不動産売却のノウハウ
マンション買取とは、一般仲介で買い手を探すのではなく依頼した不動産会社に直接購入してもらう売却方法です。買い手が見つからないというストレスもなく、スピーディーにマンション売却できる一方で、注意点もあります。
今回、マンション買取を依頼する際の注意点について、買取の流れを含めて解説します。
2022年12月12日
マンション買取を検討する際には、次の7つの注意点を念頭に置いておきましょう。
マンションを売却した場合の販売相場を調べておくことは重要です。特に、売却するマンションでほかの階層が販売にでているかは要チェックです。
マンションは戸建てや土地のように個別の要因が価格に反映されることが少なく、販売価格のバラつきが少ないといわれています。また、販売価格と成約価格にも大きな差はありません。
つまり、似ている物件の販売状況を把握することで、どのくらいの金額で売却できるのかをある程度推測できます。
買取価格がすべて手元に残る金額ではありません。売買契約時の印紙代や引き渡し時の登記関連費用が必要になります。
これらは売買代金によって変わるほか、登記関係費用は登記識別情報通知が紛失している場合や抵当権の有無によって価格が変動します。また、会社によっては指定の仲介業者を通すケースもあるため、買取=仲介手数料なしという構図があてはまらない場合があることを知っておきましょう。
このように、買取価格だけではなく手元に残る額をある程度想定しておくことは重要です。
物件に関する情報とは、マンションの設備や環境に関する情報です。不動産会社に購入時の資料を見せるだけでおおむね問題はありませんが、そのほかに重要な情報があれば伝えておくべきでしょう。
たとえば、マンション内もしくは部屋内で事件や自殺があったかどうかや、周辺のマンション建築情報、町内会の会長当番などです。
これらの情報を不動産会社に伝えることでトラブルを防止できます。事前に伝えるべき情報はしっかりまとめておきましょう。
通常の仲介とは違い、買取は買取価格の決定から引き渡しまで、非常に早く進みます。これは、不動産会社がマンション買取を行う際に銀行から借入をするケースは少なく、現金支払いとなるためです。そのため、契約後はオーナーの引き渡し準備ができ次第、決済することが可能です。
このように、買取は一般仲介と売却の流れは同じであるものの、進捗スピードがかなり早いことを知っておきましょう。買取する不動産会社からも移住先の情報を得ながら、なるべく早い移住先の決定が必要です。
住宅ローンが残っている状態で売却する際、売却価格が残債よりも低くなる可能性があります。その場合は差額分を自己資金で捻出する必要があります。
そのため、正確に残債額を把握しておくことが重要です。住宅ローン残際の有無は不動産会社が買取できるかどうかの判断をするうえでも大きなポイントとなります。買取を検討した時点で残債がいくらあるのかを確認しておくようにしましょう。
不動産会社は物件を買い取ったあと、リフォームなどの修繕工事を行い、利益を上乗せして再販売します。
スムーズに再販売を完了させるためには、再販売価格が相場と同じような価格になっている必要があります。築浅物件は住宅ローンが残っているケースが多く、差額を完済できずに買取を断念してしまうケースがあります。さらには築年数が浅いため相場も高くなります。
購入後に相場付近で販売しなければならない不動産会社からすると、不利な点が多いです。そのため、築浅物件は買取に不向きであるケースがあることを知っておきましょう。
一括りに不動産会社といっても、各社には仲介や造成、建築、買取など様々な専門分野があります。なかでも買取は再販売できるかどうかが利益を得られるポイントになるため、高い専門性を要します。
買取のノウハウがない不動産会社はなるべく安い金額で買取を行い、リスク回避する傾向にあります。安い金額で買取ることで、相場よりも低い金額で再販売が成約した場合であっても利益確保することができるからです。
そのため、買取依頼する不動産会社選びは重要です。買取実績の多い不動産会社はその地域で買取再販のノウハウを多く有しています。そのため、どの不動産会社よりも高値で買取ってくれる可能性があるため、買取実績の多い不動産会社を選びましょう。
マンションの買取価格相場はどのくらいになるのでしょうか。前述したとおり、買取した不動産会社は再販売することを目的としているため、一般的な相場よりも安くなる傾向にあります。
一般仲介の売却価格に対し、不動産会社の買取価格は約7割~8割になるといわれています。たとえば、一般仲介で売却価格が3,000万円となるマンションを買取する場合は、3,000万円の7割つまり2,100万円~2,400万円程度が買取価格となります。
この割合はマンションの状態や築年数、その地域の需要などによっても大きく変動することもあるため、ひとつの目安として把握しておきましょう。
ここでは、公益財団法人東日本不動産流通機構が公開している「レインズデータライブラリー」をもとに中古マンションの取引相場を解説します。
首都圏での中古マンション成約状況ですが、平均成約金額は2020年4〜6月期の3,390万円から9期連続で上昇しており、2022年7〜9月期では4,355万円でした。
2020年4~6月期(万円) | 2022年7~9月期(万円) | |
平均成約金額 | 3,390 | 4,355 |
上記金額の7割が買取相場だと思ってしまうかもしれませんが、この平均成約金額には買取の成約事例も含まれているため、上記金額の7割が単純に買取相場とはいえません。正確な買取相場は断言できませんが、上記金額の8〜9割程度と思っておけばよいでしょう。
2020年4~6月期(万円) | 2022年7~9月期(万円) | |
平均成約金額 | 3,390 | 4,355 |
買取相場 | 2712~3051 | 3484~3919 |
では、マンション買取はどのような流れで進むのでしょうか。前述したように、マンション買取は一般仲介に比べて売却完了までのスピードが速いです。そのため、慌てて準備することがないよう、しっかり確認しておきましょう。
買取査定を依頼する前には、必要書類を準備しておきましょう。具体的には、購入時の契約書や諸費用の領収書、登記識別情報通知(権利証)などです。
売買契約書がない場合や登記識別情報通知を紛失していた場合は、余分に費用や税金を支払う必要があるため注意が必要です。
マンションの査定価格に納得できれば、契約を締結します。
住宅ローン残債がある場合は銀行担当者に売却する旨を事前に説明しておく必要があります。銀行への連絡が遅れてしまうことで、引き渡しができないというトラブルが起きることもあるので注意が必要です。
契約締結時は、契約書の内容を読み上げて契約内容の最終確認を行います。問題なければ契約書へ記名押印します。
契約後は移住先の捜索や引っ越し準備、部屋の掃除などを行うようにしましょう。買取では残置物をそのまました状態で引き渡すこともあります。その場合は、撤去費用などを不動産会社がもつことになるため、買取価格が下がってしまいます。
ほかにも、カギの本数や当日不動産会社に渡す物件の書類なども事前に準備しておきましょう。