不動産売却のノウハウ

タイトル画像

不動産売却にかかる税金は5年で大きく変わる?
適切な売却時期を判断する方法とは

「不動産を所有期間5年以内で売却すると税金が高い」と聞き、不動産の売却を迷う方もいるのではないでしょうか。

確かに、所有年数により売却時にかかる税金の税率は異なり、長く所有するほど税金を抑えられます。しかし、所有期間や税額だけで売却時期を判断するのは危険です。

不動産売却時の税金について、所有期間5年でどれくらい変わるのか、ほかに使える税金面の特例はあるのか、また売却に有利になるよう、税金以外で気をつけるべきことについても解説します。

不動産売却 費用・税金

2023年11月15日

目次

不動産売却時の税金は5年で大きく変わる

不動産の所有期間が5年を超えると、売却利益にかかる税金が大きく軽減されます。不動産を売却するときの税金と所有期間との関係について解説します。

譲渡所得税とは

譲渡所得税とは、不動産の売却によって利益が出たときに発生する所得税のことです。譲渡所得には住民税や復興特別税もかかるため、これらの税金を含めて譲渡所得税と呼ばれることもあります。

譲渡所得は不動産を売却して出た利益のことで、譲渡所得税額は以下の計算式で求められます。

譲渡所得= 譲渡価額※1 ー (取得費※2 + 譲渡費用※4)
税額 = 譲渡所得 × 税率

※1「譲渡価額」は売却価格のこと

※2「取得費」とは、物件を取得したときの費用。土地や建物の購入代金、建設代金、購入手数料や設備費、改良費など

※3「譲渡費用」とは、物件を売却する際の費用。仲介手数料や印紙税、測量費、売却のための広告費、立退料、建物の取り壊し費用など

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間により、以下のように分かれています。

譲渡所得の区分 所有期間 税率(住民税・復興特別所得税込み)
短期譲渡所得 5年以下 39.63%
長期譲渡所得 5年超 20.315%

このように所有期間が5年を超えると、譲渡所得税率が大幅に下がり、税額を抑えられることが分かります。

このとき、所有期間とは不動産購入から売却・引き渡しまでの期間ではなく、購入日から買い手に引き渡した年の1月1日までを指します。たとえば2018年10月1日に購入した物件を2023年11月1日に売却した場合には、2023年1月を基準とするため、短期譲渡所得扱いになり、高い税率が適用されてしまう点に注意が必要です。

所有期間10年超で使える特例もある

不動産の所有期間が長いほど、税金面で有利になる特例はほかにもあります。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は、戸建て・マンションなどのマイホームを売却する場合に、所有期間が10年を超えていれば、譲渡所得に対して軽減税率が適用されるという特例です。

特例を使えば、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に対して、譲渡所得税や住民税などを合わせて14.21%まで税率が下がります。

譲渡所得金額 税率(住民税・復興特別所得税込み)
6,000万円以下の部分 14.21%
6,000万円超の部分 20.315%

この特例は後述する3,000万円特別控除と重複して適用できるため、適用すれば税金をさらに抑えられます。

では、譲渡価額7,000万円、取得費5,000万円、譲渡費用500万円の物件を例に、一般税率と軽減税率での税額を計算してみましょう。まず、譲渡所得を計算します。

譲渡所得 =7,000万円 -(5,000万円+500万円)=1,500万円

譲渡所得が6,000万円以下のため、軽減税率の特例を適用でき、一般税率と比べると以下のようになります。

特例を適用しない税額 = 1,500万円×20.315% = 304万7,250円
軽減税率を適用した税額 = 1,500万円×14.21% = 213万1,500円

税額の差は約91万5,000円となり、特例を適用しない一般税率の70%程度まで納税額を抑えることが可能です。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の主な適用要件は、以下のとおりです。

  • 譲渡した年の1月1日時点で、マイホームの所有期間が10年以上であること
  • 親子や夫婦など「特別な関係」にある者への売却でないこと
  • 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却すること
  • 家屋の解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、かつ、空き家になって3年後の12月31日までに売却すること
  • 家屋を解体してから、譲渡契約の締結日まで賃駐車場などの用途に使っていないこと
  • 3,000万円の特別控除以外の、他の特例を使っていないこと
  • 過去3年間に軽減税率の特例を使っていないこと

国税庁:「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

5年以内・5年超・10年超でシミュレーション

実際に不動産売却時の譲渡所得税額をシミュレーションしてみましょう。同じ条件の物件で所有期間を変えて計算してみます。

譲渡価格(売却額):5,000万円
譲渡時にかかった諸経費:200万円
購入価格:4,000万円
取得時にかかった諸経費:100万円

所有期間5年以内の場合

5,000万円 - ( 200万円 + 4,000万円 + 100万円 )
= 課税譲渡所得 700万円 × 39.63%
= 277.4万円

所有期間5年超の場合

5,000万円 - ( 200万円 + 4,000万円 + 100万円 )
= 課税譲渡所得 700万円 × 20.315%
= 142.2万円

所有期間10年超の場合

5,000万円 - ( 200万円 + 4,000万円 + 100万円 )
= 課税譲渡所得 700万円 × 14.21%
= 99.5万円

このように、不動産物件の条件が同じなら、所有年数が長くなるほど譲渡所得税額を抑えることが可能です。

所有期間だけで売却時期を判断するのは危険

実際の不動産売却時には、所有期間による税額の違いのほかにも、注意すべきポイントがあります。具体的には、物件そのものの価格の変動要因から、売却時期を考える必要があるということです。

