不動産売却のノウハウ

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マンション売却で確定申告が不要なケースとは?
申告の手順についても解説

マンション売却で利益が出た場合、確定申告をして税金を納める必要があります。しかし、実はマンションを売却したからといって、必ずしも確定申告が必要なわけではありません。場合によっては、確定申告をする必要がないこともあります。

確定申告が必要なケースでは、申告を怠ったり、適切な申告を行わなかったりすると、無申告加算税や延滞税などのペナルティを受ける可能性があります。

マンション売却時の確定申告には、「必要なケース」と「不要なケース」があり、また正しく申告しないとリスクがあるのです。

マンション売却で確定申告が不要なケースと必要なケース、確定申告を放置したときのリスクと、確定申告の手順について解説します。

不動産売却 費用・税金

2024年7月12日

目次

マンション売却で確定申告が不要なケース

マンションを売却して得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、税金がかかります。この税金は、「譲渡所得税」と呼ばれ、所得税と住民税の両方から成り立っています。

譲渡所得税は、譲渡所得から自動的に差し引かれるわけではなく、売却者自身が税額を計算して納めなければいけません。そのための手続きが確定申告であり、これを適切に行わないとペナルティを受けるおそれがあります。

譲渡所得がなければ確定申告は不要

確定申告は、あくまで利益に対しての税金を納める手続きであるため、利益が生じなければ、申告の義務は免除されます。つまり、マンションを売っても、譲渡所得がなければ確定申告は不要です。

譲渡所得は、マンションの売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額となり、以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = マンションの売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

取得費は、マンションの購入価格や購入時の諸費用です。譲渡費用は、仲介手数料や広告費などになります。これらの費用を正確に計算することで、譲渡所得の金額が確定します。

マンションの売却価格が取得費用と譲渡費用の合計を下回ったり、同額になったりした場合は、確定申告を行う必要はありません。

※ただし、損失が出た場合は、後ほど紹介する損益通算が可能であるため、確定申告をしたほうがお得であるケースもあります。

譲渡所得が20万円以下であれば確定申告はしなくてもいい

サラリーマンなどの給与所得者がマンションを売却したときに、得られた譲渡所得が20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。

ただし、これはあくまでも所得税に限ってのことです。住民税には、このような特例措置はないため申告をする必要があります。

マンション売却で確定申告が必要になるケース

マンションを売却する際、以下のケースでは確定申告が必要です。

  • 譲渡所得が発生したとき
  • 損益通算や繰越控除の適用

確定申告の期間は、マンションを売却した翌年の2月16日から3月15日までです。この期間内に確定申告を行わないと、税務署から指摘を受ける可能性がありますので注意が必要です。

譲渡所得が発生したとき

マンションを売却した際、譲渡所得が以下の条件を満たした場合は確定申告が必要です。

  • 給与取得者がマンションを売却して、20万円を超える譲渡所得を得た場合
  • 自営業者がマンションを売却して、たとえわずかでも譲渡所得を得た場合

譲渡所得税の税率は、売却したマンションの所有期間によって異なります。所有期間が5年以下の短期譲渡所得の場合は39.63%、5年超の長期譲渡所得の場合は20.315%です。

なお、相続や贈与によって取得したマンションを売却する場合、所有期間は以前の所有者が取得した時点から引き継がれます。マンションの所有期間が5年以下であっても、以前の所有者が取得した期間から売却日までの期間が5年を超えていれば、長期譲渡所得として扱われるのです。

損益通算や繰越控除の適用

損益通算や特例の適用を考えている場合は、譲渡所得の有無にかかわらず、確定申告が必要です。損益通算とは、不動産や有価証券などの運用で損失が出た場合に、その損失を他の所得(給与所得など)から差し引くことで、税金の負担を軽減する方法です。

たとえば、サラリーマンの方が、年収600万円の給与所得がある一方で、マンションの売却で100万円の損失(マイナスの譲渡所得)が出たとします。この場合、確定申告を行うことで、給与所得から譲渡損失を差し引き、年収を500万円として申告できます。そのため、税負担を減らすことが可能です。

