不動産売却のノウハウ
買ったばかりのころは満足していた自宅も、歳を取り年月を経るにつれて、使いにくさを感じるようになります。玄関の段差や広い間取りなど、ちょっとした不便はさらに歳を取ると、苦痛に感じるようになるでしょう。
住んでいる家に不便を感じるなら、いまのうちから、住み替えを検討するのもひとつの方法です。高齢者にとって住みやすい家とは、どういう家なのでしょうか。住まい選びから売却の方法まで、高齢者の住み替えを幅広く解説します。
不動産売却 買取2023年7月7日
内閣府が平成30年度に発表した「高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」によると、住まいの困りごとの解決策として、住み替えを検討している高齢者が多いという結果が出ています。
この調査で住み替えを検討するにいたった、住まいの困りごとに挙げられている内容は次のとおりです。
ライフスタイルの変化や加齢、経済的負担を理由に、住み替えを考える高齢者が多くいることがわかります。
高齢者が住み替え先を選ぶときに、いくつかのチェックすべきポイントがあります。住まいの外観や内装が素敵だからといって、すぐに飛びついてはいけません。今後の生活を豊かにするためにも、多角的な視点をもって住み替え先を選びましょう。
第一に優先すべきは、医療機関や介護施設が近隣にあることです。現在は心身ともに健康でも、今後何が起こるかわかりません。万が一の事態に備えて、徒歩圏内に病院や介護施設がある住宅を選びましょう。
ユニバーサルデザインとは、高齢者や障害の有無を問わず「すべての人が使いやすいようにデザインすること」を意味する言葉です。
ユニバーサルデザインを取り入れている住宅なら、年齢を重ねても不便を感じることなく生活できるでしょう。高齢期に住み替え先を探すなら、ユニバーサルデザインに配慮された住まいを選ぶのがおすすめです。
子どもがいるご家庭なら、子どもの住まいから近い場所を選ぶのもひとつの方法です。頼れる存在がそばにいるだけで安心感が増し、孤独を感じることなく豊かな老後生活を送れるでしょう。
生活利便施設とは、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなど、生活を送るうえで必要不可欠な施設のことをいいます。
若いころに比べて体力が衰える高齢期は、できるだけ近場に生活利便施設があったほうが便利です。バスや電車を使わずに、近所で買い物ができる地域を選ぶことをおすすめします。
高齢者が住み替えるときは、さまざまなことに気をつける必要があります。住み替えるに当たっての注意点を解説します。
賃貸住宅への住み替えは、現在のライフスタイルに合わせた間取りを選べるほか、住宅の維持費がかからないことがメリットです。
その一方で月々家賃が発生することや、年齢を理由に入居の審査がとおらない可能性がある点はデメリットといえます。
いま住んでいる家を売却して賃貸住宅へ住み替えるなら、メリットとデメリットを把握したうえで決断するとよいでしょう。
住み替えのタイミングは、なるべく早く決断するのが賢明です。建物は築年数が浅ければ浅いほど資産価値が高い傾向にあることから、一日でも早く売ったほうが高値売却を期待でき、お得に住み替えできます。
また、年齢を重ねれば新居のローン審査や賃貸住宅の入居審査にとおりにくく、なかなか住み替え先が見つからないおそれもあります。そのため、高齢者の住み替えは早めに計画を練り、行動することが大切です。
住み替えには3つの方法があり、それぞれ特徴やメリット、デメリットが異なります。スムーズに住み替えるなら、ベストなタイミングだけでなく、自分に適した方法を選ぶことも重要です。
売り先行とは、先にいま住んでいる住まいの売却を進めてから新居を見つける住み替え方法です。新居を探す前に売却代金を把握できることから、資金計画を立てやすいというメリットがあります。