税金以外で考慮すべき売却時期の判断基準について解説します。

築年数

不動産の売却時期の判断基準に、築年数があります。

一般に、中古の家は戸建てであれマンションであれ、早く売るほど売却益が高い傾向です。

立地などの条件にもよるものの、戸建ての場合は新築時を100とすると、経過年数ごとの査定価格は5年後で約80%、10年後で約50%、15年後で約30%前後となります。マンションの場合、5年後で約90%、10年後で約80%、15年後で約70%程度が、査定価格の目安です。

つまり、所有期間を伸ばしてしまうと、売却価格が大きく下がってしまうおそれがあります。

時勢と市況

不動産の売却時期の判断基準として、時勢や市況による不動産価格の変化があります。

現在注目されているのは、2025年に開催される大阪万博の影響で、万博関連の開発により、今後関西圏を中心に不動産価格が上昇すると予想されています。

実際に東京オリンピックの前には、都市インフラ整備や経済効果で不動産価格が上昇しており、大阪エリアも同様の変化が起こるといわれているのです。

2023年現在の全体的な不動産相場は、戸建て・マンションともに上昇を続けています。ただし今後の金利の動向などによっては、上昇に陰りが出る可能性もゼロではないため、好況の間に不動産を売却するという考え方もできます。

立地とエリア需要の変化

不動産の売却時期の判断基準としては、立地とエリアの需要の変化も考慮する必要があります。

たとえば、物件のエリアで大規模開発があった場合には、近隣の住宅需要が増し、周辺の地価が上昇するケースが多いです。もし開発が進行中であれば、築年数が古い中古住宅であっても、経年による下落よりも売却益が上回る可能性もあるため、価格上昇を待って売却することも1つの方法です。

逆に地元の企業や大学が撤退するようなことがあると、周辺の需要が下がるため、地価も下落するのが一般的です。ほかにも電車やバスの減便があるなど、人口減少の兆候が見られる場合は、価格が下がる前に早く売却するほうが得策といえます。

住宅ローン金利の変化

不動産の売却時期の判断基準として、住宅ローン金利の変化もあります。

住宅ローン金利が低いときには、返却時の負担が軽減されるため、ローンを組んで住宅を購入しようとする人が増える傾向です。そのため、売却する場合に買い手が付きやすく、比較的よい条件で売却しやすくなります。

2016年のマイナス金利政策以降、住宅ローン金利は低く抑えられています。しかし今後も低金利が続くとは限りません。2023年現在、比較的不動産相場が高く、金利がまだ低いため、売却にはよいタイミングといえます。

所有期間に関係なく利用できる特例や控除

写真

ここまでは、不動産を売却する時期を判断する際の注意点について、税金や売却価格の面から解説してきました。

実は不動産の所有期間に関係なく、利用できる特例や控除もあるため、売却の検討材料の1つとして参考にしてください。

居住用財産の3,000万円の特別控除

居住用財産の3,000万円の特別控除とは、自分が居住している戸建てやマンションを売却した場合、利益部分(譲渡所得)から3,000万円を控除できるという特例で、所有期間・居住期間の制限なく利用が可能です。

3,000万円特別控除は、この譲渡所得を最大3,000万円分控除できるため、譲渡所得が3,000万円以下の場合は税金を納める必要がありません。たとえば4,000万円で取得したマンションが3年後に5,500万円で売れた場合、差額は1,500万円になりますが、3,000万円以内のため譲渡所得の課税はありません。

3,000万円特別控除の主な適用要件は次のとおりです。

  • 居住している家や土地の売却であること
  • 転居から3年後の12月31日までに、以前居住していた家や土地を売却すること
  • 災害により減失してしまった場合は、災害があった日から数えて3年目の年の12月31日までに売却されること
  • 売却相手が親子や配偶者などの特別な関係にある人(法人含む)ではないこと

3,000万円の特別控除は、所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例と併用可能です。ただし住宅ローン控除との併用はできません。どの特例・控除を受けると有利になるのかは、個々の条件により異なります。

国税庁:「No.3302 マイホームを売ったときの特例

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住み替えで住宅ローンを利用する場合に、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)が使える場合があります。

通称住宅ローン控除は、新しい家の住宅ローンに対して10年または13年間、年末時点での住宅ローン残高の0.7%の金額を、所得税や住民税から控除されるというものです。その年に控除し切れなかった分は、翌年の住民税からも一部控除されます。

長期優良住宅、低炭素住宅などの環境性能のよい住宅ほど、借入限度額や控除額上限で優遇を受けられる特徴があります。適用には以下の要件を満たす必要があります。

  • 自ら居住する住宅であること
  • 床面積が50㎡以上あること
  • 合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 住宅ローンの借入期間が10年以上あること
  • 引っ越しまたは工事完了から6カ月以内に入居すること

国税庁:「No.3302 「住宅ローン減税

なお住宅ローン控除には期限があり、控除を受けるには、取得した新居に2025年12月までに入居することが必要です。

元の家を売却し譲渡所得が発生した場合、3,000万円の特別控除などは住宅ローン控除と併用できない点に注意が必要です。譲渡損失が発生した場合の税金還付を受けられる特例は、住宅ローン控除と併用することができます。

不動産を売却する際には、どの特例や控除の適用を受けるともっとも有利になるのか、あるいは物件の査定価格が高ければ売却したほうが得か、シミュレーションしてみることをおすすめします。

現在の不動産相場と物件の査定については、お近くの不動産会社にご相談ください。

小田急不動産にご相談ください

不動産の売却査定価格を
無料でご提案いたします

  1. Step.1

    OK
  2. Step.2

    OK
  3. Step.3

    OK
  4. Step.4

    OK

※地域・物件によってお取り扱いができない場合がございます。あらかじめご了承ください。

3つの買取サービス

無料査定を承ります