不動産売却のノウハウ
不動産を売却するときは、多くの人がいつまでに売れるのか気になるでしょう。この記事では、不動産売却までにかかる期間について解説します。
なかなか不動産が売れにくい理由と、早く売却するためのノウハウも紹介していますので、「なかなか売れないかも」と不安に思っている方はぜひ参考にしてください。
不動産売却 基礎知識2023年8月25日
不動産を売却する背景には、引っ越し、転勤、相続、離婚など、さまざまな理由があります。売主のなかには、早期売却して早く現金化したい人や、次の不動産購入の資金に充てたい人もいます。
また、不動産売却の流れと売却期間を把握することで、無理のない資金計画を立てられます。余裕を持った売却活動を行うには、不動産売却の流れ、売却にかかる期間を事前に理解しておくことが重要です。
不動産売却の流れと売却にかかる平均的な期間は、次の表のとおりです。
段階 | 売却の流れ | 期間 | 売却一例 |
---|---|---|---|
売却前 | ①査定・比較 | 約2週間~4週間 | 4月 売却を決める |
②媒介契約 | 4月中旬 媒介契約締結 | ||
売却中 | ③販売活動 | 3カ月~売却できるまで | 5月 販売活動開始 |
④内覧対応 | 8月 買主が見つかる | ||
売却中 | ⑤売買契約 | 約2週間~4週間 | 9月 売買契約締結 |
⑥引き渡し・決済 | 10月 物件引き渡し |
合計するとおおよそ3カ月~5カ月ほど期間がかかることがわかります。
不動産売却の流れについて詳しく解説します。
不動産売却の査定方法には、机上査定と訪問査定の2種類あります。まずは机上査定で複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。複数社に査定依頼をすることで、売却価格や査定基準を比較できます。
机上査定で気になる不動産会社を見つけたら、次は訪問査定を受けます。査定は数日で終わることもありますが、目安として1~2週間を予定しておきましょう。
不動産を売却するときの手続きや査定の注意点を分かりやすく解説
査定を依頼した不動産会社から、信頼できる不動産会社と媒介契約を結びましょう。媒介契約には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。契約によって販売活動の内容が異なりますので、以下の表を参考にしてください。
一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
---|---|---|---|
不動産会社との契約 | 〇 | × | × |
自己発見取引 | 〇 | 〇 | × |
契約期間 | なし | 3カ月 | 3カ月 |
レインズ登録義務 | なし | 7日以内 | 5日以内 |
業務の報告義務 | なし | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
自己発見取引とは、売主が自ら見つけた買主(親族・友人など)と個人間で行う取引のことをいいます。
媒介契約を締結したら、不動産会社が販売活動を開始します。販売活動の具体的な内容は、物件調査、広告作成、内覧対応、条件交渉、物件説明、売主への報告などです。
買主が見つかるまでの期間は3~6カ月ですが、長期化する場合もあるためスケジュールに余裕を持っておきましょう。
住みながら家の売却を行う場合、購入希望者の内覧対応は非常に重要です。売却期間中はできる限り、購入希望者のスケジュールに合わせるようにしましょう。
また、内覧前には掃除、整理整頓、不用品は処分をするなど購入希望者によい印象を与えるような準備しておく必要があります。特にトイレ、キッチン、浴室などの水回りは生活感が出やすく、掃除も大変なので、ハウスクリーニングの業者へ依頼するのがおすすめです。
自宅売却時の内覧回数の相場 内覧回数から判断する販売方法の見直し方とは
売主と買主の双方が条件に納得できれば、売買契約を締結します。売買契約は双方のスケジュールを調整する必要があるため、1~2週間かかる場合があります。
売買契約をスムーズに行うために、あらかじめ書類の準備をしておきましょう。また、売買契約時に重要事項説明を行いますが、契約不適合責任が免責されているかを必ず確認してください。
契約不適合責任が免責されていない場合、買主から損害賠償の請求をされるおそれがあるため注意が必要です。また、売買契約時に手付金として現金を受け取ります。残金の支払いは決済時になります。
決済当日は売主、買主、不動産会社の担当者、金融機関の担当者(住宅ローンを組む場合)、司法書士が同席します。司法書士から所有権移転登記についての説明を受け、売主と買主の本人確認、書類の確認などを行います。
所有権移転登記が済んだら売却完了となり、売主に残金が振り込まれます。
不動産売却が長期化してしまうのには、以下の5つの理由が考えられます。
建物の資産価値は築10年までに一気に下がり、その後横ばいといった値動きが一般的です。10年を過ぎた物件も全く値下がりしないわけではなく、徐々に下がっていきます。これは同時に需要も下がっているということです。
