不動産売却のノウハウ
マンション売却でかかる税金は、種類ごとに支払うタイミングが異なります。
この記事では
について解説します。
不動産売却 費用・税金2024年7月12日
マンション売却における税金と、その支払いのタイミングなどについて、次の表にまとめてみたので参考にしてください。
税金の種類 | 内容 | 支払い時期 | 納税対象者 | 計算方法 |
---|---|---|---|---|
登録免許税 | 所有権保存、移転、抵当権抹消登記にかかる | 引渡し時 | 抵当権抹消の場合は売主 所有権移転の場合は買主 |
抵当権抹消の場合1件1,000円 所有権移転の場合は別の計算式がある(後述) |
住民税 | 売却益が出たときに支払う | 翌年の確定申告後 | 売主 | 譲渡所得×税率 (5%か9%) |
印紙税 | 契約書に貼付 | 契約時 | 売主・買主とも | 契約金額により定められている |
譲渡所得税 | 所得税、住民税、復興特別所得税が含まれる | 翌年の確定申告時 | 売主 | 所有期間が5年超の場合は税率15%、5年以下は30% |
登録免許税は、不動産登記のタイミングでかかる税金です。
マンション売却時には「所有権移転登記」と「抵当権抹消登記」を行うときにかかります。
所有権移転登記は文字通り、マンションの所有権を売主から買主に移転するものなので、この場合の登録免許税は買主負担です。
一方、売主側では抵当権抹消登記をする必要があります。
これは、マンション購入時に住宅ローンを利用している場合、金融機関が設定した抵当権を抹消する手続きです。
抵当権は融資を担保する資産に設定するものなので、抹消するためには住宅ローンを完済させなければなりません。
どちらも原則、物件の引渡し時に行われます。
抵当権抹消登記費用は1件1,000円となっています。
マンションは一見部屋にだけ抵当権が設定されているようにみえますが、区分所有の土地も存在するわけなので、2件で2,000円の計算となります。
住民税は、不動産の売却益(譲渡所得)に対して課税され、不動産のある自治体に売主が納める税金です。売却益に対して課税されるものなので、利益がなければかかりません。
税額は譲渡所得に税率をかけ合わせて算出しますが、このときの税率は、不動産の所有期間が5年を超える場合は5%、5年以下の場合は9%です。
不動産を売却した年の翌年に行う確定申告をもとに、6月以降に自治体から住民税の納付書が届くので、記載されている金額の税金を納める形となります。
印紙税は、マンションの売買を行うときに交わす不動産売買契約書に貼付する印紙代で納めるため、一見税金にみえないかもしれません。印紙税は商業取引関連の文書に課税されるもので、決められた税額の収入印紙を文書に貼付することで税金を納めます。
現在、不動産売買契約にかかる印紙税は時限措置で税額が軽減されています。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
令和6年度の税制改正では軽減措置期間が3年間延長されました。
これにより2027年3月31日までは、契約締結時にかかる印紙税は軽減税額が適用されます。
不動産を売却したときに利益が出た場合、その売却益を譲渡所得といいますが、この譲渡所得に課税される税金が譲渡所得税です。
譲渡所得税は、売却益が多いほど納税額も増え、税率は所有期間などによって変わるという特徴があります。
譲渡所得税を算出するには、次の流れで計算します。
譲渡所得税は、所得税・住民税・復興特別所得税という、3種の税金をまとめた総称です。所得税部分(復興特別所得税を含む)は確定申告時に納税しますが、住民税部分は確定申告をもとに算出された税金を後から納付することになります。
所得税部分は所有期間5年超で税率15%、5年以下は税率30%で計算します。2013年から2037年までは所得税と一緒に、復興特別所得税として所得税額の2.1%を納付します。
所得税(%) | 住民税(%) | 合計(%) | |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 30.63 | 9 | 39.63 |
長期譲渡所得 | 15.315 | 5 | 20.315 |
※復興特別所得税2.1%を加味した所得税
参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁 (nta.go.jp)
マンション売却時にかかる税金を節税する方法があります。
一つは、印紙税の節税方法です。作成する契約書を1部にして、この先マンションを所有する買主が原本を保管し、売主は印紙を貼付した契約書のコピーをもらう、というやり方であれば印紙税は半分に抑えられます。
ただし、法的効力が弱くなるデメリットに注意してください。
譲渡所得税に関しては、控除を受けられる特例があります。
住んでいたマンションを売却したときには
参考
No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 (nta.go.jp)
No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁 (nta.go.jp)
No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁 (nta.go.jp)
なお、特例の対象から外れてしまう場合の一つの策として、ふるさと納税を活用する方法もあります。
ふるさと納税を活用することで、寄附額分の返礼品を受け取りつつ、所得税・住民税の控除が受けられます。(2,000円の自己負担あり)
マンション売却の譲渡所得によっては、ふるさと納税で控除を受けられる年間限度額も上がるため、普段からふるさと納税を利用している人は年間限度額から見直してみましょう。
マンション売却にかかる税金はいくつもあり、かつその計算方式は難しく、「これを自分でやらなければならないのか。」と憂鬱になるかもしれません。このような手間や時間のかかる問題については、経験と実績豊富な不動産会社への相談がおすすめです。税理士による無料の個別相談会を開催している不動産会社もあります。
