不動産売却のノウハウ
マンションを仲介で売る場合、売却が完了すると不動産会社に仲介手数料を支払います。また、売却のために住宅ローンを一括で返済する際には、金融機関によっては追加の手数料がかかることもあります。
マンション売却に際しては、税金の支払いも必要です。これらの費用を売却代金から差し引くと、最終的に手元に残る金額が当初の予想よりも少なくなることがあります。
資金計画の支障を避けるためにも、マンション売却に伴う手数料や税金の全体像を事前に把握しておきましょう。
不動産売却 費用・税金2024年3月8日
マンションを仲介で売却した場合にかかる手数料は以下の2つです。
それぞれの手数料は、売却を依頼する仲介会社、住宅ローンを借りた金融機関によってかかる金額は異なります。ここでは相場を解説しますが、具体的な金額は利用する仲介会社または金融機関に確認しておきましょう。
仲介手数料は、仲介会社が所有者の代わりにマンションの販売活動をした結果、紹介から契約成立に至るまでのサービスに対して支払う報酬です。成功報酬になるため、売買契約が結ばれなければ発生しません。
仲介手数料は、宅地建物取引業法で以下のように定められています。
仲介手数料の計算式
売却価格 | 計算式(上限) |
---|---|
200万円以下 | 8,000円~12,000円 |
200万円超〜400万円以下 | 売買金額×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売買金額×3%+6万円+消費税 |
マンションの売却価格が400万円超の場合は、「売却価格の3%に6万円を加える」という形で上限額が決定します。この上限額に消費税が加わり、最終的に支払う金額が決まります。
たとえば、マンション売却価格が3,000万円の場合、仲介手数料の上限は90万円に6万円を加えた96万円となり、これに消費税が上乗せされます。
不動産の仲介手数料は、成功報酬型として設定されており、売買においては売買契約が結ばれたときに発生します。これは、仲介会社が売却活動に対するリスクを取ることを意味し、売買契約に至らなかった場合は支払う必要がありません。
仲介手数料は上限が定められていますが、下限は決まっていません。そのため、仲介会社は上限さえ超えなければ、仲介手数料を自由に決められます。
マンション売却においては、この他にも様々な費用が関わってきますが、仲介手数料はそのなかでも高い割合を占めます。マンション売却の際、仲介手数料がいくらかかるのかしっかりと把握して、準備を整えておきましょう。
住宅ローンが残っているマンションは、売却時に住宅ローンを完済する必要があります。金融機関に抵当権が設定されており、担保となっているためです。抵当権が設定されている限り、所有者はマンションを自由に売却できません。
抵当権を解除するためには、住宅ローンを完済する必要があります。この過程で金融機関によっては追加の手数料がかかる場合があるのです。
金融機関は、住宅ローンを通じて利息収入を得ることで利益を上げています。金利と返済期間に基づき計算されるこの利息が、途中での繰り上げ返済によって減少するため、金融機関は繰り上げ返済手数料を設定しています。
この繰上返済手数料は金融機関によって異なり、大体5,000円から30,000円の範囲です。
マンションの売却には手数料以外にも、下記の税金がかかります。
それぞれの税金について確認しておきましょう。
譲渡所得税はマンションを売却した際に発生する譲渡所得にかかる税金です。マンションを売却したときの譲渡所得は以下の計算式で求めます。
譲渡所得 = 売却代金 - ( 取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額
次に、算出した譲渡所得に譲渡所得税の税率をかけていきます。譲渡所得税は、マンションの所有期間によって税率が以下のように変わるため、どちらを用いるのか確認が必要です。
マンションの所有期間 | 税率 |
---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63% |
5年超え(長期譲渡所得) | 20.32% |
マンションを相続や贈与で取得した場合、所有期間は、被相続人や贈与者の取得した日から計算します。
マンションに設定されている抵当権は、住宅ローンを完済しただけでは抹消できません。抵当権を抹消するには、法務局で申請をして抵当権抹消登記を行う必要があります。
抵当権抹消登記は、不動産1個につき1,000円です。マンションの場合、土地と建物でそれぞれ1個の不動産になるため、2,000円がかかります。
マンションを売却する場合、取引の詳細が記載された売買契約書を作成します。売買契約書は、売主と買主が1部ずつ保有するのが一般的ですが、取引金額に応じてそれぞれに印紙を貼り付ける必要があります。
貼り付ける印紙の金額は以下のとおりです。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 506万円 |
引用:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
たとえば、マンションの売却価格が3,000万円だった場合、売買契約書を2通作成し、売主と買主がそれぞれ、2万円の印紙代を負担します。不動産売買契約書について、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されたものは、軽減措置が適用されます。
軽減措置が適用された場合、買主と売主が負担する印紙代はそれぞれ1万円です。
マンションを売却するときは、手数料や税金を抑えて、少しでも多くの金額を手元に残しておきたいものです。マンション売却で得た所得を最大化するためには、以下の方法を試してみましょう。
マンション売却にかかる手数料のなかで、多くの割合を占めるのが仲介手数料です。仲介会社に依頼した場合、基本的には仲介手数料の上限を請求されます。
しかし、この仲介手数料は仲介会社と交渉することで値下げができる可能性があるのです。交渉材料のひとつになるのが、販売活動です。マンションを売却する場合、一般的には仲介会社が販売活動のすべてを行いますが、そのいくつかを売主が行うことで抑えられる可能性があります。売主が行う販売活動は、具体的に以下のとおりです。
売主が販売活動のいくつかを行うことで、仲介会社はその分人件費を抑えられます。単純な値下げではないため、応じてもらえる可能性が高いでしょう。
譲渡所得税は、マンションの所有期間が5年以下の短期所得であれば39.63%、5年を超える長期所得であれば20.32%が適用されます。その差は約20%とかなりの差です。
譲渡所得が発生するマンションであれば、5年を超えてから売却したほうが税金を抑えられるため、あと少しで5年を超える場合なら売却期間を伸ばすことも検討してみましょう。
ただし、マンションを含む不動産は、基本的に築年数が古くなると価値が下がる傾向があります。所有期間が5年を超えるまで待ってしまうと、売却価格がそれ以上に下がるおそれがあるため、慎重な判断が必要です。
マンション売却は、節税策の一つとして、「3000万円の特別控除」や「居住用財産の買換え特例」など、特定の条件を満たす場合に利用できる制度があります。これらの特例を活用することで、税金負担を減らせる可能性があるため、確定申告時にはこれらの項目を忘れずに検討しましょう。
専門的な知識が必要な税金の計算と節税策については、税理士などの専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
マンション売却の所得を最大化するには、高く売ってくれる仲介会社に依頼するのも大切な要素です。マンションの最終的な売却価格は、買主との交渉で決まります。このときに交渉が上手な仲介会社に依頼をすれば、相場よりも高い価格で売れる可能性があるのです。
マンションを高く売ってくれる仲介会社を見つけるには、複数社に査定を依頼して比較するのが効率的です。売却の実績や担当者の知識などを確認して最適な仲介会社を選びましょう。