不動産売却のノウハウ
不動産を売却する方法は、大きく分けて「仲介」と「買取」の2種類あります。それぞれの取引において不動産会社の役割が異なります。買主を不動産会社に探してもらう仲介に対して、買取は不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
仲介と買取は、どちらが優れているというものではなく、ケースバイケースで使い分けるのが正しいといえるでしょう。
ここでは不動産買取について、メリットとデメリットを詳しく解説します。また、買取を選ぶべきケースも紹介します。
2022年12月12日
そもそも不動産買取とはどういった売却方法なのでしょうか。基本的な仕組みや種類を理解しておきましょう。
しかし売れる可能性を高めるために、これから紹介するような原因を取り除く努力が必要です。
仲介による不動産の売却は、売りたい物件を不動産会社に宣伝してもらい、買主が見つかるのを待たなくてはなりません。つまり、買主を見つける手伝いを不動産会社にしてもらうのが仲介です。買主と売買契約が成立したら、成功報酬として仲介手数料を不動産会社に支払います。
対して、買取の仕組みはいたってシンプルです。買取を取り扱う不動産会社を探し、物件の査定価格に合意できれば買い取ってもらいます。不動産会社が買主のため、仲介のような手数料は発生しません。
日常生活にたとえるなら、仲介はフリマアプリに出品して、売れたら運営会社に手数料を支払う方法、買取はリサイクルショップに持ち込んで買い取ってもらう方法に似ています。
買取 | 仲介 | |
---|---|---|
買主 | 不動産会社 | 主に個人 |
売却期間 | 数日から数ヵ月程度 | 一般的に数ヵ月以上 |
売却価格 | 不動産価格の査定価格 | 売り出し価格をベースに交渉 |
手数料 | なし | あり |
なお、仲介での売却価格は、相場価格に近い水準で買主と交渉しますが、買取における買取価格は、相場価格よりも安くなるのが通常です。不動産会社が買い取ったあとに、物件のリフォームをして再販することなどを加味しているためです。
不動産買取は、以下の2種類あります。
不動産会社が査定した価格で即時に買い取る
一定期間は仲介で売り出して、売れなかったときに事前合意していた価格で買い取る
買取保証は、相場価格で売れるかもしれない仲介と、確実に売れる買取のミックス型といえます。仲介で売りたくても期限が決まっているケースに向いている方法です。
ただし、最終的には相場より安い価格での買取が決まっているため、買取保証の仲介期間において、買取保証がない仲介での売却と同様の営業をしてくれるとは限りません。そのため、不動産会社選びは慎重に行いましょう。
住宅ローンや不動産担保ローンなど、売却したい不動産をローンの担保にしている場合、その不動産に抵当権が設定されています。具体的には、権利関係の登記において、所有権以外にも抵当権が登記されている状態です。
抵当権付きの不動産は、買主にとっては自分の意思に関係なく購入後に不動産を差し押さえられるリスクがあります。そのため、売却代金で(不足する場合は自己資金を加えて)ローンを完済し、抵当権を抹消できないと売れません。
この点は買取でも変わりません。買取価格と自己資金でローンを完済できないと、買取対象になりませんので注意しましょう。
売買仲介では売主との価格交渉などを経て最終的な売却価格が決定するため、売却代金で残債を支払えるのかがわかるには時間がかかります。一方で、買取であれば不動産会社が購入する価格がすぐにわかるため、まずは買取価格の査定を依頼し、残債を支払えるのかを確認するといった方法もおすすめです。
不動産買取を検討する際は、メリットだけに目を向けず、しっかりとデメリットを理解したうえで選びましょう。
不動産買取のメリットは、仲介にはない特有の内容が多いです。
それぞれについて見ていきましょう。
仲介による売却では、早期に買主が見つかっても数カ月、買主が見つからないと何年たっても売れません。また、主な買主は住宅ローンなどの借入金で購入する個人のため、金融機関の審査がうまくいかず契約が撤回されるおそれもあります。