売買の問題は不動産会社と解決し、次に発生する税金の悩みは税理士に相談するのが安心です。
売却にかかる税金は多額になることも多く、ちょっとした手違いで必要以上に支払うことになるおそれもあります。頼れる不動産会社と税理士を見つけ、問題を解決していくことが大切です。
ここでは、住み替えのためにマンションを売却し、新マンションを購入した場合にどのような税金がかかるのかについて解説します。
購入にかかる税金としては、次のようなものがあげられます。
購入時には売却時と同様、登録免許税や印紙税がかかるほか、不動産を取得したときに1度だけかかる不動産取得税を支払う必要があります。これらについて詳しくみていきましょう。
マンションを購入する折には、所有権移転登記手続きをしなければなりません。その際に登録免許税が発生します。
原則的に所有権移転登記にかかる費用は買主負担となり、「登録免許税」は次の計算式で算出されます。
土地については2026年3月31日まで、建物については2027年3月31日まで軽減税率が適用されており、それぞれ4月以降は2.0%になる予定です。
売却時と同様、売買契約書に印紙を貼付することで印紙税を納めます。
また、住宅ローンを利用するのであれば、金融機関との金銭消費貸借契約書に貼付する印紙税もかかります。
参考:国税庁 国税庁 印紙税額
新しくマンションを購入したときは、物件の不動産評価額に応じた不動産取得税がかかってきます。不動産取得税は購入時1度だけかかる税金です。
新居への入居後しばらく経つと、自治体から納税通知書が送付されます。
不動産取得税の計算式は次のとおりとなっています。
なお、建物の不動産取得税については2027年3月31日まで税率が3%に軽減されています。
マンション購入での税金の節税方法として、不動産取得税の軽減措置と住宅ローン控除の活用があります。
不動産取得税の軽減措置は、建物と土地で内容が異なるのですが、新築マンションを購入した場合、一定の要件を満たすと土地と建物のそれぞれに軽減措置が適用されます。
不動産取得税の軽減措置は、居住用の住宅で、延べ床面積が50平米(戸建て以外の賃貸住宅では40平米)以上、240平米以下であれば適用されます。
この条件を満たすマンションであれば、不動産の価格から1,200万円が控除されます。
一方、土地の不動産取得税は「固定資産税評価額×1/2×税率(3%)-軽減額」の計算式で求めることが可能です。
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住居を購入した際に、年末時点での住宅ローン残高の一部が所得税などから還付される制度です。控除率は0.7%で、控除期間は既存住宅であれば10年、新築住宅の場合は原則13年となります。
本格的にマンション売却を検討するとして、より高値で売却できる時期や、税制上有利なタイミングなどはあるのでしょうか。
順に解説していきます。
マンションが売れやすい時期は、転勤や結婚、進学や就職などの新生活が始まる春と秋です。
売却活動を始めてから、売却完了するまでおおむね3カ月かかります。「売却活動」のほかに、査定・媒介契約の締結などがあり、それらに2~3か月かかります。
売りやすくなる時期に売却に出せるよう、3カ月前から準備しましょう。
住み替えにかかる税金には、控除や軽減税率を適用できるものがあります。
ここでは3つの特例や控除について解説します。
国内にある居住用資産で所有期間が10年を超えるものを売却した場合、3,000万円の特別控除額を差し引いた後の課税長期譲渡所得金額に対しては軽減税率を適用できます。
残りの譲渡所得金額についても6,000万円以下の部分には6.105%税率が軽減されます。
軽減税率の特例はかなり大きな節税効果のある特例といえるでしょう。
居住用財産であるマンションを売ったときは、所有期間に関係なく譲渡所得から最高で3,000万円まで控除ができるというものです(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)。,000万円の特別控除額を差し引いた後の課税長期譲渡所得金額に対しては軽減税率を適用できます。
言い換えれば、譲渡所得が3,000万円以下であれば税金はかかりません。
居住用財産を売却した年の前年から翌年までの3年のうちにマイホームを買い換えたときに、売却物件による利益(譲渡益)よりも新居の購入金額(取得価額)のほうが高いときには、譲渡益に対する課税を先送りできるという特例です。
特例を受けるとしても、譲渡益が非課税になるわけではなく、あくまで課税を先送りにするという内容なので注意してください。
買い換えの特例は「3,000万円の特別控除の特例」や「軽減税率の特例」との併用はできないため、活用するなら買い換え特例より節税効果の高い3,000万円控除特例や軽減税率特例を活用するほうが効果的です。
また、新居購入時に住宅ローン控除を利用するなら上記3つの特例を併用することができないため注意が必要です。
どの特例を活用すると最も節税効果が高いのかはケースバイケースとなります。
自身の住み替え状況がどれに合っているのかを確認しながら、特例控除を選択しましょう。
昨今、マンション投資の人気は高く、期待どおりの期間と価格で売れる可能性は高いといえます。
かといって、価格が上がっているときにマンションを売却すると譲渡所得税がかかりやすいというデメリットもあります。
トラブルに巻き込まれたり損害を受けたりという話に巻き込まれないためにも、不動産のプロである不動産会社を慎重に選ぶことが大切です。
査定のときに高額査定を提示しながら、媒介契約を結んだ後で条件交渉をしてくるような不動産業者もあとを断ちません。
エリア市場に明るい、豊富な知識と経験、実績を持つ不動産会社を選び、協力してマンション売買に向かうことが重要です。
自身の希望をしっかりと不動産会社に伝え、お互いに歩み寄りつつ早期により高値でマンション売却・購入ができるよう信頼関係を築いていきたいものです。