損益通算は、マンション売却で損失が出たとしても自動的に適用されるものではありません。確定申告をしなければ、損益通算を適用されない状態の所得が課税対象です。

確定申告をしなかったときのリスク

マンションを売却して譲渡所得が発生したにもかかわらず、確定申告をしなかった場合、以下のようなリスクがあります。

  • 無申告加算税が課される
  • 遅延税が課される
  • 過少申告加算税が課される
  • 重加算税が課される

確定申告が必要な状況で申告をしないと、追加税金や税務調査などの不利益を被る可能性が高くなるため、申告をしないメリットは全くありません。

万が一、申告期限を過ぎてしまった場合でも、できるだけ早く申告することで、ペナルティを最小限に抑えることができます。

無申告加算税が課される

無申告加算税は、本来確定申告を行って納税すべきところ、申告を行わなかったことに対して課される加算税です。無申告加算税の税率は、納付すべき税額に応じて2段階に分かれています。納付すべき税額のうち50万円以下の部分については15%、50万円を超える部分については20%の税率が適用されます。

たとえば、本来の納付すべき税額が100万円の場合、無申告加算税は以下のように計算されます。

50万円までの部分:50万円 × 15% = 7.5万円
50万円を超える部分:50万円 × 20% = 10万円
合計:7.5万円 + 10万円 = 17.5万円

つまり、100万円の税金を申告せずに放置すると、本来の税金に加えて17.5万円の無申告加算税が課されることになるのです。

ただし、無申告加算税は、法定申告期限から1カ月以内に自主的に期限後申告を行い、かつ、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合には免除されます。

無申告加算税を避けるためには、やはり期限内に申告を行うことが大切です。もし期限を過ぎてしまった場合でも、できるだけ早く自主的に申告を行うことで、無申告加算税の負担を最小限に抑えられます。

延滞税が課される

延滞税は確定申告をしてから、納付期限までに税金を納めなかった場合に課される加算税です。延滞税の税率は、納付期限の翌日から実際に納付を行うまでの日数に応じて計算されます。

延滞税の計算式は以下のとおりです。

【納付期限から2カ月以内に納付した場合】

延滞税 = 未納付の税額 × 納付期限を超過した日数 ÷ 365 × 7.3%

【納付期限から2カ月を超えて納付した場合】

延滞税 = 未納付の税額 × 納付期限を超過した日数 ÷ 365 × 14.6%

たとえば、納付すべき税額が100万円で、納付期限から20日遅れて納付した場合、延滞税は以下のように計算されます。

延滞税 = 100万円 × 20日 ÷ 365 × 7.3% = 4,000円

この場合、本来の税金100万円に加えて、4,000円の延滞税が課されることになります。

また、納付期限から2カ月を超えて納付した場合、税率が7.3%から14.6%に引き上げられます。延滞税を避けるためには、確定申告後、速やかに税金を納付することが重要です。

どうしても納付が遅れる場合は、できるだけ早く納付を行い、延滞税の負担を最小限に抑えるようにしましょう。

なお、災害や病気など、やむを得ない事情により納付が遅れた場合には、税務署に相談することで、延滞税の減免を受けられる可能性があります。

過少申告加算税が課される

過少申告加算税は、確定申告をしたときに、申告した税額が実際に納付すべき税額よりも少なかった場合や、還付を受けるべき税額が実際よりも多かった場合に課される加算税です。

過少申告加算税の税率は、原則として、修正申告や更正により新たに納付すべきことになった税額の10%です。

ただし、その追加で納付すべき税額が、当初の申告税額と50万円のいずれか多いほうを超える場合、その超える部分については、税率が15%に引き上げられます。

たとえば、当初の申告税額が100万円で、修正申告により新たに50万円を納付すべきことになった場合、過少申告加算税は以下のように計算されます。

過少申告加算税 = 50万円 × 10% = 5万円

この場合、本来の追加納付税額50万円に加えて、5万円の過少申告加算税が課されることになります。

過少申告加算税を避けるためには、確定申告の際に、収入や控除等を正確に申告し、適切な税額を算出することが重要です。もし修正申告が必要な場合は、できるだけ早期に自主的に行うことで、過少申告加算税の負担を最小限に抑えることができます。

