不動産売却のノウハウ
家を買った時の価格よりも高く売れることがありますが、これはどのような条件を満たせば実現ができるのでしょうか。
家を購入時よりも高く売却できるケースと、正確な売却価格を知る方法について紹介します。
2023年1月16日
どんな家であっても購入後は経年劣化し、資産価値は減少します。しかし、稀に購入時よりも高く売却できる場合があります。これは建物自体の価値が上がったからではなく、周辺の状況変化によるものです。
ここでは、購入価格よりも売却価格が高くなる代表的な要因について解説します。
過去の事例を見ると、愛知県長久手市のリニア通過による大規模都市開発や横浜市の湾岸開発などは、これまで過疎地だったエリアの不動産価値を一気に上昇させました。最近では、群馬県菊池郡菊陽町に台湾の半導体大手TSMCが進出することが決まったため、2022年に発表された基準地価において、工業地の地下が31.6%も跳ね上がるケースもありました。
このような事業がスタートすると将来的な資産価値の上昇が見込まれるため、国内外からさまざまな資本や人財が周辺エリアに投下され、その結果不動産や住宅の資産価値が増加します。
そのため、周辺エリアの開発が公表された場合はどのような事業でいつ頃に完成するのかをチェックしましょう。
オリンピックや万博といった世界規模のイベントは、イベント終了後においても大きな影響を与え続けます。
たとえば2025年開催予定の大阪万博では、わずか半年間の開催で約2兆円の経済効果が予想されており、その中には不動産売買も含まれています。また、イベントの周辺に建設されたテナントや商業ビルは継続利用できるように設計されていることが多く、集まった資本が外部に漏れず留まると予測ができます。
このように、世界的イベントが家の近くで開催された場合、建物の需要が増す可能性があるでしょう。
参考:「開催概要 | 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会」
世界的イベントに限らず、大企業の本社移転やコストコやイオンモールといった大規模商業施設が増えることで人口が増加し、そのエリアでの住宅需要が増します。
特に都市部の周辺エリアは、栄えた都心部からその周辺へと人口が流れ込む「ドーナツ化現象」の影響を受けやすくなるため、利便性が悪い立地であっても高値で売却できる可能性があります。
前述した条件は、社会情勢や景況の影響を大きく受けるため、運の要素が大きいです。しかし、売主の行動次第でも売却価格を上げることはできます。
購入価格を上回るのは難しくとも、少しでも売却価格を上げる方法について解説します。
建物は築年数が経過するとともに経年劣化が進むため、なるべく早く売却することが望ましいです。
戸建ての場合、1年経過するごとに価値は低下し、築10年で価値は購入時の半分程度になるといわれています。また、ポータルサイトで検索するときに、築20年と検索する人より、築3年、5年などと浅い築年数で検索する人が圧倒的に多いです。
築年数が浅ければ、購入希望者の目に留まる確率も高く、資産価値もある程度残っている状態で売却ができます。
家を少しでも高値で、早く売却するためには不動産会社と担当者の選定が重要です。
マンションの場合は、取引事例が多く物件の個性も少ないため、比較的売却がしやすいです。一方で戸建ての場合は、土地の広さや建物の設備など独自の要素が多く、隣同士の建物であったとしても売却価格は大きく異なります。戸建ての売却はテクニックや販売計画が重要になるため、担当者の経験値がある程度必要です。
このように、戸建てを高値で早く売却するためには、より深い知識と売却ノウハウを保有している不動産会社、そして信頼のできる担当者への依頼が重要です。
日常的な掃除をしっかり実施することで、高値売却につながります。戸建てのリフォーム相場は、キッチンとバスルーム、洗面台、トイレを交換した場合に約100〜150万円の費用がかかります。
つまり、交換しなくともよいくらい奇麗な水回りであれば、その分を売却価格に上乗せすることが可能です。
また、リビングを明るく広く見せるコツとして、壁紙を乾いた布なので定期的に拭き掃除をしましょう。小さなホコリは長年蓄積することで壁紙を変色させますが、毎日目にする壁紙の変化に気づくことは難しいでしょう。そのため、一見奇麗に見える壁紙であったとしても定期的に掃除しましょう。
家を売却する際には、どのくらいの価格で売却できるのかをしっかり確認することが重要です。売主は「高ければ高いほどいい」という要望がありますが、実際に売れる価格を知らずに相場とずれた価格設定をすると、販売期間が長期化し満足のいく売却ができません。
ここでは正確な売却価格を知る方法について解説します。
不動産の取引情報提供サイト「レインズマーケットインフォメーション」を利用することで、ある程度の売却価格がわかります。このサイトではエリアや築年数、専有面積を入力することで周辺の成約事例が閲覧できます。売却をスタートするタイミングで利用する方が多いです。
個人情報保護の観点から、個別の不動産取引が特定できないようになっていますが、ある程度の目安を知るには十分な情報だといえるでしょう。
家の正確な査定価格を知りたい場合は、不動産会社に相談しましょう。不動産会社への査定依頼は費用がかかりません。査定を依頼すると査定報告書の作成と査定価格の根拠を説明してくれます。
また、不動産会社しか閲覧ができないレインズは、前述したレインズマーケットインフォメーションよりも詳細なデータを確認できます。さらには不動産会社が独自に保有しているノウハウや経験も査定価格に反映されるため、査定価格はより根拠のあるものとなります。
家の売却を具体的に進めていきたい場合は、早いうちに不動産会社へ相談することがポイントです。
不動産会社の査定を受けたからといって、その査定価格で売れるとは限りません。なぜなら、査定価格は「市場で売れるであろう価格」に過ぎず、その価格で買い手がつくかどうかは別の話です。
なかなか買い手がつかずに値下げをしたり、買い手がついたが価格交渉が入ったりと、査定価格と実際に売却できる売却価格は異なります。
そこで、確実に売却できる価格を知りたいのであれば、不動産買取の査定をおすすめします。不動産買取とは、市場に売り出すのではなく不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう売却方法です。
買い手が不動産会社となるため、買取査定価格=確実に売れる価格となり、早ければ翌月には代金の支払いを受けられます。買取は市場で売り出すより売却価格が約3割減となってしまうため、高く売りたいという方には向いていませんが、早く売りたいという方にはおすすめです。
不動産会社によっては、仲介と買取の両方に対応できます。そのため、市場で売り出す場合の売却査定と、買取の場合の買取査定の両方を依頼することも可能です。市場での売却価格と買取価格を比較して検討したいという場合は、仲介と買取のどちらも対応できる不動産会社に相談しましょう。