不動産売却のノウハウ
生活感があったり、見た目が汚かったりすると、マンションは売却しにくくなるのでしょうか。
汚いマンションだと売りにくくなりますが、売却できないわけではありません。汚いマンションがどの程度売りにくいのか、またスムーズに売却する方法について詳しく解説します。
不動産お役立ちコラム 不動産売却2024年7月12日
一般的に築年数が古いマンションほど汚くなりやすいですが、汚いマンションは売りにくいのでしょうか?
結論として、見た目が汚いマンションの場合は売却がやや難しくなると考えられます。
国土交通省の「令和4年度・住宅市場動向調査報告書」によると、2021年4月から2022年3月に分譲マンションに住み替えた世帯の取得理由は「新築だったから」(58.0%)が最も多い結果でした。
中古マンションを選ばなかった理由も、「新築のほうが気持ち良いから」(57.3%)が最多でした。また、中古マンションを選ばなかった理由の中には「見た目が汚いなど不満だった」というものもあります。
その比率は平成30年度から令和4年までの5年間でも約10〜15%となっており、最多理由の「新築のほうが気持ち良いから(57.3%)」より低いものの、常にこの理由が一定数あげられていることは注目するべきでしょう。
室内や共用部の状態が悪いと売りにくくなるのは間違いありません。
それでは、隣人がマンションを汚くしている場合は売りにくくなるのでしょうか?
2021年10月に東京都墨田区が実施した「住まいに関する意識、要望に関するアンケート調査」結果を見る限り、隣が「ごみ」だらけで汚いと売りにくくなるようです。
同調査では、分譲マンション居住者が困っていることとして「ごみ出し、騒音など、生活ルールを守らない人が増えている(20.1%)」「共用部分の清掃や修繕が不十分(2.3%)」などがあげられています。
先出の、新築マンションを選ぶ主な理由が「新築のほうが気持ち良いから」であることを考えると、居住者はできるだけ新築の「気持ち良い」状態を保とうとすると予想できます。結果、室内のみならず共用部分にいたるまで、きれいな状態が守られるでしょう。
一方、築古や汚れが目立つマンションでは、自身がきれいに保つよう心がけていても、隣人がそうとは限りません。共用部分に私物を置いているほか、共用側に面した窓や扉から、室内の汚れが予想できるような雰囲気が感じられたらどうでしょうか。
やはり隣が汚いと売りにくくなるといえますし、築古などのほうが汚くなりやすいです。
「うちのマンションは隣の人もきれいに住んでいるし、そこまで築古じゃないから、不動産会社に任せれば売れるだろう」と考える売主も多いです。しかし、頼る先の不動産会社が悪いと、売れるマンションも売れなくなってしまいます。
マンションの価値は築年数や汚れ、傷のみで決まるわけではありません。
たとえ築古でも、駅まで徒歩10分圏内に建っていたり、周りにたくさんの利便施設がそろっていたりすればマンションの価値は下がりません。
好立地であればむしろ、「新築には手が出せないが築古マンションだったら」と探している買主もいるくらいです。
こういった市場感覚を持っていない不動産会社に頼ると、通り一遍の査定からマンション売却価格が決められ、積極的な売却活動もなされないまま、いつまでたっても売れない、もしくは価格交渉ばかりしてくるなどのトラブルすら生じるおそれがあります。
マンションの価値を正しく評価し、市場の中でどのように扱えば早期に売却できるのかを親身になって考えてくれる不動産会社を見つけ、お付き合いしましょう。
マンションを売却する場合、方法は大きく分けて2つあります。
この2つですが、それぞれの方法にメリット、デメリットがあります。
不動産会社に買い取ってもらう方法は、売主はマンションの汚さをそれほど気にせず売ることができるかわりに割安になる傾向があります。
一方、仲介の場合、売主は掃除や荷物整理などの手間がかかるほか、売れるまでに時間がかかる可能性があるかわりに、自身が設定した希望価格で売れる可能性は高いです。
もう少し詳しく解説していきます。
不動産会社に直接買い取ってもらう場合、原則的には現状の状態で引き渡せると考えていいでしょう。
売主は必要な荷物を部屋から出し、そのまま不動産会社に買い取ってもらえばそれだけで完了します。クリーニングや必要なリフォーム、リノベーションは買主となる不動産会社が実施するので、売主側の手間はほぼありません。
しかし、クリーニングなどの費用や売却までの維持管理費、諸税が経費として計上されて買い取り価格が決まるので、市場価格より安くなる可能性があります。
それでも早く手放したい、汚いところを掃除したりする手間を省きたいのであれば、信頼できる不動産会社を選び、納得できる価格で売り渡す方法を選択しましょう。
不動産会社に仲介での売却を依頼する場合、住んでいるマンションが買い手にとってより良いマンションと感じてもらえるよう、手入れしなければなりません。
そうはいっても建てられてから年月を経ていれば、古さや汚れを感じさせてしまいます。
築古マンションをより良く感じてもらうには、「このマンションは大事に使われていたんだな」ということが伝わるようにすることが大切です。
そのためには、汚れや傷をできるだけ取り除き、マンションが一番魅力的に見えるようにしておくしかありません。
前に住んでいた人の生活感を消し去り、存在を感じさせないようにすることが肝心です。
