取ってもらいましょう。
引っ越し会社のトラックの状況や引っ越し日によって金額が変わるので、安いタイミングを狙ったり、複数社の比較検討をして値引き交渉をしたりすることで、金額が大きく下がることがあります。
不動産売却による、譲渡所得税を抑えるための特例制度もうまく活用しましょう。
譲渡所得税がお得になる制度として「3,000万円の特別控除の特例」というものがあります。これは、マイホームを売ったとき、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。
この特例には、売主と買主が親子や夫婦など特別な関係でないことや、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、などの条件があります。利用前には必ず不動産会社などに確認をしてください。
不動産買取事業者に不動産を売却する方法も費用を安く抑えるポイントです。仲介会社で買主を見つけてもらうのではなく、直接不動産買取事業者に買ってもらうことで仲介手数料の支払いがなくなります。
ただし、不動産買取事業者を利用した場合は相場より安い金額の買い取りになってしまいます。相場価格と仲介手数料の比較をしたうえで利用するようにしましょう。
不動産売却の際にかかる費用の説明や、安く抑えるポイントを解説しましたが、何より大切なことは高値での売却を目指すことです。
費用を安く抑える対策を実行したところで、100万円も安くなることは滅多にありません。それよりも高値売却に注力することで、100万円以上の手取りを増やすことが可能になるのです。ここでは、少しでも高く売却するためのポイントを解説します。
まずは周辺の相場を自分で調べることから始めましょう。
いまはインターネットを利用して、周辺の販売物件の情報を簡単に得ることが可能です。周辺の類似物件を調査して、相場感を把握することで、不動産会社の言いなりになることを防ぎましょう。
あくまで不動産会社は売却のお手伝いです。最終的な物件価格の決定や値引額は売主に委ねられているため、安すぎる金額設定をしないよう心がけましょう。
販売活動の中で、物件の見せ方を考えるのも重要です。
インターネット広告が主流になっている現在、室内の写真を充実させてお客様の気持ちを惹きつけられれば高値売却を目指せます。
「家の中は汚いから見せるのが恥ずかしい」ということであれば、写真を撮るときだけでも片付けてきれいな写真を撮って掲載しましょう。購入希望者は掲載されている物件情報だけで良し悪しを判断することが多いので、そこを越えると高値で売れる可能性が高まります。
物件を直接見たい人をたくさん作るためにも、広告活動に積極的に協力しましょう。」
売主として高値で売る心構えが整ったところで、不動産会社選びが最大の山場になります。
物件情報は不動産会社の名前で掲載されます。掲載された不動産会社の信頼や実績がない、または、事業者間で悪評の多い不動産会社であれば問い合わせ件数が少なくなると思ってください。
まずは気になる不動産会社に相談し、得意分野や実績、顧客層をしっかりと聞き出すことが重要です。納得のいく不動産会社に依頼し、信頼関係を構築することが、不動産を少しでも高く売るための一番のポイントだといえるでしょう。