不動産売却のノウハウ
マンション売却はおおまかに「売り出し」→「購入申込み」→「売買契約」→「引き渡し」の順に進んでいきます。
購入申込みを受けるには、内覧対応が必要になります。内覧対応は内覧者への気遣いや清掃が必要で、面倒に感じる方も多いです。
内覧回数はできるだけ少ないほうがよいですが、具体的に何回くらいの対応が必要なのでしょうか。マンション売却時の平均内覧件数や売れないときの対策などを解説します。
不動産お役立ちコラム 不動産売却2024年3月8日
マンションを売却するためには、購入希望者の内覧が不可欠です。マンション売却のための平均件数や、内覧時に売主が心がけるべきマナーについて解説します。
マンション売却のために必要な平均内覧件数は6〜10件だといわれています。
2023年に行われたベンチャーサポート不動産株式会社の「不動産売却による調査」では、売却期間で一番多かったのが「1カ月以上3カ月未満」という結果でした。
毎週1件の内覧があったとすると、10件で売却期間が2〜3カ月になるため、売却に必要な平均内覧件数が6〜10件といわれているのです。
もちろん、物件によっては1件の内覧で売却できたり、20件内覧があっても売却できなかったりすることもあるため、あくまで参考の件数だと認識しておきましょう。
内覧に対する返答は、遅くても1週間以内に返ってくることがほとんどです。
購入希望者は、内覧する時点で「購入の候補に入っている」か「とりあえず見てみたい」というステータスです。
もし部屋が気に入れば当日に返答があることもあり、何週間も返答がなくモヤモヤするということは少ないでしょう。
マンション売却では、内覧時に売主が気をつけなければいけないマナーがあります。以下で紹介するポイントに気をつけてスムーズに内覧を進めましょう。
内覧時に購入希望者のためのスリッパを用意すると喜ばれます。とくに冬などの寒い季節は足元が冷えるので、気持ちよく内覧をしてもらうためにもスリッパを用意するとよいでしょう。
内覧をしている最中に、購入希望者から質問されることがあります。購入につながる重要な質問かもしれないので、購入希望者から、もしくは不動産会社の担当者から質問があれば正直に答えましょう。
購入希望者は、できるだけ部屋の細かい部分まで確認したいと考えているため、内覧時にはすべての部屋の明かりをつけておくことが重要です。
また、部屋が暗いとお客様に与える印象が悪くなります。部屋によい印象を持ってもらうためにも、明るくしてお客様を迎えるようにしましょう。
マンション売却では、内覧状況に応じた対策が必要になります。ここからは、それぞれの状況に応じた対策を解説します。
マンションを販売開始したのに、内覧件数が少なくて困っている場合は以下のような対策が有効です。
購入希望者は、周辺との相場と物件の価格を比較したうえで、内覧するかどうかを決めます。物件価格が相場より上回っている場合は内覧件数が少なくなってしまいます。
そのため、販売開始からほとんど内覧がない場合は、物件価格の見直しを検討しましょう。担当者に相談すれば販売価格を提案してもらえるため、無理のない範囲で価格を変更することをおすすめします。
購入希望者が内覧する物件を検討する際、インターネットで物件情報を確認して決めることが多いです。つまり、インターネットで掲載されている物件情報が魅力的ではない場合、内覧までたどり着かないのです。
たとえば、掲載されている物件情報に室内写真がない、または写真が少ないというケースが挙げられます。さらに、「眺望がいい」「日当たりがよく明るい」など、部屋のメリットを伝えきれていない可能性もあるでしょう。
したがって、インターネットに掲載されている物件情報を充実させ、より魅力的にしてもらうよう担当者に伝えましょう。
なかには、内覧件数が十分だが購入申込みまで至らないこともあるでしょう。その場合は以下の対策を検討してみましょう。
室内に目立つキズがあると、購入希望者からの印象が悪くなってしまいます。さらに、物件だけではなく「売主の管理がずさんなのではないか」などのイメージがつく可能性もあります。
キズが目立つ部分として、壁紙の破れ、建具のキズ、床の変色や割れなどがあります。小さいキズは、ホームセンターで売っているリペアキットで補修可能です。
もし大きなキズが気になる場合には、担当者に伝えて補修業者を紹介してもらいましょう。売却をスムーズに進めるためであれば、快く紹介してもらえるので、遠慮せずに担当者に相談してみてください。
ホームステージングとは、販売中の物件を家具や照明、観葉植物などでモデルルームのように演出するサービスです。売り出している部屋が空室の場合は、ホームステージングを検討してみましょう。
ホームステージングを利用することで、生活のイメージがより具体的になります。また、部屋をきれいに見せることでよい印象にもつながります。個人でホームステージングをすることが難しい場合は、専門業者に依頼することも有効的な方法です。
内覧数が多いのに成約まで至らない原因が担当者の可能性もあります。
報告・連絡・相談が少ない、売却に対する提案が少ない、などの担当者は要注意です。そのような担当者は、売却活動に熱心ではないことが多いため、不動産会社に直接連絡して担当者変更の希望を出してみるといいでしょう。
マンション内覧から引き渡しまでの流れは以下のとおりです。
マンション内覧後、購入希望者が部屋を気に入れば、購入申込みが届きます。
購入申込みには、購入の条件や価格交渉、契約希望日などが記載されています。それらの折り合いがつけば、次のステップである売買契約に進みます。
売買契約では、以下のような流れで手続きが進みます。
重要なポイントは、売買契約書の内容をしっかり確認することです。売買契約書には、物件の引き渡し日やローン特約、契約不適合責任や設備の引き渡しに関することなど、取引を進めるにあたって重要な事項が記載されています。
普段聞き慣れない難しい言葉が並ぶため、不明点があればかならず担当者に質問しましょう。また、売買契約の時点で、不動産会社に仲介手数料を支払うことが一般的ですので、現金を忘れないよう準備しましょう。
売却する物件に抵当権が設定されている場合、抵当権を抹消する準備を行います。抵当権とは、住宅ローンを借りたときに、金融機関が設定する担保権のことです。抵当権が抹消されなければ売却することができません。
抵当権抹消のためには、住宅ローンを組んでいる金融機関に連絡し売却の旨を伝えましょう。そうすれば、引き渡し日に向けて手続きが進みます。この行程を忘れると決済当日に引き渡しができなくなり、最悪の場合違約金が発生する可能性があります。
引き渡しに関するすべての準備が整えば、決済日に物件を引き渡します。
具体的には買主から物件残代金を受領し、部屋の鍵を渡すことで引き渡しが完了します。その際に、自治会や設備に関する説明など、引き継ぎ事項をしっかり伝えることが重要です。
売買契約締結から引き渡しまでは、抵当権抹消や、お客様の住宅ローン手続きが必要なため、約1カ月程度必要だということを理解しておきましょう。