不動産売却のノウハウ

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マンション売却の確定申告
手続きの流れ、必要書類、節税対策を解説

マンション売却で売却益が発生する場合、確定申告が必要です。また、売却益がない場合でも、節税のためには確定申告したほうがよい場合もあります。

適切な申告と確実な節税対策で、マンション売却に伴う負担を最小限に抑えられるかもしれません。詳しい手続きの流れと必要書類、おすすめの節税術を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

不動産売却 費用・税金

2024年7月12日

目次

売却益が発生する場合、確定申告することで納税額が減少

マンションを売却して利益が出る場合には、確定申告が必要です。

マンションを売却した際には、さまざまな税制の特例を利用して節税が可能ですが、特例の適用を受けるには確定申告をおこなわなくてはいけません。

まずは、確定申告の時期とペナルティについて確認しましょう。

確定申告の時期は売却益が発生した翌年、2月16日~3月15日

マンションを売却して得た利益、つまり「売却益」は所得税の対象です。正確には、売却益から物件の取得費や経費などを差し引いた金額を「譲渡所得」と呼び、この譲渡所得に対して所得税が課税されます。

確定申告は、マンションを売却した代金の受け渡しがおこなわれた日が属する年の翌年2月16日~3月15日におこないます。

譲渡所得がある場合は必ず確定申告をおこなう必要があります。また、譲渡所得がない場合でも、控除などの特例や損益通算、損失の繰り越し控除の適用を受けるには確定申告が必要です。

無申告・納付遅れがあるとペナルティが課せられる

マンション売却による所得に対し確定申告しなかったり、納付が遅れたりすると、税務署からペナルティが課されるおそれがあります。

期限内に確定申告書を提出せず、納税しなかった場合、「無申告加算税」が課されます。これは、本来納めるべき税額の15%が加算されるもので、悪質な場合は35%まで加算されるおそれがあります。

期限までに税金を納付しなかった場合、「延滞税」が課されます。これは、未納税額に対して、年率14.6%(令和4年1月1日以降)の割合で日割り計算されます。

さらに悪質な脱税とみなされた場合には、重加算税が課されます。

ペナルティを避けるには、期限内に正確な確定申告書を提出して、税金を納付することが重要です。

マンション売却の確定申告で利用可能な控除

マンション売却時に利用できる控除制度を説明する前に、まず前提となる基礎控除額について確認しましょう。

それまで一律38万円であった基礎控除額は、2020年より所得に応じて次のように改正されています。

基礎控除額

合計所得額 基礎控除額
2400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

マンションの売却により得た譲渡所得は、合計所得金額に加算されます。合計所得が2,500万円を超える場合は、基礎控除額がなくなることには注意しましょう。

ここから、マンションを売却した際に利用できる可能性がある5つの特例を解説します。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

3,000万円特別控除は、マイホームを売却した際に発生する譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。この控除を受けることで、所得税と住民税の負担を軽減できます。

たとえば、マンションを5,000万円で売却し、取得費や売却費用などを差し引いた譲渡所得が2,000万円だった場合、3,000万円特別控除を適用すると譲渡所得はゼロとなり、所得税と住民税はかかりません。

3,000万円特別控除を受けるには、いくつかの条件があります。

  1. 売却する物件がマイホームであること。
    具体的には、売却する年の1月1日時点で居住している、もしくは住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することです。
  2. 売却した年、その前年および前々年に、この特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
  3. 売却した年、その前年および前々年に、マイホームの買換えやマイホームの交換の特例、収用等の場合の特別控除などの適用を受けていないこと。
  4. 売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
    3000万円特別控除は、適用される対象者が多いうえ控除額も大きいため、節税効果が高い特例といえます。マンションを売却する際は、ぜひ利用してください。

マイホームを売ったときの軽減税率(10年超所有軽減税率)の特例

マイホームを売ったときの軽減税率の特例は、一定の要件を満たすマイホームの売却により得た譲渡所得にかかる税率を軽減する制度です。

通常、譲渡所得にかかる税率(所得税+復興特別所得税+住民税)は、短期譲渡所得の場合は39.63%、長期譲渡所得の場合は20.315%ですが、この特例を適用すると長期譲渡所得について以下の税率が適用されます。

  • 譲渡所得のうち6,000万円以下の部分:14.21%
  • 譲渡所得のうち6,000万円超えの部分:20.315%

この特例を適用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること
  2. 売った年の1月1日において、売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること
  3. 売った年の前年および前々年に、この特例の適用を受けていないこと
  4. 売った家屋や敷地について、マイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと
  5. 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと
    この特例は3000万円特別控除と併用可能な点も重要なポイントです。