そして、それでもなかなか売却できない、もしくはできるだけ早く売却したいのであれば、相場よりも価格を下げて売ることも選択肢の一つとして考えておきたいものです。
「できる限りきれいに掃除を」と決意した方も多いですが、掃除を始めるとその範囲は際限なく広がっていくものです。
掃除を始めたらあちこちが気になってきて、「どこまで掃除しなければならないの?」と途方に暮れるかもしれません。
実は、きれいなマンションだと思ってもらえる掃除の重点ポイントがあります。
上記の3カ所をしっかり掃除しておけば、古くささや雑に扱われていたと感じさせるのを格段に減らすことができます。
今や、ドラッグストアなどでも本格的な掃除アイテムが手に入る時代です。
掃除のノウハウを紹介する動画もあります。参考にしながら掃除すると、想像以上にきれいになって驚くかもしれません。
自分で掃除するのも良いのですが、10万円前後の費用をかけられるのであれば、ハウスクリーニング業者に依頼するのがおすすめです。
プロの業者によるハウスクリーニングは、もともと住んでいた人の生活感をほぼ完全に消し去ってくれます。
忙しい中自分で掃除するより、ハウスクリーニングで一気に片づけたほうが効率良く売却が進むかもしれません。
築古マンションには、少し掃除したくらいでは消えない傷などもあるでしょう。「いっそリフォームをしたほうがいいのでは」と思うかもしれません。
良かれと思って実施したリフォームが、買主の好みに合うとは限りません。また、リフォーム代を上乗せして売ろうとしても、必ずしもその金額で売れるとは限りません。
場合によってはリフォームしたことで、何もしなかったときより売りにくい物件になってしまうこともあるのです。
昨今、レトロ感覚で住めるお部屋や、DIYで自分好みの部屋にリフォームできる部屋が好まれる風潮もあります。ありきたりなリフォームをして逆に競争力を失うことも考えられます。
リフォームが必ずしも効果的ではないと心得て、市場での価値や価格などを考慮に入れながらゆっくり検討していきましょう。
2章で汚いマンションがなかなか売却できないのであれば、相場より価格を下げることも選択肢の一つとお伝えしました。
マンションの売却活動を進めるにあたって大切になるポイントの一つが「適正価格で市場に出ているか」です。
相場を調べる方法としては次の3つがあります。
それぞれのメリット・デメリットを含めて解説します。
自分でいくつかの不動産会社を選び、査定依頼をする方法です。
スタートの段階で「ここなら良さそうだ」と思った会社に依頼していくので、ある程度の信頼感を持ったところから始められるのがメリットといえます。
また、不動産会社は直接依頼を受けるため、適当な対応で済ますことができません。
直接店頭で依頼すれば、余計に軽々しい扱いができないお客様として丁寧に対応してもらえるでしょう。
その反面、スタートの段階で会社を選び間違えた場合、納得できない価格を提示されたり、不十分な対応で気分を害することもあるかもしれません。
店頭に行く手間や時間もかかるため、ある程度のマンション売却の知識や市場感覚がある人向けの方法といえます。
国土交通省が2006年4月から運営している不動産取引サイトである「土地総合情報システム(※)」を利用して市場の相場を調べる方法です。
土地総合情報システムでは、不動産の取引価格や公示価格、都道府県別の地価調査価格などを検索して調べることができます。
実際の不動産の取引価格を把握できるのはメリットですが、このシステムの名前の通り、多くは土地情報になるため、戸建て住宅やマンションの取引価格を把握するにはあまり適していない面もあります。
また、個人情報が把握できない形で情報が公表されるので、具体的な指標は入手できません。
大枠でのイメージを把握したい場合や土地情報を入手したい場合は、効果的に情報提供してくれるサービスといえるでしょう。
※2024年4月1日より、「土地総合情報システム」は「不動産情報ライブラリ」へ統合されました。
不動産ポータルサイトを利用して適正価格を把握する方法もあります。不動産ポータルサイトは、売りに出されている不動産情報が掲載されているサイトです。
多くの不動産会社が扱う物件情報が集約されている点や、今現在の最新情報を確認できる点がメリットです。
売却価格の相場を調べるときには、不動産ポータルサイトの検索機能を利用して、売りたい家の類似物件の価格をチェックします。
ただし全く同じ物件は存在しないため、あくまで傾向をつかむために利用することを認識して、一定程度の条件が類似する物件の相場から、適正な価格帯を推測しましょう。
古いマンションや汚いマンションは修繕して売らなければいけないのでしょうか。
結論からいえば、マンション売却時のハウスクリーニングや修繕は法的に義務化されているわけではありません。
スムーズな売却活動を進めるにあたり、クリーニングや修繕を行うことが効果的だと考えられるのであれば、取り組む価値もあるでしょう。
築浅のマンションなのに汚れがひどい場合や、できるだけ早く売却したいと考えている場合、ハウスクリーニングや修繕の効果が発揮されます。
目的はあくまで「古いマンションや汚れが目立つマンションをできるだけ早く売却すること」なのですから、その目的を達成するために必要なことを実施し、必ずしも効果が期待できないことは取り組む必要がありません。
そのためにはやはり「自分のマンションの市場価格」をできるだけ正確に把握しておくことが大切です。
まずはマンションの市場価格を知るために、不動産会社に査定依頼をしてみましょう。