重加算税が課される

重加算税は、過少申告加算税や無申告加算税が課される場合において、税務当局から指摘される前に自主的に修正申告等をしないことや、隠ぺいするなどの不正行為があったときに課される加算税です。

重加算税の税率は、過少申告加算税や無申告加算税よりも高い税率が設定されています。具体的には、過少申告加算税が課される場合は35%、無申告加算税が課される場合は40%です。

たとえば、本来の申告税額が100万円であるにもかかわらず、意図的に収入を隠して50万円の申告しか行わなかった場合、過少申告加算税に加えて重加算税が課されます。

過少申告加算税:50万円 × 10% = 5万円
重加算税:50万円 × 35% = 17.5万円
合計:5万円 + 17.5万円 = 22.5万円

この場合、本来の追加納付税額50万円に加えて、過少申告加算税5万円と重加算税17.5万円の合計22.5万円が課されることになります。

また、無申告の状態で税務調査を受け、申告すべき税額が100万円であることが判明した場合、無申告加算税に加えて重加算税が課されます。

無申告加算税:100万円 × 15% = 15万円(※50万円以下の部分)
重加算税:100万円 × 40% = 40万円
合計:15万円 + 40万円 = 55万円

この場合、本来の納付税額100万円に加えて、無申告加算税15万円と重加算税40万円の合計55万円が課されることになります。

重加算税は、単なる申告漏れや計算誤りによる過少申告とは異なり、意図的な隠ぺいや偽装といった不正行為に対する厳しい措置です。

このような不正行為を行わないことはもちろん、万が一過少申告や無申告となってしまった場合は、速やかに自主的な修正申告を行うようにしましょう。

確定申告の流れ

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普段から確定申告を行っていない方は、確定申告へのハードルが高く感じるかもしれません。確定申告の全体の流れを理解して、余裕を持って対応できるようになりましょう。

譲渡所得税の計算

最初に、マンション売却で得た譲渡所得の計算を行います。 例を基に、確定申告時に重要な譲渡所得の計算を行ってみましょう。 条件の取得費は、土地建物購入価額から減価償却をした後の金額です。

【譲渡所得の計算式】

譲渡所得 = 譲渡価額 - (譲渡費用 + 取得費)
<条件>
譲渡価額:4,000万円
譲渡費用:仲介手数料126万円 + 印紙税1万円
取得費:2,500万円
1,373万円(譲渡所得) = 4,000万円ー(127万円+2,500万円)

3,000万円の特別控除が使える場合はさらに3,000万円を差し引きます。 計算に寄って算出した額が譲渡所得です。

確定申告書類の作成

確定申告を行う前に、必要な書類を確認し、揃える必要があります。書類によっては取得に時間がかかるので、確定申告の期間に間に合うように、事前に用意しておきましょう。

また、確定申告で必要な書類は税務署から取り寄せる必要がある書類と、自分で用意する書類があります。必要な書類は下記のとおりです。

【税務署から取り寄せる書類】

  • 確定申告B様式
  • 分離課税用の確定申告書
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表と計算明細書)

【自分で用意する書類】

  • マンション売却時の売買契約書
  • マンション購入時の売買契約書
  • 仲介手数料や印紙税の領収書

税務署に提出

確定申告で、譲渡所得を計算し、必要な書類を揃え書類を作成したら、住民票の住所地を管轄する税務署への書類提出を行います。

提出方法は、税務署の窓口に直接出向く方法と、書類で郵送する方法があります。窓口に行く際は、開庁時間を事前に確認しましょう。

また、確定申告はパソコンやスマートフォンを利用して、e-taxで申請をすることができます。e-taxを活用することで、期間内であれば24時間いつでも申請を行うことができ、還付を受ける場合は、通常より早く還付を受けることもできます。

e-taxで確定申告を行うには、マイナンバーカードがあるととてもスムーズですが、マイナンバーカードがない場合は、事前に税務署で利用者識別番号と暗証番号を発行する必要があります。

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