特定のマイホームを買い換えたときの特例

特定のマイホームを買い換えたときの特例とは、一定の条件を満たすマイホームを売却し、新たなマイホームを買い換えた場合に、売却益にかかる所得税の課税を繰り延べできる制度です。

この特例を利用することで、通常は支払わなくてはならない売却益にかかる所得税を、新しいマイホームを購入する資金に充てることができ、買い替え後の生活資金の負担を軽減できます。

この特例を適用するための主な条件は、次のとおりです。

  1. 自分が住んでいる家屋を売ること
    なお、以前に住んでいた家屋の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  2. 売った年、その前年および前々年に、3,000万円の特別控除またはマイホームを売ったときの軽減税率の特例、もしくはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
  3. 売却代金が1億円以下であること
  4. 売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること
  5. マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること
  6. 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

そのほかにも買い換えるマイホームに必要な条件などがあります。詳細は国税庁のホームページで確認できます。

なお、この特例は税金の支払いを免除するものではなく、あくまで繰り延べるものです。将来、買い換えたマイホームを売却する際には、繰り延べた税金と合わせて納税する必要があります。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

通常、不動産を売却した際の譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算されます。この特例では、相続税の一部を取得費として計算できるため、売却益を圧縮し、税負担を軽減できます。

具体的には相続税の課税価格に、相続税額から一定の控除額を差し引いた金額を「みなし取得費」として加算できます。

この特例を適用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 相続や遺贈により財産を取得した者であること
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例とは、相続または遺贈によって取得した空き家を売却する際に、譲渡所得から最大3,000万円を特別控除できる制度です。

この特例を適用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと
  2. 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売却、または家屋の取壊し等をした後に敷地等を売却、もしくは一定の要件を敷地等の売却をしたこと
  3. 相続の開始があった日から、3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  4. 売却代金が1億円以下であること
  5. 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  6. 同一の被相続人から相続または遺贈により取得した家屋または敷地等について、この特例の適用を受けていないこと
  7. 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

また、この特例には期限が設けられており、令和9年12月31日までに売却することが条件です。

【マンション売却】確定申告の手続きの流れと必要書類

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ここからマンション売却時の確定申告の手続きの流れと必要書類について説明します。

確定申告には、税務署へ訪問して申請する方法と郵送による方法、e-Taxを利用する方法がありますが、ここでは税務署への申請を想定した際の内容を解説します。

1.必要書類を準備する

まずは、確定申告に必要な書類と入手方法について説明します。

必要書類

マンション売却の確定申告に必要な書類は、主に以下のとおりです。確定申告をスムーズに進めるために、事前に準備しておきましょう。

マンション売却の確定申告に必要な書類とその概要

必要書類 概要
売買契約書 マンションの売却価格や売却日などを確認できる書類
譲渡所得の内訳書 売却益や控除額などを計算し、記入する書類
確定申告書B 所得税の確定申告に使用する書類
住民税・事業税に関する書類 住民税や事業税の申告に使用する書類
本人確認書類 マイナンバーカードや運転免許証など、本人確認ができる書類
印鑑 認印

必要書類の入手方法

売買契約書は、不動産会社から受け取ったものをそのまま使用できます。譲渡所得の内訳書や確定申告書Bは、国税庁のホームページからダウンロードできます。住民税・事業税に関する書類は、居住する地域の税務署から入手できます。

期限のある本人確認書類を利用する場合は、有効期限内のものを用意しましょう。印鑑は、シャチハタ以外のものが必要です。

2.申請書を作成する

確定申告の申請書は、国税庁のホームページからダウンロードできる「確定申告書B」を使用します。マンション売却による所得は「譲渡所得」に該当するため、それに応じた箇所を記入する必要があります。

確定申告書Bには氏名や住所などの基本情報に加えて、所得の種類や金額、控除の内容、源泉徴収税額などを記入します。マンション売却の場合は、売却価格や取得費、譲渡費用、特別控除の適用有無などを正確に記入する必要があります。

また、確定申告書Bと一緒に提出する「譲渡所得の内訳書」も作成する必要があります。この書類には、譲渡所得の計算過程や控除額などを詳細に記入します。

3.必要書類と申請書を提出する

マンション売却の確定申告に必要な書類と申請書が準備できたら、税務署に提出します。

確定申告期間内(2月16日~3月15日)に手続きを完了させることが重要です。

税務署に持参する場合は受付時間内に窓口へ行き、書類を提出します。混雑状況によっては待ち時間が発生することもあるので、時間に余裕を持って行くようにしましょう。提出前に記入漏れや不備がないか、再度確認することも大切です。

提出が完了すると、税務署から「受付印」が押された書類の控えが返却されます。これは、確定申告を行った証明となるため、大切に保管しておきましょう。

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