買取では、不動産会社の資金力を生かして、約数日~1カ月の短期間で決済と引き渡しが行われます。まとまった現金がすぐにほしい売主にとっては、大きなメリットです。
仲介と異なり、買取は仲介手数料が発生しません。仲介手数料の上限は売却価格によって決まり、たとえば3,000万円の物件の場合は約100万円と、無視できない金額です。
もっとも、仲介手数料は売却までの営業活動に対する成功報酬です。そのため、不動産会社が買主となって直接取引する買取では、そのような報酬が発生しないのは当然だといえます。
売買契約時に想定されている不動産の品質や機能について、引き渡し後に満たされていないと発覚した場合、契約不適合を理由として売主は責任を追及されます。
しかし、買取では契約不適合責任を免除するケースが一般的です。契約不適合責任は、売主にとって非常に大きなリスクなので、免除されれば引き渡し後の安心感がまったく違います。
ただし必ず免除されるとは限らないため、契約時に確認しておきましょう。
不動産買取のデメリットは、買取価格以外はほとんどありません。
仲介手数料が発生しない買取で不動産会社が利益を得るには、買い取った物件をリフォームするなど、費用をかけて再販売する必要があります。また、売れる保証があるわけでもないため、不動産会社はリスクを背負います。
その結果、買取価格は仲介での売却価格よりも安くなります。
売買や賃貸の仲介をする不動産会社は、どの地域でも簡単に見つかるでしょう。しかし、買取をしてくれる不動産会社は少なく、対応エリアが限られていることも多いです。
そのため、特に不動産取引が活発ではない地方の町村部では、買取をしている不動産会社を探し出す必要があります。
不動産会社によっては、以下のような理由で、対応エリアの物件でも買い取ってくれないことがあります。
買い取る基準は、個々の不動産会社で異なる一方、どのような物件でも買い取ることをセールスポイントにしている不動産会社もあり、実際に買取できるか相談してみなければわかりません。
仲介と買取の選択は、売却期間と売却価格の目標に対して、どちらを重視するのかによって変わります。正解はありませんが、売却で困っている事情があるなら確実に売れる買取をおすすめします。
仲介による一般市場での売却は、買主が見つかるまでの間、固定資産税などの維持費を負担し続ける必要があります。さらに、長期間売れないことで資産価値を落としながら、やむを得ず値下げする負のスパイラルにはまりやすいです。
仲介は相場価格での売却を期待できるため、諦めきれないのは当然の心情でしょう。しかし、買主が見つからないからと値下げをして、予定していた最低価格すら下回る事態になれば、早く買い取ってもらえばよかったと後悔する売主は多いはずです。
そのため、仲介でなかなか売れない場合や、仲介での売却が難しいと想定できる場合は、早い段階で不動産買取を検討することをおすすめします。
築年数が経過した古家が残っていると、買主に敬遠される傾向にあります。購入を検討するのは、解体または大規模リフォームを前提とする買主で、絶対数は決して多くありません。
しかし、売却するために建物の解体やリフォームをしても、その費用を必ずしも売却価格に上乗せできるわけではありません。
買取であれば、不動産会社は個人よりも資金力に優れているため、現状のままで買い取ってくれます。
不動産を売りたい理由は人それぞれですが、中にはスケジュールが決まっていて、引き延ばせないケースがあります。たとえば、子どもの進学や親の転勤が理由なら、新学期または新年度がスタートする前に売りたいのではないでしょうか。
買取の場合、引き渡し時期を自由に選べるため、売却に期限がある場合や、タイトなスケジュールで売りたいときに向いています。最短数日で決済まで進むスピード感は、仲介にはないメリットです。
不動産会社によって、買取の基準は異なります。物件の状態によっては、買い取ってくれないか、安く買いたたいてくる不動産会社もあるため、不動産会社の選択が重要です。
また、そもそも買取を取り扱っていない不動産会社も多いです。
一番スムーズなのは、買取実績が豊富な不動産会社に相談することです。自分の希望に近い条件で買い取ってくれる可能性が高く、安心して短期間で不動産を売却できます。