不動産売却のノウハウ
マンション売却相場は不動産会社に相談したり、査定を受けたりすることで把握できます。しかし、ある程度の相場なら自分で調べることも可能です。
マンション売却相場の調べ方や、ここ数年でマンション価格が高騰している実情、売却の流れについて解説します。
不動産売却 費用・税金2024年3月8日
マンションの売却を考えるときに、売却価格の相場を知ることはとても重要です。マンションの売却相場は自分で調べることができます。売却相場を調べるときにおすすめの方法を紹介します。
マンションの売却相場を自分で調べる方法として、最も手軽な方法はインターネットで不動産ポータルサイトを利用することです。代表的なものではSUUMOやホームズなどが挙げられますが、ほかにも多くの不動産ポータルサイトが存在します。
不動産ポータルサイトは、現在売り出されているマンションの情報を一覧で見ることができます。検索機能も充実しているので、所在地や間取り、築年数などを指定してマンション売却価格を調べられます。自分のマンションに近い条件で検索すれば、売却相場を把握できます。
注意点は、不動産ポータルサイトの情報は売り出し価格である点です。実際の成約では売り出し価格を起点として、買主と売主の交渉があり価格が決定します。売り出し価格は、実際の成約価格と比較するとやや高めに設定されている傾向があります。
相場を知るためには「不動産取引価格情報検索利用する方法があります。不動産取引価格情報検索は不動産取引の円滑化と活性化を目的に、国が不動産価格情報を公開しているサイトで、成立した取引の情報を一般の人も無料で見ることができます。
レインズインフォメーションマーケットがおすすめです。国土交通省が指定した不動産流通機構が運営・管理しているWebサイトで、成約価格などの全国の取引情報を検索できます。検索方法も簡単で、取引時期と不動産の種類そして地域を選べば、対象地域の指定した時期におけるマンションの成約情報が表示されます。マンションの間取りや駅からの距離、築年数などもわかるので、売却相場の把握に役立ちます。
成約件数が少ない地域の場合、参考にするデータが足りず相場の把握ができない可能性がある点には注意が必要です。
一般の人が閲覧できるレインズの情報は、レインズマーケットインフォーメンションというサイトから利用できます。レインズに集約されている成約した不動産取引の情報を閲覧可能です。
レインズマーケットインフォメーションでは、指定したエリアごとに成立した取引の状況を確認できます。成約物件の間取りや築年数などの詳細な条件も見られます。また、指定したエリアにおける直近1年間の取引情報グラフも自動で表示されるので、売却価格の相場を把握するのに役立ちます。
マンション価格は2013年頃から上昇傾向にあります。ここでは首都圏のマンション売却価格の動向と推移について説明します。
不動産流通機構の「レインズデータライブラリー | REINS TOWER」によると首都圏のマンション売却価格は以下のとおりです。
単位:万円
東京都 | 埼玉県 | 千葉県 | 神奈川県 | |
2022年10月 | 5,563 | 2,752 | 2,595 | 3,408 |
11月 | 5,519 | 2,748 | 2,566 | 3,686 |
12月 | 5,364 | 2,644 | 2,706 | 3,580 |
2023年1月 | 5,323 | 2,685 | 2,684 | 3,450 |
2月 | 5,381 | 2,772 | 2,834 | 3,650 |
3月 | 5,442 | 2,990 | 2,683 | 3,663 |
4月 | 5,684 | 2,752 | 2,659 | 3,577 |
5月 | 5,780 | 2,823 | 2,722 | 3,629 |
6月 | 5,713 | 2,890 | 2,725 | 3,705 |
7月 | 5,606 | 3,006 | 2,722 | 3,761 |
8月 | 5,870 | 2,865 | 2,794 | 3,643 |
9月 | 5,632 | 2,912 | 2,941 | 3,782 |
10月 | 5,894 | 2,938 | 2,951 | 3,897 |
首都圏のマンション売却価格動向を見てみると、東京都だけでなく埼玉県や千葉県、神奈川県とすべての地域で上昇傾向にあります。さらに売却価格を1年前と比較すると、明確に上昇していることがわかります。
2020年東京オリンピックの開催時期がピークだといわれていたマンションの売却価格ですが、オリンピック終了後も継続して値上がりしています。
マンション売却価格の上昇要因は、新築マンションの価格上昇です。新築マンションが高くて買えないため、中古マンションを検討する人が増えるといった構図です。新築マンションが値上がりしている大きな原因には、原材料と人件費の高騰が挙げられます。
2021年ごろから世界的なインフレの傾向が顕著です。日本でも物価の上昇が見受けられますが、世界におけるインフレの勢いは日本よりもずっと強いものがあります。そのため原材料の輸入価格が大幅に値上がりしています。また、歴史的な円安水準で推移する為替レートも、輸入物価の上昇に拍車を掛けています。
人件費の高騰もマンション価格上昇の要因として挙げられます。建築業界では人材不足が深刻です。しかし建築に関する技術は短期間で習得することが難しく、採用を増やしても人材育成が追い付かず、なかなか人手不足を解消できません。人件費の高騰はマンション価格に反映されます。
今後の見通しを考える上では、インフレと金利が重要な要素です。
長らくデフレが続いた日本経済ですが、2022年以降には物価の上昇がみられることが増えてきました。インフレの傾向が定着すると、引き続き新築マンションの建築費用は高止まりして、マンション価格の上昇は継続もしくは高値のまま推移する可能性が高くなります。
今後、注意するべきポイントとして金利が挙げられます。日本銀行はこれまでのゼロ金利政策を解除する方向に動き出しています。日本銀行も短期的な金利の急上昇には、細心の注意を払って政策運営をおこなうでしょうが、金利上昇はマンション売却価格の動向に大きな影響を与えるため、注意して見ておきましょう。
マンションの売却相場を把握できたら、マンション売却の流れも確認しておきましょう。
マンションを売却するには、まず不動産会社に査定を依頼します。売り出し価格は専門家の評価である査定額を基準に決定します。
査定は複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。複数社の査定額を比較することで、売却の相場を把握する材料が増えます。また、査定のときの説明や接客対応は不動産会社選びの材料にもなります。
査定結果を確認して売却することを決めたら、次は不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。媒介契約の種類は売主の事情や不動産会社の対応などを考慮し、慎重に選ぶようにしましょう。
媒介契約書には、契約解除時のペナルティや仲介手数料に関する内容などが記載されます。契約前にはきちんと確認し、納得したうえで契約締結をしてください。
媒介契約を結んだら、不動産会社は売却活動をおこないます。売却活動は主に広告などの周知活動と、内覧という買い手候補の人に対する物件案内の2つの活動に分けられます。
最近ではインターネットの不動産ポータルサイトに売却物件を掲載することが、多くの人の目に留まる広告となります。その他の広告方法には、不動産会社の店頭での紹介や新聞のちらしなどがあります。
また、内覧は重要な売却活動です。大きな買い物であるマンションを一度も見ないで購入する人はほとんどいません。そのため、内覧時によい印象を与えられるよう室内をきれいに保っておくことが重要です。
買い手が見つかったら、売買契約を結びます。売買契約では売主と買主で、契約内容を確認します。また、手付金の授受をおこない、売買価格や引き渡し日など実務的な詳細の取り決めも行います。
売買契約時に取り決めた引き渡し日に、売却代金の決済をおこないます。資金決済が無事完了したのちマンションのカギを引き渡すことで、マンションの所有権が正式に買主に移転します。