中古住宅の購入希望者も、できるだけ築浅で、きれいな物件を望むため、築年数が25年を超えるような物件は売却期間が長期化するでしょう。
最寄駅まで徒歩20分以上、騒音がひどい、治安が悪い、スーパーやコンビニが極端に少ないなど、購入希望者の需要が低い地域では売却が長期化するでしょう。
また、過疎化が進む地域では、人口減少、地域住民の生活水準の低下などを理由に売却できないこともあるでしょう。近年では、相続や遺贈により譲り受けた不動産の買主が見つからず、空き家が増え続けていることが社会問題になっています。
需要の低い地域では、まずは需要に応じた販売価格の設定が重要です。
物件の管理状況が悪いと、内覧に来た購入希望者に悪いイメージを与えてしまうため注意が必要です。内覧期間中は、生活感をなくす、整理整頓する、ゴミを溜めないなど適切な管理が必要です。
特にマンションでは共用部分の清潔さや管理状況も、ほかの物件と比較されます。共用部分の管理は売主の責任ではありませんが、内覧前に廊下を掃除しておく、周辺にゴミが散乱していないかなどチェックをしておくとよいでしょう。
家の購入を検討している人の大半は、希望エリアの相場や住宅ローンの借入可能額から予算を決めます。近年はインターネットで簡単に相場を調べられるため、相場より安く、お得感があれば、すぐに購入希望者が見つかる可能性があります。しかし、相場より販売価格が割高だと、売却の機会を逃してしまいます。
売れないことに焦り、何度も値下げを繰り返していくと、「この物件何かあるのかな?」と憶測され、さらに売りにくい物件となってしまうことがあります。
そのため、販売価格の設定は不動産会社と相談しながら慎重に行いましょう。
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販売価格も適正で、物件の需要があるものの売却につながらない、という場合は、不動産会社の売却活動に問題があるのかもしれません。
媒介契約には3つの種類があります。なかでも一般媒介契約は複数の不動産会社に売却を依頼できるため、積極的に販売活動を行っても他社に決められてしまうことがあります。そのため、時間、労力、経費が無駄になってしまうため、不動産会社が熱心に販売活動をしないことがあります。
3カ月経過しても売却できない場合は媒介契約を変更する、または不動産会社の変更を検討しましょう。
なかなか購入希望者があらわれないと、「この先どうなるのだろう」「本当に売れるのだろうか」と不安になる人も多いでしょう。ここからは、売却期間を短縮するために見直すべきポイントを5つ紹介します。
以下で詳しく解説します。
インターネット広告が購入希望者に与える影響はとても大きいため、記載する内容は非常に重要です。物件写真は部屋ごとに撮影する、アピールポイントは一目でわかるように記載する、など購入者のメリットになることを明確にアピールしましょう。
不動産会社のなかには、広告が苦手な不動産会社もあります。広告が苦手ということは、売主にとってデメリットしかありません。不動産売却を成功させるためには、広告やホームページが充実している不動産会社に変更することもひとつの方法です。
3カ月以上経過しても売れない物件は、販売価格が適正でない可能性があります。物件相場の見直しや査定依頼をして、改めて適正価格を設定しましょう。大幅に値段を下げるのはリスクが大きいため、まずは物件の1割程度から値下げをするのがおすすめです。
早期売却を狙う場合は、専属専任媒介契約が有効です。専属専任媒介契約は1社の不動産会社としか契約ができません。また、販売活動の期間は3カ月と決まっています。不動産会社は仲介手数料を得るために、契約期間中は積極的に販売活動を行うでしょう。そのため、売却期間が短縮できる可能性が高い契約といえます。
専属専任媒介契約は売主にとっても、不動産会社にとってもメリットが大きい契約方法です。媒介契約の種類によって販売活動が大きく異なるため、目的や期間に合わせて自分に合った契約方法を選びましょう。
不動産売買にも売れやすい時期と売れにくい時期があります。一般的に不動産の繁忙期は「2~3月の春」と「9~11月の秋」といわれています。特に2~3月は、4月からの新生活に向けて不動産への購買意欲がぐんと高まります。
一方で、不動産売却の売れない時期は8月です。売却できずに悩んでいる人やこれから売却を検討している人は、不動産売買が活発な時期を狙ってみましょう。
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「これ以上、売却に時間をかけたくない」という場合は、不動産会社に買い取ってもらう不動産買取がおすすめです。不動産買取は相場より販売価格が下がってしまうものの、不動産会社が買取可能と判断すれば、確実に売却できます。
購入希望者を探す手間も省けるため、早く売却したい人やまとまった資金が必要な方は不動産買取を前向きに検討してみましょう。