不動産売却のノウハウ
所有する不動産を売却するには、不動産会社へ査定を依頼し、媒介契約を結び…といくつもの段階を経ます。これははじめて不動産を売却する人にとっては、ハードルが高く感じてしまうかもしれません。
不動産会社にとって当たり前のことでも、はじめて不動産を売却する人にはわからないことだらけです。スムーズに、そして失敗することなく不動産売却を進めるため、不動産会社へ相談する前に、大まかな流れを把握しておきましょう。不動産を売却するまでのステップは、たったの6つですから簡単です。
不動産売却 基礎知識2023年11月15日
不動産を売却するときは、はじめに不動産会社へ価格の査定を依頼します。査定結果をもとに依頼する不動産会社の選定を行い、媒介契約の締結が完了したら売却活動がスタートします。
不動産会社は物件の紹介や内覧などを行い、購入希望者の申し込みがあったら契約条件の相談・交渉など細かい打ち合わせをします。条件がまとまったら、売買契約書の取り交わしを行い決済・引き渡しを行うという流れです。
不動産の売却にかかる期間は3〜6カ月前後が一般的です。しかし、空き家の状態で売却する場合や入居中の状態で売却する場合など、ケースごとに売却期間が異なります。
6カ月以上売れないときは、不動産会社の売却活動が正しく行われていない可能性もあるため、ほかの不動産会社への依頼も検討しましょう。専任媒介で購入申し込みが入らないときは、一般媒介に切り替え、複数社へ同時に依頼するのもひとつの方法です。
不動産を売却するには、まず不動産会社へ査定を依頼する必要があります。近隣の相場や物件の築年数、設備の状態などさまざまなポイントから総合的に判断し、現状いくらで売れるのかを売り出し前に決める必要があるからです。
査定の方法には、机上査定と訪問査定の2種類あります。机上査定は現地へ行かずに、成約事例、路線価、固定資産税評価額などをもとにおおよその金額を算出する方法なので、実際に売却を進めるときは現地確認を行う訪問査定を依頼しましょう。
査定を依頼するときは、次の書類が必要になります。
必要書類は依頼する不動産会社によって変わるため、事前に確認しておきましょう。
依頼する不動産会社が決まったら、売主と不動産会社のあいだで媒介契約を締結します。不動産の仲介は媒介契約を結んだら売却活動を行い、購入希望者から申し込みがあったら条件のすり合わせ、売買契約、決済・引き渡しという流れで進みます。
売却活動から引き渡しまで無事に完了したら、成功報酬として不動産会社へ仲介手数料を支払います。
不動産会社を選ぶポイントはいくつかありますが、信頼できる担当者を選ぶのがおすすめです。
不動産会社ごとの違いはありますが、実際の手続きは担当者ひとりで行います。できるだけ高くスピーディに売却するには、不動産の知識や経験が豊富で、なおかつ売主の意向に寄り添ってくれる担当者に依頼するのがベストです。
査定書の内容も重要な判断材料になります。査定価格が高ければ高いほどよいというわけではなく、なぜその金額で売れると思ったのか、しっかりとした根拠を示してくれる不動産会社を選びましょう。
媒介契約には専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があります。専属専任と専任媒介は1社としか媒介契約を結べませんが、一般媒介は複数社と同時に契約できます。
不動産会社とのやりとりを1社に絞りたい場合は専属専任もしくは専任媒介、複数社へ同時に依頼したい場合は一般媒介がおすすめです。
媒介契約を締結したら、不動産会社は売却活動をはじめます。不動産会社では不動産流通機構(レインズ)への情報の登録、不動産ポータルサイトへの掲載、チラシの配布など、少しでも問い合わせが来るように広告活動を行います。
そのほかにも、問い合わせや内覧の対応などを、買主が決まるまで続けます。
不動産会社は売却活動中、専属専任媒介なら1週間に1回以上、専任媒介なら2週間に1回以上、売主へ売却活動の進捗報告が義務づけられています。不動産会社の報告がきちんと届いているかも確認しましょう。
不動産会社による売却活動中、売主ができることは、物件をきれいにすることです。特に住んだまま売りに出す場合は、いつ内覧があってもよいように部屋を掃除しましょう。
ものが乱雑に置かれていたり、掃除が行き届かなかったりすると、内覧での印象が悪くなるおそれがあります。早く買主が見つかるように、売主も準備しておきましょう。
購入希望の申し込みがあり、住宅ローンの事前審査、物件調査、契約前の説明や重要事項説明などで問題がなければ、買主と売主のあいだで売買契約を締結します。
売買契約が無事に完了したら、買主が売主へ手付金を支払い、売主から不動産会社へ仲介手数料の半金を支払います。
売買契約を交わすとき、売主が用意する書類には次のものがあります。
収入印紙は不動産会社が用意して、売主は印紙代のみ支払えばよいケースも多いため、事前に確認しましょう。
売買契約が完了したら、後日に決済と引き渡しを行います。決済は買主が住宅ローンを組む場合は金融機関、住宅ローンを利用しない場合は不動産会社の事務所で行うケースが多く、買主、売主、担当者、金融機関担当者、司法書士が立ち会います。
当日は、登記申請の依頼、買主から売主へ売買代金の支払い(振り込みの場合は着金確認)、着金確認後に物件の鍵やその他書類の引き渡しなどを行います。
売主は決済日に向けて、必要書類を準備して待ちましょう。
引き渡しで売主が準備するものは、次のとおりです。
契約や物件などによって必要書類は異なるため、決済前に不動産会社へ確認しておきましょう。
決済と物件引き渡しで不動産売却が終わるわけではありません。
不動産の売却で利益が発生したら、譲渡所得税の納付が必要になるため確定申告を行います。譲渡所得は売却価格から諸費用や売却費用を差し引いて手もとに残った金額のことです。
譲渡所得の税率は不動産の所有期間によって異なり、短期譲渡所得になる5年以下だと39.63%、長期譲渡所得となる5年超だと20.315%です。
ただし、マイホームの売却に関しては条件を満たせば、税金が発生しない軽減税率が適用されることがあるため、事前に確認しておきましょう。
売却価格から諸費用を差し引くとマイナスになる場合、確定申告は不要です。しかし、給与所得やそのほかの所得がある場合、損益通算で所得税額を抑えられるため、節税したい場合は確定申告を行いましょう。