しかし、売却活動がスムーズに進んだ場合、仮住まい先を用意しなくてはならない点はデメリットです。仮住まい先が必要になれば、家賃の負担や引っ越し回数が増えて、費用の負担が重くなります。
買い先行とは、先に新居を見つけてから、いま住んでいる家の売却を進める住み替え方法です。自宅が売れてしまう焦りを感じずに、時間をかけて新居を選べる点が魅力です。
ただし、売却が思うように進まなかった場合、早く住み替えたいばかりに売り急いでしまうおそれがある点は欠点です。新居が決まっているため早く売りたい気持ちが高まり、値下げをしてまで売却してしまうことも考えられます。
同時進行とは、現在の住まいの売却と新居選びを同時に進める住み替え方法です。うまく取引が進めば、スムーズな住み替えを実現できる点がメリットとえいます。
ただし、売却と新居選びの両方がうまく進むとは限りません。どちらかが先に進んでしまった場合、結果として売り先行もしくは買い先行になってしまう点に注意が必要です。
いまの自宅の暮らしにくさに悩んでいるなら、売却することをおすすめします。自宅を売却することでまとまったお金が手に入り、新居の購入費用や賃貸住宅の家賃、引っ越し費用や老後の資金にあてられます。
また、自宅を残しておくと新居の購入費用もしくは賃貸住宅の家賃のほかに、自宅の維持費用が発生することも難点です。老後の経済的負担を軽くするためにも、いま所有している自宅は売りに出したほうがよいかもしれません。
自宅を売却するうえで、あらかじめ知っておきたいポイントについて紹介します。
住まいに限らず不動産の売却は、成約に至るまで数カ月~1年ほどの期間を必要とします。
立地条件に優れている物件や交通の便がよい物件なら、すぐに買主が見つかることもありますが、ほとんどの物件は即座に成約が決まることはありません。
駅から遠い、日当たりが悪いなど、買主から好まれにくい物件なら、さらに期間かかることも考えられます。いま住んでいる家を売却して住み替えるときは、余裕をもって行動することが大切です。
住まいの売却は空き家の状態で売りに出すほうが、早く成約できる傾向にあります。購入希望者が内覧をしたとき、生活感が気にならず、隅々までチェックできることが理由です。
また、内覧の予定を立てやすい点も空き家の魅力のひとつです。売主側が購入希望者側の内覧希望に合わせて予定を調節することなく、スムーズに対応できるため早期売却につながりやすくなります。
空き家の状態であれば不動産会社に内覧対応を任せることもできますが、売主も一緒に立ち会うことでより早く、高く売却できる可能性が高まります。
売りに出す物件をよく知るのは、長年暮らした売主自身です。不動産会社の営業担当者ではわからない物件の魅力や住みやすさを、居住者ならではの目線で購入希望者に伝えると説得力が増し、早期の高値売却を期待できます。
リノベーションをしてからの売却を考えているなら、施工内容は買主に任せましょう。売主の目線からリノベーションを実施してしまうと、購入後の自由度が低くなることからなかなか買主が見つからないおそれがあります。
施工後、買主が見つからないとなると売主側の経済的負担が重くなってしまいます。売却する物件に手を加えるときは、売主は意見することなく、買主の意向に一任しましょう。
いますぐ住み替えたいなら、不動産買取という方法もあります。不動産の売却には不動産会社が買主を見つけて取引を進める「仲介」と、不動産会社が買主になる「買取」のふたつの方法があります。
不動産買取は時間をかけることなく売却でき、すぐにまとまった現金を手に入れられる点がメリットです。売却期日が決まっていることから、スムーズに新居へと住み替えできます。
ただし、仲介に比べると売却金額が安くなる点はデメリットです。物件の買取後、不動産会社はリフォームしてから再販するのが前提のため、相場より1割~3割ほど安く取引されてしまいます。
どちらがよい方法かは、いますぐ決める必要はありません。まずは、信頼できる不動産会社を見つけて、相談することからはじめましょう。相談するなかで、自身にとってベストな選択をされることをおすすめします。